「ICHI」

「ICHI』映画チラシ■作品基礎データ
「ICHI」
2008年 日本映画
監督:曽利文彦
原作:子母澤寛(「座頭市物語」より)
脚本:浅野妙子
音楽:リサ・ジェラルド&マイケル・エドワーズ
出演:綾瀬はるか

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一人で旅を続ける女がいる。
彼女の名は、市(綾瀬はるか)、三味線を弾きながら唄う盲目の旅芸人、瞽女だ。
人と関わりたくない市は、自分と同じ盲目の女が、
男たちに脅されていても素知らぬ顔。
彼らが今度は市に手をかけようとした時、一人の侍が止めに入るが、
なぜか刀を抜くことが出来ない。
その瞬間、仕込み杖から抜いた市の剣が、男たちを容赦なく斬り捨てる。
侍の名は、藤平十馬(大沢たかお)。
とある宿場町にたどり着いた十馬は、
賭場でひと儲けした帰り道に5人の男たちに囲まれる。
そこでもやはり刀を抜けず、一瞬でカタをつけたのは、またしても市だった。
市に斬られた男たちは、
町はずれの山に根城を構えて町を荒らす万鬼(中村獅童)の手下だった。
町を仕切る白河組の2代目虎次(窪塚洋介)は、
彼らを倒したのは十馬だと思い込み、彼を用心棒に雇う。
万鬼はかつて幕府指南役に推挙されるほどの侍だったが、
顔に酷い火傷を負って失脚し、無法者と成り果てる。
万鬼は殺された手下たちの傷跡を見て、かつて闘った、
居合い斬りの名手の技だと気付く。
町の不穏な空気の中で、十馬と市は反発しながらも惹かれあう。
悲しみが滲む市の唄声に心を揺さぶられる十馬。
市もまた、偶然触れた十馬の手の温かさに心を乱される。
ある日、市の心を開きたいと願う十馬は、自分が刀を抜けない理由を打ち明ける。
遂に、万鬼党が町を襲撃する。
十馬を連れ去ろうとする奴らの前に、立ちはだかる市。
屈強な男たちを次々と斬り、自分が何者かをあかす市。
実は逆手居合い斬りの男を捜している市は、
彼を知る万鬼と対決するつもりなのだ。
連れ去られた市を助けるため、力を振り絞って立ち上がる十馬。
果たして、2人の運命は──?

日本を代表する傑作時代劇「座頭市」。
盲目の逆手居合い斬りの達人を勝新太郎が演じて、
熱狂的な人気を集めたTVシリーズや映画は、現在でも世界各国で放映されている。
まさに日本が世界に誇るダークヒーローだ。
近年では、海外でも高く評価された北野武監督・主演の『座頭市』も話題を集めた。
強烈な個性を放つ2人の座頭市に続く3代目は、。
それも、2008年には映画『僕の彼女はサイボーグ』、
『ザ・マジック・アワー』などの話題作に出演し、
ドラマ、CMでも活躍、時代の顔となった綾瀬はるか。
監督は、ハリウッドの超大作『タイタニック』のCGから、
CGアニメ映画『ベクシル』や実写映画『ピンポン』の監督まで、
国境もジャンルも自由自在に飛び越えて活躍する曽利文彦。
脚本には、現代の女性たちが自己投影できる市を描き出すために、
大ヒットドラマ「ラスト・フレンズ」、
映画『NANA』そして時代劇ドラマ「大奥」を手がけた浅野妙子が起用された。
市と運命的な出逢いを果たす男、藤平十馬を演じるのは、
『Life天国で君に逢えたら』の大沢たかお。
また、『ピンポン』のはじけた演技で観客を虜にした窪塚洋介と中村獅童が、
敬愛する曽利監督のもとに再び重要な役どころで集結した。
その他、柄本明、竹内力、利重剛、佐田真由美、杉本哲太など。
アカデミー賞受賞作品『グラディエーター』や『ヒート』を手がけた
ハリウッドの一流音楽家リサ・ジェラルドが、初めて日本の時代劇の音楽を担当。
さらに韓国のSunMin(ソンミン)が、ラストの主題歌を担当。
彼女が主題歌を歌った『日本沈没』のプロモーションビデオを制作した
曽利監督の熱望で実現した。


「ICHI」試写会で観ました。
たけしの座頭市は映画祭で賞をとり、
その余波でワーナーブラザースが金を出して
映画化に乗り出したのではとかんぐっています。

「あずみ」のようなスタイリッシュなアクション活劇になるのかな、
と想像して会場の九段会館に出かけたのですが、
殺陣は遙にじみで、…という以前に、
綾瀬はるかの女座頭市は無敵じゃないのですね、
中村獅童はもちろん大沢たかおにも負けてしまう。

女の弱さ、もろさを抱え込んだまま、諸国をさまよう
離れ瞽女(ごぜ)のICHIとして描くというのが
意外でした。

もともと原作の「座頭市物語」は、
世の中の最底辺で生きる人たちの血の叫び、
といったものを背景に、
アンチヒーローとしての盲目の居合い斬りを描いているのだけれど、
たけしの座頭市は強すぎるし、
渡世人としての側面を強調する余り、
本業の按摩がおろそかになってしまっている。

綾瀬はるかのICHIは、
居合い斬りの達人には違いないのだけれども、
生活費は瞽女の稼ぎで立てている。

瞽女というのは、
人家の軒下に立って三味線なぞ弾いて、
こずかい銭を恵んでもらう、
という芸人とは名ばかりの乞食のような人たちです。

実際、冒頭でそういう場面が出てきて、
吹雪の夜に野垂れ死にそうなところから
ドラマが始まっている。
無敵の居合いも腹の足しにはならないという、
現実のなかに彼女は生きています。

そして酷く孤独で、
「べつに生きていたくもない」と
やけくそのような剣の振るい方をする。
若い美人が犬猫以下の扱いをうけて生きる姿は
痛いです。

脚本は女性ライターで、
男の気がつかない若い女の子の孤独を、
時代劇という仮想現実のなかに置き換えて描いているように見えます。
通俗アクション映画だろうと思ってみたら、
意外やまっとうなドラマになっていて、
良い方に裏切られて面白かったです。

ふと気が付いたのは、
ICHIは旅する目的が初めからちゃんとあって、
それは劇中で決着が着き、
ラストには、次なる目標を持ち、
目的地目指して旅立っている。

勝さんの最後の「座頭市」が
劇中最後まで、どころからどこへ移動しているのか、
それは何のためなのか、
まったく理由らしきものが見当たらなかったのと、
対照的です。

女がひとりで旅するというのは、
並大抵の事ではないし、前向きにせよ後ろ向きにせよ
明確な目的意思がないと、
背筋を伸ばして前に進む事が出来ない、
というのがなるほどと納得しました。

「座頭市」という話のお約束かもしれないけれど、
ラストまでに登場人物のほとんどは死亡し、
あたりは血の海、死体ゴロゴロで終わるのは、
この作品も一緒。

ですが、意外やさわやかで、
とんでもないことにハッピーエンドではないですか。
ネタバレ改行です。


「逆手十文字斬りの居合いの達人が、
この世にふたりいるとはな…」
というセリフに嫌な予感がしたのですが、
話がそこから「砂の器」みたくなって、
本当に「砂の器」のような場面まで出てきて、
うへぇとのけぞったのですが、
そうしたベタベタの因縁話を、
中村獅童はもちろん大沢たかおといった男優陣のドラマと
からめて…、
それは血みどろの結末になる恋愛なのだけど、
ラストに彼女は、少年に、形見でお守りのすずを渡していますね。
あれは父から、そして過去からの解放の証のはずで、
最後に
女の子のひとり立ちのお話に収束する、
というのは、うまいなあと。


これまで勝新太郎やビートたけしが演じてきた「座頭市」。
今回は大胆にも「市」を女性が演じる設定になっています。
ですが、監督の曽利氏はそこに面白さを感じ、
本作の『ICHI』を撮りたいと思ったと語っています。
「プロデューサーから女性で座頭市をやりたいという話がありました。
男性の座頭市は勝さんやたけしさんのイメージが強いので、
男性主演で新たに座頭市に挑むのは難しい。
ただ、女性が「市」という設定であれば、
面白いのでやってみたいと思いました」

今回、その「市」を演じるのは、綾瀬はるか。
テレビで見る彼女はおっとりとしていて、温かいイメージが強い。
俊敏に動き、1人孤独の中で大勢を相手に戦う「市」とは正反対に思える。
「綾瀬さんはテレビドラマの『白夜行』(TBS系)を見たときに、
普段の彼女が持つゆったりとした雰囲気と、
演じているときの印象がすごく違うので、すごい女優だなと思っていました。
それで今回、市役を探しているときに、スタッフや周りの人から、
『綾瀬さんは、雰囲気はおっとりしているが、運動神経がとてもいい』
という話を聞きました。
市はどうしても殺陣がメインになってくる役。
第一条件に動けることがありましたので、
話を聞いて彼女をキャスティングしました。
その後、彼女が初めて行った30分の殺陣練習を見た時に、
非常にしなやかに動けていたので、“これは大丈夫だ”と確信が持てました。
殺陣師の方も1度目の練習で『この子は行ける!』と言っていました」

 2カ月という短期間の撮影は、
雨の影響もあり、タイトなスケジュールであったというのですが、
彼女の演技に対する姿勢にスタッフが感化され、
明るい雰囲気で撮影を進められたそうです。
「綾瀬さんをアイドルだと思う人もいるかもしれないが、
彼女は完全に女優さんですね。
普段の立ち振る舞いも演技に向かう姿勢もすべてしっかりとした方です。
より良くなるためなら、嫌な顔せずになんでも前向きにチャレンジします。
周りのスタッフも彼女の姿勢を肌で感じて、感化されたと思います。
なので、現場の雰囲気もすごく良かったですし、
大沢たかおさんをはじめとする共演者の男性陣も彼女の頑張りを見て、
負けれられないと気合が入ってましたね」
「きっと、彼女は普段から役者として取り組む姿勢がすごく真面目なんですね。
それが、すごく純粋で誠実なんで、
その裏表のない誠実さが周りにも伝わって、巻き込んでしまう感じはしました。
そういう意味でも、彼女にはすごく助けられましたね」

 CGやVFXには定評のある曽利監督ですが、
今回はCGを使った派手な演出はあまり見られませんでした。
その代わり、これまでの座頭市にはない、
人間同士のつながりが多く表現されていました。
「CGというキーワードでいくと、
派手なワイヤーアクションや爆破などになると思いますが、
今回は極力オーソドックスに作るのがコンセプトでした。
それは、殺陣を地味にするということではなく、
座等市のキャラクターが持つ鋭さを大切にして、
シャープに格好よく作ることです。
もちろん、CGを使った部分もありますが、
むしろ、CGを感じさせないリアルさが伝わる映像を心がけました」
 「そして、本作で特に目指したのは、アクションとドラマの融合です。
欲張りなんで、どちらかに偏るのではなく、
両方の良さを描いて、楽しめるものにしました。
ドラマの部分に込めたメッセージは“生きる”ということです。
生きているのか、死んでいるのか分からなくなった孤独な主人公が
人と出会うことで“どういう化学変化を起こすか”というのを見てもらいたい。
簡単なことでありながら、“生きる”ことが難しくなった時代でもあるので、
もう一度見つめ直すきっかけになればと思います」

衝撃の映画デビュー作「ピンポン」から6年、
再び曽利監督作品に出演
中村獅童が演じた万鬼(ばんき)は、
かつては幕府の剣術指南役を務めるほどの剣豪だったが、
顔に醜い傷を負ったがために世間から怪物扱いされるようになってしまった男。
人を憎み、野党集団を率いて悪事を働く彼は、
市に自分と同じ暗い過去を感じ取り、彼女を仲間に引き入れようとするのだが……。

――綾瀬はるかさんとの初共演はいかがでしたか?
獅童「敵同士の役だし、忙しかったのであまり話せなかったんですが、
殺陣はかなり一生懸命やっていたと思います。
相手が女性なので、
僕も最初はちょっと気を使ってしまっていたところがあるんですが、
監督に『思い切ってやってほしい』と言われたので、
やってみたら僕の剣が彼女に当たってしまって……。
彼女の指のところを切ってしまいましたが、
それでもすぐに撮影に戻られたので役者魂を感じましたね」
――演じられた万鬼というキャラクターについて、どのように役作りしましたか?
「監督とは最初に、悪役だけどどこか孤独感や寂しさみたいなのを
出していきたいという話をさせていただきました。
顔に傷を負い、化け物扱いされて、
世の中に対して真正面を向いて生きていけない寂しさだったり、
悲しさだったり、それゆえに悪になっていってしまう人間の
切なさみたいものを大切にして演じました」
――「ピンポン」以来の曽利監督との仕事はいかがでしたか?
「楽しかったですし、
そもそも今回は曽利監督だからやらせていただいたという部分もあります。
『ピンポン』は自分の転機ともなった作品で、お世話になりましたし、
何らかの形で微力ながらも力になれたらうれしいという気持ちがあったので。
あとは時代劇だからやりたいというのもありました」
――やはり時代劇には思い入れがあるのでしょうか?
「現代劇ももちろん好きですけど、もともと時代劇は大好きです。
そもそも自分は歌舞伎役者なので、歌舞伎や時代劇というものは、
今の若い人たちが見るようにならないと滅びてしまう。
それを伝えていくというのは、自分の使命みたいなところがあると思っています」
――「SPIRIT」「硫黄島からの手紙」、そして「レッドクリフ」と、
ここ数年で海外の作品を経験して感じたことはありますか?
「やはり時代劇の大切さを再認識します。
『レッドクリフ』は中国の時代劇ですが、
それが世界中で上映されるわけですよね。
それで僕は日本人だから、日本に何があるかといえば、
やっぱり時代劇なわけで、
海外へ行けば行くほど時代劇への思いは強くなるような気がします」
――海外で日本との現場の違いを感じるところはありますか?
「やはり撮影の規模ですね。
ただ、基本的にものを作る、ひとつのゴールに向かってみんなで
作り上げていくというのは、どこの国でも一緒だと思います」

そして主役 綾瀬はるかは「ICHI」と以下のように向き合っています。
――初の時代劇アクションで殺陣にも挑戦してみての感想は?
「殺陣はずっと興味があり、
いつかやってみたいと思っていたのでうれしかったです。
形を覚えていくのは楽しいんですけど、
今回は盲目の役なので、殺陣のシーンでは伏目がちだったり、
目をつむってやらなければならず、
相手が見えないから感覚でやるしかない。
自分と相手の方のタイミングがちょっとでもずれて、
もし相手の目を突きでもしたら、大変なことになってしまいます。
そういう怖さはありました。
また、裸足でわらじを履いていたので、足の爪が割れてしまったりもしました」
――目にも止まらぬ速さや、仕込み刀の逆手持ちといった、
座頭市特有の殺陣で苦労されたところは?
「素早く刀を納めるという動作を一番最初に練習し、
わりとすぐできたので、男性が使っている普通の刀でやらせてもらったら、
重くて長くて全然できなかったんです。
なので、むしろ逆手の仕込み杖でよかったなと思ってます。
勝さんの『座頭市』も担当した久世浩さんという殺陣指導の方に習ったんですが、
勝さんの座頭市とはまた違った女性ならではの体勢などを考えてもらいました」
――殺陣をやっていて楽しかった部分はありますか?
「10人斬り(笑)。3人とか5人だとあっという間に終わっちゃうんですけど、
10人はやりがいありました。もっと斬ってみたかったんですけど(笑)。
覚えるのは大変ですけど、覚えた後は楽しくて爽快感がありました」
――市の内面的なところで難しかったのは?

「監督には、市は心を閉ざしているのでオンオフの
メリハリをうまくやってくれと言われました。
感情を出すときはバッと出し、あとはグッと押し殺す。
感情を表に出さない女の子なので、一言一言がすごく大事だなと思いました。
市が背負ってきたものを背景ににじませるのは、とても難しかった」
――時代劇アクションでありながら、
女性が主人公ということで“愛”も大きく描かれていますね。
「市は小さい頃からひとりぼっちで、瞽女仲間からも追い出され、
愛を信じられないでいる。そういう彼女が十馬に出会い、
少し前を見て歩き出す話ですが、
現代社会でも、誰かとのひとつの出会いがきっかけで前向きになれたり、
愛をもらうことで頑張れたり、そういう人は多いと思います。
恋人でも、家族でも、どんな愛の形でもいいですけど、
自分を気にかけてくれる人がいて、その幸せに気づくことは、
とても大事なことなんじゃないかなと思います」
――時代劇といっても、そうしたテーマは現代に通じるものがありますね。
「市は『私は生きているかも死んでいるかもわからない』という台詞がありますが、
いつ死んでもいいという思いがあった。
それが十馬との出会いでひとつの光を見て、
その先に何があるかはわからないけれど、市は何かを求めて歩き始める。
現代社会は、自殺してしまったり病んでいる若者が多いとよく言われていますが、
いま…


以下はネタバレとなるのでmixi独身映画ファンコミュニティ
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にて『ICHI』の頁をご覧下さい。



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