「クローサー」DVD脚本レビュー

「クローサー」映画チラシ★映画基礎データー★
「クローサー」
2004年 アメリカ映画
監督 マイク・ニコルズ
脚本 パトリック・マーバー
出演 ジュリア・ロバーツ ジュード・ロウ ナタリー・ポートマン クライヴ・オーウェン

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朝のラッシュアワー。
通勤者で溢れるロンドンの街を歩くダン(ジュード・ロウ)は、
小説家志望のジャーナリスト。
交差点にさしかかった彼は、若い女性と目が合う。
次の瞬間、彼女は車と接触して倒れた。
慌てて彼女を病院へ運ぶダン。彼女は幸い軽傷で済んだ。
彼女の名は、アリス(ナタリー・ポートマン「スターウォーズ エピソード1〜3」)。
ニューヨークでストリッパーをしていたが、
身ひとつでロンドンに来たばかりだという。
互いに惹かれ合った2人は、まもなく同棲を始める。

1年半後一。アリスをモデルにした小説の出版を控えたダンは、
撮影スタジオにいた。
フォトグラファーのアンナ(ジュリア・ロバーツ)は、
手際よくダンの写真を撮っていく。
そんな彼女の美しい姿に、ダンは一目惚れしてしまう。
一方、アンナもダンに魅力を感じるが、
アリスと同棲していると知り、彼の想いを拒んだ。
だが、ダンの心移りを察知したアリスは嫉妬し、涙を浮かべるのだった。
アンナは、そんなアリスの悲哀に満ちた美しさを、フィルムに収めた。

半年後一。アリスと暮らすダンは、暇つぶしにインターネットのセクシーサイトで
見知らぬ相手とチャットをしていた。
その相手は、皮膚科専門の医師、ラリー(クライブ・オーウェン「キング・アーサー」)。
ダンはアンナになりすまして、言葉巧みにラリーを誘い、
水族館で会う約束をした。
翌日、アンナに会うために水族館に現れたラリーは、
偶然にも本物のアンナと出逢い、
見知らぬ男であるダンに、騙されていたことを知る。
こうして、ダンの些細な悪戯で出逢った2人は、互いに心を通わせ始めた。

劇作家パトリック・マーバーの2作目の戯曲“CLOSER”が1997年5月、
英国国立劇場で初演されています。
イギリス演劇界久々の大ヒット作となり、数々の演劇賞を受賞。
現在までに30ヶ国語に翻訳され、
ブロードウェイや東京など世界中の100都市以上で上演されています。
舞台脚本を基にマーバー自身が映画用に脚色したのが本作品
「クローサー」です。
2004年12月に全米公開され、
クライブ・オーウェンとナタリー・ポートマンが、
本年度ゴールデン・グローブ賞最優秀助演男優賞と最優秀助演女優賞を
それぞれ受賞しています。

もとが演劇だけあって、登場人物は四人にほぼ限定され、
会話中心にドラマが進みます。
映画でも時間経過がセリフのみで説明され、
都会が舞台で季節感が無いため、ぼんやりしていると
話がどこまで進んだか分からなくなります。

いまどき道端で出くわした男と女が恋に落ちて始まるドラマなんて
あるものかと思っていると、
ここにちょっとした仕掛けがあるのですが、
それは映画のラストのお楽しみです。
未確認ですが舞台版だと、
交通事故にあったアリスを診察するのがラリーということになっているようです。
映画ではそこまでせせこましい偶然の一致は仕組まれていません。
それと男同士がエロ・チャットで知り合うなんて笑えますね。
ネット風俗としては既にチャットは古い方に属しますが、
いまならブログとかメッセンジャーかな。
この話は別にトム・ハンクスとメグ・ライアンの「ユー・ガット・メール」のような
ネット世界を舞台にしたものではもともと無いので、
多少の古さには目をつぶりましょう。笑
これは男同士のチャットより、翌日の水族館のやりとりが上手く見せています。

パトリック・マーバーはウィンブルドン生まれ、
オックスフォード大学出身の新進作家・劇作家です。
戯曲「 Closer 」は 1998 年ローレンス・オリヴィエ賞 、
1997 年ロンドン批評家サークル賞、
1997 年ロンドン・イヴニング・スタンダード賞に輝いているのですが、
“現代の男女関係を正直に見つめた作品で、
四人の男女の出会いと瞬時の惹かれ合いと裏切り・背信の物語“
ということになっており、恋愛のネガティブな感情がテーマになっているだけに、
深淵かもしれませんが個人的にはたいそう後味の悪いドラマでした。

4ヶ月後一。
アンナの写真展の会場で、アリスをひとり残して消えてしまうダン。
飾られた自分のポートレートを見ているアリスに、ラリーが声をかけてきた。
アンナとの結婚を目前に控え、上機嫌のラリー。
2人は話すうちに、アリスはダンの、ラリ一はアンナの恋人であることに気づく。
その頃ダンは、心の底から君のことを愛していると、
あらゆる手を尽くしてアンナを口説いていた。
そしてこの日を境に、アンナはダンとの密会を重ねていくことになる。 
想いが交錯し、4人の愛は絡み始める。 
1年後一。ラリーはアンナと結婚し、幸せに暮らしていた。
だが、出張先で売春婦を買ったことに後ろめたさを感じたラリーは、
正直にアンナに謝る。
口では許すと言いながらも、浮かない表情で家を出ようとするアンナ。
ラリーが問いつめると、ダンを愛しているからだと言う。
一方ダンも、アンナと愛し合っていることを、アリスに打ち明けていた。
傷ついたアリスは、ダンの元から姿を消してしまう。
こうしてダンとアンナは、いままで以上に愛を深めていく。 

3ヶ月後一。アンナに裏切られ、ラリーは憔悴しきっていた。
寂しさを紛らすため、ラップダンス・クラブを訪れるラリー。
そこで偶然、アリスと再会する。アリスはダンの元を去って以来、
ここでストリッパーをしていたのだ。ラリーは、
自分の苦しい胸の内をアリスに打ち明ける。
そして、自分と似た境遇に置かれているアリスと、慰め合おうとした。
だが、いつまでも自分をさらけ出さないアリスに腹を立てる。 
アリスは、「女は嘘をつくのが好きなの」と、かわすのだった。 

1ヶ月後一。アンナは正式に離婚するため、ラリーと会っていた。
離婚届にサインをずる代わりに、最後にもう一度抱きたいと言うラリー。
アンナは仕方なく、条件を受け入れる。
その夜、アンナはダンと一緒にいた。
離婚届にサインを貰い喜ぶダンだが、
彼女の態度に違和感を覚え、問いつめる。
サインの代償に、彼女がラリーと寝たと知り、
落胆を隠せないダン。
嘘はつかない約束だったと言うアンナだが、もうその声は届かない。
2人の愛は、終わりを告げた。 

1ヶ月後一。ダンは、ラリーの診療所にいた。
感情露わに激しい口論をする2人。
やがて、ダンは衝撃の事実を知らされる。
実はアンナが、ラリーとの正式な離婚手続きを踏んでいなかったというのだ。
あまりにひどく落ち込むダンに、
ラリーはアリスの居所を教える。
アリスがまだ自分を愛していることを知り、元気を取り戻すダン。
だがラリーは追い打ちをかけるように、ダンに非情な真実を告げる。
再び激しく動揺しながらも、ダンはアリスの元へと向かうのだった一。

クランクインする前にのべ四週間のリハーサル期間が設けられています。
役作りは四人ともかなり慎重に作りこまれていますね。
映画ではなかなかこれだけ期間は掛けられないものですが。

クライブ・オーウェンは舞台の方にも出ているそうです。
そのときはダン役でした。だとするとダンの印象そのものがかなり変わりそうです。
この映画はセクシーなセリフが次々出てくるのでR指定になったと聞いていますが、
きわどいセリフの大半はラリーの口から出ています。
ラリーはセックスに対して何か強迫観念を抱いているという設定だそうですが、
どんなトラウマがあるのか劇中では特に明かされていないので、
セクハラ暴言男のように見えてしまいます。
それにいい女が出てくる度に「俺は医者だ。独り者の医者だ」と連呼して
手当たり次第にナンパシしまくってます。
程度の低い馬鹿男にも見えますが、
後半のダンとのやりとりなどを聞きますと、なるほど教養のちゃんとあるらしい。
笑。

映画のダンは、アリスに向かって「新聞社で死亡記事を書いている」と
自分の仕事を語っていますが、ジュードさまのキャラによるものか、
はじめからフリーライターのように見え、とてもカタギの記者のように見えません。
ちゃんとネクタイ締めて出てくるんですけどねえ。

アンナははじめからジュリア・ロバーツの配役というわけではなく、
もともとはケイト・ブランシェットがやるはずでした。
二人目の子供の妊娠でジュリア・ロバーツに。
でもジュリアもこのあとすぐ双子を産んでますのでなかなか慌しいですね。
“なんとなく恋愛に疲れちゃった大人の女性”というキャラクターを
上手いこと演じてます。
それを勘違いして「ジュリアは既にオバタリアン」と
映画の掲示板に書き込んだ人たちが結構います。
別に役どころを忠実に演じているだけですけどねえ。
これまで彼女は“何があっても元気印”という役ばかりだったのが、
災いしているかもしれないです。

脚本的に一番得をしているのがアリスですね。
ナタリー・ポートマンはスターウォーズのお姫様役以外、
いまいち精彩を欠いていましたが、もともとは「レオン」のマチルダですからね。
このくらいの役がこなせて当然なのだけれども。
仕事がストリッパーですから、
それらしい衣装で店に出る場面があります。
(ハリウッド映画でよく、
バーにつかまってストリッパーが踊る店が出てくるじゃない?
ロンドンのストリップ店におんなじものがあるとは知らなかった。
そういえば「アメリ」には日本のとおんなじ“覗き部屋”が出てきて笑えましたが、
「パリ・テキサス」でもほぼ同じ“覗き部屋”が出てますね。
おお、話が脱線しまくってる。)
けどなんか彼女、幼児体型で、あんましセクシーじゃないです。
ラリーに「若すぎで奥行きが無いすれっからし」とばっさり言われてますが、
そんな感じです。爆泣きするとガキ丸出しになる。
クライマックス直前でアンナが出てこなくなってしまい、
アリスのエピソードでエンドマークになる。
アリスの漂泊な感じがこの作品のイメージを確定しており、
結局彼女の幸薄さがこの作品のテーマのようにも感じられます。

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