「GOAL!」

「GOAL!」映画チラシ★映画基礎データー★
「GOAL!」
2005年 アメリカ映画
監督 ダニー・キャノン
脚本 ディック・クレメント イアン・ラ・フレネ
主演 クノ・ベッカー

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LAのヒスパニック地区で庭師として働き、
プロサッカー選手になることを目標に、
地元サッカーチームの花形選手としてプレイしているサンティアゴ(クノ・ベッカー)。

ある日、
ニューカッスル・ユナイテッドの元選手だったグレン・フォイ
(スティーヴン・ディレイン)が、
サンティアゴのプレイを目にし、彼の天性の素質に瞠目する。
彼はサンティアゴがニューカッスルまで来ることがあれば
必ず入団テストを受けさせる事と約束。
そして彼は、プレミアリーグのニューカッスル・ユナイテッドに入団を果たす。
そして、今まで以上の熾烈な競争と困難に立ち向かっていくサンティアゴだが…。

FIFA公認のサッカー映画だそうです。
adidas、レアル・マドリード、ニューカッスル・ユナイテッド等が、
制作者としてクレジットされています。
「GOAL!」は3部作として準備されており、
第一作 『 GOAL! ゴール!』の制作国は米国で、
第2弾はイギリス製作の『 Goal! 2 (2006)』で制作済み、
第3弾はドイツ製作の『 Goal! 3 (2007)』で制作準備中だそうです。
FIFAは制作費の一部を支援しています。
TVシリーズ『CSI:科学捜査班』シリーズのダニー・キャノンが監督で、
『ジャスティス 闇の迷宮 (2003) 』のクノ・ベッカーが主演、
―といってもどっちも映画ファンにはほぼ無名の存在で、
実際ウリになっているのは、
“FIFA初のオフィシャル・サポート映画”であるということと、
“シアラー、ベッカム、ジダン、ラウールがゲスト出演”することくらいのもの。
試写会場も映画ファン以外のサッカーファンらしいお姉ちゃんたちで、
それなりに盛り上がってました。
内容は「ロッキー」第一作目並に単純明瞭な話です。
映画を見て変に悩みたくない人向け。

わざわざケチ付けるのも大人気ないかもしれないですが、
この作品も「実は天才だったボクちゃん」スポーツものでした。
えーと、「テニスの王子様」(古いか?)とか最近の一連のコミックで、
努力しなくても天賦の才に恵まれていて、
たまたま隠れた才能を知らないだけだった主人公が、
偶然、そのスポーツを始めて、あれよあれよと全国制覇から世界制覇を成し遂げてしまう。
ライバルを自負する輩が現れると、唐突に魔球やら必殺技を繰り出し、
粉微塵にやっつけてしまう。
「巨人の星」「エースを狙え」のごとき努力や根性とは無縁の世界です。

サンティアゴくんも随所で華麗なプレイを披露してくれますが、
撮影ではサミー・モンテロらが代役を務めているのだそうです。

主人公は3部作の終章ではワールドカップのピッチに立っていなければならないので、
プロデビューごときでもたもたしているわけには行かないんでしょうが、
一作目は無名の天才青年が周囲の偏見、特に了見の狭い父親の妨害を跳ね返し、
世界に羽ばたくか、がテーマになっています。

クノ・ベッカー、さすがにかっこいい若者ですね。
演技の方はさてどうなんでしょう。
サンティアゴはいまふうのアメリカの若者で、
うぬぼれやすいお調子者かと思うと、少しの失敗ですぐ絶望して、
捨てばちなセリフを吐いたりする。
内面の心理の葛藤など無縁の脳みそ筋肉青年ですので、
素のままグラウンドを走り回れば格好が付いてしまいそうです。
(ああ、我ながらひどい事書いているな。)

脚本上、私が首をひねったのが父親の描き方です。
密入国移民で、あまりに不幸な生活を送ってしまったために
夢を信ずることが出来ない。
自分が信じられないばかりか、息子の夢まで全力で奪い取ろうとする。
サンティアゴが密かに溜め込んだ渡英資金を無断でトラックの購入費に使い、
決定的に決裂してしまうくだりは許すとして、
テレビで息子の活躍を見ると態度を豹変させて喝采する。

単純明快な逆転がカタルシスを呼ぶ演出を狙ってのものというのは、
作劇論として理解できるのですが、
結局この親父は物理的な成功しか理解できない愚か者ということになりはせぬか?
(その通り、愚か者かもしれない)
もし負けて帰ろうものなら、生涯わが子を見下し続けるつもりだったのか?
(その通り、死ぬまで小突き回すのかもしれない)
ぞっとしますね。そんな親父なら居ない方がいい。

サッカーの世界での父親代わりを、グレンが勤めているのは理解しています。
対比として実父が非情な感じに描かれているのかもしれないです。
祖母が「それも神様の思し召し」と孫に手を差し伸べる様子を
きわだたせてもいるでしょう。
でもなんだか割り切れないですね。
それは私もまた男で、父のいる息子だからかもしれないです。
(ぞっとしますね。そんな親父なら居ない方がいい。)
ネタバレ改行です。




で、父親が倒れた時、サンティアゴはアメリカに帰らない。
既に死んでいることが知らされているので帰国は無意味ですが、
しかし、「(サッカーのできない」言い訳にしたくない」として
練習場に戻って来てしまう彼の決断はあまりに潔癖すぎます。
前の場面で恋人に、家を捨てたといって、
「家はあるじゃない。両側にゴールの付いた芝生の家が」といわれて
微笑んでいますが、
サンティアゴはピッチの中こそ自分の居場所と腹をくくってしまったのですね。
どちらかにしか居場所が持てないという考え方をするのは
言ってみれば彼の“若さ”なのだけど、
そんな風に歯を食いしばって監督やチームメイトに宣言せずにおかないと
自立出来ない、自分の翼で羽ばたけない、と。
旅立ちはいつでもにがく苦しいというのが青春ドラマとしての
この作品のテーマなのでしょう。

でもそれは勝てば人生の勝者、負ければ敗者という二極分化された世界に
身を置くと言う事です。
どんな名プレーヤーも引退するまで勝ち続ける事など不可能なのだし、
負けた時、サンティアゴは人生の全てを否定して
ピッチを去っていくんでしょうか?
スポコン映画のGOAL!3部作が負けて終わりというエンディングになるとは
考えにくいです。
たぶん途中の挫折はあっても、最後に彼はゴールを決めるのでしょうが、
願わくば、勝敗を超えたところで、
サッカーを続ける意味、人生を生きる大切さを悟って欲しいものです。

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