「めがね」

映画チラシ「めがね」■作品基礎データ
「めがね」
2007年 日本映画
監督脚本:荻上直子
出演:小林聡美
               

mixi(ミクシー)「独身社会人映画ファンコミュニティ」に入ろう!

独身社会人映画ファンML に入ろう!! [MLの詳細]
メールアドレス


春まだ浅いころ。
この世界のどこかにある南の海辺の小さな町に、不思議な予感が漂う。
「……来た」。
プロペラ機のタラップを降り、
小さなバッグ1つを手に、まっすぐに浜を歩いてくる、めがねをかけたひとりの女。
待ち受ける男と女に向かい、彼女は深々と一礼する。
静かな波が寄せては返す。

時を同じくして、もうひとりの女が空港に降り立った。
名前はタエコ(小林聡美)。
大きなトランクを引きずりつつ、たよりない手描きの地図を片手に浜を歩き、
奇妙ななつかしさをたたえた小さな宿・ハマダにたどり着く。
出迎えたのは、飾りけのない宿の主人・ユージ(光石研)と犬のコージ(ケン)。

迷わずにたどり着いたタエコに彼は「才能ありますよ」と告げる。
「ここにいる才能」。
次の日、宿の一室で朝を迎えたタエコの足元に、
微笑みをたたえためがねの女・サクラ(もたいまさこ)の姿があった。
「おはようございます」「何?」「朝です」。
それから起こるのは、いちいち不思議なことばかりだった。
毎朝、浜辺で行われる不可思議な「メルシー体操」。
宿周辺でぶらぶらしている高校教師・ハルナ(市川実日子)。
人々に笑顔でかき氷をふるまうサクラのこと。
観光したいと告げるタエコに、
「観光するところなんて、ありませんよ」
「たそがれないのに、一体何をしにここに来たんですか?」と皆が不審げに問い返す。
「……無理」
周囲のマイペースさに耐えきれなくなった彼女は、
ハマダを出てもう一軒の宿・マリン・パレスへ行く決心をする。
女主人・森下(薬師丸ひろ子)の盛大な出迎えを受けたものの、
ここもまた探していた場所ではなかった。
道に迷い、野中の一本道で途方に暮れるタエコ。
そこに、自転車に乗ったサクラが現れる。

再び、ハマダでの日々が始まった。
ペースに巻き込まれ、徐々に自らたそがれはじめるタエコ。
そして数日後、彼女を「先生」と呼ぶ青年・ヨモギ(加瀬亮)がハマダに現れる。
彼が加わり、さらにゆったりと流れていく宿の時間。
が、この時間が永遠でない事を誰もが確かに感じていた。


2006年に公開され、静かに熱い反響を呼んだ『かもめ食堂』。
そのキャストとスタッフがふたたび集い、
今度は南の海辺を舞台に、あらたな物語を生み出しました。

主人公である旅人・タエコを演じるのは小林聡美。
『かもめ食堂』で見せた清潔なたたずまいをそのままに、
人生の一瞬にふと立ち止まる等身大の女性をきめ細やかに造形します。
彼女を迎える宿の主人・ユージには、実力派俳優・光石研。
その宿にたびたび出没する若い女・ハルナに、市川実日子。
また、タエコを追ってやってくる青年・ヨモギを、
映画『それでもボクはやってない』などで今もっとも注目を集める加瀬亮が演じます。
そして、宿の人々からそこはかとない信頼を寄せられる島の先客・サクラ役の
もたいまさこが、不敵かつおおらかな存在感で物語を包み込みます。
監督・脚本を手がけるのは『かもめ食堂』の荻上直子です。

映画の掲示板には、絶賛と「かもめ」のに二匹目のどじょうを狙うあざとい作品、
という両端の書き込みがありました。
これだけ邦画が当たっても、売れている劇画や携帯小説も含めて高名な小説を
原作にすえた作品が映画化されるのであって、
オリジナル作品に対してはまだまだ企画が通りにくいもんです。
ですから、「めがね」が「かもめ食堂」の成功あって通った企画である事は間違いないです。
ですから“二匹目のどじょう”であることを如何に作品の質にプラスに
振り向けていくかということですね。
北欧から南の島へという切り返しは安直ですけど。笑
小林聡美が、やっぱりいいですね。
ここでは「かもめ」のもたいまさこの役回り。
外の世界からやってきて癒される人。
で、ユージの光石研が「かもめ」の小林聡美かというと、
それほど単純ではなく、もたいまさことセットで小林聡美ですかね。

かもめの時と同様、食べ物がおいしそうです。
そう贅沢な食材は無くて、南の島であっても沖縄料理とか郷土料理的なものは
出てきませんが、シンプルで機能的でおいしそうというのは良いです。
舞台は架空の島ですので、
場所が特定されるとまずいという都合もありますがね。
ああ、そういえば豆を鍋で煮るのが出てきますね。
カキ氷用のものだとはじめピンと来なかったんですが、
「だからじっくり煮込まないと」みたいなセリフが味がありますね。
煮込まないといけないのは、人生とか生活とか、まあ、いろいろ
あるんでしょうけど、べたべたセリフで解説せぬところが良いです。
それと「メルシー体操」。なんですかね、あの体操は。
めちゃくちゃ面白いんですが。
カキ氷屋が物々交換で成り立っていたり、
メルシー体操はもたいまさこかはじめて、他の人たちに広まっていった。
彼女が指揮して皆が踊るように体操するというのは、
そう考えると、彼女がシャーマンである南の島の物語という解釈も成り立つのだけど、
まあ、そこいらへんを突き詰めないところが無難でしょう。
それやっちゃうとつまんなくなるから。

どこへ行くでもなく、何をするでもなく、ただ「たそがれる」。
「たそがれる」というと老成して立ち枯れて行く、というイメージで
あんまりの肯定的ではないのですが、
ここでは否定するという使われ方でなくて、照れのある肯定というニュアンスですね。
見てない人には何のことがわからないでしょうけど。

この島にはもうひとつ「マリンパレス」という宿がある。
小林聡美がハマダを逃げた後で現れるのですが、
名前からしてリゾートホテル風なのですが、
それがまったく違っていて、オーナーの薬師丸ひろ子が、
別の理念で癒しの宿を演出している。
放っておいてくれる、ということのない場所なのが可笑しいです。
ユージももたいまさこに感化されてハマダを立ち上げたようだけど、
「何にもない島」に宿を成立させるためには、
やっぱ何かないと駄目なのかな。
市川実日子のハルナにも正体があるのだけれど、
具体的に働いている場面が出てこないところが、
この作品の特徴ですね。
そういえば家族なんかも出てこない。
働きもせず、家族もおらずで、ぽつねんと一人でいると、
人間てなんだか、退屈ですね。
いったん何でもない者になって、そこから再生していく。
それこそがテーマなのだけど、
それだけで作品を成立させるのは、やはりたいしたものです。

「めがね」というのは登場人物全員がめがねをかけているからですけど、
タエコがめがねをなくし、それが思いもかけぬところから出てくる、
というのがミソなのだけど、
それがテーマであると見てもいいし、
単なる小道具であってもいいし。
ま、とりあえず面白いタイトルではありますね。「めがね」。…



以下はネタバレとなるのでこの続きはmixi独身映画ファンコミニティの
「めがね」
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=24581306&comm_id=1299114をご覧下さい。


トップページ(映画製作裏話、映画と原作比較レビュー)戻る。