「オーシャン・オブ・ファイヤー」DVD脚本レビュー
★映画基礎データー★
「オーシャン・オブ・ファイヤー 」
2003年 アメリカ映画
監督 ジョー・ジョンストン
出演 ヴィゴ・モーテンセン
オマー・シャリフ
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フランク(ヴィゴ・モーテンセン)と愛馬ヒダルゴは
ともに数々のクロスカントリー・レースを制した伝説のコンビ。
が、いまは引退状態にあった。そんなとき、
世界一過酷なレースの挑戦状を受け、参加することになる。
『ロード・オブ・ザ・リング』のアラゴルンことヴィゴ・モーテンセン主演の
アクション・アドベンチャーです。
19世紀末期を舞台に、
アラビア砂漠で行なわれた決死のホース・レースと
それに挑んだカウボーイと野生馬の友情を描きます。
次々と罠を仕掛けてくる悪人たちと想像を絶する自然の脅威。
ときにくじけそうになりながら、
黙々と馬と走り続ける孤高のカウボーイに扮したヴィゴの勇姿が凛々しく美しい。
映画『 オーシャン・オブ・ファイヤー』は実話に基づいており、
野生馬の映画『スピリット (2002) 』に携わったジョン・フスコが脚本を書いてい
ます。
監督は「遠い空の向こうに」「ジュラシック・パーク
III」のジョー・ジョンストン。
アラビア半島最南端アデンからシリアのダマスカスへ実に
3000 マイル(約 4800 km )ものアラビアの砂漠を駆
け抜ける過酷の「オーシャン・オブ・ファイヤー」”炎の海”という馬の長距離走
レースは、
千年もの間、アラブ系の馬だけに制限された
最高に権威のあるサバイバル競走でした。
そのアラビア馬はアラブの王室に所有される最も純血で
最も高貴な血統のものに限られていました。
しかし、1890 年、富豪のシークつまりアラビア人首長
・族長リヤド(オマー・シャリフ『アラビアのロレンス (1962)』)は、
そのレースに初めて米国人とアメリカの馬を招待します。
この人はレースの主催者で
自らも自慢のアラビア馬“アルハッタル”を送り込んでもいますが、
西部劇小説ファンだったりするという”おちゃめな”おやじさんでもあります。
アラブの中だけで”世界一”と鼓舞しても無意味ではないか?
という疑問に駆られたのでしょうか。
歴代シークのなかで何故か、今回のレースで世界に門戸を開いてやろうと
企てます。
フランク・T・ホプキンス(ヴィゴー・モーテンセン)は米国騎兵隊に属し、
その卓越した早馬の技術を生かしてポニー便
(西部の早馬による速達便)による至急伝令の任務を
遂行していた実在の人物です。
バッファロー・ビル・ワイルド・ウェスト・ショーでも
その圧倒的な乗馬テクニックを人々に披露し、
彼の乗りこなす高い質と早馬の技術は国際的に知られていました。
特に、ホプキンスの乗りこなすムスタング(半野生の馬/小形で米国平原地帯産)、
ヒダルゴには注目が集められていました。
サウジアラビアの首長はショーのなかでヒダルゴを「世界最速の馬」と
紹介していたのは事実に反する、と使者を通じてクレームをつけてきます。
「世界最速の馬は、オーシャン・オブ・ファイヤーの優勝者だけが名乗ることが出来る」
という挑戦状です。
ホプキンスはその挑戦を受け、愛馬ヒダルゴと共にサウジアラビアに入ります。
フランク・ホプキンスは白人とインディアンの両方の血を受け継いでいます。
それでもって映画の冒頭で、
少数民族の虐殺事件に首を突っ込んでしまいトラウマになってます。
「ラストサムライ」の主人公同様、やさぐれてしまい、
騎馬ショーで失意の日々を送っています。
そこへアラブの偉そうな族長の使いがやってきて、
すき放題言われて、仲間の後押しを貰って海を渡ります。
インディアンの世界でも、白人の世界でも、アウトサイダーである彼が
過酷なレースに参加し、生死の間を彷徨いながら学ぶ事は、
生きる事に意義があると言う事であります。
ヒダルゴに助けられながら自分のアイデンティティを見つけ出す精神的な旅と、
優勝を巡っていろんな利害に駆られて集まってきた他の参加者たちとの
競い合いのドラマになります。
撮影は時節柄、アラブでは無理でモロッコで撮影されているのは、
皮肉ではあります。
オアシスひとつない”死の砂漠”=ルブアルハリ
町をまるごと飲み込む砂嵐、”砂の悪魔”=ジニス
流砂地獄”毒の母”=ウルアルサミム
などの超自然現象が、これでもか、これでもかと
出場者たちに襲い掛かるのですが、
いろいろありすぎてやや喧しい感じがしないでもないです。
いろいろある人たちの中にシークの娘ジャジーラもいます。
(イギリスの新星、ズレイカ・ロビンソンが演じている。)
どうも彼女の嫁入りもレースの景品にされちまっているようで、
反発して外国人のホプキンスに肩入れしますが、
テントで密談しているところをリヤドの使いたちに見つかってしまい、
ホプキンスは縛り上げられて危うく”去勢”されそうになります。
盗賊がレースのキャンプに乱入してジャジーラはさらわれてしまい、
「娘を助け出せれば、罪を許してレースに復帰できる」という
勝手な条件を付けられてしまい、ホプキンスさんは単身、
盗賊追跡に。
盗賊は実は…、というオチはあるのですが、
この劇中劇の部分が少し膨らみすぎの活劇で、ややだるいです。
他に黒人奴隷がアラブ人の周りにいたりして、
史実的には興味深いのですが、
もっとあっさりやって欲しい。2時間15分はいらないでしょう。
砂漠のアクション映画だと「インディージョーンズ」「ハムナプトラ」などのイメー
ジがあり、本作品も
特撮が売り物のように見えますが、
それらの映画に比べて、SFXの延べカット数は遥かに少ないそうです。
監督は特撮の巨匠ですが、今回、
自然の美しさを存分に見せるロケーションを重視したジョー・ジョンストンの
姿勢はご立派。
それなりに映像に結果を出してます。
ねたばれ改行です。
映画ではラストスパートで三者もつれ合いのゴールですが、
史実ではホプキンスは 68 日間で完走し、2位に33
時間もの大差をつけて、
見事優勝しています。ゴールが三頭のみというのは一緒。
しかしながら西側の報道関係に、このときのオーシャン・オブ・ファイヤーの
詳細がほとんど伝わっていないため、
原作自伝もホプキンスのでっち上げではないかという批判が今でもあります。
今の時代でも真偽が確認できない裏歴史がある、という事自体、
痛快ではありませんか。
こういうオイシイねたを幾つも抱えているハリウッドが羨ましくもあります。
ラストでホプキンスとヒダルゴがダマスカスの青い海に駆け込んでいく場面は、
目頭が熱くなるほど美しいシーンですし、
ホプキンスが賞金を叩いて政府により集団殺戮の運命にあったムスタングを解放、
鞍をつけない野生の馬の大群が西部の荒野に散っていくフィナーレ、
そしてヒダルゴとの別れは、これ以上のものは考えられない名場面であります。
最近のハリウッドは、マイノリティに対する敬意と知性を意識した作品が多く見られます。
これをもって「アメリカの良心」を語るのはオーバーかもしれませんが。
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