「真夏のオリオン」

「真夏のオリオン」映画チラシ■作品基礎データ
「真夏のオリオン」
2009年 日本映画
原作:「雷撃深度一九・五」 池上司・著(文春文庫刊)
映画化原作:「真夏のオリオン」福井晴敏・監修 飯田健三郎・著(小学館文庫刊)
監督:篠原哲雄
脚本:長谷川康夫 飯田健三郎
出演:玉木 宏

mixi(ミクシー)「独身社会人映画ファンコミュニティ」に入ろう!


現代― 雨の降る海辺の町。
倉本いずみ(北川景子)は今、ひとりの人物を訪ねようとしていた。
彼女の手には、英文で書かれた手紙が携えられている。
アメリカから届いたその手紙は、こうはじまっている。
『あの夏、私の祖父が何を失い、何を手にしたのか―。
それを知りたくて、こうして手紙を書いています』

差出人の祖父は、
かつてアメリカ海軍で駆逐艦の艦長として日本と戦い、輝かしい戦歴を誇った。
にもかかわらず、終戦後は一度としてあの戦争の思い出を語ったこともなく、
当時の品も一切手元に残さなかったという。
しかし、その祖父の遺品の中に、ただひとつ大切に保管されていたもの。
それが手紙に同封されていた楽譜であった。
古びた手書きの楽譜には、いずみの祖母・有沢志津子のサインがあった。

いずみは過去を紐解くために、
かつて日本海軍で潜水艦長を務めた祖父を知るただひとりの存命者・鈴木を
訪ねてきたのだ。
海が一望出来る展望台で鈴木老人と対面した彼女は、こう問いかける。

「日本とアメリカは戦争をしていた……それって殺し合っていたってことですよね? 
なのに、どうしてこの楽譜が戦っていた相手の手に渡ったのか、
なぜ60年以上も大事にしまわれてきたのか……」

「難しいことは何もない」
そう言ってから鈴木老人は、
いずみの疑問に答えるかのように遠い昔の記憶を語りはじめた。

「私たちはみんな一生懸命だった。ただ、それだけです。
でも、あの夏、倉本艦長と共にした二週間を、私は忘れたことはありません」

いずみの眼下に広がる雨の向こうの海に、64年前の夏。
1945年8月の紺碧の海原が広がり始めた ―


第2次世界大戦末期、沖縄南東海域―豊後水道沖。

日本海軍は、
米海軍の燃料補給路を叩くためイ―77をはじめとする潜水艦を配備していた。
日本の戦局は日に日に悪化を辿り、
米軍の本土上陸が近い今、この作戦は最後の防衛ラインともいえた。

イ―77の艦長・倉本孝行(玉木 宏)は、
同作戦に参加するイ―81の艦長・有沢義彦(堂珍嘉邦)とは
海軍兵学校からの親友であり、
その妹・志津子(北川景子 二役)とも互いに想いを寄せ合う仲であった。
いつ戻るとも知れぬ作戦への出航前、志津子は倉本に手書きの楽譜を手渡した。
イタリア語で『真夏のオリオン』と題されたその曲は、志津子が作ったもので、
そこには倉本に宛てたメッセージが書き添えられていた。

『 ― オリオンよ、愛する人を導け』

この季節、海上からオリオンが見えるのは夜明けのほんのわずかな時間だけ。
真夏に輝けば、それはこの上ない吉兆だと、船乗りの間では語り継がれている。
志津子は倉本への想いをそのオリオンの輝きに託したのであった。

倉本たちが迎え撃つのは、米海軍駆逐艦パーシバル。
艦長のマイク・スチュワートは、米海軍きっての歴戦の勇士であり、
日本軍の人間魚雷「回天」の攻撃で弟を失くしたことで、
さらなる闘志を漲らせていた。

スチュワート艦長は、
大胆かつ周到な知略で日本側の二重三重の防衛ラインを切り開き、
ついに倉本たちの前衛に配備された有沢の潜水艦イ―81と対峙した。

日本海軍きっての潜水艦艦長として数々の駆逐艦を沈めてきた有沢もまた、
スチュワート艦長の裏をかく戦術で応戦するが、
スチュワート艦長の奇策の前に防衛ラインを突破されてしまう。

残された希望は、倉本たちイ―77の乗員たちに託された。

そして、イ―77と駆逐艦パーシバルは、互いの策敵範囲に相手の機影を捉えた。

おおらかな笑みを絶やさず、
あたかもチェスの駒を進めるが如く一手一手冷静に相手の動きを読み、
一転大胆な決断で敵の意表を突く倉本。
対するは、豊富な戦歴をもとに一切の楽観と予断を排し、
確実な勝利を手中に収めるまで執拗に、
そして非常なまでの冷徹さで機雷を投下するパーシバル艦長。
二人の艦長は、限られた本数の魚雷と機雷を武器として、
持ち得る限りの知力と体力の限りを尽くして戦い続ける。

三昼夜にも及ぶ激戦の果てに劣勢に立たされたイ-77は甚大な損傷を受け、
まさに万策尽きたと思われた。

イ―77に同乗していた人間魚雷「回天」の特攻隊員たちは、倉本に出撃を乞う。
しかし倉本は、はやる特攻隊員を抑え説き伏せた。

「いいか、俺たちは死ぬために戦ってるんじゃない。生きるために戦ってるんだ。
人間は、兵器じゃないんだ」

若き潜乗員たちの命を預かる倉本は、
この戦局を切り抜けるために重大な決断を迫られる。
志津子の想いが込められた『真夏のオリオン』の楽譜を胸に、
倉本は起死回生の一手に賭けて最後の戦いに臨んでいく。

「真夏のオリオン」試写会で見ています。
「亡国のイージス」の原作者とスタッフが
四年がかりで再び“潜水艦もの”に挑んだ大作です。

んー、大作に見えないかもしれないです。
東宝は傑作戦争映画「眼下の敵」をモチーフに、
駆逐艦 VS 潜水艦 の一対一の真っ向勝負を描ききっています。

ですから、画面に登場するのは
米軍駆逐艦と日本海軍イ号潜水艦がひとつづつ。
正確には、潜水艦があと一隻と、輸送船団が出てきますが、
ほぼ一対一で話は進みます。

潜水艦に残された魚雷は残り七本、からドラマが始まって、
冒頭の輸送船撃沈に四本を使い、
残り三本で戦闘を引っ張る引っ張る。

「ローレライ」のような超兵器が出てこない分、
さらに話は地味ですが、
「ローレライ」を見て面白いと思った人は確実に楽しめます。

イ号潜水艦の甲板には人間魚雷“回天”が載っていて、
通常装備の大砲も機銃も取っ払っている。
つまり“浮かび上がったら丸腰”なわけで、
水上艦と洋上で戦うわけには行かない、というハンディをしょってます。

艦内には「天皇陛下のため」特攻したくて
ぎらぎらしている“回天”乗組員もいて
艦長(玉木宏)の苦労はつきない。

駆逐艦の甲板と艦内のシーンは、
「ローレライ」の時、同様、アメリカ本国の艦船ミュージアムの展示船で、
つまり太平洋戦争で活躍の実物の駆逐艦内でロケされるという
アイディアを使っていますが、
驚いたのが洋上の戦闘シーンで、
メキシコ海軍が米軍から譲り受けた退役艦が現役で活躍していますが、
その駆逐艦を実際に走らせて撮影したという、
つまりライブ撮影で撮られているということなんです。

戦争映画のために本物の軍艦を使って本物の戦闘シーンを
空撮を交えて撮影するとは日本映画の範疇を超えてます。

映像は、やはりライブの強みを生かして、
駆逐艦と潜水艦と最小旋回半径がどっちが大きいかとか、
艦長は右利きか左利きか、とか、
そうした頭脳戦を“見れば分かる”説得力のある撮影がされています。

あえてケチを付けるとすると、
ヒロインの登場場面がやや多いということですかね。
延々と男同士が海で睨み合う戦いなので、
そのままですと殺風景な事この上ないですが、
恋人の出番は、やはり冒頭とラスト、
あとは中盤で一回程度に収めるべきでした。


原作は、池上 司の「雷撃深度一九・五」(文春文庫刊)。
第二次世界大戦中の海上を舞台に、
米海軍駆逐艦と日本海軍潜水艦という互いに顔を合わすことのない状況の中、
ファイトマン・シップで戦い抜こうとする男たちの姿を、
熱くスリリングに描いた戦争サスペンスです。
この物語をベースに、「亡国のイージス」「ローレライ」の福井晴敏が
脚色として初参加、
「64年前の楽譜が時を越えて、人々の心を繋ぐ」という、
福井によるオリジナル・アイデアが盛り込まれた。

監督は、『地下鉄(メトロ)に乗って』『山桜』『深呼吸の必要』など、
の篠原哲雄。
音楽は「レッドクリフ」の岩代太郎。
撮影にあたり、東宝スタジオ内に「イ-77潜水艦」の巨大セットを建造しました。

主人公イ-77潜水艦・艦長、倉本に玉木 宏。
倉本の無二の親友で、僚艦イ-81潜艦長・有沢を、
トップ・アーティストとして活躍するケミストリーの堂珍嘉邦が
俳優としてスクリーンに初登場します。
また、益岡 徹、吉田栄作、吹越 満、平岡祐太、鈴木 拓(ドランクドラゴン)らが
倉本を支える個性溢れる幹部潜乗員を演じ、
さらに、黄川田将也、三浦 悠、森 廉、奥村知史、太賀ら注目の若手俳優らが
勢揃いするなど。

北川景子のインタビューでメイキングに関わる部分を再録します。

Q:初めて戦争の時代を生きる女性を演じられたそうですが、
やはり現代劇とは違いましたか?

確かにこれまで以上に、じっくりと準備を重ねましたね。
実際に戦争を知っている世代の方にも抵抗なく観ていただきたいと思ったので、
不自然さが出ないように心掛けました。
実は音声を担当されたスタッフさんがご年配の方で、
第二次大戦当時のこともよくご存じだったので、
あの時代の女性の話し方や所作、
特にもんぺをはいての歩き方などを指導していただきました。

Q:北川さんが愛する人に敬礼するシーンは、特に胸が締め付けられました。
ご自身はどんなお気持ちでしたか?

志津子は軍人の家に育って、
小さいころから父親をまねて敬礼をしていたという設定なんです。
ですから、いわゆる正式な敬礼というものをみっちり練習しました。
敬礼するときに、手のひらが見えてはいけないんですよ。
あのシーンは、兄(堂珍嘉邦)と倉本艦長を「いってらっしゃい」って
送り出すわけですが、
同時に「無事に帰ってきてほしい」という願いが込められている。
経験したことのない状況なので、想像し切れない部分もありましたが、
なるべく自分の感情に引き寄せてリアルに演じられればと思いました。

Q:北川さんの目から見て、志津子はどんな女性ですか?

ものすごく強い人だと思いますね。決して明るい時代ではなかったはずですが、
「もうダメかもしれない」なんてことは絶対に考えずに、
愛する人が無事に帰ってくると信じている。
もちろんその保証はないんですけれど。倉本艦長もそういう考えですよね。
「絶対生きて帰るんだ」っていう思いはこの映画のテーマでもあるし、
わたしも演じる上で大切にしました。

Q:北川さんが演じる志津子が倉本艦長に思いを寄せる部分が、
映画の核になっています。玉木さんとは初めての共演でしたね。

ご一緒するのが初めてとは思えないほど、すんなりお芝居に入ることができました。
「歩くスピードが早ければ、おれが盗もうか(合わせようか)」と言ってくれたり、
先輩としてすごく気遣ってくれたりしたので、
わたしも玉木さんを信頼して思いのままにぶつかっていけました。
とても楽しい共演でしたね。

Q:今回、北川さんは映画の中で紅一点の存在でした。

そうなんですよ。
潜水艦に乗った男性陣が緊迫した戦闘シーンを演じている合間合間に、
わたしの出演シーンが出てくるので逆に目立つというか、
せっかくの緊張感を台無しにしたくないという気持ちが強かったですね。
あまり前に出過ぎず、でも存在感を出さなくてはいけないというのは、
結構なプレッシャー…


以下はネタバレとなるのでmixi独身映画ファンコミュニティ
http://mixi.jp/view_community.pl?id=1299114
にて『真夏のオリオン』の頁をご覧下さい。



トップページ(映画制作裏話、映画と原作比較レビュー)に戻る。