お気に入りの映画10選 (SF編)

SFは、まず読むのが大好きってのがありますね。古くは、レイ・ブラッドベリとか、ロバート・A・ハインラインみたいな王道モノを小さいときに読み尽くしちゃって、高校生位からはもうマニアック路線に突入。大学入ってからはもうサイバーパンクムーブメントどっぷりみたいな青春時代です。今でも、子どもの本買うのに付き合って本屋に言ったらハヤカワの青背(本格SF)はとりあえずチェック。映画はおまけですね。一応、「全部見る!」くらいの気持ちで見ますが、CG技術の発展により、より安直なヤツが増えて閉口します。大げさに作るのと、イマジネーションにあふれるの区別をつけようぜ。というわけで、個人的にはハードSFや時空モノ(タイムトラベルとかパラレルワールドとか)にグッときますけど、ときどき、ふざけすぎてて逆に面白い、ってこともあります。

 

 

【未来世紀ブラジル】
(BRAZIL/監督:テリー・ギリアム/1985/英米)
大学時代、講義の合間に見てブッとんで以来、約30年間、常に僕の中のナンバーワン映画です。リカルド・ボフィルの建築、処刑場のシーン、全てが斬新だった。当時、周りの人間に勧めたが不評で、あまりわかってもらえず・・・。でもネット時代の今ではカルト人気が定着していることもわかり、僕も少しは溜飲を下げました。

 

 

 

【ブレード・ランナー】
(Blade Rnnner/監督:リドリー・スコット/1982/米)

これまた僕の中で不動のナンバー2。SF好き・ディック好きとして当然、原作を先に体験してたわけですが、何の説明もなくVK法テストが始まるところでもうしびれました。ま、これも今では不動のカルト人気があり、語りつくされているので、特に言うことなし、と。

 

スローターハウス5】
(Slaughterhouse-Five/監督:ジョージ・ロイ・ヒル/1972/米)

まず、原作であるカート・ヴォネガットの小説が好きなんですね。そして大好きな時空トラベルもの。何かのきっかけで自分の一生のどこかの時間に飛ぶっていう、時間はエントロピーの増大方向に一方行で流れているという観念をひっくり返す設定です(まー、ディックの「逆まわりの世界」ほどはひっくり返ってないけど)。原作に極めて忠実、ドレスデン爆撃も描ききっていて原作ありものでは一番いいかもしれん。ネット上で「つまらん」と言ってるヤツが多いが理解できていないだけだと思う。

 

 

【ミッション:8ミニッツ】
(Source Code/監督:ダンカン・ジョーンズ/2011/米)

最近のヤツでは間違いなくこれが最高です。またまた時空モノ(いろいろあるので詳しくは言えない。見ればわかります)。ダンカン・ジョーンズ監督の2作目なんだけど、1作目の「月に囚われた男」っていうのも、SF愛が感じられてなかなかよかったし高評価。あ、ちなみに最近のものでは「インセプション」「デジャ・ブ」も挙げなかったけどよかったです。最近は、この程度なら観客もついてこれると判断されるようですな。

 

第9地区】
(District9/監督:ニール・ブロムカンプ/2009/米・南ア・ニュージーランド)
これまた最近と言えば最近で、南アフリカ舞台の宇宙人モノ。といっても難民宇宙人で完全に地球に定着済(笑)。スタッフも多国籍だし、人種問題への皮肉も効いていて、いろんな意味で意表を突かれまくります。「クローバーフィールド」なんかもドキュメンタリータッチだったけど、こっちの方が数倍凝ってて良いね。最後も泣かせるいい映画です。

 

 

 

ガタカ】
(Gattaca/監督:アンドリュー・ニコル/1997/米)

派手な演出はなく、静かでひんやりした質感の映画だけど、人間ドラマを描ききってる気がします。ユマ・サーマンも他の映画とはかなり違うエリート然とした雰囲気でいいんですよね。遠泳や刑事来訪のくだりなど、はらはらし、泣けます。音楽がマイケル・ナイマンってとこもポイント高し。

 

 

【決死圏SOS宇宙船】
(Doppelganger/監督:ロバート・パリッシュ/1969/英)
小1の頃テレビで見て、若干トラウマになったヤツです(笑)。我が家では「子供の教育上悪いから」的な配慮は全くなく、幼稚園の頃から、夜は父とテレビ映画をすごくよく見ていて、小1時点で、これと、「猿の惑星」「宇宙からの脱出」は既にトラウマ化してたように思います。後年見たときはそれほど怖くなく、「オチがすげーな」と思ったんですが、当時は「太陽の反対側に地球と同じ星があって、全く同じ人が住んでいて、左右だけ反転してる」っていうのが、なぜか恐ろしかったという記憶があります。ホントはそのヘンのドラマがメインなので、タイトルは原題通り「ドッペルゲンガー」の方がよかったですけどね。

 

 

 

【グランドツアー】
(The Grand Tour/監督:デヴィッド・トゥーヒー/1991/日米)

しつこく時空モノです。映画そのものからは全く感じませんが、山形テレビが出資し日米合作という異色作。内容はC・L・ムーアの「ヴィンテージシーズン」なんですが、すごくよく脚本化されてます。無名に近いけど是非見てください。未来人が過去の大惨事見学ツアーをやってる、という設定は、1999年の「タイムシーカー」(タイムクラッシュ・超時空カタストロフ)っていう映画でも使われていて、その後の展開はまた違うんだけど、これもまたいいんですよね。この設定って、いろいろ考えるお題としていいんでしょうね。

 

ニルヴァーナ
(Nirvana/監督:ガブリエレ・サルバトレス/1997/仏・伊)
僕の中で80年代型サイバーパンクを最もきちんと理解して映像化した映画(JMやMatrixは違う)。自分の開発したゲーム内に発生したAIキャラを救うために、ゲームデザイナーの主人公が超一流のハッカーとカウボーイを連れて企業ICEを突き破る話(「カウボーイ」や「ICE」はサイバーパンク用語です。念のため)。舞台はインドやアラブ世界をグルグル、死にかけたカウボーイの復讐と復活、進化しすぎたバイオテク、ナノテク、ロマンチックな要素、AI、と全てが初期ギブソンへのオマージュみたい。ギブソンを愛している人の手による作品としか思えない。イタリア映画で全編イタリア語ってのも面白い。

 

【スクリーマーズ】
(Screamers/監督:クリスチャン・デュゲイ/1996/米・カナダ)

ディックの「人間狩り」(「変種第2号」)が原作です。若干原作負けしていて、低予算でB級感もありありなのですが、B級モノチームではなかなかよい方です。勝手に自分達で新型爆弾を作っちゃう爆弾と戦争してるっていうすごい設定。遂には爆弾ロボ達が人間と見分けがつかない爆弾を作っちゃって、誰が味方で、誰が爆弾なのか?っていうあたりが見所。
他にディックのマイナーものでは、「にせもの」がゲイリー・シニーズ主演で「クローン」のタイトルで映画化されてますね。

 

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last update 2013.07.13