「ミスティック・リバー」DVD脚本レビュー
★映画基礎データー★「ミスティック・リバー」 2003年アメリカ映画 監督 クリント・イーストウッド 脚本 ブライアン・ヘルゲランド(「LAコンフィデシャル」) 出演 ショーン・ペン ケビン・ベーコン ティム・ロビン |
「ミスティック・リバー」の原作は、全米でベストセラーとなり、
日本でもジャンルを超越した傑作として2001年の年間
ベスト・ミステリーにランキングされたデニス・ルヘインの同名小説です。
役者三人がどういう関係かと言うと…。
雑貨屋を営むジミー(ショーン・ペン)の娘が惨殺された。
ジミーの幼なじみで刑事のショーン(ケビン・ベーコン)が捜査を開始するが、
容疑者として浮かび上がったのはふたりの幼なじみのデイブ(ティム・ロビン)だった。
一方ジミーは復讐を誓いかつての犯罪仲間と独自に犯人を捜し始める。
宣伝コピーでは「アカデミー賞にもっとも近い映画」だそうですが、
俳優のノミネートはあっても、
作品賞、監督賞、脚色賞等の受賞はないでしょう。
撮影、編集、録音あたりは取れるかもしれない。
クリント・イーストウッド監督の演出は毎度手堅く、
主演三大キャストは無論、
ローレンス・フィッシュバーン、『マトリックス』3部作のモーフィアス役)、
マーシャ・ゲイ・ハーデン(「ジョー・ブラックをよろしく」
「この森で、天使はバスを降りた」)、
ローラ・リニー(「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」「トゥルーマン・ショー」)
ら脇役達も良い仕事をしているのですが、
オリジナリティといいますか、新鮮味が乏しいドラマです。
殺人事件の謎解きより心理描写に優れ、
そこがウリとなっています。
刑事、被害者、容疑者と役割がはっきりしているので、
すぐ逮捕されて、尋問と捜査がメインになるかと思いきや、
いかにも怪しげなデイブはなかなかつかまらず、
ショーンやジミーとの駆け引き、心理戦で盛り上げます。
むしろトリックとか逆転劇で見せるというより、
サスペンス映画ですね。
劇場公開時の宣伝が「もうひとつのスタンド・バイ・ミーを見るために大人になった」
とか言うやつです。
「馬鹿こけ」と初め思いましたが、当たらじとも遠からずと今は考えています。
ただしスタンド・バイ・ミーのような甘い感傷は微塵もなく、
泣きを期待するとはずします。
大人向けのミステリー映画ですが、邦画「半落ち」のように涙を期待する観客を、
心いくまで泣かせてくれる作品とは狙いどころが違いますので要注意。
熱がこもった演技、演出ですが中途でだれるのも確か。
まんなかあたりで眠気を催すのですが、
デイブに嫌疑が向けられ、
ショーンやジミーが具体的に彼の身辺を洗い出しをはじめて、
再び目がさめます。(^^ゞ
イーストウッド監督は「喪失」に興味があるといっています。
メガホンを取った作品がこれで24本目という、俳優の余技に納まらぬ、
すでにハリウッドを代表する名監督の一人に数えてしかるべき人ですが、
そういえば最近のいくつかの監督作品は、いろいろ題材やアプローチ方法を変えて
「喪失」を描こうと試みている様にも感じられます。
(たとえ「スペース・カウボーイ」のようなお気楽な特撮ものであっても、です。)
ですからロスト・イノセンスを正面から描こうとするのは、
当然の結果といえます。
少年時代にしか築けない友情があり、
子供時代にしか許されない無邪気がある。
そうしたものに別れを告げて、人はいつしか大人になっていく。
しかし、3人の少年たちにとって、それは忌まわしい略奪の記憶でしかなかった…。
ねたばれ改行です。
私はぎりぎりでデイブが助かるものと思っていたのですが、
そうじゃなかったのですね。
そして、ジミーがラストで捕まらないのも、ドラマを一層、重たくしてます。
ショーンはジミーを見逃したのでしょうか?
無言電話を掛けつづけるショーンの奥さんにまつわる
描き込みがもう少し欲しかったです。
彼女がラストに口を開いて、明るいものが少しあってエンディングとなるだけに、
二人の間にどんないきさつがあったか、
不明瞭ですと、「しゃべった」という現象だけ見て溜飲を下げるのは苦しいです。
トップページ(映画の日特選、小説と脚本の比較レビュー)に戻る。