「岳―ガク―」
■作品基礎データ 「岳―ガク―」 2011年 日本映画 監督:片山修 原作:石塚真一「岳」(小学館「ビッグコミックオリジナル」連載) 脚本:吉田智子 出演:小栗旬 |
mixi(ミクシー)「独身社会人映画ファンコミュニティ」に入ろう!
雄大な北アルプス山系。
そこには、誰よりも山を愛する男・島崎三歩がいた。
世界中の巨峰を登り歩いてきた三歩は、
山岳救助ボランティアとして登山者たちの命を守っている。
彼は、山のように大きな包容力を持ち、
仮に要救助者が死んでしまっていても「よく、頑張った」と
労わりの言葉をかける男である。
そんな三歩の暮らす山に、新人救助隊員の椎名久美がやってくる。
久美は過酷な訓練を乗り越え成長していくが、
実際の救助では遭難者の命を救うことが出来ない日々が続く。
そんな折、猛吹雪の冬山で多重遭難が発生。
仲間と共に救助に向かう久美を待ち受けていたのは、想像を絶する雪山の脅威!
その時、三歩は……!?
山のように雄大で、太陽のように明るい主人公・島崎三歩役を演じるのは
若手NO.1俳優・小栗旬。
原作コミックを愛読していた小栗は、
クランクイン前から厳しい雪山の山岳トレーニングに励んだ。
一方、ヒロインの長澤まさみも、
クライミング練習を積むなど、二人とも並々ならぬ意気込みで撮影に臨んだ。
撮影は、八方尾根、奥穂高岳、立山連峰など、
標高3000メートル級の山々で敢行し、数々の山の表情を抑えることに成功。
壮大な自然の中、命のドラマが一層際立って描かれる。
監督は、数々のヒットドラマを手掛けてきた片山修。
主題歌は「命」をテーマにコブクロが書き下ろした。
「岳」見ました。
「海猿」が海難救助のエキスパートのドラマなら、
こちらは山岳救助のエキスパートのドラマ。
映画の予告を見て不思議に思ったのは
「どうして主人公はボランティアなんだろう」という事。
「長野県警の山岳救助隊員じゃあ駄目なのか?」
でした。
映画ではヒロインが県警の救助隊員で、
彼女の目を通して物語が語られます。
主人公の三歩は組織の枠に収まらない自由人になっていました。
原作の主人公は超人的な活躍をしますが、
スーパーマンと言うより山の神という風情です。
美男子の小栗旬とは違いがあり過ぎますけど、撮影前、監督と小栗旬は話し合いを重ね、
役を現実的にどうするか検討を積み上げたと聞きます。
この映画の世界観が好きです。
ヘリコプターショットの日本アルプスの絶景が見事です。
「また山においでよ」
と笑う三歩が好きです。
山では無敵なのに、町に降りると迷子になるのは
あざといですが好きです。
ネタばれ改行です。
クライマックスの吹雪の救助が映画の掲示板で
叩かれています。
私もあれはいただけないです。
”勇気と無謀は違う”
そのスタンスで物語が進んで来たのに、
登場人物全員が暴走する。
盛り上げる、という事なのだろうけど、
あそこまでやってしまうと
「今までの話はなんだったのだろうか」
という事になってしまいそう。
とは言え、
昨今のVFX技術はここでも大したもので
俳優さん達のロッククライミング等映像的に
ここぞと言うスペクタクルシーンで
シラケず緊張感を持って見る事が出来ました。
同映画の片山修監督へのインタビューをお伝えします。
■撮影での苦労話をお聞かせください。
<片山>町でロケをしているのとは勝手が違い、天候や自然といかに付き合いながら、
撮影していくことが難しいかを痛感しました。
北小学校で撮影したときも、前日雪が降りましたよね。
本当は雪が降ってはいけないシーンだったのですが、
前日に雪が降ったことにした覚えがあります。
撮影している間に、どんどん融けて消えていきました。
■その雪どけ水をスタッフの皆さんで、スポンジで吸い取りましたね。
<片山>多分、あのようなことは、都心で撮影しているときには、ほとんどありません。
もちろん雨が降って、急に上がることはあります。
雪が降って、それを上手く利用した経験がなかったので、
そういうことから始まり、山は登るときは晴れていても、
急に吹雪になったりすることもあるじゃないですか。
そこが、やっぱり一番困ったというか苦労しましたね。
■北小学校での撮影では、地元の児童や保護者の皆さんをエキストラで
参加させていただきました。
監督から、最初にごあいさついただいたことで、皆さん随分やる気が出たようです。
また、撮影当日も小栗旬さんとエキストラとの撮影シーンはありませんでしたが、
監督のご配慮で小栗さんからも、ごあいさついただいたことに、
皆さん大変喜んでいました。
北小学校での撮影で印象に残っているシーンをお聞かせください。
<片山>一番印象に残っているのは、校庭でナオタ君が1人で帰っていくシーンが
あるのですが、その場に確か40 人くらいのお子さんがいましたかね。
みんな下校シーンを撮影しているので、学校で40 人ってことは、
まずあり得ないじゃないですか。
だけど人数40人しかいない中、全くそれを感じさせない、みんなの動きですよね。
この子どもたちは本当に普通で、一般の小学生なのか、
あるいは少しでもこのようなことをやったことがある子どもたちなのか、
分らないぐらいで、それをすごく僕らは感動しました。
あの自然さですよ、みんなの動きがね。
ナオタ君の後ろでみんな「さよならー」とか「バイバイ」とか、
ジャンケンしたりしている子どもがいたりとか、とても自然でした。
そう思って教室へ入ったら、教室でやっぱり先生が来るまでの間のシーンで、
もうみんなすごく自然で「これはナオタががんばらないとみんなやられちゃうぞ」
と思いましたね。それぐらい、北小学校の子どもたちの印象が、強く残っています。
また、保護者の皆さんも、緊張されているような方が誰もいなくて、
普通に、今、本当の授業参観に来ている保護者のような感じでした。
何かとても慣れているようだと、みんなで話していたのですけれど…。
■山岳博物館も使っていただきましたが、北部警察署の分庁舎の外観ということで、
山岳博物館を選ばれた理由、その魅力を教えてください。
<片山>もともと僕の中で、警察の分庁舎は山と町の間にあり、
町からも遠からず、山からも遠からずっていう、
非常に微妙な位置関係の場所を探して欲しいとお願いをしていて、
山岳博物館の建物を撮ったら、バックに山が入ったり、あるいは空が入ったりしました。
建物を撮ったときに、そうすることによって山の近さを表現できるのではないか、
まあそういった場所は多分いろいろあるのですけれども。
でも、そこから背中を向くと町が見える場所は、やっぱりなかなかありませんでしたね。
それから、ちょっと町を見下ろせる高台にあって・・・。
今回は、その場所から町を見下ろすようなシーンはありませんでしたけど。
僕の中では、あの距離感というのがとても大事で、そこを外せないと思っていました。
山をバックに背負える建物ならたくさんありますけど、その町から離れてしまいます。
振り向いて見たときに、やっぱり山であることが多く、
それでは駄目なので、もう一回探してくださいとお願いをしたら、
山岳博物館が、非常に良く、またあのイメージしたロケーションでした。
なおかつ警察のように、前に駐車場があったりだとかして、
署の形にも見えるということで山岳博物館にさせていただきました。
■山岳博物館から北アルプスの山並みは映画にも使われていて、
すごくうれしく感じました。監督さんが山岳博物館からの見た、
明け方の北アルプス、また北アルプスの山並みは、どんな印象でしたか。
<片山>すごくきれいでしたね。
僕が思っていた以上に、ちょっと紫っぽくなったりするじゃないですか。
あれが僕の中に無くて、素晴らしい色でした。
「今、回さないと」と言って回したぐらいですけど。
多分、「あの時間、あの場所」でないと見ることができないと感じました。
あそこまで見るためには、多分、他の所では、山にある程度登って行かないと
見られないじゃないですか。
北アルプスが町から見えるっていうのがすごいですよね。
なおかつ朝日が当たって、あの頂上から段々と下の方に照っていくときに、
その紫色からピンクに変わっていくのが、なかなか町から見られなかったので、
すごく感動的でしたね。
■当初は予定になかったようですが、急に山岳博物館の2階に上がって
撮られていましたね。
<片山>もっと上に行けば「もっと見えるんじゃないか」って言って。
あの実景は早朝のシーンでありながら、町も少し感じたいっていう早朝を考えていました。
他の場所でも、ちょっと考えましたが、山が入っても町が入んなかったり、
町が入ると山が見えなかったりするんですよ。
だから「大町ってすごいなって思って。町と山の距離がすごく微妙で絶妙な場所に
距離感にあって。山が見えても町が見えないってことがない」。
他の場所で撮ったら、山が見えているときに町がガスってたりすることが結構あって、
何度か試したけど駄目だったんですよね。
■映画で拝見した小栗旬さんの島崎三歩も大変魅力的でしたが、
映画にかける小栗旬さんの姿勢などは、どんな感じでしたでしょうか。
<片山>まあ小栗君はですね、何といいますか、キャラクターを考えるときに、
台本をもらって、そこのセリフや、お芝居のときに、こういうキャラクターだと、
こうなるっていう考え方をする俳優ではなくてですね・・・。
この役をもらったら、多分私生活から三歩になりきろうとする俳優なので、
何といいますか、そこが非常に好感を持てるというか、すごく魅力的でもあります。
大自然の中で「ポン」って彼が入ったら、小栗君のリアクションではなくて、
もうその時点で、三歩って役者になっているっていう、そういう俳優です彼はね。
今回も非常に、彼にやってもらって良かったと思いますね。
■長澤まさみさんも山岳救助隊員として、成長していく姿が、すごく心にグッときました。
この映画に向けて、相当訓練をされたとお聞きしましたが。
<片山>そうですね。小栗君と一緒にロッククライミングの練習をしたんですけど、
彼女の場合はもともと運動神経が良いのか、上手くなっていっちゃうんですよ。
でも新入隊員なので、あまり上手くなるなと、止めたことは何度かあったと
思いますけれど。
上手くならなくていいから「そこまでは・・・」ということは言いましたね。
まあそれくらい彼女はがんばり屋だし、上手くなりましたね。
■撮影のスタッフもそうですが、役者の皆さんもとても笑顔が多くて、
現場の雰囲気がすごく良かったと記憶があります。
監督さんとしては、いかがだったのですか。
<片山>そうですね、実は僕、今回の現場のスタッフはほとんどの人が初めてで、
僕自身も正直すごく緊張していた部分もあります。
まあ僕らの仕事場では、常にそういうことはありますが、
今回大きく違ったのはロケハンに行ったり、山に登ったりすることによって、
みんながロープでつながって、特に雪山に登るときロープでつないで、
何人かで1つにまとまって登って、
誰かが、滑落しそうになったら止めてあげるということを、
それぞれが責任を持って登っていたので、
いつの間にか連帯感みたいなのが出来ていましたね。
それが多分チームワークに、そのままなったんじゃないかな。
だから、誰かの失敗を誰かが助けるというのがとても多くて、
結果みんなが笑っていられるというか、まあ気を抜いている訳ではないですけど、
いい緊張の中で笑っていられる現場だったと思いますね。
なかなかないですねこういうのは。
■撮影現場を見ていて、何か目に見えない絆のようなものを強く感じさせていただき
ました。
<片山>そうですね。多分、そこが大きいのだと思いますね。
あの奥穂高岳を登ったときも、ガイドさんとマンツーマンで、
全く知らないガイドさんとスタッフがつながったりするんですけど、
下りてきた後は、この2人仲いい訳ですよ。
その夜は、一緒にお酒を飲んでいるくらい仲良くなっているので、
きっとそういうものが今までもあったんだなあと思いましたね。
小栗旬&長澤まさみ インタビュー
Q:小栗さんは原作のファンだったそうですが、出演が決まってかなり感激されたのでは?
小栗旬(以下、小栗): 正直に言うと、「どうしておれが島崎三歩役なんだろう?」って
思いました。『岳 -ガク-』が映画化されるのであれば、もっと体格がよくて、
ちょっと丸っぽい人が演じるだろうなと思っていたんですよね(笑)。
「オレに来るのかー!」って感じでしたね。
長澤まさみ(以下、長澤): わたしはお話をいただいたときに初めて原作コミックを
読みましたが、それまで山のことをまるで知らなかったので驚きましたね。
山登りそのものを、普通にハイキングをする程度にしか理解していなかったから(笑)、
山での出来事にただただびっくりしましたし、
知らないことだらけだったので面白かったです。
Q:山での撮影は過酷だったと思いますが、いかがでしたか?
長澤:山に入ると山でのルールがあって、普段の撮影や日常生活とは違って、
本当に危険と隣り合わせで撮影していました。
おかげで皆の仲間意識も増して、団結力が強い現場になりました。
小栗: そうだよね。撮影している間は、ずっと楽しかったです。
長澤:笑いが絶えない現場でしたね。苦しいこともあるだろうけれど、
楽しくいいものを作ろうという気持ちが強かったので。
山の中での待ち時間は長くて、寒くてきつかったけれど、そういうとき、
小栗君が面白い話をしてくれました。
小栗: 面白い話って、何だろう? 確かに、くだらない話はいっぱいしていたけどね(笑)。
長澤: 一番面白いエピソードは、ここでは言えないです(笑)。
Q:三歩と久美の関係や距離感は、どうイメージして演じましたか?
長澤:久美から見た三歩は、ちょっと道外れというか、
正統派の人ではないと思っていたような気がします。
最初は「あの人は邪道」という存在の人だったかも。
信じられないわけじゃないけれど、信じたくないような感じです。
小栗:三歩には、久美ちゃんを見守るっていう感覚はあったと思います。
人によって距離感を変えるということは三歩にはなくて、
新しく入ってきた人(久美)がたまたま女性で、その人が山を経験していないために、
見守るようなイメージでいたと思います。
Q:三歩が久美を見つめる場面では、やや久美に特別な思いを抱いていたような気もします。
小栗:いや、三歩って、誰に対しても同じだと思う。
確かにいろいろなことがあっての久美ちゃんだったので、
より強い気持ちはあったと思いますけどね。
長澤:久美の失敗を三歩は自分の経験からわかるので、
久美を見守っていてくれるんですよね。
久美は三歩をだんだんと信用するようになるけれど、先輩という感じではないし、
最終的には、山を分かち合える同志になりたいと思っていたかもしれないですね。
家族や恋人という感じもしないですし、同じ立場に立ちたい距離感なのかなって思います。
Q:『ロボコン』以来の映画共演ですね。この数年間を振り返ってみて思うことは
ありますか?
長澤:『ロボコン』で共演したときに、小栗くんは“死んだ魚の目をした少年”という
役柄の設定が台本にあって(笑)。
だから、簡単に地味か派手かでいうと、地味なオタクっぽい男の子の印象でした。
でも、現場にいるときの雰囲気は頼りになる年上の男性という印象でした。
特に今回は、三歩として見守ってくれている感じがとても心地よくて、
やっぱり頼りになるという感じでした。
小栗:お互いにある程度落ち着いたなって感じですかね。
当時、20歳と15歳だったので、お互いに少なからずキャピキャピしていました。
だけど、まさみちゃんはあのころのほうが若干落ち着きがあった(笑)。
当時は、共演の塚本(高史)と伊藤淳史の車に乗って、
4人でドライブに出掛けたこともありました。
長澤: 行きましたね! 一緒に遊んでいただいていました。
小栗:あと、ビンタがとてつもなく痛かったということを覚えています。
メガネを飛ばさなくちゃいけなかったから、何度もビンタされちゃって。
長澤:小栗くんの掛けていたメガネが目に入りやしないか怖くて、怖くて。
目にぶつかったらどうしようと思いながら、何回も落ちるまでビンタしましたね。
小栗: されたなあ。ビンタ(笑)。
長澤: わたし、けっこう手が大きいほうなので、ビンタはかなり痛いと思います。
小栗: 今回の映画でまた共演をして、僕らは根本的にはまったく変化していないと
思いましたね。
Q:小栗さんは高所恐怖症だそうですね。オファーを快諾した後、しまったと思いましたか?
小栗:トレーニングを始めてすぐに感じましたよ(笑)。
いまだに高所恐怖症は治ってはいないんですけど、
ロープを信用することができるようになってからは、
どこにでもいられる感じにはなりましたね。
今でも高いビルの上などは怖いなあと思いますけど、
そこでもロープさえつけていれば懸垂下降はできると思います。
長澤:わたしは小栗くんよりも練習を始めたのが遅かったので、
ロープを信用するまでに時間がかかりました。
でも、練習を重ねていくうちにロープを信じられるようになるんです。
というか、ロープを信じないと何も行動に移せないので「おい、相棒!」
みたいな感じでロープを信じる努力をしました。
Q:「信じる」ことも本作のテーマですが、映画で山を好きになる人が増えるといいですね。
小栗:山が舞台の映画ですけど、山自体がどうのこうのではなく、
そこにいる人間同士のかかわり合いと一人の女性の成長物語、
そこで起こるいろいろな出来事が描かれています。
観る人によって感情移入できる人やシーンも違うと思います。
長澤: 面白い作品になっているので、観た人に素直に感じてもらえたらうれしいですよね。
小栗: 本当にすべての世代の人に贈れる、人間らしい映画だと思います。
以下は小栗旬のインタビューです。
「また、山においでよ」。
映画の冒頭、三歩が救助したばかりの遭難者にかける言葉だ。
彼のキャラクターを明快に表す絶妙の導入で、
このときに浮かべる満面の笑みが実にすがすがしい。
ここ数年、小栗は映画では「クローズZERO」シリーズや「TAJOMARU」、
ドラマでは「東京DOGS」「獣医ドリトル」と、
どちらかといえばクールで、感情をあまり表に出さない役柄が続いていた。
だからこそ、強く印象づけられたのかもしれない。
「僕自身もそうです。(役として)思いっきり笑うことがあまりなかったですし、
俳優としてはマイナスだと思うんですけれど、
自分の笑顔にあまり自信がなかったので、あえて芝居で大きく笑うことをしてこなかった。
今回は何も考えず、山に行ってから考えようと思って、
やっているうちに出てきたことなんです。
だから、でき上がりを見たときに、僕ってこんなふうに笑う人なんだなって、
ちょっと自分でも発見がありました。それは良かったですね」
もともと漫画はよく読む方だが、
累計380万部を超えるベストセラーの原作との出合いは、
親しい雑誌編集者からの“差し入れ”。
それ以来、愛読しているが、三歩役での出演依頼には実感がともなわなかったという。
「『岳』を読んでいて、僕にオファーするって想像できなかったですね。
でも、今までは不良でケンカとかそういうことはしてきましたけれど、
命を救うということはあまりやったことがなかったのでやってみたいと。
これを機会にいろいろな山に登れるということにもすごく興味があったので。
でも、監督が片山(修)さんじゃなかったら、僕じゃなかっただろうとは思います(笑)」
これまでも漫画が原作の映画やドラマには数多く出演しているが、
常に付きまとうのが明確にある絵のイメージ。
毎回のように悩まされる部分ではあるが、
「岳」に関してはドラマ「花より男子」で仕事をして気心の知れた片山監督の
「三歩をマネする必要はない」という言葉にも背中を押された。
「小説にもキャラクターはあるけれど、
ビジュアル的なイメージがあまりないのでつくりやすい。
ましてオリジナルだったら、すべてを自分でつくり上げればいい。
それがコミックになると、
ファンが確実に持つイメージにどれだけ近づけるのかが大事で、俳優としては難しい。
ただ、最近、一緒に仕事をする監督は、
原作に引っ張られすぎず映画として成立させようという思いを持った方が多いので、
『岳』も僕にオファーがきた時点で、
ビジュアル的なイメージをそこまで三歩にしようとは思っていないだろうなというのは
ありました。
でも、やるとなったら原作ファンも納得させるものにしたいので、
できる限りの範囲で。肉体的には今と比べれば体重が10キロくらい多かったし、
丸顔にしたかったので食べるだけ食べるという感じでやりました」
登山の経験や知識もなかったため、
筋力トレーニングから始め、多忙な合間を縫ってのクライミング訓練や
八ヶ岳への登頂などで技術的なことも習得。
あとは、奥穂高など日本有数の名峰でのロケに身をゆだねる心積もりで撮影に望んだ。
その選択は「9割がそうだと言ってもいい」というほどの効果をもたらした。
「デスクワークみたいなことはあまりせずに、
とにかくセリフだけは頭に入れて山に入りました。
それから撮影のない日や早く終わった日は、1人で散歩に行って、
すごく星がきれいだったからずっと雪の上に寝転がったりとか、
そういうことをしているとどんどん山を知りたくなる。
白銀の世界って空気が澄んでいるので、あらためて自分の健康を知るというか、
生きているんだなって。三歩は毎日、
そんなことを純粋に感じながら生活している人なんだろうなと思って。
この映画じゃなかったらこんなセリフの言い方はしない、
こんな顔じゃなかっただろうと、完成した作品を見たときに自然に思えたので、
山につくってもらった感じですね」
山、自然と対じすることで成立した三歩は、あらためて魅力的だと再認識し、
小栗にとってかけがえのないキャラクターになった。
「ある日突然に会ったら、変人だと思うんですよ(笑)。
街に下りてくると、日常の社会には適応していない人なので。
でも、山の中で過ごしていると素晴らしい人間で、
器がでかくて動じなくて助けてもくれる。
片山さんが、スーパーヒーローにはしたくないという話をしていたので、
映画版ならではの人間らしさ、三歩がくじけそうになるという部分も出しています。
自分で見ても良かったなあと思えるところがあったので、
三歩はすごく好きなキャラクターになりました」
高所恐怖症を乗り越えられたのも良かったのでは? と向けると
「克服はできていないんですけれどね」と照れ笑いを浮かべる。
「山の上でも、ロープがないとちょっと怖いと思いますよ。
今回はロープに対する信用が自分の中にできていたので、
ロープをつけていれば今もビルの上から懸垂下降してくださいと言われても、
できる気がします」
振り返れば「岳」は、初監督作「シュアリー・サムデイ」完成後の初出演作となる。
監督の経験が俳優業にもたらした影響については、今も模索中のようだ。
「確実に変わったと思うんですけれど、
具体的にこれだっていうのはまだ自分の中で探しています。
ただ、以前のように(演じながら)自分だったらこうするのにとか、
このカットはこうやって撮るだろうなというのは考えなくなりました。
それは監督に任せるべきことだと。
俳優としていくときには、俳優としてだけ考えればいいという気持ちが強くなりました」
少なくとも、俳優としての集中力がより増したことを感じさせる頼もしい発言。
片山監督が熱望するシリーズ化は、ヒットが前提としながらも
「そういう話になったら、もう少しトレーニングを積みたい」と意欲十分だ。
昨年撮影した映画は「岳」だけだったが、
今年は「(脚本が)すっごい面白かったので、なんとかやりたかった」という役所広司と
共演の「キツツキと雨(仮)」など2本の撮影を終え、
現在はこちらも人気コミックが原作の「宇宙兄弟」の撮影に臨んでいる。
映画俳優・小栗旬として“豊作”の年になりそうで、
笑顔だけではない、また新たな表情を見せてくれることを期待したい。
以下はネタバレとなるのでmixi独身映画ファンコミュニティ
http://mixi.jp/view_community.pl?id=1299114
にて「岳―ガク―」の頁をご覧下さい。
トップページ(映画制作裏話、映画と原作比較レビュー)に戻る。