「魍魎の匣」

映画チラシ「魍魎の匣」■作品基礎データ
「魍魎の匣」
2007年 日本映画
監督:原田眞人
原作:京極夏彦
脚本:原田眞人
出演:堤真一
               

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「魍魎の匣」公開2日目に見ています。

戦後間もない東京、美少女連続殺人事件が世間を騒がせている。
引退した元女優・陽子(黒木瞳)の娘も姿を消し、
探偵・榎木津(阿部寛)は行方を追う。
一方、作家・関口(椎名桔平)と記者・敦子(田中麗奈)は、
不幸をハコに封じ込める教団の謎に迫る。
さらに巨大なハコ型建物の謎を追う刑事・木場(宮迫博之)も登場。
みなが事件に関わり、古書「京極堂」店主・中禅寺(堤真一)の元へ集まってくる。
3つの事件に関わるハコに隠された恐るべき謎を、
果たして京極堂は解き明かせるのか!?


1995年度の日本推理作家協会賞を受賞した京極夏彦の「魍魎の匣」の映画化です。
美少女連続殺人、ハコを崇める宗教、女優の娘の失踪、
娘を探す探偵、記者から事件聞く作家、陰陽師と女優との過去、
それらがどう関係していくのか、犯人は誰でその目的は?
これらがハイスピードで組み合わさっていくのが、この作品の演出のツボです。

このシリーズの映画化は第2弾ということなので、
登場人物たちの相関関係が話の軸になるので、
前作を見ていない人や原作シリーズを知らない人には、
ちょっとハードルが高いのではないか、という印象を持ちました。
以下のキャストと役柄は見る前に押さえておいた方が無難です。

中禅寺秋彦(堤真一)....陰陽師・神主・古書商「京極堂」店主。
劇中では“中禅寺”より、もっぱら“京極堂”と呼ばれている。
榎津礼二郎(阿部寛)....探偵。“霊感探偵”の異名を持つ。
出会った人の過去を映像として見ることの出来る超能力者。
関口巽(椎名桔平)...作家
中禅寺敦子(田中麗奈)...記者・椎名桔平の担当・堤真一の妹
木場修一郎(宮迫博之)...刑事
以上は全員知り合い。

関口巽は1作目「姑獲鳥の夏(うぶめのなつ)」では永瀬正敏が演じていましたが、
椎名桔平にキャスト変更されています。
「ミスキャストだ」という批判もあるようです。
原作のルックス、人物の雰囲気等は永瀬正敏の方がより近い為、
そのような意見が出るのでしょう。
私自身は、
スピード感がありクライマックスにはアクションもある今回の作品には
椎名桔平の方が適切だという印象を持ちましたが、
調べたところ、このキャスト変更は、演出方針の変更以前に
永瀬正敏が腎尿路結石のため降板したためのようです。

第一作の「姑獲鳥の夏」映画は、実相寺昭雄監督作品で、
「ウルトラセブン」の昔から独自の実相寺ワールドを築いた監督の作品らしい
濃い目の演出がされていましたが、
その方法論が奇妙に原作の語りの世界にマッチして
カルトムービーっぽいファンの獲得の仕方をしていました。
 累計500万部を売る京極堂シリーズですので
すぐさまシリーズ第二段が作られるものと思っていましたが、
実相寺監督が亡くなられてすぐにはシリーズ化できなかったようですね。
今回の原田眞人監督は「金融腐蝕列島〔呪縛〕(1999)」、
「突入せよ!「あさま山荘」事件 (2002)」などで情報量の多い群像モノの原作を
捌くことに長けた演出家だと思ってましたが、
今度の「魍魎の匣」も「姑獲鳥の夏」と比べて
もっと普通にスペクタクルがあって、テンポが早く、
笑いのある作品になっています。
実相寺版が“感じさせる怖さ”がひたひたと忍び寄る雰囲気で見せていましたが、
原田版は、ずばり“見た目が怖い”です。
ヴィジュアル的にグロイものがずばり登場してます。
どっちが良いかは好みによりますね。

昭和二十年代の日本の風景を
上海の二箇所の撮影所と上海市内ロケにて行っています。
(撮影は今年の一月一杯)
映画の掲示板には「中国のきたない田舎で代用したのは無謀」と
けなす書き込みもありましたが、
路面電車の走る東京の雑踏はドラマ「華麗なる一族」にも登場した
巨大なオープンセットに日本人に扮した中国人のモブ(群集)に、
さまざまな車種のクラッシックカーを走らせての大掛かりなものです。
古き良き時代の映画撮影所は上海映画撮影所がそっくり使われていたようですね。
確かに一目で“日本ではない”ことはバレバレですが、
京極堂シリーズはもとより浮世ばなれした世界観がウリですので、
このくらいぶっ飛んでいた方がかえってふさわしく感じました。

国内の撮影は昨年12月に千葉、茨城、栃木、静岡の各地でロケ実施され、
それに日活撮影所のセット撮影が行われたようです。
主要なシーンは、
千葉県鋸南町石切り場が「ハコの表」の撮影。
栃木県那須鳥山で「ハコの内部」木場が陽子と会う場面の撮影。
茨城県水戸市内の弘道館が「教団本部」。
静岡県島田市の北河製作所が「久保の隠れ家」。
栃木県宇都宮市の大谷資料館が「ハコの内部」洞窟内の撮影現場。
―となっているそうです。

タイトルの“魍魎”とは、
山川の精、水怪、木石の怪、屍を食らう毛むくじゃらの小鬼の妖怪など、
とあり、明確な形が無く、
主役の京極堂によると、憑物のように祓えず、境界にいて、
下手に手を出すと人を惑わすもの、とあります。
確かにこの作品では、水際のシーンも多く、
木石、死体など、魍魎の因子が所々に見られます。

カップルで来場されていた方が 非常に多かったです。
たぶん金田一耕介シリーズのような伝奇浪漫ミステリーを期待して、
デートムービーにちょうど良いと踏んでやってきた人たちなのだろうと
予想しますが、
京極堂は同じ“伝奇浪漫”でも、
ロマンスの要素はなくて、
もっと人の業がテーマですので、
後味の苦さを覚悟しないといけません。

映画の掲示板の書き込みでは、
やっぱり原作ファンは映画に石を投げる人が多く、
映画のみ見た人の反応は、そう悪くないです。
それでも1作目を見ている人は、
「姑獲鳥の夏」の方が出来が良いとしている人が多く、
特に椎名桔平のキャスティングへの不満や宮迫博之をへたくそ、と
叩いているのはこの人たちです。
私は方法論が異なる監督を比較しても仕方ない、
どちらもそれぞれに良さがあるではないかと思っています。
しかし事件の核心を握る二人の人物の今回の映画での描かれ方は、
映画版はあまり評価できません。
「ちょっとついていけないなぁ」と感情移入できずに終わってしまいました。
原作ファンがその点をどう見ているかですが。

映画版でクドカンさんが演じた久保竣公は、
「原作の、どっか異次元な人物では無く、あれでは只の嫌な奴」であると
ばっさりでした。
「関口に嫌味は言うが、
「懲らしめ」等と称して引き出しに切断した腕を押し込むような奴ではない。」とも
―ということは、
編集部の引き出しからハコが出てくるところは映画のオリジナルなわけだ。
あれは私も変だと思いました。一気に容疑者が絞れてしまう筈ですから。
「意図的に人を殺す奴ではなく、結果的に相手が死んでしまう奴なのだ…」
とのことですが、でも手足を切断して結果的に…と言われてもねえ。

「美馬作博士(柄本明)はもっとひどい。あれでは只のマッドサイエンティストだ。
愛情なんかカケラもないじゃないか!
博士は人体実験などしない!
加菜子を利用して金を搾取(しかも研究資金)になどしたりせん!」
…ああ違うんですか、
シリアス・ミステリーにフランケンシュタイン博士みたいな奴が
出てくるところに“凄み”を感じていたのですが、
家族愛でひとの道を踏み外すとなると、かえって平凡になってしまいますね。

ところでラストで陽子(黒木瞳)は
“娘を見捨てて芸能界に復帰した”という解釈で良いのでしょうか?

それにしてもラストで京極堂夫人(清水美砂)と
関口夫人(篠原涼子)が出てきて、“加菜子のその後”の
うわさ話をしていますね?
くすくす笑っていたでしょう? ぞっとしましたねぇ。
この人たちこそ“魍魎”…

以下はネタバレとなるのでmixi独身映画ファンコミュニティ
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=26452836&comm_id=1299114
にて「魍魎の匣」の頁をご覧下さい。


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