「突入せよ!『あさま山荘』事件」DVDレビュー

「突入せよ!『あさま山荘』事件」パンフ表紙★映画基礎データー★
 2002年 東映  133分
 
 監督脚本: 原田眞人
 (「金融腐蝕列島・呪縛」)
 原作 佐々淳行
 出演  役所広司

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1972年。連合赤軍は軽井沢の"あさま山荘"に管理人の妻を人質にろう城した。穏便、迅速に事件を解決するべく警察庁からやってきた監察官、佐々淳行(役所広司)は、メンツを楯に対立する警察庁、長野県警に辟易しながらも、人質救出・犯人逮捕に取組む。
 あさま山荘事件と言われても、ピンとこないです。過激派の政治思想なんて理解の外だし、映画化する価値があるんだろうかと思ってました。
 ところが出来た映画「突入せよ!『あさま山荘』事件」は意外や傑作。面白いぞー、という話がそこかしこから聞こえてきたので、それならひとつ出かけてみるかと見てきました。
 面白かったです。過激派を描こうとしたのではない。でも、ただ事件を再現しただけのドキュメンタリーでもない。映画として独自の批判があって、人物達がいて、ダイナミズムのある映像が有る。ウハウハ笑えるユーモアがある。1番意外なのがこのユーモアでした。山の中にこもった過激派と包囲している機動隊のにらみ合いでどこが可笑しいか? 可笑しいんです、実にこれが。
 「踊る大捜査網」で警視庁と所管警察署の関係、「本店支店」と言う奴や、「監察官」というキャリアとノンキャリアの対立などが出てきますが、現実の警察にもあるのですね。
でも本店が「踊るー」みたいに一方的にえばってるんでなくて、支店、この場合は長野県警ですが、が本店、警視庁でなくて警察庁ですが、と対等に喧嘩してる。キャリアとノンキャリアの対立よりは、キャリア同士でどっちが上でどっちが下だかでごたごたやってる。
キャリアだって、無神経なこと言ったりするとノンキャリアに集団でそっぽ向かれると仕事にならないんで、へんなことに気配りしたりしている。そういう現場のごたごたが映画の前半どっと出てきて、いかにも日本社会的でおっかしいんですね。
 後半は、にらみ合いからXデーの盛りあがり、いつ突入するか、どう突入するか、が問題となっていく。有名な鉄球はどこでどう投入されたのか。
 突入場面がやっぱり見せ場です。簡単にケリはつかなくて実に延々9時間の大騒動になる。「今日はもう終いにするか」「鉄球で建物壊しちゃって放水して、中を水浸しにして、
冬の長野の山中で一晩越せばみんな凍死するぞっ」というんでサーチライトつけて、真っ暗になってからも延々と戦っている。ガンガン撃たれて、バタバタ人は死んでいくし、トサカに来た機動隊同士で喧嘩はするわ、過激派がパイプ爆弾投げつけてくるわ、あてにしていたジュラルミンの楯は実はライフルの弾が突き抜けてしまうわ、で実際大変だったんだなぁと思いました。
 「あさま山荘」事件に付いては、団塊の世代には思い入れの深い事件だそうで、いろいろなプロデューサーが映画化を考えていたようです。が、過激派の政治思想と、その挙句の自爆的騒動をそのままエンターテイメントに出来る筈も無く、映像化が実現したのは今回がはじめてです。
 掲示板の書き込みは、はじめて映画を見た人はおおむね好評で、原作を先に読んだ人からは批評もある。映像はリズムも大切なので、詳細は小説のように語りきれないのが常ですので、原作を読んで情報量のある人には不足感もあって当然と思います。
 最後に補足ですが、
映画は1972年(昭和47年)2月19日午後3時半ごろ、長野県警のパトロールに追われた連合赤軍の5人が「さつき山荘」からは一団となって逃走しするところから始まってます。その次が警察庁の監察官、佐々淳行が後藤田長官に連合赤軍があさま山荘に立てこもっているので、現場指揮を頼むという命令を受け、長野へ行くのですが、当時の事情を知らない者には、赤軍派がどうして山の中を逃げ歩いていたか、何ゆえあさま山荘に立て篭もったのか経緯が分からないです。
私がWebで調べたことをかいつまんで言うと、学生運動がほぼ終焉しようとしている時代に、突出した過激思想を持つ一団が、武力による革命を実現すべく結成した赤軍派は、よど号ハイジャックで大いに名前を売ったのですが、警察当局の徹底的なマークを受けることとなり、北朝鮮に渡らず日本に残ったメンバーは組織の再編の必要に迫られました。群馬県妙高山周辺の山林にテントを張って訓練と思想教育のためのキャンプを開始し三十名近いメンバーが各地の潜伏先から集合したのですが、「総括」と言う名の仲間内のリンチ事件を起こし、結局二十人近くを仲間同士で殺しあってしまう。警察にも追われキャンプ地を次々に変え、移動するが、「さつき山荘」に潜んでいたところを長野県警のパトロールと銃撃戦となり、5人がそこから約500メートル離れた河合楽器の保養所「あさま山荘」に玄関口から土足のまま入って、管理人夫人の牟田泰子(当時31歳)を人質にして3階の「いちょうの間」に篭城する、という経過だったようです。更に詳しく知りたい方は、ご自身で検索などされるようお勧めします。


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