「LIMIT OF LOVE 海猿」DVD脚本レビュー

「LIMIT OF LOVE 海猿」★映画基礎データー★
「LIMIT OF LOVE 海猿」
2006年 日本映画
監督 羽住英一郎
脚本 福田靖
主演 伊藤英明

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潜水士となって早2年。海上保安官である仙崎大輔(伊藤英明)は、
鹿児島・第十管区に異動となり、機動救難隊員として海難救助の最前線で働いていた。
恋人・伊沢環菜(加藤あい)とは将来を意識しながら、遠距離恋愛を続行中。

さまざまな経験を経て、ひと回り大きくなった大輔だったが、
成長したことで知る重みや苦しみもある。
それが原因で環菜との仲もギクシャクし、心は複雑に揺れていた。
そんななか、鹿児島沖3キロで大型フェリー・くろーばー号の座礁事故が発生。
バディの吉岡哲也(佐藤隆太)たちと現場に駆けつけた大輔は、
そこで驚愕の光景を目撃する。

凄まじい早さで浸水を始め、傾いていく船体。
9階建ビルに匹敵する船内には195台もの車両が積載されていて、
引火すれば大爆発の危険が。しかも非常用システムはすべて破損している。
そして、パニックを起こして逃げ惑う620名もの乗客。
そこには、偶然にも船に乗り合わせていた環菜の姿が!
4時間後、船は沈没する。

―というわけで、「海猿」劇場版パート2であります。
映画第一作『海猿』(2004年6月12日東宝系公開)は、
興業収入17億4千万円の大ヒット。
続くドラマ『海猿 EVOLUTION』(2005年7〜9月・フジテレビ系列)は
ドラマ満足度調査(オリコン7月期調査)で第1位を獲得、
DVDも好セールスを記録。
で、今作品『LIMIT OF LOVE 海猿』は、
海猿プロジェクトのファイナルを飾る映画という位置づけがされています。

もともと体育会系筋肉ドラマの海猿でしたが、
今回は完結編ということで変に間口を広げず、
フェリーの沈没一本に話を絞って突っ走ったところが、
日本映画離れしていてあっぱれでありました。

半月遅れで公開の始まったハリウッドのパニック映画「ポセイドン」と並べれば、
セットや特撮はしょぼくてセコいといわざるを得ませんが、
理屈をこねないでハリウッド映画みたいに、
クライマックスだけで成立しているこの作品を応援したいところです。
キャラクターは一作目の映画とテレビシリーズで脇役に至るまで、
しっかり立ってますし、テーマは?
仙崎が走れば、すなわちドラマが走り出します。
いったいこれは何の話か?
などといまさら考えるまでも無く、主人公とドラマとテーマが一体になってるわけで、
そこがシリーズものの強み、
一気呵成に見せる事に徹した作劇と映像は分かりよくてよかったです。

聞けば海上保安庁の海上保安官の就職希望が二割も増えて、
保安庁として『海猿』スタッフに
感謝状を贈ったとか。
日の当たらぬ職種にスポットライトを当てて、世に問うのも
コミックや映画の立派な社会使命のひとつです。
(そういえば「日本沈没」も陸上、海上、航空、全自衛隊参加の
日本初の防衛庁「支援」映画だそうですけど、
自分の方から売り込んではしょうがないですね。)
ネタバレ改行です。



ドラマにひねりがないかというと、そうではないですね。
1時間57分の映画で、1時間半以上をつぎ込んで、
沈む船からの脱出劇を見せ、カーデッキからいくつもの隔壁を経由、
どうにか煙突の真下までたどり着いたところで、
無情の総員退去命令に次いでフェリーは轟音もろとも横転沈没。
すべては終わった…、
と見えた瞬間、
海猿たちは反転、沈没点へ急行する。
この大返しの部分が本当のクライマックスで、
ロケに動員された艦船、航空機がわわっとひとつ残らず大旋回する情景を
大画面フルショットで見せ、待ってましたとばかりにテーマ曲が轟く。
考えてみれば、
潜りの専門家である彼らが沈没した船から人命を助ける話は、
これまでも散々見てきたはずですが、
なぜか船は沈んだらお仕舞いというへんな思い込みに捕らわれていた事に、
観客は気が付かされるわけです。
海の底にでんぐり返って、すっかり静かに、大人しくなったフェリーめがけて、
やんややんやとダイバー達が殺到する姿に溜飲が下がりました。
水戸黄門ではないですが、
最後の最後に得意のパターンでオチを持ってくるとは
上手い見せ方です。

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