「マジェスティック」DVDレビュー

「マジェスティック」パンフ表紙★映画基礎データー★
「マジェスティック」
 2001年 ワーナー映画  153分
 監督・脚本:フランク・ダラボン
 (『ショーシャンクの空に』、『グリーンマイル』)
 主演:ジム・キャリー
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「マジェスティック」はフランク・ダラボン監督とジム・キャリーの二人の名前がウリの作品です。
相手役のローリー・ホールデンはテレビ出身(「Xファイル」)だし、父親役のマーティン・ランドー(『タッカー』『ウディ・アレンの重罪と軽罪』『エド・ウッド』)の演技は渋いのですが、興行成績にはプラスになるような人たちではありません。
脚本もフランク・ダラボンとマイケル・スローンのオリジナルです。ダラボンの過去の2作「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」のようなスティーブン・キング原作と言う訳でもありません。
『ショーシャンクの空に』の原作比較レビューの時にも書きましたが、フランク・ダラボンという人は、ホラー「ザ・フライ2」などの脚本書きをしながら、地道にチャンスが来るのを待っていた人です。
『ショーシャンクの空に』、『グリーンマイル』はともにキング原作でしたが、脚本の書ける演出家としては是非1度、オリジナルで勝負したいという願望はあったのだろうなと推察します。
お話は、1951年、アメリカ西海岸の小さな町"ローソン"。ある日、海岸にひとりの男が打ち上げられる。その姿を見て驚き、狂喜する町の人々。
記憶を失った彼は、戦争で行方不明になった町の若い英雄ルークにうりふたつでした。
ローソンでは67名もの出兵者の命が失われ、町の人たちは息子達の喪失感に打ちひしがれていました。
ルークの父、ハリー(マーティン・ランドー)は息子が生きて帰ってきたと、その男を喜んで家に迎えます。
町では、誰もがルークを知っていて、あらゆる場所で"ルーク"は大歓迎を受ける。喜びに涙する老いた父がいて、美しい恋人がいて、幼なじみがいる。彼の存在は、朽ちかけた町に戻ってきた希望そのものだったのです。
「僕は本当に"ルーク"なのか」――そんな戸惑いと不安が人々の善意と愛情によって少しずつ溶け、彼はこの町での生活を愛し始めます。
そして、今はすっかり荒れ果てた、町でただ一つの映画館、彼の父が経営する「マジェスティック」でもう一度映画を上映しようと奔走しはじめます。
映画館が再びオープンし、順風万歩のスタートがきれたと思ったときに、彼の記憶が戻ってくる。彼は実は………。
フランク・ダラボンが過去2作で見せた手堅い演出は健在です。古き良きアメリカの情景があって、「グリーンマイル」のような超常現象が無い中で、人の理性に訴えるドラマをジム・キャリーが真摯に演じています。
"ルーク"(ジム・キャリー)が記憶を取り戻すまでは、人情味あふれる話しで、それが後半、理想と現実の対決に生身の主人公がどう立ち向かうかと言う話しになります。
町の人の心に生きるルークが理想的な青年であればあるほど、"ルーク"は己とのギャップをどう埋めるかに苦しみます。
それは良いのですが、当時の政治問題が絡んできて、合衆国憲法の自由と権利とは、というような方向に話しが向かい出し、私達現代の日本人には感情移入しにくい領域でクライマックスを迎えます。
事件関係に付いては知られた事実で、また、そういう歴史背景を知らずとも主人公が公聴会で追い詰められていく様子からおおよその事情を察することはできるのですが、理想に殉じて闘うと言うのは、あまり日本人には馴染まない姿なので、立派だな、とは思えても、泣くような感情の高揚はありません。
でも逆にいうと、こういう理想主義的なもののために胸を張って戦い、それを町を挙げて応援する気骨のあるところがアメリカという国の清々しさなんだと思います。1歩間違うと保守的で右翼的なものになりそうなのですが、人の体温のあるところで踏みとどまって夢を語ることにフランク・ダラボンの脚本は腐心し、一定の成果を勝ち取っています。
なぜ現代でなくて50年代なのか、ですが、描きたいものは普遍性のある人間の理想、あるいは理想を持って生きる人の姿であって、目先の政治問題ではないということをはっきりさておきたかったのでしょう。
ねたばらしをせずに感想を書こうとすると、こういう書き方になりますが、もともとそう難しい作品ではありません。美しい田舎の港町と故郷の父母、恋人、友人達と良き思い出に浸れる良心作です。目先の刺激でなく、もっと深いところでドラマを味わいたい人に向く映画です。


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