「フレディVSジェイソン」DVD脚本レビュー
★映画基礎データー★「フレディVSジェイソン」 2003年 アメリカ映画 監督 ロニー・ユー 脚本 マーク・スウィフト ダミアン・シャノン 出演 ロバート・イングランド |
なんですか、「フレディVSジェイソン」の映画の後も「エイリアンVSプレデター」「スーパーマンVSバッ
トマン」等の企画が控えておるそうです。
昔から噂話はありましたけど、本当に作っちゃうとはねぇ。
どちらのシリーズも熱心なファンというわけではないので、
以下記述に誤りがあるかもしれません。ご指摘頂けるとあり難いです。
「13日の金曜日」(80)シリーズのホッケーマスクの殺人鬼ジェイソンと
「エルム街の悪夢」(84)シリーズの怪人フレディの対決映画であります。
怪人対決ものというのは昔からある企画で、フランケンシュタインとかドラキュラと
かが、
結構いろんな奴と戦ってます。
企画からしてB級映画ですが、B級にはB級の面白さがあるんだよって、
ホラーファンにさえウケりゃいい式の作り方に徹してますので、
かえって気持ち良かったです。
最大公約数的に一般大衆向けに作品を作るより、
コアなファンを確実に捕まえて、ビデオやDVD販売も含めて評判を伝播して、
最小公倍数的に作った方が儲けが大きいだろうという計算が成り立ちそうです。
80年から90年代前半に活躍した両怪人の対決映画は、
10年も前から企画があったそうです。
ということはそれぞれの最終作品が公開された頃には、
企画があった筈で、
「13日の金曜日/ジェイソンの命日」(93)の幕切れで、
フレディの刃物のついた右手がチラリと出てきてるそうです。
ファン向けと書きましたが、それぞれの怪人の基本設定の紹介は
作品中にありますのではじめて見る人にも
「なんのことやら分からない」場面はありません。
でも昔からのファンの人から見るとどうなんですかね。
特撮もののパフォーマンスとしては、いろいろ楽しい作品ですが。
フレディもそうですが、ジェイソンもシリーズ後半では、
「ジェイソン N.Y.に行く」とか宇宙のジェイソンとか、
派手な割には恐さのない作品になってしまったようですが、
本作も80年代前半に登場した頃のよどんだ暗い情念といったものは感じられませ
ん。
旧シリーズはどちらも特撮技術はいまより遥かに幼稚ですが、
その暗さで観客をびびらせたのではないかと思うのですが。
映画は「エルム街の悪夢」の怪人フレディのぼやきから始まります。
彼は、狂気の幼女連続殺人犯でしたが、
その悪行を憎んだ被害者の親達が一致団結、
裁判の不手際で無罪放免されたフレディを集団で襲ってボイラー室で焼き殺してしま
います。
しかしフレディの狂える魂は地獄に落ちることを潔しとせず、
幼い女の子達の夢の中に現れては、死へといざなうナイトメア(=悪夢)の
怪人となりました。彼を近づけぬためには決して眠らないこと。
でもそんなことは誰にも不可能です。
疲れて果てていつしか眠りにつくとき、
フレディの死のツメがあなたに迫ります。
なにせ夢を自在に操る魔人です。
フレディは悪夢の中で人間をひと飲みにするほど巨大化したり、
バイクに変身して走り回ったりとやりたい放題。
テレビ好きの者にはテレビに引きずり込んだり、
ゲーム好きの者にはゲームに閉じ込めたり、
漫画ファンはコミックに変身させてしまったりと、
悪質なジョークで人をいたぶり殺し“死の道化師”“恐怖のイリュージョニスト”
と自ら名乗っていました。
フレディの背には殺した子供たちの顔が刻まれており、フレディが倒されかけると、
魂を開放されたい子供たちがフレディの体から飛び出そうともがき叫んでなんともキモい。
(似たような設定の魔人ジンメンがデビルマンでも出てきましたね。)
シリーズでは、ジョニー・ディプも被害者役で登場してます。
おっとジェイソンの方はケヴィン・ベーコンを殺ってます。
フレディの惨劇からすでに10年の月日が経ち、
現在、エルム街の人々はフレディのすべての記録を消し、夢見ることを避け、
再び復活する隙を与えないでいました。
そして、40歳以下の住民たちは、ほとんど彼の存在を知らなくなっていました。
これは、フレディのように自分を伝説的存在と思い込んでいる自己中心的なサイコパス
(異常人格者)にとっては屈辱であり、消滅の危機にさらされる拷問でした。
フレディは人々に恐怖を蘇らせようと夜の闇を徘徊し、
もう一人の殺人鬼ジェイソンの存在を知ります。
現実の世界に存在するこの殺人鬼は、フレディが地獄から這い出て、
再びエルム街を恐怖に陥れるための窓口としてはまさに格好の存在に思えました。
クリスタル・レイクの湖畔で朽ち掛けていたジェイソンの死体の残留思念に
しのびこんだフレディは、ジェイソンの蘇生に成功し、
エルム街へ乗り込ませ、殺戮を再開させるのでした。
若者達の断末魔の悲鳴に再びパワーを取り戻していくフレディ。
ところがジェイソンはやすやすとフレディの手を離れ、
獲物と狙う若い娘達まで追い駆け始めます。
フレディは獲物を攫われて大いに怒り、彼を倒そうと爪をむきます。
かくして怪人対殺人鬼の戦いが始まるのでした。
「フレディVSジェイソン」がなかなか実現しなかった一番の理由が、
面白い脚本が書けなかったためでした。
それを「フレディがジェイソンの夢の中に入り込む」というワンアイディアで、
ひっくり返したのが、今作品のライター マーク・スウィフトとダミアン・シャノンです。
フレディは初め、ジェイソンの母に化けてマザコンの彼をコントロールしますが、
その手が利かなくなると、
銃で撃ても蚊が刺すほどにも感じないジェイソンを現実世界で倒す事は、
いかなフレディでも無理な相談。
ヒロイン達が病院で睡眠抑制剤を取り合ってジェイソンとバタバタやっている隙を突いて、
ヒロインの仲間の一人の心をのっとり、牛でも倒すほどの麻酔薬をジェイソンに注射し、
ぶっ倒れた瞬間にふたたび彼のこころにダイビングします。
ネタばれ改行です。
そしてジェイソンシリーズ第一作「13日の金曜日」(80)より前の時代に逆戻りし、
シリーズでも明確に描かれる事のなかったジェイソン少年がクリスタル・レイクで
湖の監視員の不注意で死んだいきさつを思い出させ、
水を恐れるトラウマを執拗に攻めてジェイソンを苦しめるという実にフレディらしい
陰険な心理攻撃を掛けます。
(「フレディVSジェイソン」の設定ではボイラー室で焼き殺されたフレディは、
火を恐れると言うことになっています。判りやすい弱点を両方が持っています)
巨漢のジェイソンが見る見る臆病で醜い容姿の少年に逆戻りし、
サマースクールの少年少女達にいじめられて溺死する姿はさすがに哀れです。
彼はその復讐のため、殺人鬼となって蘇るのですが…。
(だから自分の醜い顔を隠すためホッケーマスクをしてます。)
そこへヒロインが自ら飛び込んできて、少年ジェイソンを救い出そうとして、
監視員を乗っ取ったフレディと乱闘になります。
「フレディVSジェイソン」では、後半、
フレディが悪役に徹し、ジェイソンに主人公達が加勢して戦うという、
意外や善悪の立場のはっきりとした戦いになります。
「ゴジラVSビオランテ」で防衛隊の指揮官が
「生き残った方が人間の敵だ」と言いきったような「どっちも悪役」ではないんですね。
対決ものは引き分けになるか、決着の不明の場合が多いのですが、
「フレディVSジェイソン」では、ドラマ的にははっきりと勝ち負けが決まります。
映画公開の時に、見終わって「すっきりした」という感想が多いのはそのためです。
ま、どうせ第1ラウンドの勝敗でしょうから、
ヒットしたのですからすぐ2ラウンド目があることでしょう。
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