「木更津キャッツアイ」DVD脚本レビュー
★映画基礎データー★「木更津キャッツアイ」 2003年 日本映画 監督 金子文紀 脚本 宮藤官九郎 出演 岡田准一 |
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木更津と渋谷の全国二館のみの先行ロードショーで既に興行ベストテン入りしていた
トンでもヒット映画「木更津キャッツアイ」がDVDになって帰ってきました。
全国公開時には「マトリックス レボリューションズ」「キルビル」に続いて第三
位ととんでもなくヒットしました。
21歳にして余命半年を宣告されたぶっさん(岡田准一)。
死の淵から突然蘇って周囲の度肝を抜いてから半年後の夏…
ぶっさんはまだまだ絶好調!
死ぬほど元気に野球とビールに明け暮れる毎日。
大好きなモー子(酒井若菜)とラブラブな大学生のバンビ(櫻井翔)、
飲み屋“野球狂の詩”を営むマスター(佐藤隆太)、
ギャンブル好きのアニ(塚本高史)、
尾行が趣味な謎の男のうっちー(岡田義徳)。
5人は相も変わらずつるんでいる。
高校生の時に甲子園出場を目指していた5人は、
野球チーム“木更津キャッツ”で草野球をする一方、
実は怪盗団“木更津キャッツアイ”の顔も持っている。
私ははじめのテレビシリーズ見てません。
映画は「GO」「ピンポン」のクドカンこと宮藤官九郎の脚本だからこそ見たという
とこです。
ですから、以下の文章は根っからの木更津キャッツファンには激怒しそうな内容かも
しれません。
クドカンの面白さを感じつつも醒めた目で作品を見てました。
“野球狂の詩”で昼間からキャッツ達がビールを飲んでいると、
遠くから木更津伝統の踊り、
“やっさいもっさい”の音が聞こえてくる。
たまらず外に飛び出すと、第1回に引き続き、
第2回ミスター木更津の栄冠に輝いたバンビが、
ノリノリでやっさいもっさいを踊りながら現れる。
一方、元ストリップ劇場の木更津ホールでは、
刑務所から出所した猫田(阿部サダヲ)を店長に、
山口先輩(山口智充)が韓国パブを開店させようとしていた。
その開店に各々の勝負服で駆けつけたキャッツ達は、
チマチョゴリを着たホステスさんたちにモテようと必死
ぶっさんはそこで片言の日本語を話す韓国人の女の子、ユッケ(ユンソナ)と出会う。
ぶっさんたちにしたって、定職についてるのはマスターくらい。
言っちゃ悪いけど、マスターの店“野球狂の詩”というのは、
屋台に毛の生えたような店なんですよ。
劇中に木更津の守り神のような存在として出てくるオジー(古田新太)もアル中の
ホームレスだし、薬師丸ひろ子のやってる、ぶっさんあこがれの美礼先生にしたって、
休職処分くらって自宅に引き篭る問題教師でしょ。
…ネオやザ・ブライドは人類の救済や復讐という大義名分の下に、
悪漢ども相手に大暴れしてますが、しかし、私自身は救世主でもなけりゃ
武道の達人でもありゃしません。
ヒーロー、ヒロインの活躍に溜飲を下げることは出来ても、
感情移入できる相手ではありません。
彼らはあくまでスクリーンの向こう側の世界の人たちです。
誤解を恐れずに言わせて貰えば、
ぶっさんたちは、
肩肘張らずに「馬鹿だね」って笑っていられる友人なのです。
友人だからこそ、湿っぽくなって欲しくないし、
いつでも元気印でいて欲しい。
そんな中、うっちーが死んだはずのオジー(古田新太)を発見する。
昔と変わらぬオジーに、大喜びのキャッツはカレの新しい住居として、
船をプレゼントする。
一方、地上げ屋に狙われている孤児院“甘えん坊ハウス”を救うため、
氣志團(氣志團)が木更津に帰ってくる。
彼らは地元木更津で大規模なロックフェスティバルの開催を計画していた。
そこでキャッツ達が氣志團の前座としてステージに登場することに。
新しいラブソングを作れ、と指令を受けた彼らは新曲作りに盛り上がる。
コメディなんですが、この笑いのレベルと言うのがとんでもなく低い。
韓国パブでチマチョゴリのホステスさんたちを見たぶっさんたち、
「胴短けーっ」て絶叫したりする。
「もえあがぁれ、もえあがぁれ」「ガンダムかお前っ」
吉本が高尚に思えるくらいサムイギャグの雪崩うち。
モー子も彼女と言うより、ペットとおもちゃの間くらいの扱いで、
虐待とは言いませんが、思い切り粗雑に扱われている。
マンホールに落ちたり、海に投げ込まれたり、生傷絶えない役柄ですね。
公開時劇場内では、彼らの一挙手一動が狂ったようにウケまくってます。
お祭りに参加するノリなんだろうなぁ。
ノリといえばロックフェスティバルのぶっさんと氣志團のステージシーンはクドカンさん本人が
演出しているそうです。
クレーンを縦横に走らせてなかなかのノリです。
野球に見立ててドラマの進行に表裏を作って、
フィルムの巻き戻しをかけるのがキャッツのスタイルだそうです。
演出的にはインパクトがありますが、便利に使ってしまうと、
脚本の書き方としては反則ですね。伏線も構成もいらなくなってしまいます。
そうならないように書いている官九郎さんはやっぱり並の作家じゃありませんが。
哀川翔・命のぶっさんは映画館で、
哀川翔主演映画を観ながら日本語の勉強をしているユッケと再会する。
そしてひょんなことから一緒に伝説の赤い橋を渡ることになった2人の距離は、
急速に縮まることに。
一方、美礼先生(薬師丸ひろ子)は高校時代の憧れの人から手紙を受け取る。
やっさいもっさいがめっぽう上手く、
その笑顔を見ると誰もが幸せな気分になれるという通称“微笑みのジョージ”。
美礼先生はジョージとの結婚を宣言して一同を驚かせるが、
その微笑のジョージ(内村光良)が木更津に現れる。
プロデューサーの磯山晶(女)さんは67年生まれの上智大卒。
TBSには90年入社で、
これまで官九郎さんと「池袋ウエストゲートパーク」「木更津キャッツアイ」を作って、
「マンハッタンラブストーリー」を放送しました。
なんでも試写の折には磯Pさん
「視聴率悪くて会社に怒られた事とか、よくぞここまで来たなあ、奇跡だなあって
ちょっと泣けた」そうで、“語るは涙、聞くは笑い”のプロデューサー哀話であります。
フジでやっていた連続「僕の生きる道」を結構まじに見入っていたそうです。
木更津キャッツも主人公は、死を背負っているわけだし、
シリアスに作れば「僕の生きる道」の群像編になるらしい。
それは自分達の方法論とは別のものと割り切りドラマを作ったそうです。
磯Pさんは「木更津キャッツアイ」の続きをTVスペシャルか、映画か、
でいくかの話をする上で
「ヘドヴィク・アンド・アングリーインチ」の渋谷でのヒットを例に挙げてます。
“あんなカルトな映画があたってる。
だから不特定多数の人から視聴率とらなきゃならないメディアより、
分かる人たちに劇場に来てもらってそこで上映するスタイルがキャッツにはふさわしい。“
「ヘドヴィク」は映画ファンに支持されたけど、キャッツは無視された。
これは映画とライブをごっちゃにした主張だからでしょう。
「木更津キャッツアイ」はもし可能なら、
ライブとして舞台で見せるべきものでした。
それは映画とは似て非なるものです。
ドラマでは死を連想させる話題に踏み込むと登場人物たちがためらったのですが、
映画の冒頭で医者に「また半年」といわれてぶっさんは、
仲間の手前もう伸ばせねえなどといってます。
やっぱりスタートの時点でドラマとはテーマが変わってきてしまってますね。
生死の話でなくて“ぼくらはみんな生きている”でしょうか。
磯Pさんははじめ「男の子が一杯出てきて主人公が死んじゃう青春群像劇」
と言う企画で話をまとめて欲しいと官九郎さんにもちこんだそうです。
なるほど女性の考えることだけあって、
“少年”にたいして偉いロマンを感じていらっしゃる。
官九郎さんはヤローだから、「わはははっ」と書いている。
(あ、これ悪口じゃないです。)
仮題のときは「西船橋死ね死ね団」というタイトルだったそうです。
高校野球の激戦地でスカッと空の高い場所、というんで木更津に。
キャッツアイはCAT‘S EYEの漫画家
北条司先生にタイトルの使用権許可を頂いているそうです。
死ね死ね団のままではとてもじゃありませんがヒットしなかったでしょう。
蛇足ですが
あとはネタばれ改行です。
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無人島とラストの怪獣はさすがに脱線のしすぎ。
あれはなくてもうっちゃんが爆弾しかけて、ルパンみたくバタバタするあたりで
十分変です。
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