「オーシャンズ12」DVD脚本レビュー

「オーシャンズ12」映画チラシ★映画基礎データー★
「オーシャンズ12」
2004年 アメリカ映画
監督 スティーブン・ソダーバーグ
脚本 ジョージ・ノルフィ
出演 ジョージ・クルーニー ブラッド・ピット マット・デイモン

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「オーシャンズ12」の一作当たりの4人の推定ギャラは、
ジョージ・クルーニー18億円、ブラッド・ピット21億円、マット・デイモン18億円、
キャサリン・ゼタ・ジョーンズ8億円と伝えられています。
これだけで合計65億円也。
ロケはシカゴ、アトランティック・シティ、ラスベガス、セント・ピーターズバーグ、
アムステルダム、パリ、ローマ、コモ湖、シシリアとアメリカと欧州各地に渡ります。
ワーナーブラザース・スタジオの三つのサウンド・ステージに
イタリアの美術館からオランダの遊覧船の船体まで建設され、
広大な15ステージのほとんど全フロアを占領したそうです。

前作でカジノの売り上げをオーシャンズ11に強奪されたオーナー・ベネディクト
(アンディ・ガルシア)は3年かけてオーシャンらを探し出し、
強奪金と利息1億6千万ドル(165億円)を返さねば殺すと脅す。
アメリカ国内では顔の割れている彼らはヨーロッパに飛び、
荒稼ぎを目論む。
世界一の怪盗を自負する“ナイト・フォックス”
(ヴァン・カッセル「エリザベス」「シュレク」)との対決、
ラスティ(ブラッド・ピット)の元カノジョでもある
ユーロポール(ヨーロッパ警察機構)の美人捜査官イザベル・ラヒリ
(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)の追跡が始まる。

スティーブン・ソダーバーグ監督は「オーシャンズ11」のプロモートで
訪れたローマでマスコミ関係者から続編の可能性について質問されました。
それ以前はこの豪華キャストのシリーズ化は検討外と考えていたようですが、
プロモートで回った美しい欧州の町並みで彼らを活躍させてはどうかという、
漠たる構想が監督に浮かび、前作の興行的な成功をきっかけに
ジェリー・ワントロープ プロデューサーらは具体的な構想に取り掛かったようです。
その過程で見出されたのが
アメリカとヨーロッパの怪盗が戦うジョージ・ノルフィのアドベンチャー映画脚本
「Honor Among Thieves」。
ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、ソダーバーグもこの脚本が大いに気に入り、
この脚本の権利を取得して続編の土台とし、推敲していったとのことです。

12名の役名と役回り、演ずる役者名を答えられる人いますか?
なかなか大変なんじゃないかなと思います。
以下のとおりになっています。
ねたばれが含まれますので、注意の上、ご覧ください。










@ ダニー・オーシャン
女房に頭が上がらん駄目男…じゃ無くって[アイデア・マンのリーダー]という設定らしい。
演ずるはジョージ・クルーニー(『シン・レッド・ライン (1998)』『ソラリス (2002) 』)

A ラスティ・ライアン
好き勝手にぶらぶらしているように見えるが、実は〔副リーダー的存在〕という設定。
演ずるはブラッド・ピット(『 12モンキーズ (1995) 』『トロイ (2004)』)

B テス・オーシャン
ダニーの妻ということは知っていたが実はMFA(Master of Fine Arts の略。芸術学修士)という肩書きもある。でもドラマに関係ないので意味が無い。
演ずるはジュリア・ロバーツ
(『エリン・ブロコビッチ (2000)』『モナリザ・スマイル (2003)』)

C ライナス・カルドウェル
実は〔スリの名人の間抜け息子〕ということになっている。
一人前になりたくてあせっているというありがちの役回り。
演ずるはマット・デイモン
(『リプリー(1999)』『ボーン・アイデンティティー(2002)』『ボーン・スプレマシー(2004)』)

D フランク・カットン
〔プロのカードディーラー〕という設定だが、今回出番はあったのか?
演ずるは バーニー・マック(『チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル (2003) 』)

E バージル・モロイ
〔Fのターク・モロイと双子の兄弟、ラジコン名人で自動車好き。〕
そういえば、今作でもリモコンカーが出てくるが、こいつの自作と知らんかった。
演ずるはケイシー・アフレック(『ジェリー (2002)』)

F ターク・モロイ
〔Eのバージル・モロイと双子の兄弟、自動車好き。〕
でも双子という設定は何も生かされていない。バージル役の人をデジタル合成で
二人に見せているわけではない。爆
演ずるはスコット・カーン(『ソニー(2002)』)

G バシャー
〔爆破の名人〕だが出番なし。冒頭でブラピの車を吹っ飛ばしたのはこいつではない。笑
演ずるはドン・チードル(『ブギーナイツ (1997) 』『16歳の合衆国 (2003)』)

H イエン
前作では見せ場があったが今作では鞄ごと外国に運ばれちゃうだけの〔曲芸師〕。
演ずるはシャオボー・クィン。すごいチビだと今回はじめて知った。

I ソール・ブルーム
〔引退した天才詐欺師〕って設定だがただの老人にしか見えない。
今作では突然医者のふりをするのが唯一の出番。
演ずるは、オーシャンズ11以外の出演作さえわからないカール・ライナー。

J ルーベン・ティシュコフ
前作でアンディ・ガルシアに地位を追われたラスベガスのもと帝王。
〔スポンサー〕として行動をともにしたが実のところ何も芸がないので、
今回はただぷらぷらしているだけ。
演じるのはエリオット・グールド(『 ボブ&キャロル&テッド&アリス (1969)』)

K リビングストン・デル
[メカのエキスパート〕という、チームものにはお約束の設定人物。
美術館襲撃の際、凝った3D投影機を用意するがまったく役に立たってない。
演ずるはエディ・ジェイミソン(『ブルース・オールマイティ (2003) 』)

さりげなく前作と今回の役割比較もしているので、
へたなガイドよりよほど役に立つはずです。

一本の映画で描ききれる人物は4、5人位でしょうか?
11人というのは多すぎますし、まして12人では
テレビの連続ドラマでもない限り手も足も出ないです。
「オーシャンズ11」の作品紹介でも書いたとおり、
元ねたとなっている「オーシャンと11人の仲間」は
フランク・シナトラ一家の“お祭り映画”ですので、
ファンがご贔屓の俳優たちの揃い踏みが見られればそれで満足という、
ニーズを満たすための映画で、
「オーシャンズ11」も売れっ子ハリウッドスター勢ぞろいで、
ファンのご機嫌を伺っています。

「12」では、回想シーンなどは使わず、前作の敵役ベネディクトが、
その後、全米に散ったオーシャン一味をことごとく探し出し、
恫喝するくだりから始まります。
再結集の理由が、主人公たち側からの動機付けでなく、
悪役側の強行によるというのはアイディアとして悪くないですが、
11人がひとりづつ吊るし上げられるのを、
延々と十五分以上かけて見せられるのは冗漫で、
ジョージ・クルーニー、ブラピ、マット・デイモン、ジュリアン・ロバーツら
高額ギャラ組だけ出して、あとは飛ばした方が良かったのではないでしょうか。

お話が、
ジョージ・クルーニー、ジュリアン・ロバーツの夫婦の話、
ブラピとキャサリン・ゼダ=ジョーンズの泥棒と警察のラブストーリー、
マット・デイモンとお袋さんの話と三つ別々に出てくる上に、
アンディ・ガルシアの復讐に、ヴァン・カッセル相手の米欧泥棒対決、
そんでもってキャサリン・ゼダ=ジョーンズの父親探しの話まで出てくるという
盛りだくさんです。

俳優たちとの契約上、均等に出番を作る条項でもあったのか、
上記のエピソードがほぼ同列に扱われているため、
結局どれが見せ場で、どれが脇き筋なのか判断付かないです。

まずアンディ・ガルシアにどやしつけられた途端に、
メンバーがヨーロッパに行ってしまうのが納得できなかったです。
彼らが一致妥結すれば、
ベネディクトをもう一度やっつけることだって出来たでしょうに。
復讐ものを描く気は無くて、
ドラマの舞台を欧州へ移動するための装置に過ぎないのです。
さらに困ったことに
例えば、中盤までジュリア・ロバーツがアメリカに残っているので、
ベネディクトに人質にでも取られているのではないかと
思っていたのですが、
マット・デイモンが呼び寄せて、
ジュリア・ロバーツにジュリア・ロバーツのそっくりさんを演じさせる
ための段取りだったりと、
ひとつひとつの話を書き込むべきところをはしおって、
次のエピソードのための伏線代わりにしてしまっているところが
多いです。
これでは登場人物が、脚本を運行させるためのチェスの駒の
ひとつに過ぎなくなってしまいます。

前作が、舞台がベガスで敵カジノ王の鼻を明かす事という、
全編がひとつの狙いに向かって集約していくのとは逆の
拡散型ドラマになっていて、
舞台が全米からヨーロッパ各地を点々とするので、
ついていくのがしんどいです。

またジョージ・クルーニー、プラピのチームリーダーとサブ・リーダーが
キャラクター設定上、
熱血とは逆の、深刻なときほど、軽口を叩いて斜めに避ける
性格付けになってることもクライマックスで感情移入を阻害しており、
本来痛快になるはずの大逆転が、
皮肉っぽい騙まし討ちに見えていしまうのが辛いところです。

カメオのブルース・ウィリスも邪魔くさいです。

企画書のプロットのまま撮影を始めたのではなかろうかと疑うほど、
雑なドラマ作りです。
もう少し脚本に金と時間をつぎ込み、
あと5、6回は推敲すべきでした。

もともと軽さが身上の作品ですので、
小難しいことをいって批評することはなじまず、
コーラとポップコーンでも食べながら軽く笑い飛ばすのが
正しい鑑賞方法でしょう。
普通の映画4、5本分のスターが拝めて、
7、8本分の海外ロケとコスチュームプレーが楽しめます。


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