「ヒヤ・アフター」
■作品基礎データ 「ヒヤ・アフター」 2010年 アメリカ映画 製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ 監督/製作/音楽:クリント・イーストウッド 脚本:ピーター・モーガン 出演:マット・デイモン |
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パリで活躍するジャーナリストのマリー(セシル・ドゥ・フランス)は、
恋人との休暇を楽しんでいた東南アジアで、津波にのまれて死にかける。
無事に帰国してからも、
呼吸が停止した時に見た不思議な光景<ビジョン>が忘れられず、
仕事も手につかない。
しばらく休暇を取ることになったマリーは、
自分が見たものは何かを突き止めようと調査を始める──。
かつて霊能者として活躍していたジョージ(マット・デイモン)は、
死者との対話に疲れ、今はサンフランシスコの工場で働いている。
人生を変えようと通い始めた料理教室で知り合ったメラニー
(ブライス・ダラス・ハワード)に好意を寄せるが、
ジョージの“才能”が原因で、彼女は彼の前から去ってしまう──。
ロンドンで母と双子の兄と暮らすマーカスは、突然の交通事故で兄を亡くす。
母と引き離され里親に預けられたマーカスは、
もう一度兄と話したいと霊能者を訪ね歩くが、本物はいない。
ある日マーカスは、ジョージの古いウェブサイトにいきあたる──。
調査の成果を本に書き上げ、ブックフェアに参加するマリー。
すべてから逃げ出して大好きなディケンズの博物館を訪ねるジョージ。
二人の行き先は、ロンドン。
3人の人生が交錯し、何かが起きようとしていた──。
「ヒヤ・アフター」試写会で見ました。
スビルバーク制作、
クリント・イーストウッド監督作品というのは「硫黄島」以来だと
思いますが、ガラリと違う世界を持って来たものです。
冒頭のバリ島の津波のシーンがショッキングです。
それにロンドンの地下鉄の爆弾テロが突如出たりと、
時事ネタが意外と出て来ます。
社会派ドラマではないのだけどね。
「ヒヤ・アフター”来世”があるのかどうか知らない」
とイーストウッド監督は語っています。
おいおい、だったらこんな映画撮るなよ、
と突っ込もうかと思いましたが、
本編を見て妙に納得しました。
これは来世が存在するのかどうかを証明するフィルムではなく、
来世を巡る世のごたごたに翻弄され、
孤独感に苦しむ人々の話なのだと。
誰でも死は恐ろしい。
だから死の向こうに何があるのか、
無関心ではいられない。
特に身近な人を亡くして間もない人々は、
死者との交信を渇望している。
けれどそれはとてもプライベートな事情を霊媒師と共有することが前提だし、
売名やよからぬ商売を企む輩がうようよ跋扈する怪しい世界です。
テーマとは関わりないのですが、
マット・デイモンが通う料理教室が楽しいです。
最初の授業でワインで乾杯し、オペラを流してやおら包丁を手にする。
テレビの料理番組のノリですが、こんなに楽しげな教室なら私も通いたい!
目隠しをしてペアの相棒にスプーンで食材を「あーん」して
当てっこするというのが出て来ます。
マット・デイモンの相手は唇が厚めの若い女の子で、
マット・デイモンが耳元にささやきかける姿がやたらHです。
パリのシーンがフランス語に英語の字幕とは、ハリウッド映画では珍しいです。
たいてい吹き替えですからね。
キリスト教でも火葬なんだと知りました。
アル中の母親を庇う幼い双子の姿が愛しいです。
ダメな女でも大切な母さんだ。
双子の必死の努力が実らないのは残念。
でもドラマはそこから始まる。
ネタばれ改行です。
ラストでデイモン君が彼女とハグしてラブシーンになりますね?
試写会後、女の子二人組がその話を「マット・デイモンの妄想?」
と話しているのに笑いました。
主人公の”霊視”と決めつけていましたがね。
考えてみたら彼に未来予知の力なんてあったかな?です。
『クイーン』『フロスト×ニクソン』でアカデミー賞にノミネートされた
ピーター・モーガン(『ブーリン家の姉妹』『ラストキング・オブ・スコットランド』)
の脚本に感銘を受け、製作総指揮に名乗り出たスティーブン・スピルバーグは、
自信たっぷりにこう宣言した。
「誰が監督すべきか、はっきりしている──イーストウッドだ」。
こうして、アカデミー賞監督クリント・イーストウッドの監督31作目は、
『硫黄島からの手紙』以来のスピルバーグとのコラボレーションとなった。
特別な能力のせいで愛を失ってきた孤独なジョージには、
『インビクタス 負けざる者たち』に続く主演となるマット・デイモン。
マリーにはセザール賞に二度輝くベルギーの演技派女優
セシル・ドゥ・フランス。
マーカスとその兄には、100組以上の双子から選ばれ、
映画出演はこれが初めてのマクラレン兄弟。
ヒロインを演じるセザール賞女優 セシル・ドゥ・フランスに、
自身の役柄やクリント・イーストウッド監督について聞きました!
●ご自身の役柄について教えてください。
彼女は仕事が大好き。それに率直で、のびのびとしている。
嘘をつくことがないので、人にも好かれる。
だからジャーナリストとしても優秀。
ストーリーの始めのほうではそういう人物として描かれているの。
そして彼女は休暇中に、東南アジアの津波に呑まれてしまう。
必死に息をつごうとするけど、溺れてしまう。
生死をさまよう彼女はそこで奇妙な体験をするわ。
静寂に包まれ、周りも真っ暗になる。
すると遠い向こうのほうから光が射し、静かな風の音が聞こえてくる。
時は止まり、光がどんどん迫ってくる。
花盛りの静かな庭と、身が軽くなった感覚と、
視界が360度に広がっていったことも覚えている。
動きや時間の軸もなくなり、彼女はそこで全知の感覚を覚えるの。
でももちろん、誰も信じてくれない。
気でも狂ったのかと思われてしまう。
彼女は大好きな仕事を失い、プライベートでもディディエの愛を失うことになるの。
●世界各地で物語が展開する設定は、役作りに影響を与えましたか?
そうね。これは普遍的な人間の物語なの。
不可思議な出来事も、現実には誰の身にも起こり得るわ。
あなたや私にもね。
明確に答えを出さないという点でも、現実的な映画だわ。
人は“今ここ”を生きるしかない運命なの。それが私の見解。
●死後を扱った映画が少ないのはなぜでしょうか?
皆死を恐れているのよ。死は人間の弱さを思い知らせる。
誰も死からは逃れられない、皆いつかは死ぬ運命にある。
“死後”というテーマは、人々に恐怖を与えるわ。理性を超えているからよ。
●この映画で死に対する見方に変化はありましたか?
それはないわね。映画を見た観客も同じだと思う。
いろいろ調べたけど、答えはないんだもの。
そして、以前より偏見はなくなったかもしれない。
不可思議な現象というのは、ただ信じるしかないものよ。
科学技術の発展とともに私たちの信仰心も変わってきたわ。
いつか科学が臨死体験の謎を解明するかもね。
でも私には答えは分からない。ただ毎日を生きるだけよ(笑)
●イースウッド監督の希望のメッセージを感じますね。
今回も普遍性のあるストーリーね。100%リアルな映画。
彼女の体験はメインの3人のうちの一人の体験として描かれるけど、
誰にでも起こりうる話だと思うわ。
突然明日、あなたや私の身に降りかかってきてもおかしくない話ね。
クリントは爆発や特殊効果などよりも、
シンプルな物語を語ることにこだわっているのだと思う。
●イーストウッド監督と一緒に仕事をした感想は?
まるで夢を見ているような毎日だったわ。
彼と撮影現場にいる時は天国にいる気分だった。
監督はとても愛情深い人なのよ。
撮影現場も愛にあふれていたわ。スタッフも幸せそうだった。
さらに監督は私を信頼してくれ、事仲間を信じてくれる。
その証拠に監督は、セリフの翻訳作業まで任せてくれたのよ。
英語で書かれたセリフをフランス語に訳すの。
最初は責任の重さに腰が引けたわ(笑)
でもチャンスだと気づいたの。
自分に合った言葉でセリフが言えるんだもの。
撮影中も監督の姿勢は変わらなかった。
彼の信頼を勝ち得たなんて最高だわ。
●津波のシーンは迫力でしたね。撮影はいかがでしたか?
スタントは自分でこなしたの。そこは誇りに思える。
でも最初は酸素吸入などがとても不安だったわ。
水中の撮影は2作品ほどこなしているけれど、どういうわけか、
その2作品は楽しくできた。
今回は周りが皆イギリス人だったので、少し人見知りをしたのかもしれない。
泣いてしまったわ(笑)
リハーサルは4、5日かかったけど、タンクの中でのリハーサルだったの。
リハーサル中に泣いてしまったら、
スタッフの男性が「酸素吸入は無しにしよう。息をそのまま止めてくれればいいから」と、
やさしく声をかけてくれた。
「OK。それならできるわ」と言ったわ。そうしたら上手くいった。
ずいぶん長いこと潜ることが出来たわ(笑)
「ほら、酸素なんていらないわよ。」と、自分が誇らしかったわ。
ハワイでも撮影したから、いい思い出もたくさん。
スタッフの人たちや小さな女の子が一緒に泳いでいたところに、
クリントはシャツとズボンを脱いでそのまま一緒に飛び込んでくれたの(笑)
素晴らしい思い出になったわ。
イーストウッド監督は、何を思い、何を訴えようとメガホンを取ったのか。
いまだに消えない、映画制作への情熱を交え、本作について語った。
Q:死後の世界を扱うという、
監督にとっては初挑戦のジャンルとなる本作を手掛けることになったきっかけを
教えてください
(スティーヴン・)スピルバーグが電話をしてきて、
僕にぜひ読んでほしい脚本があるんだと言うんだよ。
ピーター・モーガンが書いたものだということ以外は、
その脚本について何も知らなかった。
ピーターと仕事をしたことは一度もなかったけれど、
才能ある脚本家なのは知っていたから、すぐに読んでみたんだ。
Q:スピルバーグは本作の脚本に深く感銘を受けたそうですが、監督はいかがでしたか?
とても独創的なストーリーだと思ったよ。
同時に、すごく挑戦的な脚本だとも感じた。特に、津波の場面とかね。
大変そうだったけれど、この作品を作り上げることが、
自分にとっていいチャレンジになると思ったんだ。
それで、監督しようと決意した。
すぐにスピルバーグに電話して、「これをやるよ!」と言ったんだ。
Q:スピルバーグ監督とは、昔から親しいのですか?
ああ、僕らはとても仲が良い友人だ。
スピルバーグは、僕が監督と主演を務めた『許されざる者』の大ファンでね。
彼は僕の作品が好きで、僕も彼の作品が好きという関係さ。
映画『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』を一緒に作ったときは、
硫黄島に行くために、彼は自分の飛行機を貸してくれたりもしたんだよ。
Q:津波のシーンは、とても迫力のある出来でした。
何か参考にした資料などはあったのですか?
2004年に太平洋で津波が起きたときに、
その場に居合わせた人たちが携帯電話などで撮影した映像や写真なんかを、
片っ端から見ていったんだよ。
実際に人々が逃げ出そうともがいていたり、木や建物など、すべてが流されていた。
とてもショックを受けたと同時に、
その資料が、本物の津波とはどういったものなのかという
インスピレーションも与えてくれたんだ。
劇中で、津波に襲われながら、なんとか生き延びようとする人たちの壮絶なシーンは、
そうやってできたんだ。
Q:津波のシーンは、できる限り実写で表現しているのですよね?
そうだよ。完全な津波を作ることは、今の技術だけではできないと思ったからね。
水の脅威をコンピューター・グラフィックス(以下CG)のみで表現するのは、
とても難しいんだ。
例えばSF映画ならば、CGで作り出すのはたいていが空想上のものになるよね。
宇宙には、ほとんどの人が行ったことはないから、好きなように作ればいい。
でも、今回の津波は違う。
みんながニュースを通して見たのと同じものを映像化しないといけなかったんだ。
Q:実際に、ご自身が海に入って撮影したというのは本当ですか?
実際に海に入ることで、カメラ位置などをしっかりと確認することができたんだ。
僕は泳ぎが得意でね。今でも泳ぐし、若いときはとてもいいスイマーだった。
まあ、どうしてもそうしないといけなかったわけじゃないし、
たぶん陸の上から指示することも簡単にできたと思う。
でも小さな女の子をはじめ、出演者たちは、水中で演技をするわけだからね、
自分が率先して飛び込まずに、彼らを海の中で働かせるなんてことはできなかったよ。
Q:映画では、インターネットを通じた出会いが描かれます。
監督もネット上でコミュニケーションをとったりするのですか?
答えはノーだね。僕はEメールを送ったことも、ましてや携帯電話でメールを
打ったりしたことは一度もない。
それは、僕の代わりにEメールを送ってくれる秘書がいるからなんだけど(笑)。
もちろん、テクノロジーに素晴らしい部分があるのはわかっているよ。
僕も自分のiPadにすべての脚本を入れてあるからね。
読みたい脚本をタッチすれば、ぱっと出てきてすぐに確認することができるし、
バックライト機能があるから、夜に部屋の電気を消して読むことだってできる。
でも、だからといってコンピューターに支配されたくはないんだ。
Q:コンピューターに支配されている気持ちになるときがあるのですか?
僕の子どもたちを見ていると、そういう気持ちになるね。
娘はずっと携帯でメールを打っているよ。
一緒に夕食に出掛けたときなんかは、
「携帯は切りなさい。ここに座っている間は、誰かにメールをしないでくれ」
と言うんだ。周りの人たちに対して失礼だからね。
しかも、どうせメールの内容なんて、意味のないことばっかりなんだから。
僕はそういうものがない時代に育ったから、
昔は電話でガールフレンドと話をしていたものだけど、
今自分が14歳か15歳だったら、娘たちのようなアプローチをするのだろうね。
Q:100歳まで監督をしたいと宣言したそうですが、本当ですか?
そんなことは言っていないよ。ニューヨークの映画祭に出席したときに、
誰かが、ポルトガルのある監督が、102歳の今も現役で映画を撮っているという
話をしていたんだ。だから冗談で、「僕も同じことをするよ」って言ったんだよ。
でも、それはあくまでも希望であって、もちろん真剣じゃないよ。
Q:最近は1年に1本、監督をされていますが、これからどのくらいの数の作品を
撮っていきたいと思いますか?
40本くらいかな。1日につき1本とかのペースでね(笑)。
それは冗談として、僕はそれぞれのプロジェクトがやって来るたびに
楽しんでいるだけだよ。実は、今も取り掛かっている企画がある。
『ジェイ・エドガー(原題) / J. Edgar』という作品で、
長年FBI長官を務めたJ・エドガー・フーバーを主人公に、
20年代くらいから70年代までのFBIの姿を描いたものなんだが、
とても興味深い人物について扱っていて、脚本も本当に面白いんだ。
でも、それを撮った後のことは考えていないよ。
単なる仕事として、映画を撮ろうとは思わないからね。
ただ、すごく興味をひかれる企画があれば、いつでも挑戦したいとは思っているよ。
ほほ笑みを絶やすことなく、心から「映画を作ることの楽しさ」をかみしめるように、
本作の撮影秘話を語ったイーストウッド監督。
映画『硫黄島からの手紙』で起用した渡辺謙が、
監督業のオファーを受けていることを聞くと、「彼ならきっとできる!」と
まるで自分のことのように喜ぶ姿がとても印象的だった。
俳優として、演じることの楽しさを追求し続け、
今も監督として映画制作にその情熱を注ぎ続けているイーストウッド監督には、
100歳を超えても、映画界で活躍してもらいたい。
以下はネタバレとなるのでmixi独身映画ファンコミュニティ
http://mixi.jp/view_community.pl?id=1299114
にて「ヒヤ・アフター」の頁をご覧下さい。
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