「モナリザ・スマイル」DVD脚本レビュー

「モナリザ・スマイル」映画チラシ★映画基礎データー★
「モナリザ・スマイル」
2004年 イギリス映画
監督 ジョナサン・フレイクス
脚本 ローレンス・コナー マーク・ローゼンタール(『PLANETOFTHEAPES/猿の惑星』)
出演 ジュリア・ロバーツ
              
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 1953年の秋。カリフォルニアに住む若く美しい女性教師、
キャサリン・ワトソン(ジュリア・ロバーツ)は、
新しいキャンパスヘと向かう列車の中で、夢の実現に胸を高鳴らせていた。
ジュリア・ロバーツ新作「モナリザ・スマイル」はこんな風に始まっています。

今度の学校はニューイングランドにある名門ウェルズリー大学。
イギリスのオックスフォード大学に負けないほどの名門である。
その一方で、“米国一保守的”という評判も持つ女性だけの大学に、
キャサリンは自分なりの変化をもたらせたいと考えていた。
その夢のために、たとえ恋人のポール(ジョン・スラッテリー)と
離れて暮らすことになっても…。

ウェルズリー大学に美術史の助教授として就任したキャサリンは、
到着してまもなくこの名門校の予想以上に厳しい伝統にとらわれた環境を知る。
先輩の教師で女生徒にスピーチと正しい言葉遣いを教えている威厳に満ちた教師
ナンシー・アビー(マーシャ・ゲイ・ハーデン)によれば、
この大学の学生にとってもっとも価値があるのは、充実した教育ではなく、
エリートのボーイフレンドからプレゼントされる婚約指輪だというのだ。

 キャサリンは、初日の授業から生徒たちの手強さを思い知らされることになる。
学生のリーダー的な存在でプライドの高い優等生ベティ
(キルスティン・ダンスト「スパイダーマン」シリーズ)を中心に、
女生徒たちは授業内容を完壁に予習して、
新米教師に教える隙を与えない。
キャサリンの呆然とした表情を見ながら、生徒の一人は勝ち誇ったように言った。
「先生のお話がこれ以上ないようでしたら、自習をしたいのですが」。
反抗的な生徒達の態度に傷つくキャサリン。
そんな彼女に校医をしている同僚のアマンダ・アームストロング
(ジュリエット・スティーヴンソン)は
「教師は学生達に足元を見透かされたら最後よ」と、アドバイスをくれる。
そんなアマンダ自身も30年つきあった女性の同僚教師を亡くし、
深く傷ついている女性だった。

「モナリザ・スマイル」は全米公開当時は初登場で、
『ロード・オブ・ザ・リング王の帰還』に次ぐ第2位を獲得。
キルスティン・ダンストや、ジュリア・スタイルズ、マギー・ギレンホールを
はじめ、
この作品のためにハリウッド中から集結した若手女優たちの
素晴らしいアンサンブル演技が見ものの女性映画であります。

さあて、この映画をどんな風に見るべきなんでしょうかねえ。
女性解放がテーマ?
といったって何せ五十年も前の話ですから、
同じジュリア主演の「エリン・ブロコビッチ」のような今日性があるわけでは
ありません。
マイケル・デニソンの手によるジュリアや生徒たちが着こなす
700着にもおよぶクラシックな50年代ファッションや
今回、撮影を許可された名門ウェルズリー大学の趣のある伝統的なキャンパス
風景など、
どんぱちアクションものばかり見させられていた
最近のハリウッド映画の中で落ち着いて映像を楽しめるよさがある作品です。
もうすこしあらすじを追いかけましょう。

 キャサリンの敵は、生徒たちばかりではなく
保守的な教師たちや卒業生、そして学生の親たちもそうだ。
周囲の冷ややかな反発を感じながらも、
彼女は毅然として学生たちに“自分の頭で考えることの大切さ”を教える。
古典的な絵画ではなく、ポロックをはじめとする現代美術作品をとりあげ、
とまどう学生たちに“芸術とは何?誰が芸術の良しあしを決めるの?”と、
問いかけるキャサリン。

そんなキャサリンの生き方を認める生徒たちも現れる。
ジョーン・ブランドウィン(ジュリア・スタイルズ)は、
ベティと並ぶ優秀な生徒だが、
イェール大学へ進み法律家になりたいという夢を持つ一方で、
恋人からのプロポーズを待つ身でもある。
そんなジョーンにとってキャサリンは今まで出会ったことのない“師”だった。

そして、奔放な恋愛を繰り返し、
挑発的だが聡明なジゼル・レヴィ(マギー・ギレンホール)は、
進歩的なキャサリンの考え方に自分の理想の女性像を見ていた。
また、内気なコニー・ベイカー(ジニファー・グッドウィン)にとっても
キャサリンは不安な自分に勇気をくれる憧れの女性だった。

 生徒たちに新しい時代の女性の生き方を指導する一方で、
キャサリン自身も人生の岐路にたたされる。
よき同僚だった校医のアマンダが生徒たちに避妊用のピルを渡していたことが
発覚し、
学内のスキャンダルとなり、ウェルズリーを追われた。
激しく落ち込む彼女の前に、
恋人のポールが結婚指輪を持ってカリフォルニアからやってくるが、
既にふたりのこころは離れており、修復はかなわなかった。

若い女性の自立を支えるというのはヒロインの一貫した行動目標ですが、
この作品は別にウーマンリブを鼓舞するものでなく、
この時代のこの年頃の女性たちの生き方を模索するドラマと見たほうが
良いようです。

 教育への一途な熱意とは裏腹に、
キャサリンの内面の葛藤は激しさを増していった。
彼女の講義がウェルズリーの伝統にそぐわないと、
学長以下から厳しく叱責を受けたのだ。
傷ついたキャサリンは、プレイボーイと評判だが、
いつも自分を見守ってくれたイタリア語教師、
ビル・ダンバー(ドミニク・ウェスト)との間に育ち始めている“愛”に
気付かされるのであった…。

 また、上流階級出身で厳格な母のすすめで学生結婚したベティは、
ハーバード大学生の夫の愛が自分にないことに気付く。
プライドや世間体と本当の幸福感の間で彼女は揺れる。
ジョーンは願書を出したイェール大学に見事合格するが、
一方で心から愛する恋人との結婚が煮詰まってくる。
妻子ある男性とのうたかたの恋を楽しむジゼルも
人生の進路を決めなくてはならない時期が近づいてきた。
自分への自信を失くしているコニーは、
勇気を振り絞って恋する心をボーイフレンドに告白する…。

 そしてキャサリンに最後通告が言い渡される。大学に残りたいなら自由な講義、
をいっさい放棄し、カリキュラム通りの授業をせよとキャサリンは命令される。
そしてビルもまたキャサリンに告げる。
「君は“竿生徒の道”と““自分の道”どちらを選ぶの?!」と…。

実在の名門大学、ウェルズリー大学を舞台にした本作は、
人気脚本家コンビのローレンス・コナーと
マーク・ローゼンタール(『PLANETOFTHEAPES/猿の惑星』)が、
数年前、この大学の卒業生である
次の次のアメリカ大統領候補と目されるヒラリー・クリントンの手記を
読んだことから生まれたそうです。
「ヒラリーが学生時代をすごした60年代、
ウェルズリーの生徒達は、女性にも選択肢があることを当然に思っていました。
でも、その1世代前の状況は、まるで違っていたのです。
午前中はフランス文学と物理学を勉強し、
午後には、夫の上司へのお茶の出し方を学んでいたのですから」と、
コナーは語っています。

良き妻になるという現実と、自立への憧れ。二つの夢の狭間で悩む女子学生と、
彼女たちの前に現れた自由な精神を備えた女性教師の物語は、
二人の脚本家にとって興味をそそるの素材だったようです。

彼らによれば、題名の『モナリザ・スマイル』は、
キャサリンが美術史を教えていることと、
ダ・ヴィンチの傑作が持つミステリアスな魅力からとられたそうです。
劇中にも、女生徒の一人が“モナリザ”が浮かべる微笑について
「彼女は本当に幸せだったの?」と問いかける場面があります。
「その問いかけこそ、この映画の中心のテーマです」と、コナーは言っています。
「この作品は女性の表面上に見えるものと、心の中にある真実を描いているの
です」と。

「50年代には、キャサリンの考えは時代に先行しすぎていたと思います。
でも彼女は教師として、最高の精神力をもって生徒たちを指導したのです。
彼女たちの個性を許容し、生徒達それぞれの力を発揮させる手助けをしたので
すから」
とジュリアはインタビューに答えています。

優等生役のベティを演じたのは、
『スパイダーマン』でブレイクしたキルスティン・ダンスト。
この役を演じたときは、彼女はベティと同じ20歳だったそうです。
「いやな人を演じるのは面白い経験でした。ベティは堅苦しくて、狭量な人です。
特にキャサリンに対してそうですが、
彼女は人に対し意地が悪くて、それは、彼女が不幸なためです。
彼女は愛されたくて必死になっているのです」。
スパイダーマンのヒロインは演技力で勝ち取ったようなところがありますが、
このベティ役はキルスティン・ダンストのはまり役です。
パターンどおりの敵役で、途中で底が割れちゃうのですが、それにしてもぴっ
たりです。

イェール大学に願書を出すジョーン役を演じたのは
『セイブ・ザ・ラストダンス』のジュリア・スタイルズ。
奔放なジゼル役には、02年の『セクレタリー』で絶賛された
マギー・ギレンホールが抜擢され、強い存在感でアピールしてます。

撮影前、ジュリアをはじめとする女優陣とスタッフは、
1950年代初期のエチケットや朗読、
ダンス・スタイルを数週間かけて一緒に学んでいます。
そのレッスンを通して、女優達の間に強い仲間意識が生まれたそうです。

監督は、イギリスの実力派マイク・ニューウェル。
精緻な人間ドラマ『フェイク』から、
ロマンティックでユーモア溢れる「フォー・ウェディング』まで、
手際のよさと幅広い範囲にわたるテーマで多才ぶりを披露し、
本作の後は『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』の監督にも決定しています。

今日性が無い、とやっつけてしまいましたが、
人の暮らしのいつの時代もかわりない葛藤をきちんと描いた良い映画です。


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