メイキング「包帯クラブ」

「包帯クラブ」映画チラシ■作品基礎データ
「包帯クラブ」
2007年 日本映画
監督:堤幸彦
原作:『包帯クラブ The Bandage Club』天童荒太著(2006年筑摩書房刊)
脚本:森下佳子
出演:柳楽優弥
               

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関東近県の、青空が突き抜ける、それでいてちょっとたそがれた中都市。
イマドキの女子高生・笑美子(通称ワラ)は、
一見普通に学園生活を送りながらも、心の底に闇を抱えている。
ふと出来心で病院の屋上のフェンスを乗り越えた時、
妙な関西弁を操る入院患者の少年、井出埜辰耶(通称ディノ)に出会う。
手首の切り傷を「料理している時に失敗して切っただけ」と
言い張るワラの心の闇を直感的に見抜いたディノは、
ワラの乗り越えたフェンスにワラの手首に巻かれていた包帯を結び付ける。
「!?」「手当て、や」。
それは、青空になびく白い旗のよう。
なぜか、心から流れ出る血が止まったように感じるワラ。
これが、「包帯クラブ」の始まりだった。
 
ワラの中学の同級生で、
彼氏と別れたばかりで落ち込んでいる丹沢志緒美(タンシオ)、
そのメル友のメル友で浪人生の柳元紳一(ギモ)が、
言いだしっぺのワラとディノに加わり、4人による「包帯クラブ」が発足、活動を始める。
「包帯クラブ」の活動とは、
「傷付いた人の、傷付いた場所に、包帯を巻きに行く、
そして、その包帯の巻かれた風景をデジカメで撮影し、
傷付いた人のアドレスに送り返してあげる」というもの。
パソコン操作が得意のギモは、ホームページを立ち上げ、
ワラやディノは大量の包帯を買出しに行き、投稿に備える。

サッカーの試合でのオウンゴールをきっかけにイジメを受けている少年に届く、
包帯巻きのゴールポストの写真。
美容院で髪型じゃなく顔を変えろと罵倒された女の子に届く、
件の美容院前で包帯ぐるぐる巻きで号泣しているタンシオの写真。
さらにワラとタンシオの中学時代の友だちの芦沢律希(リスキ)が
「包帯クラブ」に加わり、
いつしかゲーム感覚≠ナ、包帯巻きに熱中するワラたち。
投稿者との間に癒しの気持ちが通うと同時に、
包帯巻きの校庭の鉄棒、包帯巻きのバス停、包帯巻きの雑草の花等々、
街中に包帯の風景が溢れていく。
 
人の為に包帯を巻く包帯クラブ部員たちだったが、
自分たちだって、包帯を巻いて欲しいことには変わりない。
活動に熱中すればするほど、ワラたち自身の未だ癒えない傷≠ェ顕になっていく。
ギモには、小学校の理科実験室での忌まわしい過去。
ディノには、決して取り返せない、友人との出来事。
そして、ワラは、
中学時代の友だちで、今は全く会わなくなった優等生の
本橋阿花里(テンポ)のことが心に引っ掛かり続けているのだった。
 
そんな折、包帯クラブの活動が、ある密告によって、取り締まられだす。
ワラやタンシオは教師から犯人だろうと締め上げられ、
包帯のある風景が警官の手によって撤去されていく。

密告の主は一体誰なのか?
ディノが心に抱え続けてきた出来事とは何なのか?

原作は、『家族狩り』で山本周五郎賞、
ベストセラー小説『永遠の仔』では日本推理作家協会賞を受賞し、
メッセージ性の高い話題の小説を次々に世に送り出している天童荒太による、
6年ぶりに書き下ろされた最新小説「包帯クラブ」(筑摩書房刊)です。
2006年2月に、
ベーシックで普遍的なテーマを若い人たちに伝えたいという著者・編集者の
強い意向により、
通常の単行本というスタイルではなく
「ちくまプリマー新書」より発売された直後から、
映像化をめぐり10社以上の争奪戦が繰り広げられ、
TBS系の人気情報番組「王様のブランチ」でいち早く紹介されるや反響を呼び、
若い女性を中心に幅広い世代に読まれている同作は、
現在18万部のヒットとなっている。

入院中の病院の屋上で出会った女子高生・ワラの心の闇を直感的に見抜き、
傷付いた場所や風景に包帯を巻いて癒すという包帯クラブのエッセンス≠フ
生みの親となる、
妙な関西弁を操るフシギな少年・井出埜辰耶(いでのたつや)/通称・ディノを
演じるのは、「誰も知らない」(2004年)で
第57回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を日本人初、史上最年少で受賞し、
国内でも数多くの映画賞を受賞した柳楽優弥。
(「星になった少年」(2005年)「シュガー&スパイス〜風味絶佳〜」(2006年))

表面的にはごく普通の学園生活を送りながらも心の底に深い闇を持ち、
ディノとの運命的な出会いをきっかけに包帯クラブ≠結成・主宰する
女子高生・騎馬 (きば)笑美子(えみこ)/通称・ワラを、
デビュー作「わたしのグランパ」(2003年)で、数多くの映画賞を受賞。
その後も映画・ドラマ・舞台と活躍の場を広げ、
舞台「奇跡の人」(2006年)ではヘレンケラー役を演じ高い評価を得た石原さとみです。

監督は、「池袋ウエストゲートパーク」が高く評価され、
その後も「TRICK」シリーズ、「ケイゾク」「サイレン」「明日の記憶」と
話題作・ヒット作を次々に送り出している堤幸彦。
撮影は、1月11日にクランクインし、主に高崎でロケーションを敢行している。
包帯クラブの生みの親≠ニも言えるTBSの番組「王様のブランチ」が
サポート体制を敷き、番組ジョイント・プロジェクトとして製作されました。

特に大作ではなく、キャストもロケも普通の邦画の規模です。
フジテレビ製作の「西遊記」「HERO」などと比べると遥かに安く短期間で作ってます。
いえ、細々とデータを比較したのではなく、作品そのものを見ての印象ですが。

登場人物はクラブの少年少女たちと、数名の母親、担任、癒される人たち。
ほんっとに小さな世界です。
その分深くて、セリフで語り聞かせるドラマです。
堤監督のお仕事については皆さんご存知の通りですが、
今回はさすがにカメラと編集に凝ってますね。
映画的、というのは
大画面と引きのアングルを如何に上手く使い切るかを指す場合が多いのですが、
この人の今回の演出は、
むしろ静止画のポートレートを切り取っていくような感覚です。
室内シーン等も割と多くて、狭い場所の人物に近いカメラを如何に魅力的に見せるかに
腐心しています。
これはこれで今風で面白い絵づくりだなと興味深く見ました。

キャストは柳楽優弥と石原さとみの二枚看板で、大人の俳優たちも出ているのだけど、
ほんの数シーンずつで、あれはゲスト出演ですよ、全員。
貫地谷しほり(「スウィング・ガールズ」)は
もう少し扱いが大きくてもいいと思うのだけど、
他の子達とタイトロール上は一緒ですね。
ともあれ、力のある若手でしっかりドラマを見せてくれるので、
緊張感は最後まで維持されていました。

原作では架空の街である主人公達の住む街をどこにするかで、
数十の都市がロケハンされています。
高崎にはじめから白羽の矢が立てられ、脚本の方が高崎に合わせて書かれたのでは
思っていましたが、そんなことは無くて(いや、部分的にあったかもだけど)
「街のどこからでも象徴となる高いビルが見える」
「病院の屋上からデパートの屋上が見える」「廃墟がある」
「武道館のライブが終わってかれる場所にある」
等の条件に合わせて高崎が選ばれ、
フィルムコミッションの全面協力で全部のシークエンスの市内ロケが十一月に決定し、
十二月に出演者の極秘合宿が始まり、
一月よりロケが開始されています。
トップシーンである鉄塔下で石原さとみ扮するワラが空を見上げて
モノローグがかぶるシーンから撮影が始まっています。
撮影する傍から編集に掛かるという話はテレビで放送されたのメイキングでも、
紹介されましたが、年末年始、不眠不休で曲を作った
ハンバート・ハンバートのBGMまで貼り付けられていたとは驚きです。
1月下旬にかけてはメンバーが街のあちこちで包帯を巻いて歩くシーンの撮影に突入。
使われた包帯は二千本、一万八千メートルに達したと言います。
ディのが高層マンションに包帯を巻いて吠えるシーンは2月3日、
高崎市役所のヘリポートで撮影。同時にヘリ撮影も行われています。
二月五日に橋のある場所でのディノとワラのふたりの場面で、
石原さとみ、クランクアップ。2月7日のディノの中学時代の回想シーンの撮影が
終わって全編の撮影終了となっています。

テレビのインタビューで原作の天童荒太先生は、
自分達の小さな正義を守る戦いで世界が傷つけあって泥沼になってしまっている。
その閉塞感をどうしたら解決できるのかと考えながら書いた、という意味のことを語っていました。
堤監督は、傷を癒す為に包帯をまく、という発想そのものに魅かれた、
といい、撮影のさなかも常に原作を持ち歩き、繰り返し読んだそうです。
それだけ味わい深いドラマだということですが、…


以下はネタバレになるので、この続きはmixi「独身映画ファンコミュニティ」の
メイキング「包帯クラブ」
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=23857067&comm_id=1299114
をご覧下さい。



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