「甘い人生」映画製作裏話
★映画基礎データー★「甘い人生」 2005年 韓国映画 監督脚本 キム・ジウン 出演 イ・ビョンホン |
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ソウルを一望できる優雅なスカイラウンジ。
ここはソヌ(イ・ビョンホン)の城だ。
7年かかってラウンジとレストランの総マネジャーであるこの地位までのぼりつめた。
冷酷なほどに頭の切れる男ソヌは、表にも裏にも通るその手腕により、
裏社会にも絶大な力を持つボスの信頼と寵愛を一身に受けていた。
ボスであるカン氏(キム・ヨンチョル)は、裏社会を牛耳る冷酷無比な男だったが、
唯一の弱みがあった。
若い愛人、ヒス(シン・ミナ)のことだ。
カン氏はヒスに他の男がいるのではないかという考えに苛まされており、
ソヌに彼女を監視させ、もし裏切りがあった場合には殺すか、
もしくは自分に連絡しろと命じる。
テレビドラマ「美しき日々」「オールイン 運命の愛」、映画「誰にでも秘密がある」イ・ビョンホンが主演、
「これは私の代表作になる」と入れ込みっぷりを披露しています。
監督は、ハリウッドのドリーム・ワークスによるリメイクが決定している「箪笥<たんす>」のキム・ジウン。
8車線で互いにチェイスする2台の車から降りてくるイ・ビョンホンのカットを
撮影するために、ソウルの漢南大橋を警察庁、ソウル市の協力を得て封鎖し、
カーチェイス・ロケを敢行しています。
数日間の監視のあと、ソヌはカン氏の命令を携えヒスと男のいる部屋に押し入った。
することは明白だ。彼らを殺すか、携帯電話で出張中のカン氏へ報告するだけだ。
しかし、ソヌは柄にもない仏ごころで
「二度と会うな。何もなかったことにすれば問題はない」と、男を追い出す。
が、ヒスは瞳を涙で濡らし「何もなかったことになんて、あなただったら出来るんですか?」とまっすぐにソヌを見つめ返してくる。
ソヌは、ふと我にかえり自分のしたことに驚いてヒスに詰め寄る。
「なぜ自分はボスを裏切るようなことを。自分のためでもないし、勿論あの男のためでもない」。
するとヒスが言う。「私のためですか?」
そして、この時のソヌの決断は、対立する勢力に加えて、
かつての仲間たちをも敵にまわし、取り返しのつかない抗争の渦へと、破滅への道へと彼を陥れていくのだった・・・。
劇場公開時、“イ・ビョンホンの男の純愛ロマン”のように宣伝され、
事実多くの人が、その“純愛ロマン”を期待して劇場に出かけていますが、
実際には北野たけし風のバイオレンス映画です。
熱い抱擁、甘い言葉、夢見る瞳、そんなものはこの映画には出てきません。
でも「HANABE」だって夫婦の純愛ドラマなんだし、
だったらこれもラブストーリーなんでしょう。が、ソヌの一方的な片思いだし、相手のヒスはソヌの思いに気が付かない。
最後にへんてこなスタンド贈りつけられて困っている。
カン氏がヒスに入れあげるのは、当然、爺のスケベェ根性なんですが、
ソヌの裏切りに対して、すさまじい“折檻”をしかけてくる。
じいさまの嫉妬は怖い?
そこまでする必要は本来無いわけです。
カン氏は俺がボスだ、という上下関係に縛られていて、
それを踏み越えたソヌが許せなかった、ということもあるんでしょうけど、
それにしてもこれは酷いですね。
ソヌはそれで本気になって怒ってしまい、ボスをつぶそうと決意してしまう。
ヒスのことはドラマが走り出すと放り出しになってしまい、
カン氏とソヌの間に立つ、組織内外の利害関係者すべて巻き込んでの
大抗争に発展する。
そういっちゃなんだけど、
ヒスという無名のビオラ奏者の小娘ひとりに
暗黒街に血の雨を降らせるほどの価値があるのか?
そりゃ無いです。あってたまるものですか。
カン氏はヒスを抱くわけだけど、
…彼女から見ればそれはパトロンに対する
ご奉仕に過ぎないでしょうけど、
カン氏はヒスの向こう側にある“かたぎの世界”そのものを
抱きしめていたかったんじゃないのか?
私はこう解釈しているんです。
ソヌはやはりヒスにセックスアピールを感じたのではなくて、
“金と暴力と権力の抗争”とは無縁の普通の男と女が恋する“普通の世界”を
垣間見て、若い二人に目をつぶってやろうとする。
けど、カン氏はソヌが己の“かたぎの世界”に対する想いを知った上で
ちょっかい出したと受け取った。
心の底に手を突っ込まれたと感じ取ったからカン氏は憤激した。
逆にソヌは、カン氏の極道を極めた男の思いにある種、シンパシーを感じての行動だったかもしれない。
結果は悲劇に終わりますがね。
はじめと終わりに師と弟子の言葉が出てきます。
孔子とか孟子やらの真似をして創作されたものだと思いますが、
うまいこと作品の雰囲気を伝えています。
弟子が泣いているのを見て師が問うた。
「恐ろしい夢を見たのか。悲しい夢を見たのか。」
「甘い夢を見ました」
「ではなぜ泣くのか」
「それがかなわぬ夢だからです」
苦痛や恐怖が悲しいわけではないのですね。
決して幸福に手が届くことは無いのだ、という絶望が人に涙を流させるわけです。
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