「刑務所の中」映画製作裏話
★映画基礎データー★「刑務所の中」 2002年 日本映画 監督・脚本:崔洋一 出演:山崎努 香川照之 |
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「ニッポン最後の<秘境>(刑務所)を探検!」
というコピーが馬鹿っぽくて笑えました。
”大ベストセラー、獄中実録コミック「刑務所の中」が遂に映画化!!”
とコピーは続くのですが、安部譲二が昔書いた「塀の中の懲りない面々」が
場所が特定できないのに対し(少なくとも東映映画では)、
この作品は日高刑務所とはっきり判ります。
劇場公開時、劇場のパンフ売り場のカウンターには、
網走刑務所から映画化お祝いに受刑者手彫りのアイヌの民芸品が展示されてます。
劇場で網走監獄みやげ(せんべい、餅)などが好評販売中と公式サイトにありました
が、
買い損ねました。とても残念。
花輪和一というマンガ家は昔「ガロ」で活躍していたそうです。
どうりで知らないわけだ…。今はむしろイラストレターとしての露出度が多そうで
す。
原作コミック「刑務所の中」は
手塚治虫文化賞にもノミネートされていたがこれを辞退したという逸話も残ってま
す。
「ガロ」作家のコケンにかけて文化賞なんかもらわねーぞ、
ということだったら面白いのですが。
崔洋一監督は1993年『月はどっちに出ている』が好きですが、
1995年『マ−クスの山』のような普通のメジャー系映画のメガホンも取っています。
改造銃所持で逮捕されたハナワ(山崎努)。
懲役3年を宣告された彼は、雑居房で個性豊かな4人の受刑者と過ごすことになった。
そこで彼を待っていたのは……告発、脱獄、暴力一切なし、
「刑務所」のイメージを覆す獄中ライフ。
厳しい規律はあるものの、TVは見られるし雑誌だって読める。
お正月にはおせち料理も出るし、食事も忘れることなく3度3度きちんと出る。
真綿でほんわり包まれたような毎日…。
同房の4人、いや4匹との共同生活での他愛無い会話、懲罰房での袋張りの新記録達成
など、
些細な出来事はあるものの、シャバの事象は一切無縁。毎日が静かに過ぎていく…。
共演が香川照之 田口トモロヲ 松重豊 村松利史
斎藤歩 伊藤洋三郎 大杉漣
窪塚洋介 椎名桔平と。
椎名桔平が医者役で出てくるの除けば全員、受刑者です。
(間違いがあればご指摘を)
ほとんどセリフ劇ですが、芸達者がそろってるのであきません。
田口トモロヲさんてNHK「プロジェクトX」のナレーションやってる人だったんで
すね。
他にクロワーズパズルやっていて、捕まる受刑者に「濱マイク」の林海象監督なんか
が出てます。
刑務所モノというとどろどろしたイメージがあるのですが、
「塀の中にも暮らしがあるなあ」と感慨にふけってしまうような内容です。
受刑者同士で刑の重いものがえばってると言う話が出てくるのは、
「塀の中の」だったか「サード」だったか。
殺人犯が恐れられていて、婦女暴行とかが軽蔑されている。
「刑務所の中」ではそれはないですね。
何やってぶちこまれたかと言うのはひととおりでてきます。
麻薬の常習者が反省も無しに「家庭崩壊しちゃうよー」って笑ってる。
むしろドロップアウトした人達の非難場所になってるようで、
それら犯罪者の現実逃避に対してはちくちく批判する視点が演出に感じられます。
不合理な規則詰の生活に付いては、主人公自身が首まではまってしまっていて、
むしろ楽しんでいる様に見えます。
別段警察の官僚主義とかを批判してやろうと言う風には、私には見えなかったです
ね。
刑罰として入ってるんですから、
心地よくちゃいけないので、あの位は当然ではないですか。
以下、小ネタのネタばれあるので改行します。
クロワードパズルで何で捕まらなくちゃいけないのか私にも意味不明でしたが、
どうも雑誌に書き込みをしたのがまずかったらしい。
テレビは見れるし、H本読めるし、
ルーチンワークをこなしていれば3度のメシ付き風呂付き昼寝付きで楽に生きていけ
るんですから。
(実際に昼寝シーンが出てくるのだからなお可笑しい。)
いまどき、新宿のガード下でダンボールハウスに暮らしてるホームレスより、
よっぽど恵まれてます。
「集会」といって菓子と飲み物つきの映画の上映会がありますが、
出られる奴と出られない奴がいるようです。ただうらやましがるだけできちんとした
解説がありませんでしたが、
受刑者は一級から四級までの階級に分けられ、
階級により処遇が異なるそうです。
そういえば肩に階級章のようなものを付けてましたね。
ひとり張りきって、
受刑者仲間の洗濯物たたんだり、たのまれもしないのに窓拭きやったりする受刑者が
います。
警官の方は、別に彼を誉めたりはしないのですが、彼氏はがんばっています。
行刑累進処遇令というのがあって、努力査定により階級が進級できるため、
彼氏はがんばっているのですが、
どうも単に進級したいがため以上の情熱が感じられ、不思議です。
その張りきりぶりで結構仲間に嫌われているようなんですが。
受刑者の食べ物に対する執着と言うのは凄いですね。
みんなして切なげに語る正月料理の美味しそうなこと。
失礼な比較ですが、「ディナーラッシュ」に出てきた創作イタリアンより、
刑務所のメシの方がよっぽど美味そうに見えました。
調子にのった出版社が「刑務所の中のごはん」という本まで出して、
”これぞスロー・フードの代表。嫁入り道具として是非!!”というコピーをつけて
る。
嫁入り道具…にはしてほしくないなぁ。
工場で手を上げて「願いまーす」と叫んで許可を得ないと消しゴム1個拾えない、
というのは事故防止と多分、暴力事件回避の為の工夫なんじゃないかと勘ぐってま
す。
彫刻刀でティシュ箱の飾り箱を彫ってましたが、
傷害犯、殺人犯に刃物を持たせるわけでしょうから。
でもハナワさん同様「ちょっとめんどくさい」ですね。(^_^)
この作品、既にバンクーバーの映画祭にもって行ったそうです。
「ハリウッド映画では絶対に作れない」と馬鹿ウケだったそうです。
「これはお前の毛だぁ」とか部屋の掃除で体毛拾って大騒ぎするあたりカナダ人たち
も
大笑いしたのでしょうか。嬉しいけど恥ずかしい。
ハナワさん、点呼にぼけっとしていて独房行きになります。
1番良い思い出になりそうだ、というモノローグで観客は笑ったのですが、
最近、長引く不況で刑務所は全国的に定員以上の過密状態で、
暮らしにくく、独房でほっとする受刑者が結構いると言う話を聞いたことがありま
す。
原作が書かれてから何年かたっているでしょうから、
今日的状況から少し離れた刑務所暮らしと言う点は押さえておいた方がよさそうで
す。
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