「あずみ」映画製作裏話
★映画基礎データー★「あずみ」 2003年 映画 監督 北村龍平 脚本 水島力也 桐山勲 出演 上戸彩 オダギリジョー 原田芳雄 |
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「あずみ」原作ファンです。
ビックコミックスの原作連載はもう、何年読んでるかな。
と思ったら、実は加藤清正が斬られるあたりから読み始めているのですよね。
つまり映画のつづきから。さきは長いぞっと。
連載○年、単行本で三十●巻つづいて一向に終わる気配の無い大河ドラマです。
でも最近、あまりに主人公あずみが強くなりすぎてしまって戦う敵がいなくなりつつ
あります。
「太陽を盗んだ男」の山本又一郎氏がプロデュースしてます。
へええっ、この人まだ芸能界にいたんだ。
もともと「あずみ」のアイディアは、山本又一郎が漫画家小山ゆうに「戦国時代を舞
台に、信長を敵と狙う少年が、忍者となって闘う」という話を持ち込んだところから
原作が始まっています。
ふたりはさいとうたかおプロダクションにいた仲間です。
又一郎さんは、ゆうさんのデビュー作「俺は直角」にもアイディアを出してます。
以上は「あずみ」が小学館漫画賞と文化庁メディア芸術漫画優秀賞をとったときの
記念対談で読んだ記事です。
主人公が男から女に、忍者が剣士になって「あずみ」誕生。
たしかコミックのあずみは青い目のハーフだったですよね。
八百万部を売ってじゃんじゃん賞をとりまくつた原作です。テレビ化、映画化の話は
降るほどあった。巨匠監督や有名プロデューサー等が次々名乗りをあげましたが、結
局、企画原案の山本又一郎が「あずみ製作委員会」を組織して資金を集め、製作開
始。
具体的なプランとして、北村龍平を監督にして、上戸彩主演でゴーサインが出た。
北村龍平監督というひとは、日本映画にはついぞないタイプの演出家です。
ドラマの演出が下手なんですわ。
「あずみ」もセリフをしゃべるシーンがすごくだめだめで見てらんない。
ところがアクションシーンになると、途端にスクリーンが輝きだす。
とてつもなく演出のバランスが悪いです。
で、つまらないかと言うと確信犯的でおもろかったです。
普通にドラマが見たい人は劇場に行くのは時間の無駄です。
ビデオなんかの世界にはこういう自分の映像美にしか興味の無いような演出家という
のは、
いるかもしれませんが。
北村龍平氏は国内では無名でしたが、オーストラリアのスクール・オブ・ヴィジュア
ルアーツ出身。
帰国後、仲間6人で製作したアクションホラー「ダウン・トゥ・ヘル」で第1回イン
ディーズムービーフェスティバル・グランプリを受賞。
長編第一作「VERSUS-ヴァーサス-」(01公開)が海外映画祭で評価を得て山本プロデ
ューサーの目にとまり、抜擢されました。
演出プランについて監督は
“「マッドマックス」のような奴らが、「ウオーターワールド」のような宿場町で、
「マカロニウェスタン」のように闘う“。とのたまわった。
この人ナニ言ってんだと、思っていたら、
まさしく映画「あずみ」は「マッドマツクス」で「ウォーターワールド」で「マカロ
ニウェスタン」でした。
セリフをしゃべってるシーンより、斬りあってるシーンの方が絶対長いんでないか
い!?
素人を鍛えて殺陣をやらせているので、当然、ごまかしはあります。
斬り合いになるとカメラはバストショットの寄りになるのですが、
全身を映すと下半身がついてこれないのがばれてしまうからです。
また、5人の忍者が飛びあがってあずみに斬りかかり、
着地する前にあずみが全員切り倒すのをワンショットで見せていますが、
切る前、斬殺音、斬ったあと、でカメラスピードを変えています。
デジタル編集の力技ですが、飛び散る鮮血などCGで書き込みをしているのでは
ないでしょうか。
それでいて完全に上戸彩のアイドル映画になってます。
たまに静かなシーンがあるかと思えば、彩ちゃんのどアップで、カメラ目線でガン飛
ばしてる。とにかく上戸彩をかわいく撮る事にカメラはこだわってます。
オダギリジョーがキレてます。美女丸という敵役ですが、純白の着物のおひきずりさ
んで、
薔薇の花をくわえて(マジです。)、「ひょひょひょひょっ」とか叫びながら人殺し
まくってます。敵も味方もありゃしない。興奮して手当たり次第です。
劇場公開時には劇場内でオダギリジョー・ファンらしい女の子達が爆笑してました。
あれは確かに笑える。
後半、猿飛(松本実)がらみのシーンで、犬のきゃいんきゃいんと鳴く声が挟み込ん
であるのが邪魔くさいです。
笑いを取る気だったのかもしれませんが、すべってます。
ラストの決戦、あずみの200人斬りでは、
“ファントム”という日本に一台しかない縦方向に360度回転するカメラを使って
ます。
「ザ・セル」で印象的に登場しテレビCM等で時々見かけますが、
映画のアクションシーンに使われるのははじめての筈です。
彩ちゃんとオダギリジョーが空中戦を見せてくれます。2、3周ぐるぐる回転しま
す。
目が回ります。
あずみが原作のトレードマークのマントを羽織るのは、ここです。
美女丸と睨み合って、あずみの太刀がガシッと双頭剣に変形するのも、この途中で
す。
清正の手勢が弓矢を高いところから一斉に討ちかけてきますが、
飛んでくる矢を割り箸みたいに縦に真っ二つにしたりしています。
CGを実写とデジタル合成してますが、爆笑もののこの場面も、
網膜に残るギリギリのスピードで演出されているので迫力ある場面となっています。
時は戦国。戦乱の中で親を失い、孤児となった幼子「あずみ」(上戸彩)は、爺(原
田芳雄)に拾われ、仲間と共に過酷な修練を積んで育てられます。
爺(実の名を小幡月斎)は、徳川家康の側近・南光坊天海(佐藤慶)から「罪無き
人々の幸せを奪う惨い戦(むごいいくさ)を終結させるため」、豊臣側の遺臣の抹殺
密命を受けています。
人里はなれた山の中で修練ばかりやっている子供たちは、まったく世間を知らず、爺
に見捨てられてしまうと自立できないような育てられ方をしています。
卒業試験で仲間同士の殺し合いを強要されて、わけもわからず受け入れてしまうあた
りは哀れで残酷なんだけど、ドラマ的な演出が弱いので狙いほど盛り上がってないで
す。
セリフが現代劇そのままなのは、
実は原作通りなのですが、活字で2次元の劇画の世界に描かれたものと、
生身の役者が実写で演ずるものをいっしょこたにしては、とんでもないです。
いくらか見られるのは、旅芸人一座との出会いと別れのくだりで、やえ(岡本綾)に
「田舎で一緒に暮らそう」と誘われて、どうしようかな、となるあたり。
原作でもこれは見せ場なので、ここでどじったら取り返しが付かないのですが、
さすがに踏ん張ってます。
この娘たちは、漂白の民で、地に足のついた生活と言うものが無い。
上戸彩や岡本綾ら美少女達がムシロにくるまって路肩でゴロ寝させちゃうあたりの演
出の潔さは好ましいですが、
もうちょびっと上手く押せば、とても良い時代劇になったはずですが、
「新しさ」にこだわりすぎて損をしてるようにも見えます。
じゃあ監督が自分の世界にこだわるばかりに原作をないがしろにしやしないかと
心配ですが、必ずしも全部そうということはなくて、巧い事、
葛藤できているところもあります。
ネタばれ改行です。
爺が最後に、自由に生きろ、という意味の事を言い残すところ。にも関わらず、加藤
清正を討ちに行きますが、原作では爺は使命を全うしろと言って死んでます。
「これではマインドコントロールされたままなので、意識的に変更した」そうです。
それと最後の最後に仲間の一人を生き残らせるところ。
ただあずみ一人生き残ったのでは、希望が無さ過ぎる、というライターの判断だった
そうです。
これはもっともです。
筋を原作どおりに追いかけても、かえって映画的に
原作の世界観や人物を正しく描写したことにならなくなってしまうことがあります。
そもそも爺が死ぬのは原作ではもっとあとですけど、
映画のラストでは、あずみが一人立ちした所で終わるのが正解です。
決戦では櫓を倒す事くらいしか事前に決めてなかったそうです。
監督は好き勝手をやっているようで、周りのスタッフときちんと検討を重ねて
ひとつひとつ押さえるところはプロです。
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