「ジャスティス」

「ジャスティス」映画チラシ★映画基礎データー★
「ジャスティス」
2001年アメリカ映画
公式サイト http://www.justice-movie.com/

監督:グレゴリー・ホブリッド
脚本:ビリー・レイ テリー・ジョージ
出演:ブルースウィルス コリン・ファレル
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第二次大戦中も、お終いの頃のドイツ軍の捕虜収容所が舞台のサスペンス・ミステリーです。
捕虜収容所内で米軍捕虜“調達屋”ベッドフォード(コール・ハウザー「タイガーランド」)の殺人事件が起こり容疑者として、
死体の傍にいた黒人将校スコット少尉(テレンス・ハワード「ベストマン」)がドイツ軍により逮捕されます。
収容所長のビッサー大佐(マーセル・ユーレス ルーマニアの舞台俳優)即刻銃殺しようとしますが、
捕虜を束ねる米軍マクナマラ大佐(ブルースウィルス)は、
所長にジュネーブ国際条約に基づく権利として軍事裁判による審判を要求します。

所長は結審までの期間を1週間と区切って開廷を認め、ドイツ兵が陪審員という茶番劇のような軍事裁判が開かれることとなります。
事件の目撃者で元法学生のハート少尉(コリン・ファレル)はマクナマラ大佐からスコット少尉の弁護を命じられしぶしぶ応じますが、
調べる内に、被疑者の無実を確信します。
裁判長を務めるマクナマラ大佐はハートにスコット少尉との面談内容の事前報告を求め、
ハートは当然これを拒否しますが、マクナマラ大佐は兵舎のトイレ下に掘られている抜け道からスコット少尉が鍵の掛けられた夜間の兵舎から抜け出たことを、
法廷で証言させぬ様、ひそかに口止めを命じたりと、通常の軍事裁判とは異なる混迷した展開となります。

 コリン・ファレルは「タイガーランド」にも出演しているそうですが、私は未見です。
お正月映画「マイノリティ・レポート」にも出ている有名人なので、
どんな芝居を見せてくれるか期待して出かけました。
派手さはないのですが、手堅い良い演技をしています。

 バルジ大作戦の前後の時期が舞台です。
前線と後方がひどく接近しており、偽MPに騙されてハートが捕虜になったり、
ハート達の捕虜移送列車が連合軍側の攻撃機に空襲されたりとアクションものの面白さと、
混迷する戦場という二つのテーマを上手いことすり抜けて見せています。
「オーロラの彼方へ」のグレゴリー・ホブリッド監督の手腕は悪くないです。

 原作のジョン・カッツェンバックは「理由」の原作でも知られる人ですが、自分の父親の収容所生活をヒントにこの話を書いたそうです。
 コリン・ファレルは自身が演じたハート少尉も含めて、本作品の登場人物はみな善悪両面を持っている普通の人間で、
だからこそ共感して演じたとインタビューで語っています。
 ハート少尉は政治家の息子で、その恩典にあやかる指令部勤務ですが、それが偽MPに騙されて捕虜になります。
ドイツの親衛隊の拷問まがいの尋問に味方の弾薬庫の位置を白状しているのですが、収容所ではそのことを伏せています。

 マクナマラ大佐は「兵舎が満員だから」とハート少尉を将校の兵舎には入れず、下士官の兵舎に行く様命じます。
「なぜ嫌われるのか?」ハート少尉はマクナマラ大佐にうとまれる理由が当初わかりませんでしたが、
『親衛隊の尋問に耐える事はまず不可能』であることは捕虜達には周知の事実であることを
“調達屋”ベッドフォードから聞かされ、
マクナマラ大佐だけでなく捕虜達のみんながハート少尉の嘘を知っていた事に気付かされます。

 すっかり信用の無いハート少尉にマクナマラ大佐は何故、弁護人を命じたのか? 
更にスコット少尉との面談内容の報告を求めるとは、どういうつもりなのか? 
マクナマラ大佐を理解できずに対立していくハート少尉に収容所長のビッサー大佐が近づき入れ知恵します。

 マクナマラ大佐が祖父の代からの軍人一家で、たたき上げの将校気質丸出しでハート少尉とははじめから気質が違うのに対し、
同じ大学出身で、息子を別の戦場で失いつつも、「戦争なのだから致し方ない」というビッサー大佐の方にハート少尉ならずとも共感してしまいます。
“敵が味方で、味方が敵”なのは単にミステリーのセオリーというだけでなく、
作家カッツェンバックの人間観察のテーマがにじんでいる様に感じられます。
 これはこの作品の長所ですが、同時に短所でもあります。
人種差別から軍人の義務、個人の正義や倫理のあり様まで、
少し詰め込み過ぎではないでしょうか?
その割には、オリジナリティ不足で、一通りのテーマが出そろう全編の丁度真ん中あたりがややダレます。
 ラストに付いては、理屈っぽい解決の仕方ですので、感動できる人とそうでない人に分かれそうです。
私にはちょっと展開に無理があるように思われるのですが。
 手抜きは無く、俳優も監督も一生懸命やっています。
むしろ力み過ぎで、もう少しゆとりのあった方が楽しめたのではないか、という感想です。


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