「エターナル・サンシャイン」DVD脚本レビュー

「エターナル・サンシャイン」映画チラシ★映画基礎データー★
「エターナル・サンシャイン」
2004年 アメリカ映画
監督 ミシェル・ゴンドリー
脚本 チャーリー・カウフマン
出演 ジム・キャリー  ケイト・ウィンスレット  キルステン・ダンスト イライジャ・ウッド

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『 エターナル・サンシャイン』の原題は
『ETERNAL SUNSHINE OF THE SPOTLESS MIND』で直訳すれば
「潔白な精神の永遠の日光」。
それを邦題では簡略に『エターナル・サンシャイン(永遠の日光) 』としています。

『エターナル・サンシャイン』は
「マルコヴィッチの穴」のチャーリー・カウフマン原案です。
ハリウッドの若手俳優には男女を問わず人気のある人のようですが、
彼のようなコンセプトで映画を斬る人が居ないからでしょう。
「マルコヴィッチの穴」を見たとき、「藤子不二雄みたいな話だな」と思いましたが、
『エターナル・サンシャイン』もやっぱり藤子不二雄みたいでした。

『エターナル・サンシャイン・オブ・ザ・スポットレス・マインド』
という洒落のめしたタイトルは
アレクサンダー・ポープの書簡体の文学作品
「エロイーザからアベラールへ」から引用されている語句なのだ、
という解説がどこかの映画掲示板にありました。

NY郊外に住む独身男性ジョエル・バリッシュ
(ジム・キャリー『ブルース・オールマイティ (2003)』等)
は、ある朝、通勤電車から飛び降りるとニューヨーク州ロングアイランド東端
モントーク行きの電車に乗り換える。
乗り換え線のホームにいた女性クレメンタイン
(ケイト・ウィンスレット『タイタニック (1997)』「ネバーランド(2004)」)は、
同じモントーク行きの電車に乗るとジョエルに親しげに話しかけてきた。
クレメンタインは髪を青く染めて一風変わった外見であるばかりか、
極めて開放的で強引で神経過敏の性質のようだ。
それに対してジョエルは内向的性格で照れ屋で、もの思いに沈む大人しい男性だ。
昔からの知り合いでも誘うようにクレメンタインはジョエルを誘惑して、
自分のアパートの部屋に連れ込んだ。

二人は恋人同士として楽しい日々がはじまるが、仲睦ましいのは長続きしない。
バレンタインデー目前のある日。
ジョエルは、不思議な手紙を受けとる。
「クレメンタインはジョエルの記憶を全て消し去りました。
今後、彼女の過去について絶対触れないようにお願いします。ラクーナ社」
クレメンタインは、
ジョエルが最近喧嘩別れしてしまった恋人。
仲直りしようと思っていた矢先に、
彼女が自分との記憶を消去してしまったことを知りショックを受けた彼は、
自らもクレメンタインとの波乱に満ちた日々を忘れようと、
記憶除去を専門とするラクーナ医院の門を叩く。

ラクーナ社というクリニックには、所長であり記憶除去システムを発明したハワード・
ミエルズウィアク博士(トム・ウィルキンソン:『恋におちたシェイクスピア(1998)』
『真珠の耳飾りの少女 (2003) 』)と
受付嬢メアリー(キルスティン・ダンスト:『スパイダーマン』シリーズ
『モナリザ・スマイル (2003)』)
テクニシャン(技工士)のパトリック
(イライジャ・ウッド:『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ)とメアリーといい仲の男スタン
(マーク・ラファロ:『ウインドトーカーズ(2002) 』『イン・ザ・カット(2003) 』)の
四人きりのクリニックだ。

夜、ジョエルの眠る部屋で記憶の除去が始まる。
二人のテクニシャン達は、最近の出来事 ―ジョエルとクレメンタインの破局から。
それから楽しいデートの日々、
そして二人の出会いへと遡(さかのぼ)って消していく工程をふむ。
ジョエルはフィードバックする夢の中で、
クレメンタインや周囲の人々、手にした品物が次々と消えていく姿を
目にして悲鳴を上げる。
ジョエルは夢の虚空に向かって叫ぶ「中止してくれっ」
脳の記憶の中でクレメンタインの腕を掴んでジョエルは
クレメンタインと出会う遥か以前の幼年時代へと逃亡するのだった。

コミカルな演技とマシンガントークがウリのジム・キャリーが、
ここでは内向的で控えめな性格の男を演じています。
「マジェスティック」の真面目人間ぶりは、
一生懸命演技している、という感じがありましたが、
ここでは彼の素はきっとこんな感じ、と思わしめるほど上手いです。

ケイト・ウィンスレットは「ネバーランド」の未亡人役も上手かったですが、
このクレメンタインという女の子の役も見事です。
シナリオ上ではかなり短気で身勝手、移り気ですが、
それを魅力的な女の子に見せてしまうというのですからやるものです。

なんでキルスティン・ダンストが受付嬢なんだ!?
と驚いて見ていると、メアリーちゃん、ヘッドギアを付けてベッドで横になっている
ジム・キャリーをおパンツ姿でイライジャ・ウッドと跨いで踊ってる。しぇぇーーーっ。

イライジャ・ウッドは技工士というより、技工士の助手。
クレメンタインの記憶を盗み見て、彼女の好みのシチュエーションで口説こうとする
大反則を企てるえんがちょ男を演じてます。
イメージを変えたいのかもしれませんが、世界のフロド・ファンが悲鳴を上げそうな
嫌な奴をご機嫌で演じてます。

脚本の推敲に3年を掛けたそうです。
後半、かなりしつこくて、いったいこの話のオチはどうなってしまうのだろうと、
心配するほどでしたが、落ちるべきところに落ちています。
記憶の除去場面は、
デジタル合成の人間を消したり、ミニチュアの家を崩したり、
氷の上を人間を滑らせたりと、
特定の方法に拘らず、絵コンテを切って面白そうな手段が
なんでもありで楽しめます。

『エターナル・サンシャイン』のアイデアは、いまから5年ほど前、
レストランでの何気ない会話がきっかけとなって生まれました。
ミシェル・ゴンドリーは、友人で芸術家のピエール・ビスマスから
奇妙なクイズを出されます
「郵便受けのなかに『あなたのガールフレンドは、あなたとの記憶を消去しました。
今後、彼女には一切接触しないでください』という通達を見つけたとする。
君なら、どうするかい?」
会話を楽しむためのお題が、ゴンドリーのイマジネーションに火をつけました。
沸き上がるアイデアに頭が混乱したゴンドリーは、
友人の映像作家スパイク・ジョーンズを通じて知り合った
チャーリー・カウフマンに脚本執筆を依頼します。

「でも、チャーリーが加わることになって、事態はますます複雑化してしまったんだ(笑)。」
ワイルドな物語を得意とするカウフマンは、
ゴンドリーとビスマスのアイデアをもとに、簡単なあらすじを作成します。
当時、『マルコヴィッチの穴』(99)の脚本が業界内で話題となっていたこともあり、
タイトル未定の新チャーリー・カウフマン企画は、
あらすじだけで映画化が決定してしまいます。
あとは、脚本を書くだけでした。
しかし、カウフマンはこの企画を後回しにします。
その数日前に『アダプテーション』(02)の執筆契約を交わしていたためで、
『エターナル・サンシャイン』でようやく映画監督デビューできると
期待していたゴンドリーはがっかり。
そして、カウフマンが自らの監督作として温めていた『ヒューマンネイチュア』を
自分にやらせてくれ、と口説いたのでした。

カウフマンが『エターナル・サンシャイン』の執筆に3年もの月日を要したのは、
スケジュールの都合だけではありませんでした。
あらすじでは素晴らしいストーリーも、じっさいに脚本執筆に取りかかると、
記憶の喪失という難しいテーマだけに、
ありとあらゆるパラドックスが露呈したといいます
ストーリーの考案者でもあるゴンドリーは相談相手となった。
ちょうどゴンドリーが『ヒューマンネイチュア』を監督していたため、
二人は話し合いの時間をたっぷりと設けることができたのです。

映画製作の初期段階からニューヨーク市が主要舞台となることが決まっていました。
必ずしもニューヨーク市で撮影される必要のない場面もあるのですが、
街そのもののエネルギーと感性が撮影にとって貴重なものであるとスタッフは
認識していたといいます。
主なシーンはニューヨーク市マンハッタン島の南部東側の
グランド・ストリート(ラクーナ社のシーン)、
ヨンカーズ(ジョエルのアパートのシーン)、
ウィリアムズバーグ(クレメンタインのアパートのシーン)、
グランド・セントラル駅などで撮影されています。
キャストとクルーはまた、ビーチの撮影のために1週間を
ロング・アイランドのモントークでも過ごしたそうです。
撮影は2003年1月13日に始まり、4月3日に完了しました。
いったん撮影を始めると、ずっと雪が降り続くという幸運に恵まれ、
チャールズ川の場面では、ニューヨーク州の北側にある湖が本当に凍り、
そこで撮影できたそうです。

ねたばれ改行です。







ジョン・ウー監督の「ペイチェック」でも記憶を消す装置が出てきますが、
あれは脳細胞をひとつずつ焼き殺していくCGでした。
『 エターナル・サンシャイン』は除去前に脳の記憶マップを作って、それを順におって
除去していきます。
記憶というのは一個の細胞の中に閉じ込められているのでなしに、
いろいろな関連づけによって網の目のように構成されている。
スクリーンに登場のマップは相当チープですが、
関連付けで記憶が構成されている、というのはリアリティがあって、
一箇所を崩すと連鎖反応のように突き崩れて行くのが
アクションっぽく演出されているので面白かったです。


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