「友へ チング」映画製作裏話
★映画基礎データー★2001年 韓国映画 監督脚本 クァク・キョンテク 出演 ユ・オソン チャン・ドンゴン |
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「友へ チング」の
ビデオでは標準語バージョンと関西弁バージョンが出るそうです。
どうせなら広島弁バージョンを出せばイイのに
一九七〇年代からおよそ二十年あまり、
港町釜山(プサン)を背景に、四人の男たちの成長過程を通じて物語が展開します。
子供の頃の夏の海水浴から、
「ビーバックハイスクール」していた高校時代。
そして
彼らのうち、
秀才の相沢(サンテク)とお調子者の重豪(チュンホ)の二人は普通の社会人となりますが、
めっぽう腕っぷしの強かった俊錫(チュンソク ユ・オソン)と東秀(トンス チャン・ドンゴン)の二人は
やがて暴力団の世界に身を置き、所属する組の抗争から、
遂には殺しあう悲劇へと映画は走りきります。
この映画「友へ チング」、韓国では公開時、べらぼうなヒットを記録し社会現象となったとか。
でも企画の段階では、
地味なストーリーに映画会社から殆ど相手にされなかったようです。
これが長編三作目となるクァク・キョンテク監督は。プサンで育った自らの実体験をもとに、
二年間の執筆期間を経て半自叙伝的な脚本を書き上げたのですが、
これが良く書けたホンで、関係者の評判を呼び、
映画化が実現したそうです。
映画というとキャストや原作のネームバリューで
企画実現されることが多いので、
脚本の良さが映画化への道を開いたという話は邦画界から見ると
かなりうらやましい話ではないでしょうか。
子供4人の成長ドラマだ、としか知らないで見たので実はヤクザ映画と分かって、
かなりひいたのですが、それでも作品の持つ力強さに見入りました。
チュンソクの恋人でのちに結婚するジンスク役のキム・ボギョンがえらい美人です。
韓国映画の女優さんたちはいずれも唖然とするイイ女ぞろいです。
学生バンドのボーカリストとしてはじめに画面に登場しますが、
なんかこう、片目がつねに髪に隠れているようなヘアスタイルで、
暗めの美人。
顔を伏せるようにして醒めたセリフはいたりしてカッコイイです。
「シュリ」の女スパイが恋する女の子だったり、
「JSA」のヒロインが正統派の正義の味方だったりするのと比べて
斜に構えたキャラクターというのははじめて見ました。
男の子の友情がテーマなので、ここでも女性は脇役です。
「リベラ・メ」の女消防捜査官など面白い役どころを振られていながら、
韓国映画はあくまで男優で見せる映画なのですよね。
もったいないなぁと思うのですが、これもお国柄でしょうか。
「猟奇的な彼女」のヒット以降、若い女性がドラマをリードする作品が急速に増えています。
もともと女優中心展開していた日本映画とは違います。
チュンソク役のユ・オソンはもともと売れっ子で、
ちょうど大作「武士(ムサ)」の出演依頼があったそうですが、それをけって出演。
一挙にブレイクしたそうです。
カラオケボックスで仁王立ちになってマイウェイを歌う下りは、
散々パロディにされたようですが、おっかしくて、どこか物悲しくって、良いシーンです。
トンス役のチャン・ドンゴンは甘いマスクのアイドル系ですが、
本作では正反対の破滅型の青年を演じ、芸幅を広げています。
来日し舞台挨拶をしています。
幼年期の町の情景が戦後の日本の地方都市の情景に似ていて郷愁を誘うという意見が
多くの書評で見られています。
私に面白かったのは高校時代のエピソードで、
日本に輪を掛けたような、高度経済成長時代に受験戦争で、
生徒をタコ殴りにしちゃうような暴力教師が出て来たり、
映画館で主人公達4人と工業高校の生徒たち三百人くらい(?)が大乱闘になるあたり。
先生は生徒に靴と靴下を脱がせて机の上に正座させ、足の裏を棒でビシビシ叩く。
叩かれている生徒がユーモラスに身体をよじるので笑えるシーンとなっていますが、
あれはかなり痛いよなぁぁっ。
学園祭の盛り上がりや喧嘩がゲバ学生の騒動さながらに騒ぎまくるあたりは、
いっそ痛快です。
しかし社会人になることで、そんな羽目を外した奔放さが容認されなくなっていく。
彼等の本質は変わらない(と、思う)だけに後半の展開は痛ましいです。
銃は使わないのですよね。
この映画の約束なのか、チュンソクやトンスの流儀なのかは分かりませんが、
ヤクザになっても素手で刃物を手にしての勝負です。
高校時代のローラースケート場での喧嘩なども刃物が出てくるので、
基本的に当時と手段は変わっていないはずなのに、
対立組織同士の出入りはずっと印象が暗くなります。
韓国では日本の山口組のような広域暴力団は存在せず、
町単位に規模の小さい組織同士が対立しているようです。
義兄弟の絆、杯を交わしたりというスタイルは日本の任侠道からの影響が色濃いらしく、
香港のギャング系の黒社会よりぐっと日本的で、
我々には馴染みやすい価値観を彼らは有しています。
監督はサンテクのモデルで、チュンソクやトンスのモデルとなる友人は実在しているそうです。
最近、原作本が出て、彼等の写真も載っているらしい。
別に主人公は彼等の犯した罪を正当化したりはしません。
罪はやはり罪であると。
その上で、彼らが何に対して誠実であったか、何に対して怒り、そして抗ったかを
静かに語っています。
好き嫌いはあるでしょうが、一見の価値のある映画だと思います。
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