「ザ・マジックアワー」

「ザ・マジックアワー」映画チラシ■作品基礎データ
「ザ・マジックアワー」
2008年 日本映画
監督脚本:三谷幸喜
出演:佐藤浩市 妻夫木聡
               

mixi(ミクシー)「独身社会人映画ファンコミュニティ」に入ろう!

「命が惜しければ、五日以内に幻の殺し屋を見つけて来い!」
街を牛耳るボス(西田敏行)の愛人(深津絵里)に手を出してしまった手下の
備後(妻夫木聡)は、命を助けてもらう代償に、
伝説の殺し屋デラ富樫(でら・とがし)を探し出すことを約束する。
だが期日が迫っても、デラは見つからない。
窮地に陥った備後が取った苦肉の策とは、無名の俳優を雇い、
殺し屋に仕立てあげることだった。
かくして三流役者村田大樹(佐藤浩市)は、二つの組織がしのぎを削る、
その港町(守加護・すかご)へとやって来る。
すべてを映画の撮影と思い込み、幻の殺し屋になりきって。

東宝暗黒界のボスの愛人に手を出した男が、
命を助けてもらう代償に伝説の殺し屋を探し出すコメディー・ドラマです
三谷幸喜が脚本と監督を務め、しがないギャングの苦肉の策を描きます。
映画監督のふりをして無名の俳優を幻の殺し屋に仕立て上げようとする、
お茶目でお馬鹿の愛すべき“無名俳優”村田大樹に佐藤浩市。
口から出るのはでまかせばかり、その場しのぎの小ずるい男に妻夫木聡。
暗黒街の顔役に西田敏行。
三人の男(佐藤、妻夫木、西田)を翻弄するファム・ファタール=魔性の女に深津絵里。
そして妻夫木のことを秘かに慕うクラブ従業員夏子に綾瀬はるかの配役です。

三谷幸喜の映画監督デビュー作は「ラヂオの時間」(97・唐沢寿明 西村雅彦 鈴木京香)
でした。「ラヂオの時間」は、国内の映画各賞を総なめにし、
ベルリン映画祭では審査員特別表彰を受賞しました。
2作目は、「みんなのいえ」(01・唐沢寿明 田中邦衛 田中直樹 八木亜希子)。
家を建てるという自らの体験を基にしたホームコメディーは、
100万人を動員する全国的大ヒット作品となりました。
そして、4年の時を経て三谷が取り組んだのが「THE有頂天ホテル」。
大みそかのホテルを舞台にしたオールスターキャスト作品。
観客動員470万人、興行収入60.8億円という日本映画史に残る快挙を成し遂げ、
三谷監督作品の人気は不動のものとなりました。

この「マジックアワー」勿論面白かったですが、
ですが、私自身は前作「THE 有頂天ホテル」の方が好きです。
三谷幸喜自身は、本作を最高傑作といっています。
宣伝文句かもしれないですが、
映画監督は辞める気でいたのを撤回した、ともしゃべっているので、
何か思うところがあったようです。
その意味を推測しますと…。
前3作は“現実にあるとある現場”に集まってきた人々の珍騒動。
であったのに対し、「ザ・マジックアワー」では、
現実ではありえない場所にやってきた非現実的な人々の珍騒動、です。
ラジオ局、新築マイホームの建設現場、大晦日のシティホテルと過去作品は、
現実にある場所ですが、
新作では「守加護」というジャングが地元の警察以上に力を振るう架空の港町です。
やくざでなくてギャング、というのは日本が舞台では変ですし、
映画の撮影だというニセ監督の言葉を信じて、カメラも無い街中やギャグのアジトで、
大立ち回りをやってしまう無名俳優、というのも非現実的な人物です。
アニメでも成立しがたいような世界を、スクリーンの中で実在するものとして、
ドラマを進め、コメディとして成立させる、というのは相当な力技です。
それを今回、三谷監督はある程度成功させています。
創作物では、映画に限らず“日常の中の非日常”を描くのは様々な方法論がありますが、
その逆、“嘘八百の中で真実を見出すこと”を描くのは大変です。
ファンタジーやSFではなしに普通のドラマとして
作家の創作の世界をここまでぬけぬけと描ききったものは、
邦画ではあまり例を知りません。
それだけに、三谷監督が自信を感じたとしてもさほど不思議ではありません。

タイトルの「マジックアワー」とは、
映画の専門用語で、夕暮れのほんの一瞬を指します。
それは、一日のうちでもっとも空が綺麗に写る時。
太陽が地平線の向こうに落ちてから光が完全に消えてなくなるまでの
わずかな間にカメラを回すと、淡い光に包まれた、
幻想的ないい画が撮れると言われています。
つまり「マジックアワー」は、一日のうちで、
世界がもっとも美しく見える瞬間でもあるのです。
ニセ殺し屋の話と映画用語、いっけん何のつながりもないように見えますが、
そこは三谷監督、ラストできっちり落とし前をつけています。

「THE有頂天ホテル」では、架空のホテル、
ホテルアバンティのセットの1階フロアをまるごと作り上げたそうですが、
今回の物語の舞台になる港町・守加護(すかご)も
三谷の頭の中にイメージされた架空の町でモデルなどないので、
!町もゼロから東宝スタジオの日本最大のステージ3つに、
守加護のメインストリート、
波止場、備後(妻夫木)が支配人を務めるステージ付の高級クラブなどが作られます。
「キル・ビル Vol.1」「不夜城」「THE有頂天ホテル」などで、
日本が世界に誇る種田陽平が手掛けています。

主役の売れない役者・村田を演じる佐藤浩市さんは、
自分の役やこの作品について次のように語っています。
「コミカルな役やコメディタッチの作品は経験がありますが、
頭から喜劇と銘打ってやったのは、これがはじめてだと思います。
最初に脚本を読んだときはお客さんの気分でひたすら笑ってましたが、
いざ演じるとなるとそれ以上におもしろくしないといけない。
ぼくにとってはハードルが高い作品になると思いました」
「笑いに関しては三谷さんの専門分野なので、おまかせしていました。
それに監督は、頑固なのでね(笑)。
自分ではやりすぎちゃったかな、と思っても大丈夫だったり、
コメディはすごく加減が難しい。
周りには西田敏行さんをはじめずっと喜劇をやってきた方たちがいましたから、
ずいぶん助けられました。
それと今回のセットが、
映らないタバコ屋の売り物ひとつにもまったく手抜きのないものだったんですね。
それは美術さんから演者に投げられたボールであり、
叱咤であるわけで、自然と身が引き締まる思いがしました」

村田は崖っぷちにいる役者ですが、映画に対する愛情は絶対に手放さない。
映画館で大好きなギャング映画を幾度も観ては胸を熱くし、
宝物は由緒ある撮影所で見つけた、名優たちが使ったかもしれない毛布の切れ端。
そんな村田のキャラクターがあればこそ、思い切り笑ったあと、
心の芯がじんわり温かくなるような不思議な感触のコメディが生まれたのではないでしょうか。
「そう思っていただければありがたいですね。
比べるのもおこがましいけれど、村田は寅さんなんですよね。
見ているとハラハラするのに、なぜか憎めない。
自分にとっては、これまであまり演じたことがない役柄でした。
これは人を傷つけたり、下世話なことで笑わせる映画じゃない。
胸がしめつけられながらも、
いい気分になって映画館を出ていただける作品になっていると思います」

まるで往年のハリウッド・コメディーをほうふつとさせるような華やかな雰囲気で
始まる『ザ・マジックアワー』。
そんな本作の背景には、三谷監督本人の洋画好きも関係しているようだ。
監督は作品の世界を立ち上げるに当たり次のように考えたと答えています。
「僕は昔洋画がすごく好きだったんです。
日常とはまったくかけ離れた、全然違う世界に連れて行ってくれるから。
でも邦画だって、それができないわけじゃない。
僕が作らなければいけないのは、日常からちょっとだけかけ離れた、非日常的な、
アンリアルな不思議な世界を作ろうという気持ちが大きかったんですよね。
だから、この映画は普段邦画を観ないような方に観てもらいたいなって思うんです」
「2時間大笑いする映画って観たことない。
でもそれって舞台だとあるんですよね。
舞台でできて、映画でできないことはないだろうと思って作ることを決めたんですが、
実際はとても難しい。
舞台はお客さんが目の前にいるから、お客さんの反応を見ながら作れるけど、
映画はそういうわけにはいかない。
1年後のお客さんを想定しながら作らなければいけないので大変でした」
スクリーンの前の観客を思いながら作ったという三谷監督ですが、
現場はとにかく楽しんだそうです。
「今回の作品は本当に面白くて、監督しながら現場でいつも笑っていましたね。
脚本を書きながらも、大笑いしちゃうことがあったんです。
それが、今度現場で役者さんが話しているのを聞いたらさらにおかしくて。
本当に楽しかったですね」
「役者さんの細かい演技が面白いんですよ。
僕は、佐藤さんがすごい面白いセリフを言ったりしているシーンで、
マフィア役を演じている寺島進さんの細か~い演技が好きです。
実は、かなり微妙に面白い表情をしているので、
寺島さんのカットはつい笑ってしまうことが多かったですね。
そういうところもぜひ、楽しんでもらい…


以下はネタバレとなるのでmixi独身映画ファンコミュニティ
http://mixi.jp/view_community.pl?id=1299114
にて「ザ・マジックアワー」の頁をご覧下さい。


トップページ(映画製作裏話、映画と原作比較レビュー)戻る。