「阿修羅のごとく」DVD脚本レビュー

「阿修羅のことく」映画プログラム★映画基礎データー★
「阿修羅のごとく」
2003年日本映画
監督:森田芳光
脚本 筒井ともみ
出演 大竹しのぶ 黒木瞳 深津絵里 深田恭子

               

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見終わってから、感想を書き上げるのにひどく時間がかかってしまった
「阿修羅のごとく」。
なんかストーリーで押してく話じゃないので、
感想を書きにくいのですよね。

「東京国際映画祭」オープニング作品です。
「家族ゲーム」「それから」等の森田芳光監督が
向田邦子原作の昭和54年のNHKの連続テレビドラマを
リメイクしてます。
父親の愛人&隠し子発覚に端を発して
大竹しのぶ、黒木瞳、深津絵里、深田恭子の四姉妹が、
大いにもめる、アンチ・ホームドラマであります。

映画としては4大女優共演を前面に押し立てた
ホームドラマの体裁となっています。
長女、綱子には大竹しのぶ。
夫に先立たれ、華道の師匠をしながら気丈にひとり暮らしをしていますが、
実は出入りの料亭の主人(坂東三津五郎)とひそかに不倫の恋をしており、
しかもその仲を料亭のおかみ(桃井かおり)に勘付かれ始めているという設定です。

次女、巻子には黒木瞳。
ふたりの子どもを持つ一見平穏な家庭の主婦ですが、
最近夫・鷹男(小林薫)の動向から浮気を疑い出し、
心が乱れる日々を送っています。

三女、滝子には、深津絵里。
子どものころから成績優秀で、いまは図書館の司書をしていますが、まったくの恋愛
べた。反対に、昔から男の子にもてた妹に嫉妬の気持ちを抱いています。

四女、咲子には深田恭子。
うちを飛び出し、連戦連敗中のボクサーの卵・陣内(RIKIYA)と同棲中ですが、
喫茶店のウエイトレスをして彼を支えるけなげな一面も持っています。

この女優陣が、時に美しく、時に恐ろしい顔をのぞかせる
「阿修羅な生き物」を個性的に演じています。
昔のテレビ版は繰返しBSで放送されているので、
あるいはご覧になった方もいる事と思います。
テレビ版は“時に恐ろしい”部分がストレートに伝わる
戦うアンチ・ホームドラマの色合いが強かったと思うのですが、
森田監督の演出は、もっとやさしく彼女らをとらえています。
時代の差なんですかね。
前作が放送された当時は、まだまだ高度成長経済の勢いの残り火のような
ものがあって、母系家族のぶっ叩き合いもウケル要素がありましたが、
いまはとてもじゃありませんが、ああ苛烈にやられたのではたまりません。

「阿修羅」とは、言い争いの象徴とされるインドの神のこと。
表面的には仁義礼智信をかかげながら、実は猜疑心が強く、
互いに事実を曲げ、他人の悪口を言い合う…。
と映画の冒頭に字幕が入り、また、
ラスト近くで、鷹男が義母ふじ(八千草薫)の墓の前で手を合わせて
姉妹を背にして、こっそり小声で
「阿修羅だなぁ、女は」とつぶやくあたり、
妙に説明調であります。

ちなみに昔のテレビ版は、同じ墓参りの場面は、
姉妹がしれっとして手を合わせる姿にびびった鷹男ら
男どもが、こっそりと顔を見合わせ
「…気をつけようぜ」とつぶやいて、
テーマソングがズドドドドッと押し被ってお終いという
オチでした。
姉妹がそろって文楽「道成寺」を見にいくエピソードがあって、
清姫のかぶらがガバッとひらいて阿修羅と化し、
テーマソングがズドドドドッ。
この時、使用されたテーマソングは
トルコの葬式の時に使われる葬送行進曲だったそうです。
大変インパクトのある民族音楽でした。
申し訳ありませんけど、
映画のシャンソンのテーマソングはぬるくて仕方なかったです。

いずれも結局、女の「性」にまつわる「愛」を描いた
作品である事は間違いありません。
今何故、向田邦子なのか?という疑問はあります。

今回の映画も当時の時代設定で話が進みます。
携帯電話が出てこなくて、四本足のカラーテレビが
居間の真ん中にあるだけで、まるで別の世界みたい。
ほのぼの感もこの時代設定によるところが多いかな?

映画の掲示板を見ると、例によって深キョンがぶったたかれてます。
「へったぴい」、通り越して「場違いだ」。
私はそんなに悪いとは思わなかったですよ。
四女は四姉妹の中でははみ出しもので、
とくに三女、滝子とは顔を合わせリャ口論してる。
でもそれはドラマのテーマになっているところで、
姉妹はそりゃあ嫉妬深くて自分だけ幸せになろうなんて許せないけど、
他人に傷つけられると、自分の一部を壊されるくらいにショックだ、
という意味ことをしゃべってます。

中村獅童がのちに滝子の夫になる興信所の調査員、静雄を演じてますが、
内向的で極端な口下手と言うキャラクターを台詞回しから作りこんでいで、
深津絵里がぶっとい黒ぶちのメガネで下向いてごにょごにょしゃべるキャラクターな
ので、
ふたりの場面はかなりうっとおしいです。
でも後半、そのへんてこなテンポがツボにはまりだして小気味よい。

鷹男の秘書・赤木啓子の木村佳乃が、
無意味に思わせぶりで可笑しい。
この人なんでおじぎするとき、
首が全然前に倒れないで横に傾げるんでしょうか?
父・恒太郎の愛人・土屋友子に紺野美沙子は
役柄どおりひどく地味です。
それと桃井かおりと大竹しのぶの一騎打ちは、
もっと見たかったです。

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