「ダニー・ザ・ドッグ」DVD脚本レビュー
★映画基礎データー★「ダニー・ザ・ドッグ」 2005年 フランス/アメリカ映画 監督 ルイ・レテリエ 脚本 リュック・ベッソン 出演 ジェット・リー |
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リュック・ベッソンの脚本、製作の新作映画「ダニー・ザ・ドッグ」がジェット・リーとモーガン・フリーマンの
出演で公開されました。
薄暗い倉庫を、うつむきながらとぼとぼと歩いてくる男。
着古した粗末な服をまとい、首には銀色の輪が嵌められている。
白いスーツを着た恰幅の良い男が彼の耳元に「殺せ!」と囁き、首輪を外す。
その瞬間、解き放たれた彼の目は鋭く輝き、
目の前に立ちはだかる男たちを圧倒的な強さで次々と倒していく。
白いスーツの男は「よくやった!」と言い、
彼が最後に追い込んだ相手から金をむしり取る。
そして、再び首輪を嵌められた彼は、うつむきながら薄暗い倉庫を後にした。
彼の名はダニー(ジェット・リー)。
白いスーツを着た男、悪徳高利貸しバート
(ボブ・ホスキンス『スターリングラード』)に育てられた。
5歳の時に誘拐され、闘う犬として 首輪と共に生きてきたダニー。
彼は日々バートに連れられ、借金の取立てに向かう。
闘いに明け暮れ、アジトの 地下牢で冷えた缶詰をむさぼる毎日。
彼のそばには、ぼろぼろのサンドバッグと古びた熊のぬいぐるみ、
そして 読み込まれた絵本。
ダニーは、何故か何百回とめくった絵本に載っているピアノに心を惹かれるのだった。
ある日、ダニーは取立てのために行った骨董品倉庫で
絵本でしか見たことのなかったピアノに遭遇する。
ダニーが鍵盤に触れようとした瞬間、部屋に一人の男が入ってきた。
そして、ピアノに座った男は落ち着いた面持ちでダニーを呼び寄せる。
彼の名はサム(モーガン・フリーマン)。
その昔プロのピアニストを目指したが、事故で盲目となり、
ピアノの調律師となった。
「君の名は?」サムは尋ねる。
人間としての感情の無いダニーは、答えることが出来ない。
しかし、鍵盤の叩き方を習い、調律を手伝ううちに、二人の心は少しずつ触れ合っていく。
戦後の混乱期とか、近未来とかでなくて舞台は現代。
場所はスコットランドのグラスゴー。
ずいぶん無理矢理な脚本ですが、
これは非現実的というより超現実的なドラマですね。
「ニキータ」「レオン」の同類ですが、世界観はさらに狭く、主人公は寡黙です。
何かの“寓話”として見ないと103分の尺を最後まで付き合うことが出来ません。
監督は「トランスポーター」シリーズのルイ・レテリエ。
武術監督は「グリーンディスティニー」、「マトリックス」三部作、「キルビル」二部作、
「カンフー・ハッスル」のユエン・ウーピン(袁和平)。
ジェット・リーの本来の中国仕込みのマーシャルアーツばかりを駆使せずに、
卑屈なファイティング・マシーンという役柄、
もっとストリート・ファイティング的になっています。
カメラは一台で撮り、
ファイトシーンは断続せずに一本として撮ったため
本物で滑らかなアクションが見られます。
この撮影手法はハリウッド的というよりも、むしろ香港的に近いようです。
ドラマ的にも神業を見せるというより、
闘志が判るように演出されていなければいけないので、
ハイスピード・カメラ等は使われていないか、ごく一部の運用のみと見ました。
人工的になるデジタル処理は殺陣の場面ではないようです。
そのかわりワイヤーの使用場面はすぐわかります。
ジェット・リーの映画ですぐワイヤーと判るシーンがあるのは、
珍しい方だと思いますが。
数日後、借金の取立てに向かうバートとダニーが乗る車に、
トレーラーが猛スピードで突っ込んできた。
ぐちゃぐちゃとなった車体にさらに銃弾が雨あられと撃ちこまれる。
血を流し倒れたままのバートを絶命したと考えたダニーは命辛々脱出、
行方定めぬまま街をさまよう。
いつしか無意識のうちに、ダニーはサムと出会った倉庫に辿り着く。
サムに再会したダニーは出血がひどく、安心したためもあり意識を失ってしまう。
気が付いたダニーは暖かいベッドの中にいた。
そこはサムの家で、ピアニストを目指す18歳の義理の愛娘ヴィ
クトリアとサムは
二人で暮らしていた。
最初は警戒を解かなかったダニーだが、
次第にヴィクトリアから大好きなピアノを教わり、色々なことを話し始める。
そんなある日、ヴィクトリアはゆっくりとダニーの首に手を伸ばし、
そっと首輪を外すのだった。
ダニーの本当の人生が始まった。
サムとヴィクトリアと暮らす平凡だが幸せな日々が永遠に続くように思える。
ある時、ダニーは壁に貼られた写真に目を止める。
そこに写る美しい女性、それはヴィクトリアが幼いころに亡くした母親だった。
ダニーの表情が複雑に揺れ動く。
彼には母親の記憶がなかったのだ。
ダニーは町のスーパーに出かけた時、運悪くバートの手下と行き会ってしまう。
バードは生きていたのだ。
サムの家にも戻れずに、暗い地下牢での生活へと引き戻されるダニー。
その上、バートによって、ダニーは地下にある格闘技場へと連れて行かれる。
そこはどちらかが死ぬまで闘い続けるデスマッチを開催する賭け格闘場だった。
しかし、闘犬としての生から、
いったんは人間の生活を送ったダニーは明らかに変わっている。
バートに従い相手を殺すことだけで生きていた男は、
今は人を殺すことを頑なに拒む人間となっていた。
自己防衛のためだけに相手の攻撃を受け止めるダニーは、
決して相手にとどめを刺すことはしない。
その状況に苛立ち、遂には切れたバートは、
観覧席から対戦相手を銃で撃ち殺してしまうのだった。
これだけの話を現代のヨーロッパを舞台に見せちゃうところが凄いですね。
東南アジアのどこかなら、こういうのもありという気もしますが。
ダニーもそうですが、バードというおっさんの不死身ぶりもたいしたものです。
車ごと機関銃で撃たれても、包帯グルグルで再登場するんですから。
バードはダニーを連れ戻すのにサムとヴィクトリアを脅かす等で
ダニーを脅したりするところがないです。
見つかると次の場面で檻の中。
ダニーは、首輪とバードには条件反射で従ってしまうらしいです。
そこが犬の犬たるゆえんなのでしょう。
バートから散々責められたその夜、
アジトに帰ったダニーは、バートの部屋でピアノを弾く母親の写真を見つけ出す。
それは、自分を誘拐した男がバートであるという真実だった。
写真を掴んだまま、アジトから逃げ出すダニー。
彼の逃亡を知ったバートは怒り狂い、ダニーの跡を手下に追わせる。
サムの家に戻ったダニーは 彼らに夢中で母の写真を見せ、逃亡の始終を話す。
サムが写真に見出したのは、ピアノと一緒に写る楽譜
“モーツァルトのピアノソナタ第11番”だった。
ヴィクトリアが優しくその曲を演奏し始めると、
ダニーの失われていた 記憶が音色に導かれるように蘇る・・・。
母親を奪った相手に復讐するため、愛する家族サムとヴィクトリアを守るため、
ダニーの人生を賭けた闘いが 始まる・・・。
『 ダニー・ザ・ドッグ』の海外向けポスターは、
もともとダニーの顔を踏みつけようとする足をダニーが拳で避けている
構図だったのですが、
ジェット・リーの祖国中国で、
東洋人が白人に侮辱されていると捉えられて問題になったようです。
それで、首輪をつけたダニーが正面を睨んでいる絵柄のものに急遽、
変更されたという経緯があります。
万が一でも、中国で危惧されたとおり
「白人が東洋人を番犬がわりに飼いならす映画」と
解釈されてはテーマが根底からひっくり返ってしまいますからね。
…ジェット・リーも41歳になるそうです。若いですね。
身のこなしもですが、少年のようなキャラクターのままで活躍できるなんて。
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