「キル・ビルVol.2 ザ・ラブ・ストーリー」DVD脚本レビュー

「キル・ビルVol.2」映画チラシ★映画基礎データー★
「キル・ビルVol.2 ザ・ラブ・ストーリー」
2004年 日本映画
監督脚本 クエンティン・タランティーノ
出演 ユマ・サーマン

               
独身社会人映画ファンML に入ろう!! [MLの詳細]
メールアドレス


「キル・ビルVol.1」のレビューはこちら

東京でオーレン石井を倒したザ・ブライド(ユマ・サーマン)は、
残る標的を求めてテキサスの荒野に降り立った。
そこにはストリップ・クラブの用心棒をするビルの弟バド(マイケル・マドセン)が
酒浸りの日々を送っていた……。

娘と夫を殺された最強の女エージェント“ザ・ブライド”の復讐劇を描く
クエンティン・タランティーノ監督のアクションエンターテインメント第2弾
「キル・ビルVol.2 ザ・ラブ・ストーリー」です。
テキサスの荒野と中国大陸、メキシコを舞台にマカロニ・ウエスタンの世界が
展開します。
今回は ビル役のデヴィッド・キャラダインも登場し、
サミュエル・L・ジャクソン、ダリル・ハンナが脇をかためます。

タランティーノ監督によれば、
一作目はアクションを見せ、二作目はストーリーを見せる映画だそうです。
一作目の青葉屋でのクレージー88やゴーゴー夕張、オーレン石井との
大乱闘は非現実的で、殺陣と言うよりパフォーマンス・ショーのようでしたが、
二作目はそのような集団乱戦はなく、血しぶきが噴水のように撒き散らされる
こともなく、
かなり地味な印象でした。

殺し屋同士の戦いで、残酷描写はしっかりあります。
もっと陰にこもったマカロニ・ウエスタン調のもので、
ザ・ブライドは棺に入れられて生き埋めにされたりしています。
今回も前作同様、いろんなマイナーアクション映画のパロディはあるのでしょうが、
映像的なパクリというより、
世界観を盗んでくるという感じが強いように思えますので、
出典、引用先がどこかというのは、前作より分かりにくいです。
それだけオリジナルに近いということか。

ビルの弟バドがすっかり落ちぶれてしまっているというのは、
復讐の標的が五人もいるのだから、ひとりくらいそんなのもありか?

片目の殺し屋エル・ドライバー(ダリル・ハンナ「スプラツシュ」)とブライドがもともと
ビルの愛人同士で互いをライバル視している上に、互いに相手が大嫌いという
困った関係。この身長180センチを越すブロンドふたりの“デカ女”対決は迫力あります。
(ユマ・サーマン自身は、“とっても笑えるキャット・ファイト”と言っています。)


ビルの命令でブライドが師事することになる白蓮族の高僧パイ・メイ(ゴードン・リュー)というのが、
今回、半蔵に続いて登場しますが、こいつが年齢900才というお馬鹿な設定で、
“爆発拳王”という異名を持ってます。
金髪と女が大嫌いだそうで、その両方のブライドは文字通りギタギタにいびられます。
―もとい“厳しい修行”を積む羽目になります。
そういえば、その“爆発拳王”は中国でも南の方の人らしく、
ブライドがへたな中国語で挨拶すると、
「その汚らしい北京語は何だ。広東語で話せ」てな感じのことを言って激怒してます。
よく知らないんですが、北京語と広東語って外国語みたいに違うんでしょうか??
「日本語なら知ってます」とうっかりブライドが言っちゃったものだから、
“爆発拳王”はいっそう“爆発”して、
半蔵からブライドが譲り受けた日本刀までコケにして、
「そんなもので斬れるのは馬鹿な日本人のブタどもだけだっ」
わっはっはっはっ、ここまで独断と偏見にみちみちたセリフを立て続けに吐かれると
いっそ気持ち良いです。

とても悟っているようには見えない高僧パイ・メイは何かというと、
仙人のように長々とのばした白髭に手をやるのですが、
その都度、カメラがぐいっと寄るのは大昔のカンフー映画ノリでかなり笑えます。
この人は後にエルの師匠ともなり、彼女が眼帯をしている原因に関係してます。

Vol1観て「つまらん!」「金返せ!」ていっていたヒトが
「今回のVol2もひどかった!不愉快」なんてわざわざ掲示板に書き込んだり、
いろいろ投稿したりする、
こりてるのにまた観にいくとゆう不条理クレーマーが、
わんさか出そうな要素はあります。
Vol1とVol2のずれっぷりが彼らを怒らせずにはおられないのでしょう。

物語としては、結構強引なのだけれど、これはつまり
登場人物たちの感情に合わせてドラマが進行する仕掛けになっているので、
部分部分破綻している展開が、かえって人間味があったり、スリリングだったりする。
そこが、タランティーノ監督の映画の魅力なんでしょう。
ねたばれ改行です。







「あたまを撃ったんだって?俺なら顔を斬るね」







世界観はドラマの進行に従い、どんどん閉じていくのですが、
ビルとの決着の付け方において、かえって謎は謎のまま、
未解決の解決にしておいた方が良かったようにも思えました。
内側に畳み込んでいくと、存外、普通のメロドラマ風になっていっているようでね。
もっとも主役のビルとブライドはどちらも破綻者ですが。

トップページ(映画の日特選、小説と脚本の比較レビュー)に戻る。