「エリザベス:ゴールデン・エイジ」
■作品基礎データ 「エリザベス:ゴールデン・エイジ」 2007年 イギリス映画 監督:シェカール・カプール 脚本:ウィリアム・ニコルソン マイケル・ハースト 出演:ケイト・ブランシェット |
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宮中では依然陰謀が渦巻き、外からは世界列強が虎視眈々と侵攻を狙っている。
幽閉中のスコットランドのメアリー女王が王位継承権を主張するなど、
心休まらない日々を送る女王エリザベス(ケイト・ブランシェット)。
そんな彼女の前に、新世界から帰還したばかりの航海士
ウォルター・ローリー(クライヴ・オーウェン)が現れる。
次の探検の費用を女王から引き出そうと考えた彼は、
宮廷に入り込んで、新世界の可能性を熱心に語る。
それは、国外へ出たことのないエリザベスにとって未知の世界だった。
その豪放磊落にして、知性では自分に劣らぬローリーの中に、
エリザベスは自由の翼を見出す。
一緒に海の果てまで巡ってみたい...ローリーは遥か彼方の世界からの呼び声であった。
一方のローリーも、最初は資金目的の宮廷詣でだったが、
やがてエリザベスに尊敬以上の念を抱き、
次第に魂と魂が引かれ合うような感覚を覚えていく。
暗殺の危機、メアリー処刑、そして、スペインの開戦...
しかし、その過酷な試練と言い知れぬ孤独を昇華させ、
女王としての自覚を固めるエリザベス。
彼女の視線の先には黄金時代の幕開けがはっきりと見えており、
やがて、文字通り、神の化身=国の聖母となっていく。
前作『エリザベス』から9年―、
続編『エリザベス ゴールデン・エイジ』が登場しました。
エリザベスを演じるのはケイト・ブランシェット。
策略に長けた側近として仕えるフランシス・ウォルシンガムを引き続き演じるのは、
『シャイン』(95)でアカデミー賞主演男優賞を獲得しているジェフリー・ラッシュ。
冒険家ウォルター・ローリーには、
『クローサー』(04)でゴールデン・グローブ賞助演男優賞を獲得している
クライヴ・オーウェン。
忠誠と愛情の間で揺れるもうひとりのエリザベス、侍女のベスには、
『プロヴァンスの贈りもの』(06)や『キャンディ』(06)で注目される
アビー・コーニッシュ。
そして、エリザベスの従妹で宿命のライバル、
スコットランド女王メアリー・スチュアートには、
『イン・アメリカ/三つの小さな願いごと』(03)で
アカデミー賞主演女優賞候補となったサマンサ・モートンが扮しています。
監督は、前作の終了直後から構想を暖めてきたというシェカール・カプール。
脚本にはマイケル・ハーストに加え、
『グラディエーター』(00)でオスカー候補になったウィリアム・ニコルソンを
新たに迎えています。
撮影監督にはレミ・エイドファラシン、
衣裳デザインには3度のアカデミー賞ノミネートを誇るアレクサンドラ・バーンなど。
エリザベスは、2000着を超えるドレスと、
100ちかい鬘を所持していた“着道楽”と言われています。
映画でも、女王の広大な衣装部屋が再現されていて非常に興味深かったです。
女王を真似して、イングランドでも鬘が流行するようになったそうです。
『エリザベス』では、25歳の姫がロンドン塔に幽閉され、斬首寸前までいきながら、
紙一重の運命で女王となり、寵臣ロバート・ダドリー卿との恋に溺れたり、
度重なる暗殺の恐怖に慄き震えたり…一人の女性としての濃密な人間関係が
見事に展開されました。
当時、起用の決まっていた女優エミリー・ワトソンの多忙なスケジュールのお蔭で、
『エリザベス』の大役を獲得したケイト・ブランシェット。
エミリー・ワトソンでは、続編の『ゴールデン・エイジ』は誕生しなかったでしょう。
イギリス・チューダー王朝最後の君主
エリザべス1世の黄金時代には劇中に登場しただけでも以下のような諸問題がありました。
・宗教問題(カトリックとプロテスタント・英国国教会)、
・王位継承問題(正統派を主張するスコットランドのメアリー女王)
・それに関係したエリザベス暗殺事件
・スペインとの戦争(義姉・前女王の夫フェリペ2世)
複雑な背景を必ずしも熟知していなくても、ストーリーはついていけますが、
脚本上エリザベスと言う人物像を、前面に見せたかったゆえに
それらのエピソードをあっさりと纏め、
史実の重みがいささか軽くなってしまった感じがします。
逆に時間をかけて、ぐだぐだやられても話がエリザベス本人から離れてしまい、
面白くなかったかもしれませんが。
劇中でもわかりづらい、
暗殺者達の動向については諸説があるのですが、
作品上は次のように整理されていると解釈して差し支えないようです。
*前半の、ロンドン郊外での殺害のシーンは、
カトリック信者の仲間通しで、
任務上、役目を果たせなかった者に対する制裁で、
暗殺を目論む信者達の恐ろしさを強調するシーンです。
* エリザベスの侍女であるベスの従兄、
フランシス・スロックモートンは暗殺団の仲間でした。
自分はプロテスタントに改宗する、とベスを騙し、宮廷に近づこうとしますが、
エリザベスの忠実な側近のウォルシンガムに情報がばれ、拘束されます。
*ウォルシンガムの弟、ウィリアム・ウォルシンガムも暗殺団の仲間でした。
兄弟で会った時、兄を短剣で刺し殺そうとしますが、失敗します。
兄は弟が暗殺団の仲間であるこを、すでに知っていました。
* メアリー女王は、軟禁の身でしたが、
ビール樽の栓に手紙を隠すという方法で外部と連絡をとり、
エリザベス暗殺をもくろんでいました。
しかし、メアリーの監視役アミアス・ポーレット(ウォルシンガムの部下)の作戦で、
ビールの醸造屋を通じ、メアリーの手紙はウォルシンガムに筒抜けになっていました。
*エリザベスの暗殺団にいたロバート・レストンはスペイン王フェリペ2世の手下でした。
フェリペ2世の命令により、
彼の本当の目的はエリザベスの死では無く、
スペインが戦争を始めるための大義名分を作ること、
つまりエリザベスがメアリー女王の処刑の命令を下すことだったのです。
暗殺者バビントンが撃ったピストルが空砲だったのも、
ロバート・レストンの仕業だと思われます。
大義名分を得たスペインは、戦争を始めますが、
エリザベスの側近ウォルシンガムは、敵の作戦をそこまで読めず、
自分の非力さをエリザベスに謝罪しています。
1588年の「アルマダ海戦」での参加兵力は英国艦隊は艦船197隻、
兵員15,000名。スペイン海軍無敵艦隊は艦船131隻、兵員30,000名。
実際のエリザベスはスペインの無敵艦隊を迎撃する頃50歳を過ぎていました。
当時としては老女の域だが若作りをして老いを国民には見せず、
肖像画に皺を描くことを禁じていたとの説もありますが真相やいかに。
ケイト・ブランシェット氏はまだ30代後半ですが、
わざと顔に陰影が出る照明にしているのでしょう。
忍び寄る老いを健気に隠して変わらぬ若さをアピールする努力がよく滲み出ており、
皺のある痩せたエリザベスとコラーゲンがはちきれそうなベスの対比は
怖いですね。
逆に国家元首として遥か後輩になる神聖ローマ帝国の若きプリンスとの見合い場面
では、国の利益の為に必死になって覚えたての英語を並べて若い身体を捧げようとする
プリンスの覚悟と、それをドイツ語でねぎらうエリザベスがあっぱれで、
女王の聡明で思いやりのある姿が垣間見られます。
スペインは当時全世界に植民地を持つ超大国ではあっても財政は破綻寸前。
またフェリペ2世は家庭的に恵まれておらず、
さらにクライマックスの海戦では、フェリペ2世自身が病気で延期させているし、
海軍の指揮をとるはずだった提督が病死して海戦の経験が無い貴族が後任になるなど、
不安材料は沢山ありました。
アルマダ海戦でイギリス艦隊がスペインの無敵艦隊に勝利した理由については、
映画に出てくるものを含め以下のように解釈されています。
・ 深夜決行された8隻の火船攻撃の成功
・ 風向きを利用した戦術
・ 海戦が行われたのは英国沿岸で
英国軍は地の利を生かして終始戦闘を有利に展開出来た。
・ イギリス艦は小型ながら速力が早く、操縦が容易な上に砲手の訓練が行き届いていた
・ イギリス艦の大砲は大きく射程も長く、スペイン艦が1発射つ間に3発射てた
スペイン艦の兵員も半数以上は海戦には不慣れな陸兵だったし、食料と真水が補給不足で欠乏した上、嵐と疫病にも襲われた。
――これでははなから勝負は見えていましたね。
本編の海戦シーンは、実物大の帆船を作って撮影する等、
それなりに手間隙かけたようですが、
ミニチュアとセット、CGのあらが目立ち、編集もちぐはぐで緊張感が無く、
いかにも作り物の戦闘シーンになってしまっています。
脚本的にも戦闘の経過が説明不足で
いつのまにかイギリス軍が勝ってしまっている印象が
あっていただけませんでした。
あらすじとしては、最後にどんぱちやってお仕舞いということで悪くは無いのですが。
作品にはないので、余談になりますが、
エリザベスは後継者に、その正統性や、政治的な理由からですが
皮肉にも処刑したメアリ女王の息子を指名しています。
一方ウォルター・ローリー卿は、
エリザベスの死後(つまり映画では描かれてない後の時代に)、
ロンドン塔に13年間も幽閉されることになります。
そして、一時的に自由の身となるものの、
結局はエリザベスの後を継いだジェームズI世によって処刑…
以下はネタバレとなるのでこの続きはmixi独身映画ファンコミニティの
「エリザベス ゴールデン・エイジ」
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