「ファインディング・ニモ」映画製作裏話

「ファインディング・ニモ」映画チラシ★映画基礎データー★
「ファインディング・ニモ」
2003年アメリカ映画
監督・脚本 アンドリュー・スタントン

               

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オーストラリアのグレート・バリアリーフ。
400個の卵の中で唯一生き残った息子ニモを大切に育てる父マーリン。
ある日、ニモがダイバーにさらわれてしまい、マーリンは、
陽気なドリーとともにニモ救出の大冒険に旅立つ。

『モンスターズ・インク』のスタッフが手掛けた全米大ヒットの3D
CGアニメ。オーストラリアの海を舞台に、
人間にさらわれた幼い息子を救おうとする父の冒険を描く。

ストーリーは、「モンスターズ・インク」以上にシンプルで、
映画の掲示板では、20人にひとりくらい「単純」「予定調和」と
けなしている人がいますが、
私は寧ろ、単純明瞭な話を多彩な表現力で見せるよく出来た映画と感心しました。
そこいらへんは感性の違いですか。

特撮でもない、手書きのアニメーションでもない、CGのみで表現可能なキャラク
ターと世界観がさらに完成度を上げて大画面に展開します。

ニモのネーミニングの由来は「ネモ艦長」の音のイメージらしいです。
静止画では気がつかなかったのですが、
このニモ君、右側のひれが左と比べて極端に小さいのですね。
常に水を掻いてせわしく動かしています。
そうしていないと身体が水中で水平を保てない(?)
マーリンは、母親や他の子供たちのことばっかりでなくて、
このひれの事でもニモを猫かわいがりするのですね。

私達が石垣島オフで見たクマノミは全長が5センチほどでしたが、
ニモのモデルとなっているカクレクマノミは大きくなっても8センチ未満だそうです。
クマノミはススギメダイの仲間でカクレクマノミは、
ハタコイソギンチャクと共生しています。
とても臆病で危険が迫るとソギンチャクの中に隠れてしまい、
生涯のほとんどをイソギンチャクの周辺で過ごすようです。
イソギンチャクのそばに卵を産んで、
新鮮な水を送り込んだり、ゴミを取り除いたりして
保育することが知られています。
丸みを帯びたヒレをひらひらさせて泳ぐ様子を、
スタッフは「臆病で神経質に見える父マーリンのイメージに
ぴったり」と大冒険の主人公に抜擢(?)したようです。

グレードバリアリーフから東オーストラリア海流に乗って、
シドニーへ行くまでの道のりはおおよそ二千キロ。
マーリンの相棒となるナンヨウハギのドリーは、
五分で記憶を失うという困った奴です。
ドリーというという名は、北米東海岸で良く用いられる
小型ボートの名から取ったそうです。

アンドリュー・スタントン監督はこのドリーの奇妙な
記憶障害について、
「ある本に“魚は三秒しか記憶がない”と書いてあったのをヒントにした」
と語っています。
その性癖ゆえ、ドリーは成人の女(?)でありながら、
まるで幼児のように振る舞いマーリンを困らせいてます。
このため、
男女のペアで旅を続けるのですが、
ラブストーリーの形態とはならず、擬似親子関係のまま、
欠落したニモの代わりをドリーが穴埋めしているという、
映画では過去に例のないユニークな男女関係になっています。

全編ほとんど口論し続けつつも双方とも相手に絶大無比の
信頼を寄せていて、
男女のペアなら愛し合わねばならないという
呪縛から解き放たれて、
自由で闊達な不思議に安らぎのある磁力の二極を形作っています。

ドラマの終盤近く、
このペアに決定的なダメージがあって、
いちど関係が解消されてしまうのですが、
その時、それまでマーリンとともに成長し
八方破れで知的にさえ振舞って見えていたドリーが、
激しい精神ダメージと共に、もとのおばかさんに戻ってしまって、
ぐるぐると杭の周りを旋回する有様は、
絶望のあまり精神の崩壊を起こしてしまったかのようにも見えます。
信頼関係が時として人格の根の部分に関わるのだという事実を、
マーリンとニモの本物の親子関係の傍らでもうひとつ情感豊かに描いて見せています。

サメのブルースは私はてっきり「ジョーズ」のジョーズの
愛称から取ったものとばかり思っていたのですが、
スタッフの打ち明け話によると、
モンティパイソンの
「オーストラリア人は、皆ブルースと呼ばれている」という
ギャグからとった名で、当初はサメのキャラクター全部に
ブルースと言う名が付けられるというアイディアもあったとか。
ブルース一味と潜水艦でのくだりは、
スピーディーでおおいに笑わせます。

ウィリアム・デュフォーが声を当てているツノダシのギルは、
ニモと同じ水槽の虜です。
(ギルとは鰓(えら)の意味)
「プラトゥーン」のデュフォーさんが、クールでラブリーで縦じま白黒の
熱帯魚さんを演じてます。(爆)
ギルはニモの兄貴分…ではなくて、「初めてであった大人の他人」ですね。
肉親や友達ではなくて、
まったくの赤の他人。
子供が世に出てひとり立ちする通過儀式に、他人とどう付き合っていくのか、
方法を探すというのがあります。

ニモは望んで家を出たわけではありませんが、
とにかく親の庇護を離れて一人で生きていく算段をつけねばならなくなります。
そこに立ちふさがるのが、善意的に接してくれるとは限らない“他人”です。
設定では彼は水槽仲間の中で、唯一海の出身。
ペットショップから買われて来たほかの連中のように、
人間に飼いならされるのを潔しとせず、果敢に脱走を企て、
トイレの下水に流されて、身体の片側に醜い傷跡があります。
彼は悪い魚ではなく、
ニモにひとりで生きる道を見つけるよう、きつい態度で接するのですが、
ニモは彼に変に同情したりすることなく、
その意志を正確に受け止め、実際、自分の身に迫る危機と全力で戦います。
ギルは大人の癖に感情表現の下手な不器用者で、
共謀した脱出作戦の失敗で危うくニモが命を落としそうになると、
彼の方が手ひどい打撃を受けて、へこんでしまいます。
二人の関係は、むしろ年齢を超えた男の友情のようなものをかもし出していきます。
逃げ場のない水槽での人間との生死をかけた戦いは、
鯨に飲まれてしまったマーリンとドリーの脱出劇
(このパートのCGには実に一年もの製作期間がかけられたという)
に負けぬ見せ場となっています。

もちろんニモとマーリンの再会が見せ場の映画には違いないのですが、
これら脇役達との関係とそこに描かれる世界も楽しんでください。


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