「ブロークン・フラワーズ」
★映画基礎データー★「ブロークン・フラワーズ」 2005年 アメリカ映画 監督脚本 ジム・ジャームッシュ 主演 ビル・マーレイ |
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ドン・ジョンソン(ビル・マーレイ)は五十代の中年男。
贅沢で粋で美しい家に住んでいるが、独身である。
ドンは昔から女性と何人も付き合っては別れるということを繰り返してきた。
(ドン・ジョンソンはドンファン< Don Juan 女たらし>をもじっての役名。)
一緒に暮らしていた‘最後の恋人’シェリー(ジュリー・デルピー)
が出て行ってしまう。
ドンはコンピュータ関係の事業で大儲けし悠々自適の独身貴族だが、
孤独とは隣りあわせでよく隣家に出入りしている。
シェリーが出て行く時、ポストに匿名の手紙が届いていた。
消印の部分も薄くなって何処から出されたものか判別できない。
二十年ほど前に付き合っていたという女性から差し出されたもので、
その女はドンの子を産んで、その男の子は19歳になっており、
近々父親である貴方のもとを訪れるかもしれないという内容である。
唯一の友人で隣に住む家族持ちのウィンストン(ジェフリー・ライト)に
その手紙を見せる。
私立探偵になる願望あるウィンストンは手紙に大変な興味を示す。
女性達の居所を追跡調査して探し出し、
ドンに昔の女性たちを探して再会して、誰がその息子の母親なのか見つけてくる
んだ、ハッパをかける。
日程を組み、飛行機の切符や宿、レンタカーの手配まで済まされてしまって、
ドンは仕方なしに昔の4人の女を訪ね歩くこととなるのだが。
「コーヒー&シガレッツ」のジム・ジャームッシュ監督、
6年ぶりの長編作です。カンヌ映画祭のグランプリを受賞しています。
「ロスト・イン・トランスレーション」のビル・マーレイが
そこはかとない笑いと憂いで見せています。
ジム・ジャームッシュ監督は、劇場に訪れた観客が、
映画が終わった途端、「さあ、ピザでも食べに行こうぜ」と
すぐ忘れ去られてしまうような作品は撮りたくないと語っていますが、
これはなかなか辛口の作品ですね。
先ずドンが訪れたのは、
美貌の未亡人ローラ・ダニエルズ・ミラー(シャロン・ストーン)。
カー・レイサーだった夫はサーキットで炎上して死亡したばかりだ。
ローラはドンの訪問を喜ぶ。
ローラにはティーンエージャーの娘ロリータ(アレクシス・ジーナ)がいて、、
ドンの前で裸体になって挑発したりする。
また、母親ローラも魅惑的かつ男好きなタイプで、
ドンをディナーに誘ってベッドインまで進む。
だが、子供は娘だけのようだった。
次の訪問先ドーラ・アンダーソン(フランセス・コンロイ)へ。
ドーラはロン(クリストファー・マクドナルド)と結婚していて、
二人で不動産屋をしている。
夫ロンは、ドン・ジョンソンの突然の訪問に驚く。
ドーラもドンをディナーに招待してくれた。
でも、それは小奇麗だが無味乾燥なディナーだった。
ドンが、お子さんは?と尋ねると、ドーラの反対で子供は作らなかったという。
三人目はカルメン・マルコフスキー博士(ジェシカ・ラング)という女性で、
動物のペットで問題を抱えている人を診るクリニックをしている<アニマル・コミュニケーター>を開業している。
カルメンは高学歴で、集中力があり、
過去を振り返ったり、ドンに自分の人生を開いて見せようとしたりしない。
それに、カルメンの助手(クロエ・セヴィニー)はドンのことを知らないのに、
毛嫌いする。同性愛者か?
四人目の訪問先は、遠隔地の農家に住んでいるペニー(ティルダ・スウィントン)だ。
『ナルニア国物語』「コンスタンティン」等と違って「ブロークン・フラワーズ』では
黒い長髪で誰だか分からないくらい。
ペニーは貧しい暮らしをしていて、昔の恋人ドンの突然の来訪に立腹する。
彼女は刺青の男たちと同居しているようだ。
そして5人目の女は既に死んでおり、雨の中、ドンは静かに墓参りをし、
昔の思い出に浸るのだった。
4人の女優さんたちは、それぞれこれまでの演じてきた役柄から意図的に
隔たった人物を演じているように感じられます。
ドンは飛行機とレンタカーで移動しますが、地図などは出てきませんので、
どんな移動経路をたどったのかアメリカ人でもない私たちにはよく判らないです。
でも女性たちの登場順には工夫が凝らされていて、
並び順が違っていたら、ドラマの印象もまるで変わったことでしょうね。
「コーヒー&シガレッツ」のエピソードの並びとどっちが優れているかは、
にわかには論じがたいですが。
ピンクの封筒、ピンクの花束、ピンクの××と、ピンクのワンポイントが
そこかしこに次々登場し、
どちらかというと殺風景さが目立つ風景に映えます。
生きる活力の象徴、というほどでなくとも
生き生きとしたメッセージを放っていように感じられます。
本当の正体は不明ですが、あんまり否定的なものとは感じられませんでした。
ビル・マーレイの持ち味でしょうが、ドンが億劫そうに旅をはじめ、
むしろ傷つくような目にあっても、淡々と次に進むとこが不思議で、
あんまり子供のことなど、気にかけている風でもなくなっていく。
ねたバレ改行です。
昔の恋人達はみんな人間的に成長して、
(マイナスの成長も含めて)
予測できない道を進んでそれぞれの人生を歩んできたのに、
自分はよどんでいて、真の愛の機会を逃してきたのだとドンは
感じてしまったようです。
ラストの息子らしい若者との出会いはかなり痛いです。
お涙頂戴が嫌でも、あそこまで厳しくなくってもな、と思いましたが。
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