「リンダ リンダ リンダ」DVD脚本レビュー
★映画基礎データー★「リンダ リンダ リンダ」 2005年 日本映画 監督 山下敦弘 脚本 山下敦弘 向井康介 宮下和雅子 出演 ペ・ドゥナ 前田亜季 香椎由宇 |
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とある地方都市にある芝崎高校。全体的に取り柄のないこの高校の唯一の目玉は、
学生数の多さにあぐらをかいたような派手な文化祭・ひいらぎ祭だ。
文化祭前日
恵、響子、望の3人は途方に暮れていた。
高校生活最後の文化祭に向けて、
結構なギターソロありのオリジナル曲を作って練習を重ねてきたのに、
ライブまであと3日という時になってギターの萌が指を骨折、
ブチ切れたボーカルの凛子まで抜けてバンドが空中分解してしまったのだ。
残ったメンバーだけで演奏できる曲を探していると、
たまたまかけた一本のテーブから聴き覚えのある曲が流れて来た。
♪ドブネズミみたいに美しくなりたい
「!!!」次の瞬間、3人は「リンダリンダ〜」と飛び跳ねていた。
「これなら私もギター弾ける!」などと、
デカイことを言っている本来はキーボードの恵。
早速ボーカル探しが始まった。
凛子にも一応声をかけたものの、
「やって意味あんのかな」という反応にカチンときた恵は、
その場の勢いで側を通りかかった韓国からの留学生・ソンを誘う。
「ソンさんバンドやんない?」わけがわからないながらも威勢よく「ハイ!」と返すソン。
なんとかメンバーが揃った。でも・歌えるのか?ソン。
意外にもソンは初めて聴くブルーハーツに涙を流していた。
各自練習を始め、翌朝、部室で音を合わせてみると……これはヒドイ。
女子高生バンドのキャストが面白いんで、映画館へ出かける気になりました。
ボーカル ソン『ほえる犬は噛まない』『TUBE』の韓国女優ぺ・ドゥナ
ドラム 響子『バトル・ロワイアル』シリーズの前田亜季
ギター 恵 『ローレライ』の香椎由宇
ベース 望 ロックバンドBase Ball Bearのベーシスト・根史織
…と、こんだけ面子がそろえば面白くないわけがないでしょうというんで、
実際面白かったです。
『どんてん生活』『ばかのハコ船』『リアリズムの宿』の山下敦弘という28歳の若い監督さんがメガホンを取ってますが、
まったく知らない人でした。
女子高生と音楽というんで、「スウィング・ガールズ」と比較する書き込みが映画の
掲示板にかなり見られましたが、二つはまるで違う作品でしょう。
「スウィング・ガールズ」はジャズはおろか楽器そのものを手にするのも初めてな
女の子たちが自己実現の方向性をも模索する話。
「リンダ リンダ リンダ」はもともとバンドをやっていて、
自分の言葉として楽器で音楽を語ることの出来る女の子たちの話。
テーマは、そうだなぁ、「スウィング・ガールズ」がラストの演奏会にカタルシスがあって、
達成感がエンディングにあるのに対し、
「リンダ リンダ リンダ」はラストの演奏会は通過点…、
卒業って言う別れの予感のある女の子たちのいまひとときの高揚がテーマかな。
どちらも十代の青春映画ですけど、かたや出会いのときめき、ドキドキする思いが
綴られてるのに対し、もう片方は別れの痛み悲しみを内包してます。
「リンダ リンダ リンダ」は四人のバンドメンバー以外に軽音楽部のメンツたちが
レギュラーの登場人物としてぞろぞろいるわけで、
「スウィング・ガールズ」が周囲も含めて素人集団であったのと対照的です。
監督は恵と喧嘩中の凛子(『チルソクの夏』三村恭代)や、
その原因となった萌(ボーカリスト・湯川潮音)。
舞台に現れない四人のためにラストで穴をふさぎに活躍する田花子
(池袋系B級Hバンドme-ismの山崎優子)らには
「最後の学園祭、終われば君らは卒業なんだ」ということを
繰り返し語り、いっぽうで香椎由宇らの前では一切「卒業」という言葉は吐かなかった
そうです。
主人公たちのバンド「パーランマウム」(「ブルーハーツ」のハングル語訳)は、
青春の終わりに向かって疾走するのだけれども、当の本人たちはそのことを
まったく自覚していない、という演出がされているのです。
文化祭1日目
色とりどりの垂れ幕や出店が並び、賑わう校内。
ドラムの響子のクラスのクレーブ屋も繁盛している。
隣に立つ一也にドキドキしながら店番をこなしていた響子だったが、
練習時間に遅刻し、部室が使えなくなる。
4人は恵の元カレ・トモキが手配してくれたスタジオヘ向かった。
恵とトモキのやりとりをニヤニヤと覗くソン。
どうやらソンは他人の色恋沙汰が好きらしい。
夜。誰もいない学校に忍び込んで練習するが、
大きな音を出せないのでほとんど意味がない。
自然と笑いもこぼれる。
普段はクールなベースの望が眩いた。
「こういうときのことって結構忘れないよね……」しばしの沈黙……そして爆笑!
「なに、ひたっちゃってんの、こいつ!」空は徐々に明るくなってきた。
「リンダ リンダ リンダ」の最初の脚本が02年角川の映画新人発掘コンテスト
第一回日本映画エンジェル大賞の大賞を受賞したときは、
「ブルハザウルス17」というタイトルで、
陸上部のホープだった恵と性的妄想からバンドに引き込まれる田花子の
女の子ふたりの少女漫画風友情物語だったそうです。
当時の脚本に登場するブルーハーツの曲は十五曲。
音楽使用の権利関係から換算しても制作費は三億以上になることが予測され、
根岸プロデューサーらは、映画制作のための会社COVERS&COを立ち上げます。
監督探しは難航。結局、03年、脚本をいったん白紙にして
プロットから練り直し「リアリズムの宿」の
山下敦弘に白羽の矢が立ちます。
山下監督より学園祭とその前の数日間のドラマとしてはどうか、というミニマムな
提案から企画が一気に立体化。
04年に入りキャスティングが進行、2月、監督とプロデューサーで見たライブの帰りに
下北沢の駅構内でベースを背負った制服姿の関根史織と遭遇。
3月、香椎由宇と面接。
監督よりボーカルを韓国女優ぺ・ドゥナにしてはどうかというアイディアが出る。
4月「子猫をお願い」のプロモートで来日中のぺ・ドゥナに面会、韓国語の企画書を渡す。
その時、イヤホンで「リンダ リンダ リンダ」を聞いてもらったところ、
ぺ・ドゥナ、笑い出す。
配役候補に合わせて脚色が進行するとともに響子、凛子役のオーディションに既に決まっているキャストも参加。
同じバンドとして絵になるかどうかも吟味される。
響子役が最後まで決まらないが、前田亜季のプロフィールの特技欄にドラムと
あることを発見。芝居をあわせてみると絶妙であることに気づかされ決定する。
8月に群馬の高校野球で有名な県立前橋工業高校で全面ロケーションが決まり、
9月にクランクインしてます。
文化祭2日目
文化祭の熱気が人を衝き動かすのか、ソンは2年生の裕作から告白される。
今度はソンが覗かれる番だ。
みんなソンをからかっていたが、
響子は勇気を出して告白した裕作の姿になにかを感じていた。
夕方、望の家で手料理を囲む4人。
望の中学の卒業アルバムには同級生だったらしく一也が写っている。
一也の写真犀見入る響子を、ソンはアドバイスなのか、
はたまた、ただの興味なのか「好きだと言ったほうがいい」と煽る。
勢いづいた響子は一也に電話をかけ明日のライブ前に会う約束をした。
夜はまた学校へ。ソンは一人でしんとした校内を歩き回る。
こんなかたちで日本人の女の子たちと仲良くなるなんて思ってもみなかったけど、
一昨日からとても楽しい。
先生の許可ももらい、思い切り音を出してのバンド練習。
だいぶマシになってきた。
明日は本番。文化祭最終日
体育館ではライブの準備が着々と進んでいた。
4人はスタジオに行くが、疲れがビークに達して練習にならない。
みんなうつらうつらとしている。
会場では、出番間近になっても現れない4人を心配して、
萌と留年している田花子が時間つなぎに歌を歌う。
聖歌隊で歌っていた伸びやかな萌の歌声と、
酔いどれのようにも見える田花子の歌声にステージのボルテージは上がっていく。
一方、スタジオで眠りこけていた4人が目を覚ましたのは本番開始時刻だった。
慌てて飛び出すと、外はどしゃ降りの雨。
ずぶ濡れになりながら走り、なんとかギリギリ間に合ったものの、
オーディエンスの熱気に4人はおののく。
が、もう引き返せない!
4人は腹をくくってステージに立つ。
彼女らはみんな3年生だから、出てくる男子たちも2年生以下は直立して
「先輩」と声を掛け、彼女らの方も「おうっ」てな感じで答えている。
音楽やってる人たちは上下関係がはっきりしていて、体育会系に近いですね。
女の子同士の友情って言ったってべたべたしたモンじゃないです。
恵と凛子のように、容赦なしに喧嘩もするしで傑作です。
リンが面白いですね。
留学生といっても普段はほとんど一人ぼっちだったんですが、
バンドの一員にさせられて、無理やり友情を育むことになる。
互いに何言ってんだか半分くらいわかんないまんま。
男の子も結構たくさん出てくるんですけど、悪意ではないんだけど
かなりしらけた感じに描かれいてます。
やっぱり女の子主体の話なんで、男子は分を守って脇を勤めてる。
「珍しくハッピーエンドですね」って言われた監督が、
インタビュアーに
「ラストの人気のなくなった校舎を撮りながら、彼女らはこのあと
ばらばらになっちゃうんだろうなと思ってとても寂しかった」と答えてます。
にこにこ笑ってハッピーエンド、という映画ではないんですね。
だからラストは雨なんですね。それも叩きつけるような土砂降りです。
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