「MILK ミルク」
■作品基礎データ 「MILK ミルク」 2008年 アメリカ映画 監督:ガス・ヴァン・サント 脚本・製作総指揮:ダスティン・ランス・ブラック 出演:ショーン・ペン |
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72年のニューヨーク。
金融や保険業界で働いていたハーヴィー・ミルク(ショーン・ペン)は、
20歳年下のスコット・スミス(ジェームズ・フランコ)と出逢い、
ゲイの二人は恋に落ちる。
2人は新しい人生を求めて自由の地、サンフランシスコに移り住む。
転居先はアイルランド系の移民労働者たちが数多く住んでいたユリーカ・ヴァレー地区。
60年代後半から、同性愛者やヒッピーたちの流入も続いていたこの地域は、
やがて「カストロ地区」と呼ばれるようになる。
当初は職にも就かず、自由気ままな暮らしをしていたミルクたちだが、
貯金の底が見える頃に自分たちのアパート1階に小さなカメラ店
「カストロ・カメラ」を開店。
社交的でユーモアにあふれたミルクの人柄はたちまち周囲の同性愛者や
ヒッピーたちを惹き付け、店は周辺商店主や住民たちも含めた情報交換の場、
コミュニティ・センターの様相を呈し始めた。
だが、近隣にはアイルランド系の保守的なカトリック層も多く、
同性愛者たちを快く思わぬ者たちもいた。
ミルクは、そうした差別的な既存の商工会に対抗して、
カストロ・ヴィレッジ協会という新しい商工会を結成。
恋人であるスコットらの理解と協力を得て、
地元商店街や近隣住民の抱える問題に政治的により深く関わり始め、
「カストロ・ストリートの市長」というもうひとつの名を持つようになる。
1973年11月、
ミルクは初めてサンフランシスコ市の市政執行委員(日本の市議に近い役職)の
選挙に立候補。“自由な地”サンフランシスコであっても
同性愛者に対する偏見と暴力が公然と横行していた当時、
彼はすべての人のための権利と機会の平等を求めるが、落選。
2年後の75年、2度目も落選する。
ただ、この年にはミルクも支援した州上院議員だったジョージ・モスコーニが
SF市長に当選。
ミルクは同市長によって市の上訴認可委員に任命されるが、
今度は76年の州議会下院選挙に打って出るために同委員も辞めることになった。
この頃から、恋人スコットともすれ違いが生じ始めるが、
ミルクは大きな政治の時代のうねりの中で、
すでにスコットだけのミルクではなくなっていた。
州議会選でも3度目の敗北となったミルクは、
スコットとの約束に反して4度目の選挙である77年の市政執行委員選に立候補。
ついに彼との別れを経験するミルクだったが、その代償のように、
小選挙区制に変わった新制度のもと、カストロを含む第5区で念願の当選を果たす。
それは、同性愛者だと公言して米国史上初めて公選された公職者の誕生だった。
本作は、
70年代に同性愛者の権利を獲得するために命を捧げた政治活動家
ハーヴェイ・ミルクの半生を、
『ミスティック・リバー』のオスカー俳優ショーン・ペンが演じる伝記ドラマです。
また、『イントゥ・ザ・ワイルド』の大ヒットが記憶に新しいエミール・ハーシュ、
オスカー受賞作『ノー・カントリー』で熱演を見せたジョシュ・ブローリン、
『スパイダーマン』シリーズのジェイムズ・フランコなど、
豪華実力派キャストが結集した話題作です。
70年代のアメリカで、
ハーヴィー・ミルクの周囲には社会変革の大波が次から次へと押し寄せた。
彼の軸足は同性愛者の人権解放にあったが、
それは同時に高齢者から労働者までさまざまな社会的弱者への共感へとつながっていた。
すべての“声”を代弁しようと奮闘したミルクに、時代は苛酷な運命を用意していました。
映画『ミルク』は、そんな彼の人生の最後の8年間を描いています。
「ミルク」試写会で見てます。
コメディとかファンタジーとかでなくて、
シリアスな話にかわゆいタイトル。
でなくて、ハーヴェイ・ミルクという実在の政治家の名前なのです。
アカデミー賞の主演男優賞と脚本賞を取ってますが、
なるほど、そんだけの価値はあります。
ショーン・ペンってこんなにいい役者だったっけ?
とにかく頑張ってましたねえ。
脚本賞というのは、
脚本の何に対して賞を冠しよう、というのか難しいんだけど、
ゲイと政治っていう組みあわせは、
これまでなかったので、オリジナリティは凄くあります。
貰ったチラシを見ると84年にハーヴェイ・ミルクの記録映画が
オスカーを取ってますね。
だとすると、ストーリーというのは記録映画の中に
すでにあったんだな。
しかし、やっぱり映画化は難航したようです。
そうだろうなあ。
ホモ、という呼び方が差別とは知りませんでした。
「ゲイと呼べ」と怒っておる。
へえ、そうなの??
ゲイがわかるか、
男同士が愛し合うとはどういうことか、理解できるかといわれると、
やっぱりわかんないです。
しかし、戦っているというのは分かる。
世の中に対して、自分自身に対して、
休むことなく、途切れることなく、人生全て戦って戦い抜く。
…それは大変だなぁと。
とてもまねできない生き様ですが、
彼はその戦いの中で輝いている。
そして、その輝きを妬む
そこいらの凡人に命を奪われるのは、
皮肉な結末。
大統領選ばりの投票合戦というのが、
ドラマのクライマックスになっていて、
アメリカ人が政治に嵌るというのが分かりますね。
あれは麻薬のような魅力がありそうです。
そこは面白いと思ったのだけど、
どうにもいただけなかったのが、
ゲイ同士のアイコンタクトから、ベッドインまで。
男女の愛に比べて風情がないね。
あれがゲイの平均的な知り合い方なのか、
わかんないけど。
即物的で、獣じゃん。
アメリカ人だから、あんなふうなんですかね。
肉食う民族って感じですね。
「モーリス」みたいなの見てうっとりしている人たちが見たら、
吐き気を催しそうです。
(―のわりに、会場には女性が多かったのですが。)
でも、変に綺麗綺麗に描かないってところが、
映画としてフェアなんでしょう。
ショーン・ペンは宣伝来日するような人ではないので、
プロモートには監督のガス・ヴァン・サントが来日しています。
いくつかのインタビューよりメイキングに関する部分を採録します。
前後のつながりの不自然な部分もありますが
複数のインタビューをひとつに纏めているためです。。
ガス・ヴァン・サント
'85年の監督デビュー作『マラノーチェ』は、
ロサンゼルス映画批評協会最優秀インディペンデント/実験映画賞を獲得。
代表作に『グッド・ウィル・ハンティング』『誘う女』『パラノイドパーク』など。
自身も同性愛者であるガス・ヴァン・サントが映画化した『ミルク』には、
ミルクが生きた70年代のサンフランシスコの姿が真っすぐに描かれている。
ガス監督はどのような思いを込めてこの映画を手掛けたのか、聞いた。
「人の上に立つのに必要なのは、人としての魅力や資質。そこに人は惹かれていく。
黒人のオバマが大統領になったけど、ゲイだろうが、女性だろうが、関係ないんだ。
ゲイの大統領が誕生してもおかしくないと思うよ」
同性愛者の大統領が誕生する可能性について語るガス・ヴァン・サント。
彼は、実在した同性愛者ハーヴィー・ミルクを描いた映画『ミルク』を監督した。
ミルクは、同性愛者であることを公言して公職に就いた初めての人物だった。
「'84年に製作されたドキュメンタリーを見てミルクのことを知ったんだ。
そのドキュメンタリーがあまりにもパワフルですばらしい内容だったから、
劇映画にしようとは僕は思わなかった。
でも、'92年にオリバー・ストーンが映画にするという企画が立ち上がって、
彼が降板した後に僕がやることになったんだけど、それも実現しなかった。
その後、ずいぶん年月が流れてしまい、今回の企画がスタートしたのは'07年なんだ。
その15年の間にも、大きな変化があったと思う。
メインストリームのドラマやリアリティショーなどでもゲイを扱ったものが
すごく増えたんだ。
以前に比べると、もう同性愛者は隠された存在ではなくなったと思う」
ミルクが生きた70年代と現代では、もっと変化があった。いいものも悪いものも。しかし、
前進と後退を繰り返しているこの状況さえも、
ミルクが一歩を踏み出していなかったら起こりえなかったかもしれない。
「法律の分野への積極的な参加が、彼の功績によるいちばんの変化かもしれない。
この映画に出てくる“プロポジション6
(カリフォルニア州内の公立学校から同性愛の教師および同性愛者人権を擁護する
職員を排除するという提案)”によく似た事例が
15年後にまたカリフォルニアで起こったんだ。
それはプロポジション6よりもひどくて、
州全体のゲイの職員が仕事を失う可能性があったんだ。
結局成立しなかったんだけどね。
ゲイの存在が少しずつオープンにはなってきたけど、
法律的には相変わらず差別的な提案が断続的に出てくるんだ。
そもそも、ミルクのいた70年代にはまったく権利が認められていなかった。
公共の場で踊ることも手を握ることも禁止されていたんだ。
それがミルクによって変化を始めたわけだ」
ミルクは何度も選挙に落ちながらも、
マイノリティの権利のために闘い続け、4度目の選挙でようやく当選する。
同性愛者への差別をなくすために政治活動にまい進していたミルクだが、
任期1年にも満たない時期に、48歳の若さで凶弾に倒れる。
「彼の人生は波瀾万丈だったから、
若い頃のエピソードは省略して政治的な活動に焦点を絞ることにしたんだ。
見てもらえればわかると思うけど、
映画に出てくる彼の行動のすべてに政治的な意味があるんだ。
たとえプライベートな面を描いたように見えるシーンでもね。
そもそも彼の政治家としての活動は、
ゲイである彼のプライベートから発生したものだからね。
ショーン・ペンがこの作品に興味を引かれたのも、
これが政治的なテーマを持った作品だったからだと思うよ」
ミルクを演じたショーン・ペンがアカデミー賞主演男優賞を受賞するなど、
『ミルク』は数々の映画賞を受賞した。
この作品の成功が同性愛者の置かれた状況を改善する手助けになることを、
ガス・ヴァン・サントは祈っている。
「ミルクは偉大な人物だから、いつの時代に映画を撮っても評価されていたと思う。
アカデミー賞をいくつか受賞したのは悪いことではないけど、
それよりも、
ゲイのコミュニティの中で僕をサポートする空気が高まったことの方が
大きな収穫かもしれないね。
この映画がきっかけとなって、差別や偏見が減ることを期待しているよ」
『ミルク』の中で、ハーヴィー・ミルクはある「提案」と闘う。
当時のカリフォルニア州議会議員、
ジョン・ブリッグスが提唱した「プロポジション6(提案6号)」は、
「州内の公立学校から同性愛の教師および同性愛者人権を擁護する職員を排除する」
という差別的で横暴なものだった。
ミルクは「プロポジション6」の反対キャンペーンを行い、
カリフォルニア州知事ジェリー・ブラウン、元大統領ジミー・カーター、
現大統領ロナルド・レーガンらの支持を取り付ける。
結果、「プロポジション6」は否決される。
ミルクのお膝元であるサンフランシスコでは、実に75%が反対票を投じたという。
ミルクの功績は高く評価され、
'08年にはミルクの誕生日である5月22日を「ハーヴィー・ミルク・デイ」と
する法案も可決された。
「ハーヴィーは傑出したゲイの活動家であり、
しかも職務中に亡くなったことでゲイの世界でいわば“聖人”としての資格を
得たと言える。
この映画を作ったのは、
彼の時代を知らない若い世代の人々に彼のことを覚えていてほしい、
彼のことを知ってほしいという気持ちからだ」。
こうした題材を扱った映画を製作することに不安やためらいはなかったか?
と尋ねると、監督はすぐさま
「いや、そうした不安を感じたことは決してなかったよ」と力強く答えた。
「これは大事な映画なんだ。
人々がハーヴィー・ミルクの物語をもう忘れてしまっているからね。
これは、国際的に有名なゲイの地区・カストロ(ハーヴィーたちが暮らした地域)の
誕生の物語であり、
ホモセクシュアルであることを犯罪であるということから脱却させた最初の10年の物語だ。
1969年以前は、
ダンスフロアで男同士でダンスしただけで刑務所に入れられてしまうような
状況だったんだ。
だからこそ、この映画は重要なんだ」。
撮影が、ハーヴィーが実際に活動を行ったサンフランシスコで行われたことの
意義についてもこう語る。
「僕はもちろん、ショーン・ペンもサンフランシスコでの撮影を主張し、
実現させたんだ。
それが出来なければ、彼はこの作品に参加していなかっただろうね。
ほかの場所よりも経費がかかるということもあって、
サンフランシスコは撮影に適さないという風潮があったけど、
僕らはそれを実現させたし、実際、それは素晴らしい経験だったよ」。
黒人の大統領の誕生に代表されるように、
ハーヴィーが活動していた頃と比べ、大きな変化を遂げたアメリカ。
監督にハーヴィーの存在とその死がもたらした衝撃の大きさについて改めて尋ねた。
「ハーヴィーの死は、彼の仕事への理解を深めさせた。
彼という存在はずっと続いてきて、より大きなものになっているんだ。
生きていれば、彼は知事になっていただろうし、大統領にだって立候補したかもしれない。
いまなら、より多くの政治家と共に一緒にそうした仕事が出来ただろうね」。
オスカー受賞の演説で、ショーン・ペンが同性愛者の婚姻の合法化を強く訴えた。
ハーヴィーの死から30年を経たいまでも、
彼が求めた理想への道は、いまだ半ばかもしれない。
だが、彼という存在があったからこそ、いまのこの道があるのだということを、
映画は我々の心に強く訴えかける。
『GERRY ジェリー』以降、
実験的な作品が続いていたガス・ヴァン・サント監督だが、
新作『ミルク』では『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』を彷彿とさせる、
古典アメリカ映画的作風に立ち戻った印象を受けた。
実験精神から解かれ、改めて普遍的な物語を語るスタイルに惹かれたという意識は、
果たして監督自身にもあったのだろうか?
「たしかに『ミルク』と『グッド・ウィル~』は非常によく似た作品だと思います。
ダスティン・ランス・ブラックが(本作の)脚本を書き始めたのが30歳の時、
マット・デイモンとベン・アフレックが『グッド・ウィル~』の脚本を書いたのは
2人が25歳の時。どちらも脚本家にとって初めての長編映画用の脚本でした。
フレッシュで理想主義的な要素の強い脚本を、僕が監督し、
自分なりのsomethingを加えることで、
2作はつながったのではないかと今改めて思っていますよ」
なるほど、言われてみれば……という感じなんスか!?
さすがはヴァン・サント監督、56歳になってもなおトンガっている!
では本作における監督の“自分らしさ”とは何だったのか?
「すでにリアルな人が存在しますから、
伝記映画には“リアルではない”という前提があるわけです。
すなわち映画を作る上で実人生に完全に閉じ込められてしまえば、
映画に矛盾が出てくる。
実在の人物を模倣する形になると、伝記映画としては成立しません。
だからこそ映画独自のキャラクターを作ることが大事だと考えました。
本作の主人公ハーヴェイ・ミルクを演じたショーン・ペンは、本当に素晴らしい役者です。
彼の才能とは、
キャラクターが求めるものにショーンが正しく答えられたことだと僕はとらえています。
本作への評価についてはショーンのおかげというより、
僕らの映画がそれを要求した成果だと思います」
政治活動を描く時、硬派である必要はない
では監督が求めていたものとは何だったのか?
「1本の映画で8年もの歳月を描くのは初めての試みでしたが、
それ以上に同性愛の活動家、ハーヴェイ・ミルクの人生にはさまざまな側面がありました。
映画という限られた時間の中でまず、
カストロ・カメラ(ミルクが経営したカメラ店)での生活のような個人的な日常より、
政治活動に焦点を絞って描きたいと考えました。
この点はブラックも同じ考えだったと思います。
ただ政治を描く時、たとえばオリヴァー・ストーンの『ブッシュ』
(5月16日日本公開)のように、緊張感のある硬派なドラマである必要はないわけです。
僕には、なぜミルクがダン・ホワイトに撃たれたのか?
という事件の真相に迫るつもりはなかった。
映画は疑問符のままで終わっています。
ミルク自身が人生で抱えていた問題を切実に描くことが、
結果ミルクと同様に問題を抱えている観客に、
明日への希望を与えるのではないかと思ったからです。
ジョシュ・ブローリンは、ホワイトというネガティブなキャラクターでありながらも、
人を阻害することのない部分を強調し、非常に魅力的に演じてくれました。
『ブッシュ』のブッシュ大統領役とは違うお芝居で、
この難役に挑んでくれたと感謝しています」
本作で描かれる希望とは、
監督がこれまで好んで描いてきたアウトローたちの革命とつながっているのだろうか?
「『マラノーチェ』『ドラッグストア・カウボーイ』
『マイ・プライベート・アイダホ』……たしかにこれまでの主人公たちもみな、
自分なりの理想や価値観、自分の信じるべき感覚を持っていました。
時には道徳や法律に対してシステムを捻じ曲げてしまうほどの行動力を
発揮する傾向も似ていますね。
困難を抱えているという共通点はありますが、
ミルクが(彼らと)違うのは、彼がシステムの外に存在する人間であった点です。
だからこそ、人生の楽しみ方や政治システムについても、
自分たちの求めるものに向かって、変化を求め、
道を切り開いていくヒーロー的な要素がありました。
ヒーローを描くという意識は今までにない感覚でした」
本作でのミルクの人生における希望は、
ガス・ヴァン・サントならではの詩情的な描かれ方で表現されている。
たとえばミルクのオペラへ注がれる愛。
最期にオペラ座での「トスカ」のエピソードを盛り込むことで、
オペラ的な彼の人生、作中のセリフを借りれば「人のスケールを超える生」を、
より厳粛に魅せている。
しかし、これはほんの一例に過ぎない。
「壊していくべき決まりごとや考え方はたくさんある。
新しいものとはそこから生まれるものだから」
と断言するガス・ヴァン・サント。彼の“集大成”は、…
以下はネタバレとなるのでmixi独身映画ファンコミュニティ
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にて『MILK ミルク』の頁をご覧下さい。
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