「ナチョ・リブレ 覆面の神様」

「ナチョ・リブレ 覆面の神様」映画チラシ★映画基礎データー★
「ナチョ・リブレ 覆面の神様」
2006年 アメリカ映画
監督脚本 ジャレッド・ヘス
出演 ジャック・ブラック

mixi(ミクシー)「独身社会人映画ファンコミュニティ」に入ろう!

独身社会人映画ファンML に入ろう!! [MLの詳細]
メールアドレス

イグナシオ/愛称ナチョ(ジャック・ブラック)の両親は2人とも宣教師だ。
母親は、スカンジナビア地方から来た宣教師、
父親はメキシコ人の助祭士。
互いを改宗させようとして恋に落ち、
結婚をしてしまった2人はナチョを産んですぐに死んでしまう。
二人の死後、ナチョは戒律が厳しくユーモアもない修道院の中で孤児として育てられる。

成長してからは修道院の料理番を担当しているナチョだが、
修道院にはお金がないために、まともな食材を使えない。
おまけに、寝ている老人を死人と思い込んで祈りの言葉を捧げてしまったり・・・
失敗の連発で、
修道士のギレルモ(リカルド・モントーニャ)などからバカにされている。
とはいえ、ナチョは修道院の孤児たちからは慕われ、
ナチョ自身も子供たちが大好きだ。

ある日、ナチョは、
新しい先生として修道院にやってきたシスター・エンカルナシオン
(アナ・デ・ラ・レグエラ)にひとめ惚れしたことから、がぜんヤル気を出す。
ところが、町に食材を貰いに行くと、
すばしっこくて神出鬼没の謎のやせた男に襲われ、
チップスを奪われてしまう。
落ち込んで歩くナチョだが、
憧れのルチャ・リブレのスター、ラムセスの豪華な暮らしぶりを目撃、
また、賞金のかかったアマレス大会のポスターも見つける。

「新鮮なサラダが食べたいなぁ・・・」
そんな無邪気な少年の言葉がナチョを動かした。
ルチャ・リブレでお金を稼ごう、
そして子供達に美味しい食事をあげるんだ!
ところが、ルチャ・リブレは修道院の老僧たちが忌み嫌い、タブー扱い。
試合をTVで観ることすら禁止されている。
おまけに、シスター・エンカルシオンからは
「ルチャ・リブレは罪であり、偽の英雄だ」と説教され悩むナチョ。
しかし、ナチョの子供たちにおいしい食事させたい、という願いは強く、
修道院には内緒にして、大会への出場を決める。

ルチャ・リブレに出場するには相棒が必要だ。
そこで、謎のやせた男をチップスを罠に捕まえ,
タッグ・パートナーになるよう説得。
彼の名はスティーヴン(ヘクター・ヒメネス)。
蜂の巣を身体にぶつけたり、闘牛の相手をしたり、
と奇想天外なトレーニングを経て、
お粗末な覆面を被り、正体を隠して試合に出場。
しかし、惨敗・・・。ところが、負けっぷりが観客に大受けして、
次の週からも試合に出場出来ることになる。

監督は「バス男(原題Napoleon Dynamite)」のジャレッド・ヘス。
…という人ですが、まったく知りません。本作が監督第2作目のようです。

脚本は『スクール・オブ・ロック』のマイク・ホワイト。
「僕らが目指したのは、皆に広く受け入れられ、
それでいて誰も見たことのないオリジナルな映画なんだ」と言う通り、
『ナチョ・リブレ 覆面の神様』他に類をみない映画に仕上がっています。
主演のジャック・ブラックは
「ジャレッド・ヘスが監督を引受けてくれるならタイツだって裸だって何でもやるよ!」と言う通りの体当たりの演技でルチャ・リブレ
(ルチャ=自由、リブレ=戦い。メキシコでプロレスを「自由への戦い」と呼ぶのだ。
かっこいいでしょ!?)
初挑戦とは思えないほどの華麗な肉体技を披露しています。
かなり役に入れ込んだようで、自分で必殺技・アナアナコンダ固め、ライオンのおなら(尻で相手の顔面をふさぐ)などのしょーもない奴を開発したとか。

ナチョは修道院に拾われた孤児で、修道院以外の世界を知らない男です。
本人が子供のまま大きくなったような人です。
ですから子供達を哀れんでプロレスを始めるというより、
自分がやりたいからやってる、という感じですね。
初戦で惨敗したのに、ファイトマネーを貰ってびっくり。
別段衣食住に困っている訳ではないので、
貰ったギャラを修道院の食料費にあっさり使って、
自分を馬鹿にした修道士たちを凹ませて、
ついでにシスター・エンカルシオンの関心を引ければそれで満足してます。
かの「タイガー・マスク」の原案とも言われる
メキシコの伝説的ルチャドール、フライ・トルメンタ(日本名:暴風神父)
の実話を元に脚本が書かれているとされていますが、
悲壮感はまったくなく、
ナチョのような無邪気な大人というのは、
最近の映画でついぞお目にかかったことがないので、
いっそ痛快でした。

共演の、ナチョとタッグを組むヤセ役のヘクター・ヒメネスというひとは、
メキシコ映画界のスターなのだそうですが、
日本でそんなこと知ってる人はいないですねえ。笑
ストーリート・ファイトには滅法強いが、
リングではからきし弱いというおマヌケ演技で笑わせます。
ナチョが一目惚れするシスター役には、アナ・デ・ラ・レグエラ。
メキシコのテレビ番組等で活躍していた人で、「ナチョ」がハリウッド・
メジャーへのデビューになります。

で、ジャック・ブラック主演が確定すると、
ヘス監督はメキシコに乗り込み、尾アクサかで大規模なオーディションを実施、
助演俳優達や数百名のエキストラを急遽、現地採用したそうです。
本編をみますとなにやらひどく泥臭いメキシコ映画のように見えますが、
『美しい人』『夜になる前に』の撮影監督ハビエル・ペレス・クロベット。
衣裳は『デスペラード』『マスク・オブ・ゾロ』のグラシエラ・マソン。
格闘シーンは『グラディエーター』『ラスト・サムライ』のスタント界の巨匠
ニック・パウエルが振り付け担当。
エスニック・サウンドに彩られた心地良い音楽は巨匠ダニー・エルフマン、
という意外やハリウッドの強力布陣が敷かれています。
げらげら笑うコメディというより、くすくす笑う感じ、という投稿が既にありましたが、
同感です。
最後に浪花節になりそうでならないのは、
ジャック・ブラックのせいか、監督の持ち味かは不明ですが。

撮影もオーディションが行われたメキシコ南部のオアハカで行われました。
ラストに登場する古代ピラミッドも地元のものです。
修道院もオアハカより車で40分程の古い街の施設をそっくり使ったようです。
チョコレートとチリで作る“モーレ”という料理で知られた土地でもあるそうです。

現在のメキシコのルチャ・リブレは
1933年に創設されて72年の歴史を持っている世界最古のプロレス団体CMLL
とAAAの二団体によって支えられており、
CMLLはニューメキシコシティのアレナ・メヒコという会場で
毎週金曜日の夜に定期戦が開催しています。
もう一方のメジャー団体のAAAが地方遠征を中心としているのに対して、
CMLLは金曜のアレナ・メヒコと日曜&火曜のアレナ・コリセオの定期戦を
中心にメキシコシティーを重点的に活動しているそうです。
映画からも察せられるとおり、
もともとルチャは生活の豊かでない庶民に支えられていて
中産階級以上の層は敬遠しがちで、
会場もあまり観光客が近づかなくて人通りの少ない治安の悪い地域にあります。
チケットは安く、リングサイドでも僅か140ペソ(約1400円)。
リングサイド以下の席になると全て日本円にしても1000円以内で
試合を見ることが出来るそうです。
ルチャドールは文字通り、貧民のヒーローなのですね。







トップページ(映画メイキング、小説と脚本の比較レビュー)に戻る。