「リトル・ミス・サンシャイン」
★映画基礎データー★「リトル・ミス・サンシャイン」 2006年 アメリカ映画 監督 ジョナサン・デントン ヴァレリー・ファリス 脚本 マイケル・アーント 出演 アビゲイル・ブレスリン |
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アリゾナ州に住むオリーヴ・フーヴァー
(アビゲイル・ブレスリン「プリティ・プリンセス/ロイヤル・ウェディング」)の夢は、
ビューティー・クィーンになること。
小太りの眼鏡っ子にもかかわらず、美人コンテストのビデオを研究する日々だ。
オリーヴの兄ドウェーン(ポール・ダノ)は自室にこもって、
日課とする筋肉トレーニングをするのに余念がない。
そして、一家と同居するグランパ(アラン・アーキン「ファイヤーウォール」)は
バスルームに閉じこもり、ヘロイン吸引で夢見心地となっている。
平穏とは呼びがたいフーヴァー家の主婦シェリル
(トニー・コレット「シックス・センス」「イン・ハー・シューズ」)は、
夫リチャード(グレッグ・キニア「恋愛小説家」)の反対にもかかわらず、
自殺未遂で病院に入院していた兄フランク(スティーヴ・カレル「40才の童貞男」)を
自宅に連れ帰る。
退院時に医者から「フランクから目を離さないように」という指示をされたシェリルは、
彼をドウェーンの部屋に落ち着かせる。
他に選択の余地がない長男は肩をすくめてルームシェアを了承。
部屋に巨大なニーチェ画を飾っている彼は
空軍士官学校に入学するまでは沈黙を守り通すと誓っているらしいが、
落ち込んでいるフランクにとってはたいした問題ではない。
リチャードが帰宅し、夕食の席に家族が集まる。
卓上のフライドチキンを見たグランパはいきなり不機嫌になり
「毎日チキンはうんざり!」と大声で当たり散らすが、誰も耳を貸さない。
騒々しい食卓についたオリーヴが
叔父の手首に巻かれた包帯を見て怪我をした理由を尋ねたところ、
またもやひと騒動が持ち上がる。
義兄の自殺未遂を隠したいリチャードを
「すぐにバレることだから」と制したシェリルは、
フランク自身に自殺に至った顛末を語らせる。
大学でプルーストの研究をするフランクは
ライバルに恋人を奪われたことにショックを受け、手首を切った挙句、
仕事を失っていたのだ。
ゲイであるフランクをグランパが「ホモ野郎」と呼び、
“負けを拒否する!”
をモットーとするモチベーション・スピーカー(成功論提唱者)のリチャードは、
フランクを「負け犬」と決めつける。
リチャードは、自身が考案した9ステップ・プログラムを出版社に売り込み、
ベストセラーを狙っているところなのだ。
超楽観的でうさんくさい人生哲学を朗々と語り始める義弟にフランクは呆れ顔だ。
隣で黙々と食べている甥に「いつもこうなのか?」と尋ねると、
ドウェーンは取り出したメモ帳に「家族なんて大嫌い」と書き殴る。
楽しいはずの夕食の席に不穏な空気が満ちてきたことに気づいたリチャードは、
妻と娘に留守電メッセージが入っていたことを告げる。
父親がもらした「サンシャイン」という言葉に興奮したオリーヴが
早速メッセージを再生すると……。
「リトル・ミス・サンシャイン」コンテスト地方予選の優勝者が失格となり、
繰り上げ優勝となったオリーヴが
カリフォルニアのレドンド・ビーチで行われる決勝出場資格を得たというのだ。
狂気乱舞するオリーヴだが、
フーヴァー家にシェリルとグランパの分の飛行機代を捻出する経済的余裕はない。
自殺傾向のあるフランクを高校生のドウェーンとともに残しておくこともできず、
一家全員がおんぼろのフォルクス・ワーゲン・ミニバスに乗り込んで一路、
カリフォルニアを目指すことに!?
ただでさえギクシャクする家族だから狭苦しいミニバスのなかで早速、
口論がスタート。
しかも車が故障し、押しがけスタートでしかエンジンがかからなくなってしまう。
前途多難なフーヴァー一家は果たしてカリフォルニアまで無傷でたどりつけるのか?
そしてオリーヴはビューティー・クィーンの栄冠をゲットすることができるのか?
無名の新人マイケル・アーントのオリジナル脚本からなる本作は、
当初、『40歳の童貞男』で人気上昇したスティーヴ・カレルの新作ということで、
ハリウッドのディール・メーカーの関心をひいた程度で、
一般には受けぬものと考えられていたようですが、
2006年のサマー・シーズンをサプライズ・ヒットで締めくくっています。
監督はジョナサン・デントン&ヴァレリー・ファリス夫妻。
ふたりは、ミュージック・ビデオやコマーシャルの世界で
そこそこ知られたクリエイターらしいですが、劇場映画の監督を務めるのは初めてです。
制作に五年も掛かったようですね。
しかしサンダンス映画祭での上映は観客のスタンディング・オベーションが
あったほどの成功で、配給権契約金は同映画祭史上最高額にまでハネ上がった
といいます。
東京国際映画祭のティーチインで、ジョナサンとヴァレリーは
物語のヒントになった出来事はありますか?と問われて
ヴァレリー「私たちにも3人の子供がいますので、自らの経験もあります。
旅行の思い出というものは、
目的地_たとえばグランドキャニオンとか_での出来事よりも、
そこに至るまでの道のりにこそあるものです。
そして、ワーゲンのミニバスに関することは、
すべて脚本のマイケル・アーントの実体験によるものです。」
と答えています。
ファミリー・ドラマとロード・ムービーをミックスさせた脚本の着想は、
これまでありそうでなく、その点は素直に良かったと思いますね。
ロード・ムービーは赤の他人、敵対する者同士を強引に一緒にさせる
装置として使われる事が多いですから。
それにしてもあの家族のメンバーの組み合わせというのは、
どういうところから出てきたんですかね。
ちょっと感動的なくらいバラバラで、
この人たちがどうして家族でいられるんだろうというくらい。
フーヴァーファミリーのなかで自分に似ているキャラクターは?
という意地悪な質問に
ジョナサンは「リチャード(超アグレッシヴな父)」と答えています。
「諦めない(never give up)なところが似ている」
ヴァレリーは「ドウェーン(ニーチェを愛読し沈黙の誓いを立てる長男)。
私もティーンの頃、“逃げ出したい”と思っていたから」
こういう話を聞くと、ある感情の昂ぶりをひとつの人格に見立てて、
それぞれのキャラクターを書き起こしたようにも思えますね。
で、彼らの目指す先にあるのがミスコンというのもいまふうですが、
…しかしミスコンねぇ。何かと問題の多いもんをゴールにもってきたものです。
「今回、ミスコンのシーンには本当のミスコン参加者をキャスティングしています。」
とジョナサン。
「…個人的には子供のミスコンには感心しないけど。
競争社会の最たるものだと思います。この映画には、二つの価値観が登場します。
ジャッジされない人生もある、ということを、この家族は教えてくれると思います」
この作品を「機能不全に陥った家族の再生だ。」と紹介した映画サイトが結構あります。
なるほど美少女コンテストへ向かう旅路でさまざまなハプニングに遭遇するうち、
互いに理解しえないと思い込んでいた家族の心が徐々にほぐれて行き、
そして思いがけない形で一家が団結することになります。
けど、それが家族の再生なんでしょうか?
和解ではあっても、問題は何も解決してないのではないでしょうか?
この話は始めから解決などは目指していないのだと思ったのですが。
成功し勝者となることが絶対とされる現代社会において、
敗北することによって得られる何かがあると伝えてくれる非常に
エモーショナルな展開ですが、
随所にはさみこまれた皮肉なユーモアがピリッとしたスパイスとなり、
泣かせるのが目的といった作品とは一線を画しています。
余談ですが、アビゲイル・ブレスリンはオリーヴに扮する際に、
剣道の胴着のようなプロテクターを中に着込んで肥満の幼児体型に見せていたことが
メイキングビデオで確認できています。
顔からはみ出すくらいの大きなメガネを掛けてまるでアラレちゃんみたいですが、
素の彼女はもっと普通に美少女のようですね。
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