「インファナル・アフェア」DVD脚本レビュー

「インファナル・アフェア」映画チラシ★映画基礎データー★
「インファナル・アフェア」
2002年 香港映画
監督 アンドリュー・ラウ アラン・マック
脚本 アラン・マック フェリックス・チョン
出演 トニー・レオン アンディー・ラウ
               

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これは銭になるオリジナル脚本です。
回転のはやい香港映画界で脚本のリサーチと執筆に3年を
かけるというのは異例の事だそうです。
ハリウッドの大手映画社がリメイク権を奪い合い、
史上最高額26億円でワーナーブラザースが落札。
既にブラット・ピット主演で制作が決定しています。
実際にはマット・デイモンとレオナルド・デュカプリオで「ディパーテッド」が
作られましたが。

警官の素性を隠してマフィアに潜り込んだヤン(トニー・レオン)と、
マフィアの手先として警察官になった警部ラウ(アンディー・ラウ)の対決という、
かなりベタなお話です。
予告を見ても派手なカーチェイスもなければ銃撃戦もない、
観光の名所が出てくるわけでもない、もちろんCGもない。
ないない尽くしの地味な内容に見えました。
が、そういう事はドラマの良し悪しの本質を左右するわけでもないんだと
確認できる内容でした。

警察とマフィア双方から送り込まれる二重スパイ、
という設定は冒頭の7、8分の間にカットバツクで登場します。
洒落のめしたカット割、削り込んだセリフ。
ここで若き日のヤンとラウは、
ショーン・ユーとエディソン・チャンというイケメンの新人が演じてます。
どちらもレオンにもラウにも似てないのですが、
これが警官の制服に身を包んで、
過酷な訓練に耐え忍ぶ姿や、マフィアの抗争などの画面がダダダダッッ!!!
と機関銃のように撃ち出され、現在のヤンとラウの姿が出てくると、
レオンとラウの若き日は「こいつら以外に誰が考えられるかよっ!?」
と言うくらいにハマッています。

映画が始まってものの8、9分目、現在の話になった途端、
ヤンの潜り込んだマフィアのボス、サム・ホン(エリック・ツァン)の組織の麻薬取引を
警部ラウの潜り込んでいるウォン警視(アンソニー・ウォン)の特捜チームの追跡がはじまり、ドラマは冒頭即クライマックスへなだれ込みます。
ボスのサムはいち早く盗聴を知って手下どもの携帯電話をすべて取り上げてしまいます。
敵のまっただ中で、連絡の手段を失うヤン。
方や、警察無線ばかりでなく捜査室の部屋の音が相手の携帯から流れてきて、
部屋の誰かが盗聴していることがウォン警視にばれてしまうラウ。
ほとんど同時に双方のボスは、身内にスパイがいることを知ってしまいます。
「この部屋の誰かが敵のイヌだっ」
ラウの身に破滅の危機が、ヤンに命の危機が迫ります。
そしてスパイがいることに気づかれた事を、
なんとか味方に伝えなければ、すべてが終わってしまう。
マフィア達が目を血走らせて、互いを睨みあう狭い部屋の中で、
刑事たちが凍りついたように見つめ合う捜査室で、
どうやって危機を味方のボスに、警視に伝えるのかっ!?

観客はまばたきも出来ぬ心臓バクバクの状態です。(@_@;)
ラウとヤンは知恵を絞って絶妙な方法で連絡をとるのですが、
まさにその瞬間、互いの手の内をふたりは見破ってしまうのです。
逆転、また逆転。
男と男の知恵と度胸が火花を散らし、スクリーンにはじけます。

一体、ハリウッドはこの丁々発止の激突をどうリメイクしようと言うのでしょうか?
ちょっと別のものに置き換えが効く部分がある様には、とても見えません。
細部から全体の構成にいたるまでが、緻密に組みあがったパズルのようなもので、
どこかピースのひとつを引き抜こうものなら、手を入れようものなら全体が崩れそうです。
そこまで完璧に書き込まれた脚本を切れ味見事に演じぬく出演陣。
トニー・レオンは「英雄」でもかっこよかったですが、
ここでも心身症のリハビリを受けつつ潜入捜査を続ける刑事を演じてカッコイイです。
アンディー・ラウの方は実はあまり良く知らなかったのですが、
恵まれぬ境遇からマフィアの道を選び、
ドンの指図で潜り込んだ警察で頭角を現してしまう、という皮肉な役どころを演じてます。
どんなに優秀な警部振りを発揮しても、日の当たる場所に出ることが出来ない孤独…。

男優中心のドラマですので、女優軍はヤンの主治医で恋人になるケリー・チャンを含め、
点描にとどまっていますが、ここぞというところ出て出来ますので要注意。
特にメイ(エルヴァ・シャオ)は本当に2シーンしか登場しませんが、重要です。
ねたばれ改行です。






原題の「無間道」は仏教の八大地獄の中の最後の地獄の事で"終わりなき苦しみの地獄"
というほどの意味ですが、映画の冒頭に紹介されます。
それが最後にも出てきて、そこに死はない。この地獄は永遠に続く、と駄目押しをしています。
若き日、警察学校を追われるヤンの背に教官が鞭打つような言葉を投げつけます。
「お前達、あいつのようになりたいか!?」
その瞬間、若いラウは現在のラウの姿に変わって「なりたい」とうめいて暗転でジ・エンド。
たとえ地獄の底を這い回ることとなろうとも、
彼に代わりたいと慟哭が聞こえるようです。
その男侠に涙してください。


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