「踊る大捜査線 THE MOVIE2/レインボーブリッジを封鎖せよ!」DVD脚本レビュー

「踊る大捜査線 THE MOVIE2/レインボーブリッジを封鎖せよ!」映画チラシ★映画基礎データー★
「踊る大捜査線 THE MOVIE2/レインボーブリッジを封鎖せよ!」
2003年 日本映画
監督 本広克行
脚本 君塚良一
出演 織田裕二,柳葉敏郎
               

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「千と千尋のー」の向こうを張る大ヒットだそうです。
もともと昔のテレビシリーズの頃からのファンだったので、
今作「踊る大捜査線 THE MOVIE2/レインボーブリッジを封鎖せよ!」もそれなりに楽しめました。
初めて観た方はどうだったんでしょうか?
前作や旧テレビシリーズを踏襲したギャグなどを、
スタッフは「リンク」と呼んでいるそうです。
この作品独自の伏線とそのバラシも「リンク」と呼ばれており、
スタッフは目指せ百リンク! 二百リンク! とあらゆる小ネタ大ネタを脚本や演
出、美術、衣装、小道具大道具上に仕込みまくってます。
単なる楽屋オチから、結構高度な演出までイロイロあります。

ストーリーは独立完結したものですので、
初めて観た方にも何をやっているのか判らんという場面、セリフなどは無いはずですが。

あれから5年、お台場は観光スポット化し湾岸署もその対応に追われていた。5年前と
役職も変わらず、現場を走り回る青島俊作(織田裕二)は猟奇的な殺人事件に奮起。
ところが降格した室井(柳葉敏郎)に代わって女性管理官、沖田(真矢みき)がやっ
て来て……。

テーマはキャリア対ノンキャリア、官僚対現場。
そのテーマはテレビシリーズですでに描ききっている筈で、エピソードもその後の
テレビ特番、二つの番外編、前作映画でネタを出し尽くしてます。
前作映画は興行的に成功しており、関係者は社長賞を受けるなど続編製作の要請は早
くからあったようです。しかしながら実際、プロジェクトが動き出すまで、5年間の
構想期間が必要だった。
5年のインターバルは、平たく言えば”続編を作らなかった”というより、
”作れなかった”為ではないかと勘ぐっています。
解説本などの記載によると、この間、”踊る大空港”、”潜水艦事件”などの企画書
が書かれたようです。
(”潜水艦事件”については、
その後のスピン・オフ作品にも過去に起こった出来事として設定に生かされてますが。)

5年の間に舞台となるお台場が大きく変貌を遂げ、膨張途上のメガタウンとしての特
異性を持つようになった。ただの埋立地から場所自体がテーマを持てるようになっ
た。これは大きいです。
どなたか名は忘れましたが、外国の映画監督で「東京を描くのが一番難しいのだ」と
こぼさた人がいたとか、その監督が言われたことがそっくり当てはまるわけではない
でしょうが、
お台場という場所にこだわることで、話を作ろうというスタイルは悪くないです。

それとプロデューサー自身が明言してますが9.11テロに対する自分たちなりの解
釈というのもあったそうです。
警察のような組織は、内部の硬直化、官僚化も問題だが、何よりテロに対して脆さを
さらけ出してしまう。
9.11テロに対しては例えば邦画では「バトルロワイヤル」のような描き方もある
わけだけど、
今回の「踊るー」に出てきたような、テロ組織の攻撃命令立案手段を運用する犯罪グ
ループというのもありではないか? 

旧来の聞き込み、張り込み、物証固めの捜査方法では対応できず、一見衝動的に犯行
を繰り返すように見える敵に対し、ローラー作戦、人海戦術というマンパワーの消耗
戦を余儀なくされます。昼間人口数百万人を越えるお台場にあっては、
敵は人ごみに容易に隠れ、またパニックを起こされては警視庁が大量の機動隊、特殊
部隊を投入しようと大規模災害になりかねせん。
「リンク」の件と併せて、演出のテーマは“増殖”。
増殖する街、増殖する人、増殖する犯罪…。
実際、映画ではのべ一万人のエキストラが動員されています。
CGで群集を描くという方法も検討されたようですが、オフィシャル・サイトでファ
ンに持ちかけたら、あっさり人集めが出来たとか。人気ドラマならではの芸当です。

で、舞台と敵の性格特徴はこれで良しとして、作品のテーマをどうするか?
いろいろ考えられるのでしょうが、主人公、青島の“リセット”が選択されています。

以下ねたばれ改行です。



沖田「事件はね、会議室で起こってるのっ」



青島「聞いてるか、室井さん。何で現場に血が流れるんだっ!?」



すみれ「私達の仕事は、“余計なことはしなくて良い”って言われてしまう様なもの
なんですか?」



青島「仲間が倒れました。皆さんの血を下さい。湾岸署は皆さんの血を求めています」





官僚の横暴に憤慨した日々は遠く去り行き、
“観光案内所”と化している湾岸署や、テーマパークの警備員同然の日常勤務に磨り
減ってしまっている青島と強行犯係のメンバー。
痴漢やらスリやら迷子やらの頻発に翻弄され、
「自分の事件じゃないなぁ」とつい愚痴の出る日々。

そこに絵に描いたような猟奇的殺人事件が発生して、例によって“本店”のお歴々が
大挙して所轄に乗り込んでくる。再び三度、官僚の使い走りを強要され、反抗心がむ
くむくと首をもたげるのですが…。

最後におはなしは“お巡りさん賛歌”であります。
いろいろあって最後に彼らは、自分達の足元を見つめなおす事の大切さに気がつきます。
青島のアーミーコートへのこだわりとか、
沖田に「よく動かなかった」と誉められて逆にキレちゃうとことか、
そういった一つ一つの積み重ねが、
塵が積もって山になって、お台場を移動しつつ犯行を繰り返す犯人グループのしっぽ
を掴むヒントになる。
映画の掲示板に「みんなで解決しちゃうのは、「踊るー」らしくない。
こんちくしょう、つて上を睨むのがそれらしい」という書き込みがありました。
そういうオチの付け方はこれまで散々やっているし、
現場の悲哀と言うのは、そこいたるまで繰り返して出てくるわけだから、
最後は気持ちよく終わらせるのが溜飲が下がって良いと思うんですけどね。
表彰式に青島が姿を現せないあたりで、私は十分だと思ってますけど。


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