「陰陽師U」DVD脚本レビュー
★映画基礎データー★「陰陽師U」 2003年 日本映画 監督 滝田洋二郎 脚本 夢枕獏 滝田洋二郎 出演 野村萬斎 伊藤英明 |
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原作比較を書こうとして書籍の原作シリーズとDVDのあらすじを
付き合わせたのですが、
該当作が見当たらず、改めて調べると、
原作者の夢枕獏先生が東宝の依頼で新作映画用のシノプシス(あらすじ)を
書き下ろしている様です。
今後、協同制作に名を連ねている角川書店より「原作本」と名打った本が
出るかもしれませんが、
それはノベライゼーションであります。
前作映画が小説の連作シリーズもののコラージュであったのに対し、
今度の作品は、長編ドラマです。
前作で踏襲せねばならなかった陰陽師という職業の紹介、時代背景、
主人公 安倍清明と朋友、源博雅他周辺人物の相関関係の説明などが飛ばされ、
京の都に夜な夜な起こる怪異から始まっています。
ドラマの基本設定に付いては前作の原作比較レビュー「陰陽師」に解説しています。
http://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/pro-in.html
今回はなんでも野村萬斎にもっと舞を舞ってもらう話にしようと
夢枕先生は清明の舞をクライマックスに持ってきている。
原作の清明は舞ったりはしないので、
これは萬斎=清明からイメージされたシリーズ映画独自のテーマです。
映像的な出来のほどは、人により評価が変わる事でしょうが、
原作の従属物でない映画の方向を探るのは良い事だと思います。
平安時代。都では"鬼"に襲われ命を落とす人が相次いでいた。
源博雅(伊藤英明)は親友、安倍晴明(野村萬斎)の許を訪れる。
やがて、晴明は事件が、世間で神と崇められる術師、
幻角(中井貴一)に関係することに気づく。
幻角はどんな病も治すと言われる人物だった。
幻角(中井貴一)が前作の導尊(真田広之)とキャラが被っているのですが、
直接、法術合戦で戦う関係ではありません。
見た人によっては、
「せっかく芝居の出来る人が出てるんだからバンバン戦った方が、スカッとするじゃんか」
と掲示板などで意見を述べてる人もいます。
ま、分からなくはないのですが、
制作側としては、同じことを繰返しても仕方なかろうという判断があったろうと
思います。
深田恭子の日美子については、かなり叩かれています。
右大臣 藤原安麻呂の娘 日美子は「鬼も恐るる男(をのこ)姫」と噂されるおてんば姫なのですが、夢遊病で夜、歩き回ります。
父 安麻呂はそれを都の怪異と結びつけて、
「よもや娘に鬼でもとりついて、悪事をなしているのではあるまいか?」
と源博雅を通じて安倍晴明に相談を持ちかけますが、
博雅は日美子に一目惚れしてしまいます。
清明の見たところ、日美子に呪(しゅ)の気配はありませんが、
姫の夢遊病は続き、都では貴人の惨殺が続きます。
次いで内裏の宝物殿にあるアメノムラクモの剣が、ひとりでに鳴る事件が起き、
清明は帝の前で剣を調べ、その激しい気の波動に宙に飛ばされそうになりますが、
清明の陰陽道をもってしても、その気の正体が掴めません。
清明の失態を見て密かに喜ぶのは反藤原派の貴族 平為成に三善行憲。
彼らは最近、貧困に喘ぐ庶民の絶大な支持を受けて、神とも呼ばれ
力を伸ばしつつある謎の法術使い幻角の元を訪ね、
清明より先に鬼退治をせよとそそのかします。
殊勝なふりをしつつも、貴族どもをひややかに見つめる幻角。
笛の名手 博雅は琵琶の名手 須佐(市原隼人)と知り合います。
須佐の肩には四つの首を持つ竜のアザがあり、
同じアザが実は日美子の肩にもあったのです。
ここまでが映画の序盤戦であります。
以下、ねたばれ改行です。
清明が謎を解明していく過程出ててくる"出雲八卦"という設定が
神話との掛け橋になっているんですが、こう言うの好きですね。
次々に殺される貴人達は、目玉をえぐられたり、鼻をもがれたりと
身体の部位を一つづつ食いちぎられている。
それは人間の八大欲望に繋がっていて、
(「セブン」の七つの欲望みたいだ。)
ヤマタノオロチの八つの首と八人の出雲の神に繋がっている。
―そこまで清明がたどり着いた時には既に六人が殺されていて、
残り二人の生命を巡って、清明側と幻角側とで争奪戦になる。
八人全員が死ぬと一体何が起きるんだぁ!?
蜜虫(今井絵理子)もワイヤーアクションで宙を飛んだりして、
アクション活劇する。
特撮場面は、前作より100カットほど増えて270カットほどだそうですが、
ずっと地味な印象です。
クライマックスで大地が裂けて京の都が火の海になって以降が見せ場で、
それまではわざとトーンを抑え目に演出されているそうです。
"出雲八卦"というのは実は夢枕先生が創作したものだそうですが、
邪魔にならない程度の嘘でなかなかよろしい。
京の帝に潰された出雲一族というのは、
出雲地方と、同一でありながら京都から半日ほどの距離に変えてあります。
ドラマ上、島根と京都の距離を何とかしなくちゃならなかったので、
ああなった様ですね。
それと一族の殲滅がほんの十数年前、というのも厳しい。
安麻呂と幻角と日美子の関係を成立させるために必要な端折り方だったんでしょうけど、
それはどうしても必要な事だったんでしょうか?
実の娘の魂に千年前の女神が転生したってことでも構わないと思うのですが。
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