80's J−テクノのMY定番

戸田誠司氏が著書の中で「80年代のテクノと90年以降のテクノは本来、全く別のジャンルだ」というようなことを言っていましたが、全くその通りですね。僕も80年代には、ライブにコンピュータを持ち込むことに、至上の喜びを見出し、いわゆる「打ち込み」のバンドに没頭していたのです。しかし、まだまだ時代はシーケンサー。コンピュータを使って、しかも大部分を打ち込みにするのは、まだまだ珍しく、かなり手探り状態。MIDIをむき出しの数値で打ち込んでたり、急激な技術革新で機器も急速に陳腐化したり、と苦労の連続(笑)。そんな僕の「テッチー」な思い出のセレクトです。えっ、「テッチー」なんて知らない?

さてこそ/CHAKRA  <NO.1!!>

チャクラは、デビュー盤は琉球音階を使った沖縄テクノサウンドの異色のバンド。ここの板倉文氏が鬼才でねぇ。この2枚目当たりからはポップセンスが爆発。というわけで、とても好きなアルバム。意表をついた曲展開、コード進行、打ち込みの斬新な使い方、もっと評価されていいアルバム(個人的見解)。ボーカル小川美潮は、この他、坂田明のWHA-HA-HAや仙波清彦の一連のプロジェクト等で活躍、キーボード近藤達郎は、ウニタミニマというユニットでのアバンギャルドな活動、リゲインの「勇気のしるし」の作曲でも話題に。リーダー板倉文も、この他、PINKのサイコデリシャスやら、大沢誉志幸のシリアス・バーバリアン連作やら、当時のエスニックな味付けには一役買うことが多かった。その後もキリング・タイムなどで、やはりアバンギャルドに(笑)。なお、このアルバムはプロデューサーに細野晴臣、マニュピレータに松武秀樹と「ウラYMO」としてもチェック!ま、坂本龍一のPHEWとか、FRICTIONとかの細野さん版っていう感じですか。ただやっぱりプロデューサーとしては細野さんがやってるヤツの方が面白いな、僕は。なおチャクラとしては、この前に「チャクラ」、後に「南洋でヨイショ」というアルバムがあり、僕はアナログ&CD全てを保有(笑)。そして、全て廃盤。オススメしといてすいません。

 

Amateur Academy/Moon Riders

言わずもがなのムーンライダースですが、意外とみんなちゃんと聴いてないでしょ?これはちゃんとしたCDが発売されなかった、ということで「忘れ去られた名盤」なんじゃないかなー?このアルバムのダークなアートワークや、ニューウェーブなサウンド・歌詞はやっぱり他のバンドにはない卓越したものを感じる。この前後のムーンライダースはとても充実した活動をしていて、「くれない埠頭」の「青空百景」、超オタクな(笑)「マニア・マニエラ」とか面白いのたくさん出してるよね。個人的には「Don't Trust Over Thirty」とこれをベストとして挙げます。あと同時期に出た鈴木さえ子「科学と神秘」もセットね。なお写真は、実はインディーズで出ていたCDです。もちろんアナログも保有。いろんな意味でアナログの方が楽しく仕上がっています。あ、これも今は多分、入手困難。すまん。

 

PIC-NIC/PSY'S

今や、「パラッパ・ラッパー」「ウンジャマ・ラミー」「ビブリボン」の、と言った方が通りがよさそうな、松浦雅也氏の超々打ち込みユニット、サイズ。とてもメジャーよりの活動をしていたように思っている人が多いと思うけど、初期は、とてもマニアックなサウンドだったよ。1枚目の「Different View」と2枚目のこれは、日本打ち込みポップス界の金字塔だと思う。僕しか思ってないかもしんないけど。
それにしても、このアルバムで聴けるフェアライトのサウンドはすごいね。打ち込みをどこまで追求できるか、っていうテーマに真っ向から挑んでる感じ。この後、ちょっとライブっぽく、ロックっぽくなっていってセールス的にもブレイクしたけれど、僕がみずみずしいと感じるのはこの頃までです。ライブもとても品がよくて、面白かった。サウンド・ストリートもね。あと、サエキケンゾウ氏もここでは、素晴らしい詩を書いてる。パール兄弟でのオゲレツさは全くなく、とても繊細。

 

I Do,You Do/太田裕美

「木綿のハンカチーフ」の裕美ちゃんなんだけど、この時期、ニューウェーブ、テクノ寄りの活動をしていた。テクノ裕美ちゃんの3枚、これと、「Far East」「Tamatebako」はどれも、とてもクオリティ高いです。時代を考えても、かなり革新的なサウンド。この後、結婚したダンナさんの福岡智彦氏は、ニューウェーブ、テクノ系では知る人ぞ知るソニーのディレクター。ゴンチチなんかも彼によって世に送り出された。その関係の人脈が集結して作ったアルバムってのも、このアルバムが素晴らしい一因としてありますね。
ちなみに裕美ちゃんのHPでは、この時代について、ファンから「嫌い」という声も随分あがっているようです(笑)。また、昨年、発売された6枚組CDボックスの中でも「これで彼女の芸能生活の息の根を止めてしまった」みたいな福岡氏の反省の弁が・・・。でもホントにとてもいいよ。なお、最近初めてCD化されたので安く簡単に入手できます。僕はアナログを大事にしてたけど、改めてCDも購入しました。

 

pizzicatomania!/pizzicato five

ピチカートファイヴもまた、初期は打ち込みメインのとてもテクノなバンドでした。DXのプリセット音色をあえてそのまま使ってみるポップアート的な発想が見られたり(既に「レディメイド」ですね。当時はそれをピチカトーンと言っていたはず(笑))、とてもキッチュな感じのミックスになってたり、曲のコード感は既におしゃれだったり、片鱗が伺えます。「九月」とか、「アクション・ペインティング」とか、今でも僕が好きな曲満載!。「バカンス」とか「ロンドン・パリ」とか「動物園の鰐」なんていう初期の名曲もちょこっと聴ける。このCDはテイチク時代のレコードを編集して後から発売されたもので、オリジナルは12インチシングル。CDの「オードリィ・ヘプバーン・コンプレックス」はビリー・ワイルダー・ミックスとなっているけど、レコードの方はスタンリー・ドーネン・ミックスとなっているところが笑える。どちらもヘプバーンの映画(しかも割とスタイリッシュ目のヤツ)を撮った監督ですね、念のため。また「動物園の鰐」のフルバージョンを聴きたければ、戸川京子の「涙」というアルバムを探しましょう。2バージョン収録されていて「Nobody in town」のバージョンの方がモロに当時のピチカートのサウンドです。

 

One Pattern/P-MODEL

僕の大好きなプラスチックスも、このP-MODELも、70年代のバンドなので、一応、そんなに上に持ってこなかったわけですが、このアルバムは80年代に出たヤツの中から、一番好きなヤツということで選んでみました。最近ではポリシックスなんかが完全にパクってる感じですが、オリジナルを見まくった世代としては、やっぱりちょっと・・・ね。やっぱり平沢進さんは偉大だ。サウンド的には確かに打ち込みっぽい部分もあるんだけど、パンクなんですよね。打ち込みパンク(笑)。マイクロチューニングやってたり、メロディーラインはその後のソロ活動にも通ずる同じ感じがあります。そういえば、マイクロチューニング・微分律オルガンを使ったシジジーズっていたね。ライブで見たらすごい気持ち悪かった。やっぱり平均律の音楽教育受けてると違和感あるよ・・・。話戻して、当時、これに収録されてる「アナザーデイと「ゼブラ」はプロモビデオも作られていたはずで、それが結構好きでした。最近では初期のライブもCD化されましたね。ソロになってからのものでは、僕は「サイエンスの幽霊」が好きです。

 

ALLO!/World Standard

最初の頃はやはり細野さんプロデュース・シリーズということで、ノンスタンダードからデビューしたワールド・スタンダード。かの鈴木総一朗さんが率いるバンドですね。1枚目はインスト主体でしたが、このセカンドは全てボーカル入り(ジャケットの女のコのデュオ)。当時のこのテのバンドとしては、ちょっとテクノロジーからは引いたスタンスと、独特の世界観があって、出色のバンドだったと思います。同時期に出たアナログの「ダブル・ハピネス」というのも併せていいです。この頃、「ライブジャック」っていう深夜TVのライブ番組で、鈴木氏が地味ーっにギターを弾いていたのを思い出します。

 

APRES MIDI/TESTPATTERN

ということで、ついでにインストもののお気に入り行っときましょう。テストパターン。82年のアルバムですが、90年代のミニマルテクノにも通ずる音数少なめ、アナログ音(といっても当時はそもそもデジタル音なんてない(笑))、反復多しで、ある意味今でも一番新しく感じる。そして、またまたプロデュースは細野さん。僕の中で、このヘンと同系統に分類しているのは、インテリアズ。日向大介氏のユニットでウィンダム・ヒルからレコード出してるのがスゴいよね。1枚目の「インテリアズ」、2枚目「デザイン」ともに愛聴している。他にもこういう類って結構あったんだけど、今でもときどき、やおらレコードを聴いてしまうのは、この2バンドだけですねぇ・・・。

 

DEMENTOS/清水靖晃

シド・バレットの例をひくまでもなく、天才というのはちょっと「紙一重」なわけですが(笑)、若干の狂気を感じる清水さん。怒られますね、こんなこと言ったら(笑)。ただ、古くは超絶音楽集団のマライアみたいなこともやってるかと思うと、超スタンダードなジャズをやってみたり、オーケストラとコラボしてみたりという当たりの変幻自在さが、そう感じさせるんでしょう。アルバムタイトルに「北京の秋」なんてつけちゃうあたりも(ボリス・ヴィアン?)ちょっと・・・。この前後の3枚(他2枚は「サブリミナル」「アドゥナ」)は、マライアに近い感じの、完全オリジナルの何とも言えない世界を構築。エスノっぽいメロディーやいろんな言語を取り入れたり、拡声器で歌ってみたり(YMOのテクノデリックの頃みたい)、ボーカルの処理なんかもかなり変態な感じです(だから怒られる、って)。面白いけど、自分の中に取り込んで流用はできない、そういう感じです(笑)。

 

Cioccolata Box/Cioccolata

かの香織が在籍したショコラータ。ゼルダの高橋佐代子なんかを支持して、いつも帽子を被ってるような女のコとは、またちょっと違った層の人気を集めていた。ライブも見たけど、今、考えると80年代的恥ずかしさが凝縮されたようなデコラティブなステージだったな(笑)。「黒い月のニーナ」のプロモをそのまま持ってきたようなステージ、と言いましょうか・・・。でも、今、いろいろ改めて聴いてみたら、音楽的には結構面白いですね。かの香織嬢のオペラ唱法は立て続けに聴くとかなり疲れますが、ストリングスアレンジや、打ち込みの使い方にはなかなか見るものがある。サンプリングっぽいことをやろうとしている意図が感じられるけど、このときサンプラーはまだなかったんだなー、とかヘンなところで感慨深かったりもする(笑)。当時、仲のよかったコがよく聴いていたなんていうこともあって、ちょっと思い出深い。そういえば、最近、かの香織さんを偶然見かけたんだけど、ちょっとお歳を召したような気がしましたねー(笑。すいません)。

 

(おまけ)

この真ん中に写ってるのが、僕が当時(といってもかなり後の方)、メインのシーケンサーとして使っていたノートPC、いわゆるNECのPC-98(PC98ではない)で、CPUは386です。でも、これでもノートでは2代目で、買ったときはすごい進歩したような気がした(笑)。今思うとハードディスクなし、ってのはすごいよなー。ま、うちには、フロッピーディスクドライブがなくて、カセットテープからロードするPCとか、16秒しかサンプリングできないサンプラーとかもある。今の人達は最初から、音符はコピー&ペーストで、録音はデジタルで音楽作れて幸せだね。

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last update 2001.12.1