「BALLAD-名もなき恋のうた」

『BALLAD-名もなき恋のうた』映画チラシ■作品基礎データ
『BALLAD-名もなき恋のうた』
2009年 日本映画
監督・脚本・VFX:山崎 貴
原案:映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』
(原作:臼井儀人/監督・脚本/原 恵一)
出演:草なぎ剛 新垣結衣

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時は戦国時代……。
春日という小国に、井尻又兵衛という、“鬼の井尻”と恐れられる無敵を誇る侍がいた。
ある戦の日、一瞬の隙から命を奪われそうになった又兵衛を、
未来からタイムスリップしてきたという不思議な少年、川上真一が救う。
城主・康綱の命令で真一の面倒を見ることになった又兵衛と真一との間には、
次第に奇妙な絆が生まれるようになる。

一方、真一やその家族の登場で、
一度受け入れられた康綱の娘・廉姫との縁談を断られた北関東の大名・大倉井高虎は、
破談に激怒し春日の国に大軍を送り込んでくる。
互いに身分違いの恋心を抱く又兵衛と廉姫、さらに真一たちの運命は……!

「クレヨンしんちゃん」シリーズ10作目の映画
『クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』(2002年)は、
戦国時代にタイムスリップしてしまったしんちゃんが
そこで出会った武将と姫の悲恋の物語に巻き込まれるというもので、
文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞など数々の映画賞に輝いた感動作です。
そんな映画クレヨンしんちゃんが実写として奇跡の映画化を果たします。
監督はあの『ALWAYS 三丁目の夕日』『ALWAYS 続・三丁目の夕日』で
日本全国を温かい涙で包んだ山崎貴。
今回「名作はリメイクしない」というモットーをかなぐり捨てての映画化に挑んでいます。
武将「井尻又兵衛(いじり またべえ)」を演じるのは、
国民的グループSMAPで活躍しながら『黄泉がえり』『日本沈没』など
いずれの出演作でも常に大きな感動を提供し続けてきている草なぎ剛。
「廉姫(れんひめ)」を演じるのは、新垣結衣です。

「BALLAD 名もなき恋のうた」公開2日目に見ています。
もとの「クレヨンしんちゃん」のアニメ版は、
ビデオで「大人帝国の逆襲」に続けてみて、
なるほど面白い、と思った作品です。

これを実写に、それも「三丁目の夕日」のあの監督が、
というのはかなり意外でした。
「クレヨンしんちゃん」の監督と監督同士の対談を映画雑誌で見て、
「ジュブナイル」とか「三丁目の夕日」以前の作品で、
タイムスリップものに対する思い入れなどを知り、
“自分の知る限りあれ以上のタイムスリップものはない”
と言い切るほどの惚れ込みようで実写化に望んだ事を知りました。

言葉遣いが、子供にも分かるような優しい言葉になっている。
大河ドラマなんかより遙に現代ドラマに近い言い回しが使われていて、
これは間違いなくファミリームービーです。

主人公は幼稚園児のしんちゃんよりずっと年上で、
いじめなんかが背後に見え隠れしている。
ファンムービーになり過ぎないようにと、
意識的にアニメから離れている部分もある。

そこが見せ場なのだけど、
よく出来ているのが合戦のシーンです。
原作では春日部にも戦国時代にお城があって、
そこで戦うのだけど、
映画では架空の小国大名同士の戦いです。

天守閣のある城が作られるのは安土城が最初ですから、
それ以前の城に天守があっては変ですが、
ここでは小さいながら天守がありますね。

逆に郭の部分は山の斜面と境が曖昧になっていて、
全体が山の砦風に造形されている。

何度そんな細かい事を書くのかというと、
空掘りを挟んでの緒戦がかなり上手く描かれているんですね。

「レッドクリフ」なんかだと何十万規模の兵員を動員した戦闘だから、
かって個々人の戦いというのが見えにくくなっているのだけど、
僅か数メートル距離で敵味方が矢玉を撃ち合う凄さ加減というのが
上手く表現されていて感心します。

「お祭りみたいだ」って主人公が言ってますが
まさしく人の命を懸けた血の祭りであることが
表現できて初めて実写にする価値があるわけです。

誰も死なないハッピーエンドで終わると思ったら、
急転直下の幕切れには結構衝撃を受けました。
でもあれがあるからこそ、
最後にちゃんとSFになっているのだし、
現代に戻った主人公がペダルを踏んで走り出す
シーンに心が篭るのだから、映画はあれでいいんだろうと思いますね。

関係者インタビュー まず吹越満から

Q:重装備での戦闘シーンは大変だったのでは?

撮影現場は寒い山の中だったんですけど、みんなで火を囲んで和やかな雰囲気でしたよ。
ただ、いざ撮影が始まると、戦国時代なんでね、
僕らは甲冑(かっちゅう)を着ているんで動くのも大変な状態で。
クライマックスのちょっと前に、
僕ら春日軍がランクル(ランドクルーザー)を追いかけるシーンがあるんですが、
助監督から「時速20キロくらいでお願いします」って言われて。
冷静に考えるとマラソン選手並みのスピードなんで、
みんなで「ふざけるな」って話になりました(笑)。

Q:草なぎ剛さん演じる又兵衛とご自身の役柄とは、どんな関係なのですか?

年齢的にはもちろん僕(仁右衛門)の方が上で、又兵衛にとっては育ての親であり、
近所のお兄ちゃん的な存在ですね。
でも戦(いくさ)が始まると、又兵衛の家来になるわけで、
まぁ微妙といえば微妙ですけど、そういう戦国時代ならではの人間関係というのは、
俳優としては非常にやりがいがあったし、演技を楽しませてもらいました。

Q:山崎貴監督とのお仕事はいかがでしたか?

すごく冷静だし、演出にブレがない監督さんという印象でした。
実写を撮影しつつ、その後でCGを施すわけで、
監督の頭の中で2つのことが同時進行しているんだと。
時代考証のこだわりも、すさまじかったですし。
監督とは、普段は行かない下北沢の居酒屋で偶然出会ったんですよ。
今回のお話をいただいたのも、それがきっかけだったみたいで、
たまには行きつけじゃない店で飲んでみるもんですよね(笑)。

Q:ズバリ一番の見どころは?

自分のシーンじゃないんですけど(笑)、
クライマックスの草なぎくんと大沢(たかお)さんが
やりで大立ち回りを繰り広げるところですね。
これも監督のこだわりで、細かくカットを割るんじゃなくて、
長回しで大きく撮っているんですよ。
カット割りする方が、演じる側も撮る側も楽なんですけど。
僕も現場にいましたが、ぜひじっくり観てほしいシーンです。

夏川結衣のインタビュー

Q:真一(武井証)の母親を演じられていかがでしたか?

最初、タイムスリップしてしまった息子を助けに行こうと言いだすのが
父親じゃなくて母親だという点について、
山崎貴監督とお話をして
「お腹を痛めて子どもを産んだお母さんだからこそ、カンが働くんです」
と説明されて、なるほどって。
そういう直感的な部分って、やっぱり女性の方が優れていますからね。
ですから、母親役というよりは、現代を生きる女性像を演じられたらという意識でしたね。
それと武井くんが本当にしっかりしていて、驚かされました。
子役扱いせず、同じ俳優として共演しなければという気持ちにさせられましたね。

Q:今回は現代と戦国時代、2つの時代を行き来する役どころでした。

ある日突然、スタッフの方から「タイムスリップしたので、今日からは戦国時代です」
って言われても、一瞬「おや?」って(笑)、
気持ちの切り替えに戸惑いましたが、
やはり現場の美術セットを目の当たりにすると「戦国時代に来たんだなー」
という感覚になりましたね。

Q:非常に寒い撮影現場だったとうかがいましたが……。

衣装の下にカイロを仕込んだのですが、
わたしたち家族(夏川、筒井道隆、武井)は薄着だったので、
貼れる場所が限られてしまうんですよ。
それに戦国時代のセットは基本的に板張りなので、
足が痛いのか寒いのかわからない状態になってしまって(笑)。
でも朝早くから、スタッフの方たちがセットに積もった雪を溶かしている姿を見て、
皆さんの映画への愛情を感じると、寒いなんて言っていられないと思いました。

Q:夏川さんの目から、戦国時代を生きる人々の姿はどのように映しましたか?

現代に比べるといろいろ不便なこともあるし、気持ちを素直に表現できなかったり、
生きにくかったりしただろうと思う反面、
愛情や思いやりといった物事のすごく基本的なことが
大事にされた時代ではないでしょうか。
今は情報もコミュニケーションの手段もたくさんあるのに、
肝心な部分が薄いように感じます。
ぜひこの映画を通して、
わたしたちが失いつつあるものを再確認してもらえるとうれしいですね。

武井証(子役)インタビュー

Q:この映画は『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』が
ベースになっていますね。観たことはありますか?

はい、観ました! 奇想天外な感じでとても面白かったです。

Q:今回、出演した感想は?

すっごく面白かったです!

Q:特に気に入っているシーンを教えてください。

又兵衛さん(草なぎ剛)たちが戦っているところを、
僕らが車で助けに行くシーンがカッコイイって思いました。もし自分だったらですか?
 ……自分だったら、ちょっと怖いので、助けに行かないかもしれないです(笑)。

Q:撮影で苦労したことを教えてください。

寒さで口が回らなかったんです。セリフを言うのは大変でしたね。
でも、又兵衛さんたちとカレーを食べたり、カメラで写真を撮ってあげたりするシーンは、
とても楽しかったです。

Q:草なぎさん、そして山崎貴監督はどんな人でしたか?

草なぎさんはいつも僕に話し掛けてきてくれて、とても優しい人でした。
草なぎさんが好きな映画のDVDを、僕に貸してくれたこともありました。
それと今も覚えているのは
「カラスミって何だか知ってる? カラスミは、ボラの卵なんだよって。」って
教えてくれたことです。
山崎監督はすごく面白い人で、
雨が降って撮影が一回中止になったときがあったんですけど、一緒にお絵かきしました。
ゴジラの絵を描いてくれて、とても上手なのですごいと思いました。

Q:戦国時代の生活をどう思いましたか?
それとタイムトラベルできるならどの時代に行ってみたい?

洗濯機とか冷蔵庫とかないので、今に比べると不便だし大変だと思いました。
もしタイムトラベルできるなら江戸時代に行きたいです。
きっと今とは違う風景だと思うので、見てみたいと思います。
それとゲームを持って行って、みんなで遊びたいです。でも、みんな、びっくりしてしまうかもしれないですね。

山崎監督インタビュー

やまざき・たかし
'64年長野県生まれ。'00年、『ジュブナイル Juvenile』で監督デビュー。
かつてなかった映像表現を創り出し、日本に「VFX」(Visual effexts)という言葉を
浸透させた第一人者。


Q:一口で時代劇と言ってもさまざまなアプローチがありますよね。

今回はタイムトラベルしたような、
まるで実際の戦国時代に行って撮影したような映画にしたかったんですね。
時代劇という従来のイメージからは離れて「本当はこうだった」
という部分をきっちり描こうじゃないか、というのがスタート地点でした。
戦いに使う武器にしても、当時は刀ではなくやりが主流だった。
草なぎ剛さんも大沢たかおさんもやりでの決闘シーンは経験がないので、
大変だったと思いますよ。ワンシーンワンカットも多かったので、
徹底的に本人たちが演じなければいけない。二人とも見事に応えてくれました。

Q:映像面で特にこだわった点を教えてください。

引きの映像で大合戦を描くと同時に、
個人個人の死闘もしっかり描きたかった……と言うはやすしで(笑)。
実際には激しいカメラワークで実写撮影しつつ、VFXで背景を描き加えたり、
エキストラの数を増やしたりと、かなり挑戦的なプロセスでしたね。
僕自身、デジタル(技術)を武器にスタッフを率いて、
映画作りという名の戦(いくさ)に挑む気分だった。製作現場は戦場そのものですからね。

Q:VFXだけでなく、美術セットも見事です。

(草なぎ演じる)又兵衛さんの家の柱は、ちょうな(大工道具)で削っているんです。
当時はかんながない時代なので。もちろんそういう細かい部分は、
わかる人にしかわからないかもしれない。
でも、そういう姿勢が映画全体に貫かれたとき、観客に伝わるものも、
より大きなものになるんじゃないかと思いながら、この映画を作っていきました。

Q:その結果、現場の皆さんの思いが伝わる作品に仕上がりました。

以前『ラスト サムライ』の撮影をニュージーランドで見学したとき、
ちょっと悔しい思いをしまして。
今回、スタッフもキャストも「何か一歩先を目指したい」という
前向きな姿勢で撮影に臨んだんです。
エキストラの方をボランティアで募集するとき
「誇りに思える映画を作りますので」と呼びかけたのもそんな思いがあったから。
非常に大きなチャレンジをやり遂げたという僕らの感動を、
皆さんにも劇場で共有してもらえるとうれしいですね。

「オリジナルが力強い話なんで、その骨はやはりかたちが違ってもブレないし、
伝わるはず。そう思って作りました。
『…三丁目の夕日』のときもそうだったんですけど、原作ものの場合、
根底に流れている骨がどれだけしっかりしているかということが大事だと思うんですよ」

原作アニメに敬意を表する監督は、
何よりも「戦国時代をきちんと描いている」ことを大事にしようと考えた。
槍による戦いなど、一見地味に思えるリアリティを重視し、再現した。
刀による合戦であれば、殺陣も一般的だし、観る側もそれなりに慣れている。
そこにあえて安住せずに、既視感のないアクションを展開しているからこそ、
武将と姫の身分違いの恋というドラマも際立っている。
「お客さんを合戦の中に放り込みたかったんです。
だから、できるだけ長い長回しで、お客さん自身にも逃げ場がないようにしたかった。
そこで、その出来事を目撃するしかないという状態に追い込みたいと思っていて」

合戦場面が、単なるモブ(群集)シーンだと考えている観客は驚くだろう。
同一画面の中で、多種多様な人間たちが出たり入ったりすることで、
特別なダイナミズムを生んでいく。
その緊迫感。「追い込む」ことは、俳優に対する演出にも通底する監督のテーマだ。

「僕ができることは追い込んだ上で、役者を信じることだけ。
だから、それに応えてくれたことが本当にうれしい。
言葉にできない“ある感情”が、ここには映っていると思います」

『ALWAYS 続・三丁目の夕日』以降、山崎監督の作品は、
以前よりも「芝居を目撃する醍醐味」にあふれるようになった。
その結果、本作も草なぎ剛や新垣結衣らの新たな側面を映し出す鏡たりえている。
「失礼な言い方かもしれないけど、監督の仕事って役者を追い込むことなんですよ。
どこかの場所に突き進んでもらったときに、
何か内側から漏れ出てくるさらなる光のようなものがあって。
そのために追い込むワザを駆使しているようなところがありますね。
最大限以上の何かが出てきたときは演出していて最高に楽しい瞬間だし、
今回は特にワンシーン・ワンカットが多い。
それは別に(映像上の)技法にこだわってるわけじゃなくて、
役者さんにとって、ものすごい緊張感があるからなんです。
緊張感があると、どんどんその役になっていくから」

新垣結衣インタビュー

Q:映画版『クレヨンしんちゃん』の実写化作品に出演というお話を、
最初に聞いたときはどう感じましたか?

しんちゃんを、どんな風に映像化するのか想像できなかったので、
始めはすごく気になりました。
でも、台本を読ませていただいて、純粋にステキな物語だと思ったので、
この映画に参加できることが本当にうれしかったです。

Q:アニメ版の廉姫と新垣さんは、お顔が似ていると思いました。

山崎監督と最初の顔合わせをしたときにも、
「とにかく新垣さんは、しんちゃんの廉姫と顔がよく似ているんだよ!」
って言われました(笑)。
お会いする前は、監督に近寄りがたいイメージを持っていたんですけど、
実際はとても気さくで楽しい方だと思いました。

Q:新垣さんから見て、廉姫はどんな女性ですか?

何があってもぶれない。でも、完全に周りをシャットアウトするのではなく、
自分自身のことも冷静に見られる女性です。
廉姫は恋愛に関しても、あの時代の女性にしては積極的に行動しようとするんですよね。
自分の考えを全うする強さと他人を思いやる優しさがあって、
わたしもそうでありたいと思いました。

Q:着物姿がよくお似合いでしたけど、姫として振る舞うのに苦労したのでは?

なるべく女性らしく、たおやかな動きをするように指導してもらいながら
演技をしたので、とても大変でした。
姫としての立ち振る舞いが現代とは全然違うので、普段は使わない筋肉を使うんです。
走るときも、下に着ている着物が見えてはいけないとか、
ひじから上が見えるとはしたないとか、いろんな決まりごとがあるんですよね。
それが当たり前だった女性ならではの走り方なので、
腕を思い切り上げたり足を大きく広げたりするわけにはいかなくて、
走るときの動きだけでもかなり練習をしました。

Q:又兵衛を演じた草なぎ剛さんとは初共演ですが、どんな印象を受けましたか?

テレビで拝見しているのと同じように穏やかな印象でした。
撮影中はあまりお話しをする機会はなかったのですが、
どんなときも自然体なところがすてきだと思いました。

Q:本作は極寒の中で撮影されたそうですね。かなり過酷なロケだったとか……?

現場が山奥だったので、本当に寒くてつらかったです。
どこにいても寒いので、安心できないんですよ。
ちゃんと火をたいて暖を取る場所はあるんですけど、
唇が青くなるくらい気温が低かったので、寒過ぎて手の先が一瞬しか温まらなくて。
でも、廉姫は着物を何枚も着ていたのでまだましなんですけど、
男の人たちはみんなわらじですし、家臣たちははだし。
申し訳ないと思いながらも、やっぱり寒かったです(笑)。

Q:戦に向かう又兵衛たちのために、城の外でおにぎりを握るシーンが印象的でした。

おにぎりを握るのは久しぶりだったんですけど、
寒さのせいで握った瞬間にガチガチになってしまってビックリしました。
おにぎりを握るために使う水は、スタッフの方がお湯にしてくださったんですけど、
そのお湯もおわんに入れた途端に水になってしまって、本当に大変でした。

Q:山崎監督は、女子の心拍数も上がるような合戦シーンを目指したそうですが、
新垣さんも心拍数が上がってしまいましたか?

上がりましたね(笑)。実は、ハラハラドキドキするのが苦手で。
でも、この映画はすごく観やすいし、味方が敵を倒すと「よし!」と叫びたくなる。
本当に女性でも楽しめる合戦シーンでした。

最後は草なぎ剛インタビュー

Q:今回の『BALLAD 名もなき恋のうた』の脚本を初めて読まれたときの感想は?

泣けましたね。本当にうるっときてしまったので、心からいいストーリーだと思いました。
予備知識がないまま脚本を手にしたということもあって、
感動したと同時に僕が演じた井尻又兵衛の運命にも驚きましたし。
普通のハッピーエンドじゃないのかって(笑)。
ただ、よく考えてみると、『BALLAD名もなき恋のうた』はビターなハッピーエンドだと。
これは山崎貴監督が使われている言葉ですが(笑)、いい言葉ですよね! 
ちょっと苦いけど、ハッピーエンド! 
この言葉を使って、最終的に自分が考えたことにしようと思います(笑)。

Q:完成した作品を観た感想は?

純粋に感動しました。完成した映画を観てまず思ったのは、
山崎監督が撮影中に言われていたことの意味が、
映像で理解することができたということでしたね。
例えば、合戦シーンの場合などは、
現場はそれこそ戦場みたいな大騒ぎで人の声など聞こえないときがありました。
そんな大変な状態だったので、
ある程度自分で判断して動かなくてはならなかったわけです。
撮影中は理解できなかったことでも、完成した映画を観たら意味がよくわかったので、
山崎監督を信頼してついて行って良かったぜ! っていう感じでした(笑)。

Q:一般に監督との信頼関係が重要と言いますが、お二人の関係も見事です!

重要ですね。ただ、僕にできたことは、又兵衛を演じることだけでした。
又兵衛がどういう人間なのか? 
どうすれば僕が又兵衛になれるのかを考えることが仕事で、
後はスタッフや共演者の方々が又兵衛という人物を作ってくれる。
監督とだけじゃなくて、そういう信頼関係もあるかな。
みんなが又兵衛に対してイメージを持っているわけですよ。
キャッチボールを繰り返しながら、又兵衛についてあれこれ考えていると、
だんだんと又兵衛が出来上がっていくという感じですね。
役を全員で作り上げていく。そこに信頼関係があります。
Q:命懸けで大切なモノを守ろうとする又兵衛を演じられて、いかがでしたか?

国を引っ張っていかないといけない又兵衛は大きな男でカッコイイけど、
大変なことも多いはずですよね。
そういう立場の男には、いろいろな覚悟がいると思いました。
信頼されないといけないし、強い男じゃないといけないし、
みんながついてきてくれる男を演じなくてはいけなかった。
でも、心から接することで、人ってついてきてくれると思いました。
又兵衛は堂々とした風格で、
柳の大木のように地にしっかりと足をつけて生きていますよね。

Q:又兵衛は、時代や場所を超えて共感を集めそうな男らしさが魅力的ですよね。

そうですね。とても男らしいと思います。
演じる際にはいつも役と自分を比べながら、イメージを膨らませていますが、
僕は又兵衛を大きな木のような男のイメージで演じていました。
時代劇を映画でやるということが初めてでしたし、
又兵衛という男がとても魅力的だったので、
僕の中の男らしさについて考えてしまいましたね。
人を大切に思う気持ちが、本当に僕の中にあるのかって(笑)。

Q:自分の本音を抑えてしまう又兵衛の廉姫への愛をどう思いましたか?

すごいものがあると思いました。
幼馴染みだから小さいころから一緒だったと思うし、身分の違いや国のこともあるので、
なかなかストレートに気持ちを言えなかったとは思うけど、
廉姫は又兵衛にとって一番大切な人だったと思います。
僕にはまだわからない気持ちだって。
都合良く自分のことを考えてしまいますし、又兵衛はそういう考え方をしないですよね。
自分にはまだ無理だと思いました(笑)。
又兵衛ほど人を好きになったこともないですし、
大切にいちずに思っている人を守る又兵衛の姿は、
映画を観る人の心を必ず打つと思います。

Q:その廉姫を演じていた、新垣さんとの共演についてはいかがでしたか?

とてもしっかりされている女性でした。人とちょっと違う魅力があって、すごいですよ、
ガッキーって(笑)。
きれいでかわいいし、本当に姫のようでした。
たまに、ふとしたときに見せる、等身大の女の子のギャップが最高にいいと思いました(笑)。
純粋さにあふれているし、見た目だけではなく、
内側から出てくるようなさわやかな春の風のような……そんなガッキーの魅力に、
僕らはコロッといっちゃうのかも(笑)。
何かから守ってあげたいと思うし、凛(りん)としている感じもカッコイイし、
本当に強い女性だとも思いました。

Q:ところで、本作は、主人公の真一君が戦国時代にタイムスリップして来ますが、
  
本当にタイムスリップがあるとすると、草なぎさんは、
どんな時代・場所にタイムスリップしてみたいですか?

「日本昔ばなし」の龍の子太郎のエピソードを映画館で小学生のころに観まして、
初めての映画だったと思いますが、
その映画を観ている子どもの自分を陰からこっそり見てみたいです(笑)。
どんな顔をして映画を観ているのか知りたいですね。
映画を観て初めて泣いた記憶があります。
小さいから泣いている理由がわかっていないと思うけど、感動している自分を見たい。
実は、僕はこのときの感覚を大切にしていて、その感動が本当の涙だと思っています。
なので、この体験をイメージするときがあって、
このときと同じ感動を伝えたいと思いながら、仕事をしていることがありますね。
それこそ、今回の『BALLAD 名もなき恋のうた』も同じで、
又兵衛を演じながら、この映画を観ている人たちが、
僕と同じような感動を受け取ってくれたらいいと思っています。

Q:最近は硬派なキャラクターを演じられることが多いですよね。

ええ。おいしいって思います(笑)。
僕はやわらかいイメージが強くて、それはそれでうれしいのですが、
硬派な役を演じると違うイメージを見せられるので、
俳優としてはチャンスだと思っています。
ビッグチャンス到来! って感じです(笑)。
僕の中に硬派な要素があるのなら、思う存分、硬派な一面を出せるわけですし、
また、出そうという気持ちに火を付けて演じようと思いました。
とてもいいことだと僕は受け止めています。

Q:さまざまなジャンルでご活躍されていますが、
仕事に対してやりがいを感じるときとは?

又兵衛を演じていて……いや、もっと前、ここ2、3年ですね。
自分は何のために働いているのかについて考えることがありました。
20代のころはがむしゃらだったし、とにかく仕事自体が新鮮だったので、
こんなに仕事って楽しいものなのかって思っていました。
それが、だんだんと慣れてくるわけです。
行き詰まって壁にぶつかるときだって出てくる。
でも、僕の場合は仕事が救ってくれることが多いです。
心から楽しいし、今回で言うと又兵衛が、僕にいろいろと考えさせてくれました。
それと同時に、たまに自分の幸せって何だろう? って考えますが、
僕は仕事があるから幸せだと思いました。
大変なこともつらいことも仕事ありきの話なので、
まったく何もしていないことほど大変なことはないと思いましたね。
僕は先日1か月ほど謹慎していたので、特に最近は仕事について…

以下はネタバレとなるのでmixi独身映画ファンコミュニティ
http://mixi.jp/view_community.pl?id=1299114
にて『BALLAD-名もなき恋のうた』の頁をご覧下さい。



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