「ホテル・ハイビスカス」映画製作裏話
★映画基礎データー★「ホテル・ハイビスカス」 2003年 日本映画 監督 中江裕司 出演 蔵下穂波 余貴美子 |
mixi(ミクシー)「独身社会人映画ファンコミュニティ」に入ろう!
沖縄で元気に生活をしている小学3年生の美恵子(蔵下穂波)は、
森の精霊"キジムナー"に興味津々。遊びに家事に大忙しの彼女は、
サチコねぇねぇとアメリカ旅行に出かけてしまったお母ちゃん(余貴美子)の不在中に、
ささやかな冒険を繰り広げていく。
『ナビィの恋』を大ヒットさせた中江裕司監督が、
ユーモアたっぷりに撮り上げたコメディ。
オテンバ元気印女の子を主人公に、美しくも神秘的な沖縄の風土を描いた作品で
2002年東京国際映画祭 審査員特別賞を受賞しています。
「ホテル・ハイビスカス」断然面白いです。
作品としては、本当にお金の掛かってない小品です。
しかし手間は惜しんでません。作り手の愛情がフィルムに反映されてます。
予告では出てこないし、映画紹介でもさっぱり触れられていないのですが、
英語と日本語標準語の字幕付です。
沖縄口(ウチナワグーチ)という、昔ながらの沖縄言葉でもない、
標準語でもない、若者世代の言いまわしというのがあるそうで、
それに字幕が付いてます。
英語字幕が楽しいですね。
国際映画祭に出品されたものがそのまま公開版に使用されているんでしょうが、
子供達が大声張り上げて歌う替え歌の翻訳など、実に可笑しい。
原作は仲宗根みいこ著のコミックスです。
立ち読みする程度、見てます。
「ちびまる子」系のウマ下手の書き手なので、あんまし綺麗な絵じゃないんです。
中江監督は京都の生まれで沖縄の大学に入って、沖縄にはまった人です。
沖縄に住んでいても、
自分はよそ者という意識が絶えず存在して、
それが作品に客観性を保持させている。
仲宗根さんはこれが実質デビュー作で、初長編ということもあって、原作は
いろんな要素が混在し、未整理のままに読者に差し出されているようなところがある。
そして登場人物に必要以上に言い分けをさせてしまってます。
中江監督は主人公の美恵子を含めて、引き寄せるべきを引き寄せ、
突き放すべきを突き放してます。
多様性のある原作を映画化するに付いては、ふたつの方法論があったそうです。
黒人との混血である兄、白人との混血である姉、実は戦争で国籍を失ってしまっている
父といった大人達の家族ドラマで見せる方法。
いまひとつは末っ子の美恵子の目線から見た子供映画として描く方法。
結論としては後者が取られています。
大人の話をまともにやってしまうと暗い話になりそうですし、
オリジナリティがなくなるかも。
子供の話だとどうしても話が小さくなりますがね。
子供の世界というのは、基本的に保守的なものです。
いろいろ冒険はあっても、最後にはみんな元気で良かったね、
になっていなければならない。
それを面白く見せるのが子役達の魅力であり、
その魅力を引き出すのが監督の腕です。
美恵子役の蔵下穂波という子は、天然そのもの、素のままに見えますが、
実際にはかなりシャイな女の子らしい。
演技に対して注文をつけるというのではなくて、
場面場面の必然性などをひとつひとつ本人に納得させながら進めていったそうです。
むしろ動作そのものは、本人が自由に思いついてカメラの前でやったことのようです。
映画の掲示板に「となりのトトロを実写で撮ったらこんな感じ」という書き込みがあって、
うまいこというなあと、感心しました。
子供が主人公で、キムジナーのことが話の中心に出てくる。
後半、父に会いにバスに乗って出かけるところなど童話の様です。
都会からの珍入者である若者、能登島(和田聡宏『バトル・ロワイヤル2』)は原作では、
就職恐怖症のフリーターということになっていますし、
そのことでくどくど彼自身が言い訳してますが、
映画ではべつだん、何の説明もありません。
最初から家族に馴染んでしまっている。
黒人と混血の兄貴(ネスミス ヴォーカリスト)がボクサーを目指すまで、
やっぱり差別や米軍に対する憎しみといったものはイロイロあったらしいのですが、
映画では父親とフェンスを挟んでランニングするくだりで、
一発でかたを付けている。
ここいらへんのキレのよい演出も見てやってください。
父親役の照屋政雄という人は、島唄の先生だそうです。
劇中でみごとな三線を見せていますが、芝居気のまるでない演技が絶妙に可笑しい。
素人とプロの混成出演ですが、適材適所でうまく噛みあってます。
そっちも見どころです。
トップページ(映画製作裏話、映画と原作比較レビュー)に戻る。