「鬼が来た!」映画製作裏話
★映画基礎データー★「鬼が来た!」 2000年 中国映画 公式サイトhttp://www.gaga.ne.jp/onigakita/ 監督・脚本: 姜文(チアン・ウェン) 出演 香川照之 |
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太平洋戦争終結直前1945年初頭、中国の寒村で男マー・ターサン(姜文)に麻袋が2つ預けられた。
顔を見せず「私」と名乗る男が、捕らえてきた日本兵・花屋小三郎(香川照之)
と中国人通訳を村へ預ける。
混乱に陥る村人と日本兵との言葉の壁が生むすれ違い。
「鬼が来た!」は『紅いコーリャン』『芙蓉鎮』の名演で知られる中国のトップ俳優、姜文(チアン・ウェン)が
文革時代の青春を生き生きと描いたデビュー作『太陽の少年』
(1994年ヴェネチア国際映画祭主演男優賞、米TIME誌年間第1位)
に続く第二作として監督。2000年カンヌ国際映画祭グランプリ受賞しています。
ユウ・フェンウェイの短篇「生存」という原作があるのですが、
映画に生かされたのは「2人の捕虜が送られてくる」という部分のみで、
残りはチアン・ウェンと3人の脚本補(原作者ユウ・フェンウェイも含む)との共同作業を
経て新しく作り上げられたそうです。
出だしの投げ込まれた二つの麻袋がまず可笑しい。
予告にもありましたが
村のじい様が「名前を言え」というと、花屋が「殺せーっ、帝国軍人なめとるんかこらーっ」
とかなんとか叫びまくると、ぼそりと「長い名前だ」で劇場内爆笑の渦です。
北京映画ですが、姜文の映画ですので『太陽の少年』同様、中国国内非公開作品です。
「太陽の少年」の時は、不良少年少女が人民解放軍の軍服着て「不純異性交流」するシーンが
まずかったようです。
「鬼が来た!」では、冒頭で麻袋を投げ込む男が
八路軍(共産党軍)らしく見えるとこがまずかったようで、
当局に修正を言い渡されたのを姜文が拒否してカンヌに出品したので、
上映禁止になったということになっています。
しかし作るそばから上映禁止では、姜文監督大丈夫ですかね。
次作が撮れないどころか、共産党に捕まって僻地の
矯正農場とかへ強制送還されてしまうのでは?
笑い事ではなくて、まじめに心配です。
欧米の審査員には馬鹿ウケの本作品ですが、アジアの映画関係者には
ひんしゅくものだったそうです。
舞台になる寒村の村民達が、居座る日本軍と適当に折り合ってやっていこうとする姿が、
アジア映画に良くある抗日映画とあまりにかけ離れた存在だったから、
と伝えられています。
でも、この作品の方が現実に近い姿のように見えるんですけどね。
ヒロイズムっぽく日本軍と戦わないと映画にならないなんて、
米軍兵士の姿の見えない東宝の8.15シリーズと似たり寄ったりです。
日本人俳優は香川照之を含めて5人だけだったようですが、
軍隊にほうり込まれてとことん訓練を受けたようで、
我々が見てもちゃんと陸軍兵隊に見えました。
日本映画では死語になっている「チャンコロ」が連発します。
蔑視言葉ですが、中国人に、どんのくらい失礼な言い回しなのかは
私らの世代には見当がつかないです。
あと馬と自転車ですね。
日本製の戦争映画にはこれがまったく出てきませんが、
軍馬と自転車はトラック以上に帝国陸軍では移動手段として使われていた筈です。
「八甲田山」などの邦画の日本兵は妙に垢抜けてますが、こっちの日本兵は実にだっさいです。
でも記録フィルムなんかを見てると帝国陸軍なんてださださです。
馬と自転車、あとふんどしですね。
軍服の下には、当時の男はフンドシを締めているわけです。
日本の戦争映画で、軍人がズボンを下ろすというシーンはめったにないので、
ズボンの下がどうなっているのかなんて考えたこともないでしょうが、
ズボンの下はフンドシなわけです。
三十人ぐらいの
兵隊さんが裸に夏手ふんどし姿で横一列に並ぶシーンかがあります。新鮮ですねえ、、、(笑)
北京の日本人留学生達が兵隊役に動員されたそうなので、
いまどきの若い連中ですから、
足の長さとかは長いはずですが、軍服の着こなしのせいか、メイクのせいか、
謎ですね。
花屋は始めに喚いていた頃の方が分かりやすくて、しだいに掴まえにくい人物になっていく。
状況がややこしくなってくると、むしろ寡黙な感じになって、
その分、行動が過激になる。
マー(姜文)を含めて村人達は緊張して麻袋のふたりの世話をしているが、
いつまでたっても「私」はふたりを引取りに来ないわ、村の食料は乏しくなるわで、
そうそう緊張して接してばかりはおられなくなる。
だんだん話が双方に狂気っぽくなってくる。
途中で出てくる老師が笑えます。
インチキ拳法の達人。一撃必殺とかいってまるで役立たず!
このパートはまったくのどたばたでブラックな味はありません。
その前の徴発に村を訪れる上等兵と二等兵のでこぼこコンビは、
ゴミみたいな日本兵そのものですね。ばたばたさせられるマー達にブラックな笑いが。
靖国神社に行く暇があったら、純一郎もこの映画見るべきです。
寒村の村人達もなんか農村で訓練受けた俳優さん達だそうでご苦労様です。
じいさまたちが小汚くていかにもそれらしいのですが、
ヒロイン・ユィアル(チアン・ホンポー 姜鴻波)が田舎のおかーちゃんにしては
妙に美人でそこだけ映画っぽい。
舞台となる村は、
もともと住んでいる方々を疎開させて石垣を積んで戦中の村を作ったそうです。
パッと見以上に手間のかかった映画です。
オチについては賛否両論で、いろいろ解釈のしようがありそうです。
戦争映画としての功罪より、
コミュニケーションの欠如による混乱こそがあの作品のテーマです。
ですから、花屋の上官の言動や、それに対する花屋の反応が、少々不可解だろうと、
それも狙いのうち、と考えるべきではないでしょうか。
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