「アウトレイジ」
■作品基礎データ 「アウトレイジ」 2010年 日本映画 監督脚本主演:北野武 |
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関東一円を取り仕切る巨大暴力団組織である山王会の組長、関内(北村総一朗)が
若頭の加藤(三浦友和)に、直参である池元組の組長、池元(國村隼)に苦言を呈すことから
始まる。
若頭の加藤から、直系ではない村瀬組を締め付けるよう命令された池元は、
すぐさま自らの配下である大友組の組長、大友(ビートたけし)にその役目を任す。
面倒で厄介な仕事は、いつも大友の仕事だった…。
北野武監督が、『BROTHER』(2001)、『座頭市』(2003)以来、
久しぶりに現代ヤクザを描いた本格的なバイオレンス作品に挑戦するということで
期待が高まっている北野武第15回監督作のタイトルが『アウトレイジ』に決定した。
“OUTRAGE”を直訳すると、“極悪非道”、
登場人物すべてが悪(ワル)というバイオレンス・エンタテインメント作品。
主演を務めるビートたけし以外、三浦友和、椎名桔平、加瀬亮、さらに國村隼、杉本哲太、
石橋蓮司、小日向文世、北村総一朗、塚本高史、中野英雄など、北野映画初登場ばかりの
豪華なキャスティングが集結していることでも話題を呼んでいる本作『アウトレイジ』は、
今年の夏にクランクインした。
北野武の久々バイオレンス映画。
暴力批判に耐えかね静かな作品を撮ったけど入りは悪いし
…とは本人の弁ですが、だから暴力回帰したなら、
それもつまらないな、と。
暴力も過激になると笑いなる、と言うのは
そのとおり。
歯医者やラーメン屋のくだりは演出通り笑いました。
映像の北野ブルーは健在だし、
オールスターキャストだしで、その意味では充実しているのですが。
「ブラザー」なら”兄弟(愛)”とか、
北野作品は暴力の向こう側にあるものを描き出して魅力があるのですが、
この作品については、暴力のための暴力になってしまって魅力を感じませんでした。
「全員悪人」というコピーがついてますが、
そんな話はこれまでにいくらでもありましたので、
いまなぜ悪人同士の潰しあいを描きたいのか、
意図が見えない点がこの作品の弱点ですね。
他の任侠ものようにベタベタした人情で引っ張らないのは
良いのですが。
それと女性のキャラが愛人とホステスだけで、
台詞もろくにありません。
女には興味ないんだな。
改めて振り返ると北野監督作品では
岸本加代子の妻位しかいないですね、
印象に残る女性キャラというのは。
あと幾つかの作品の”若い恋人”。
やたら無口なのと、ひとつの作品で女同士の絡み
というのが皆無なので、
生身の人間というよりシンボルとしての女性ばっかなんだな。
話が「アウトレイジ」から離れるので、
このへんで。
北野武監督のインタビューを採録します。
―― 本作のストーリーもオリジナルですが、久々のバイオレンス・ムービーをどういう
ふうに作られたんですか?
北野武(以下、北野):基本的にヤクザ映画って、ストーリーはそんなに変わらない。
どっかの親分と反目の組あって、ほとんどが組織の中のもめ事というよくあるパターン
だよね。だからストーリーを先に作るんじゃなくて、見せ場になる暴力シーンをまず
いくつか決めて、そのシーンに持っていくには、何が必要かっていうふうに、ストーリー
を逆算していった。
―― 面白い作り方ですね。
北野:ラストのシーンは決まっていたから、そこにうまく持っていけるように作った感じ
だね。単にアクション・シーンをこの辺に入れとくかって言うのではなくて、このシーン
に持っていくためにはどうしたらいいかって考えて。そのためには、この人物は歯医者に
いなきゃいけないとか、殺し合いをさせるためには、上の親分が「やれ」って言ったとか、
実はだまされていたとか。設定をジャンジャン入れ替えて行くわけ。今回はエンターテイ
メントだから、暴力シーンをちゃんと見せるために、どういうセッティングをするかって
いうのが大事になってくるんだよね。
―― なんか、パズルみたいな感じなんですね。
北野:うん。だからあまり違う組織を入れないで、ほとんど一組織の話になった。そこは、
うまくいったかなって思うね。
衣装は、リアリティーのあるスーツを使った
―― 先ほど監督がおっしゃった通り、ヤクザ映画は日本にもたくさんあると思います。
北野監督が描くヤクザ映画が、ほかと一線を画す理由はどんなところにあると思います
か?
北野:まず衣装を見りゃすぐわかるよね(笑)。Vシネのことをあんまり失礼に言いたくな
いけど、だいたいVシネに出てくるヤクザって紫色の衣装を着ているんだよね(笑)。
―― あのペラっとした感じの?
北野:そう、浅草の漫才師みたいな格好してるんだよ(笑)。あれ、なんでなんだろうね。
だから今回、衣装デザインを黒澤和子さんにお願いして、リアリティーのある、すごく高
いスーツを使ったんだよ。あと、Vシネのヤクザでよく見るシーンってのは、4人くらいの
ヤクザが全員、手をポケットに突っ込んで歩いてると、同じようなやつらが向こうから
来て、おまえどこどこの誰だってけんかになるっていう。ああいうのは、実際はありえな
い。だから、一切入れてない。
―― そう考えると、監督の描く極道社会というのはすごくリアルなんですね。
北野:映画のリアルさっていうのは、あくまで「リアルさ」であって実際のリアルではな
いんだけど。リアルに映画撮ろうとすると、事件になっちゃったりするから(笑)。
だから、かなりリアル「らしさ」にはなったよね。→
―― 多くの登場人物の中で、なぜ監督は大友を演じようと思ったんですか?
北野:初めは、自分の映画なんで三浦友和さんにやってもらった役(若頭の加藤)をやろ
うと思ったの。一応、主役とも取れる役だったし。でもそうすると、そこばっかし変に
目立つのも違うかなって感じがあって、もっとひどい目に遭う役どころの大友なら、
やれるかってなった。
―― 大友は最初、主役の設定ではなかったんですか?
北野:一応主役という設定ではあったんだけど、初めのシナリオではもっと出番が少なか
った。でも、あまりにも少なすぎるんで、急にいろいろなシーンを大友に書き換えちゃっ
たの(笑)。撃ちこみに行くような暴力シーンなんかも、全部おれがやるって言って。
それで、大友っていう役の出番を増やしたの。
―― 大友ももちろんですが、それぞれのキャラクターが個性的でした。
北野:バランス的には7、8人のメインどころが出るんだけど、全員大体同じくらいの印象
が与えられるように、すごく気にしたね。
―― 誰が死ぬか、やられるかも想像がつかなかったです。
北野:観客に「あれ? どうなってんだ?」て思わせるのが、今回の映画の狙いなんだよ。
終わったと思ったらまだ続いていた、とか。今度こそ終わったと思ったら、またひっくり
返されたとか。一応ヤクザ映画なんだけど、サスペンスでもあるよね。「あれ?」っていう
のを意識したね。観客の予想を裏切ろうとしたよ。
現代を象徴するヤクザ映画。観て、損はない。
―― カンヌ国際映画祭での反応は、いかがでしたか?
北野:いやー面白かったね。やっぱり暴力シーンが結構上手く出来たから、上映中にいろ
いろなシーンで「やめろやめろ!」とか「うわー! あー!」とか観客席から聞こえてく
るわけ(笑)。昔の映画みたいに、拍手したりとか、ギャーギャー言ったりして、おかしか
ったね。
―― なんだか、アメリカ人が大喜びしそうですよね。
北野:フランスとかヨーロッパのファンは喜んでくれてるけど、アメリカ人にも意外と
ウケるんじゃないかな。実際のところ海外セールス担当も喜んでたよ。アメリカの方でも
当たるんじゃないかって。みんな、映画館でギャーギャー言いながら観るのが、目に浮か
ぶよね。
―― 日本の観客には、どんなふうにこの映画を楽しんでもらいたいですか?
北野:高倉健さんが活躍された明治から昭和にかけての任侠(にんきょう)伝の時代から、
戦後の深作欣二監督の『仁義なき戦い』シリーズ、それでこの『アウトレイジ』がある。
現代を象徴するヤクザ映画だと思うから、観て損はないよ。
Q:すごく豪華なキャスティングですね!
プロデューサーが、たまには北野組以外の人と仕事をしませんかって言ってきてさ。
おれなんかの映画に出たい人がいるのかなあって言ったら、「いますよ!」って。
だから、キャスティングの人に、「じゃあ出てもいいっていう役者さんたちの写真持って
きて」って言ったら、わーって集まったんだよ。
Q:配役は、どのように決めていかれたんですか?
組織図みたいに写真を並べて置いていったんだよね。それで三浦さんはどこへ置くんだっ
て言ったら、だんだん上の方に上がっていっちゃうんだよ(笑)。だから、北村さんもそう
だけど、あの二人は下のチンピラたちとはちょっと別格にしたの。三浦さんを中心に上下
に分けたのは、正解だったかなあ。
Q:三浦さんの静かな迫力が、怖かったです。
まず会長(北村総一朗)が怒鳴るところから始まるんだけど、三浦さんに演じてもらった
側近までもが一緒になって怒鳴り散らしたら、もうみんな怒鳴っちゃうってことになるか
ら(笑)。三浦さん以外のほとんど全員が、「バカヤロー!」しか言っていないからね。
Q:加瀬さんも、ごく普通の静かな役が多い役者さんだと思うのですが、いかがでしたか?
加瀬さんには、殴る蹴るだけの暴力じゃなくて、知識があって、ITとか知ってて、金を回
すことが主な仕事のヤクザを作ろうと思ったんだよ。でも、それだけだとヤクザらしくな
いじゃない? だから、キレたときはムチャクチャやるっていうふうにしたくて、一回だ
け殴らせたわけ。でもムチャクチャやれって言ったもんだから、カットになったあともま
だ必死に殴っててさ(笑)。もう、ハアハア言っちゃって、メガネも吹っ飛んじゃって(笑)。
すごい迫力だったよ。
Q:正直、最初は誰だかわからなかったです。
加瀬さんをヤクザにするのが一番大変だった(笑)。
オールバックにして、スーツ着させたんだけどまだダメで、色眼鏡かけさせたり、
とにかく大変だったね。結果的にはすごいワルになったから面白かったよ。
Q:男同士の意地の張り合いが最高に面白いですよね。「やれねえのか、バカヤロー」
「やってやるよ、このヤロー」みたいな(笑)。
ヤクザたちがワーワー言い合いしているシーンは、ほとんど漫才の間なんだよ。
全員が、漫才のツッコミ状態。セリフの間を編集で、全部縮めてあるからね。
役者にも、もっと早くしゃべってって指示したりしてた。
こっちがセリフ終わる前に、もう早口で怒鳴っているみたいなね。
Q:あんなに笑えたのは、漫才のツッコミだったからなんですね!
中野英雄さんが罵倒されるシーンなんて、もう言葉のリンチだよね(笑)。
「早くやれこのヤロー、てめえまで出てくるんじゃねえバカヤロー」とか、もうすごい(笑)。
Q:ほかにも思わず笑ってしまうシーンがたくさんありました。
映画の中にさ、いろいろな前フリとオチを仕掛けているんだよ。
映画の最初の方に前フリがあって、後ろの方にオチがある、みたいな。
そこも、面白いと思うよ。
Q:撮影しながら、つい笑っちゃうことはなかったんですか?
撮っている間はみんな緊迫してるから、笑っていないんだよね。
でも、編集したのを流してみると笑うんだよ。
おれ、こんなおかしい映画撮ってたかなあって(笑)。編集する前は痛いだけのシーンも、
つなげてみたら、随分おかしいよこれって(笑)。
Q:石橋さんのいじめられっぷりも、本当にすごかったですよね。
石橋さんが一番かわいそう。あれだけひどい目に遭ってさ。でも、編集しながら石橋さん
が出てくるたびに、大爆笑だったよ(笑)。
Q:石橋さんが会見のときに「僕は監督のサディズムを刺激するんです」っておっしゃられ
ていましたが、素質はあったんですか?
石橋さんが器用だから、どっちかっていうと話の筋を引っ張って行くより、ちょっと印象
に残る方がいいと思って。そしたら結局、笑われ役になっちゃったんだけど(笑)。
よく考えると、散々ひどい目に遭わされただけで、何もいいとこないの(笑)。
Q:確かにひどい目に遭わすシーンが本当に痛いんですけど、なんか極限超えちゃって、
めちゃめちゃ笑っちゃいました。あれは何なんでしょう? 不思議な感覚ですよね。
人間は追い詰められると笑っちゃうっていうよね。笑うことで、ガス抜いてるんだと
思うよ。緊張しても、倒れちまうといけないから、笑っちまうんだろうね。
今回の暴力シーンはあまりにも激しいから、つい笑っちゃうというかさ。
Q:なるほど、ガス抜きですね(笑)。
おれも前に、手を切って指がぐちゃってなったときに、始めは泣くんだけどあとは笑っち
ゃうんだよね。「ひでえな。こりゃ」って(笑)。泣くことと笑うことは表裏一体のところ
があると思う。
Q:椎名さんのベッドシーンは、女性にとってはたまりませんでした!
最初はやる予定じゃなかったんだよ。彫り師の人が、せっかく時間かけて入れ墨を描いて
くれたんだけど、映してあげられなくってさ。あんまり悲しそうな顔をするんで、
「あ。入れ墨、映してあげなきゃ」って。それで入れたの(笑)。
Q:全国の椎名さんファンじゃなくて、彫り師さんのためだったんですね!
考えてみたら風呂場でもいいんだけどさ(笑)。でも、ちゃんと入れ墨を見せるような
シーンがほかになかったんだよ。結局、彫り師の人がラッシュ(試写)を観たあとに、
「ありがとうございます」って言ってくれたよ(笑)。
Q:気遣いも大変なんですね(笑)。ほかに、苦労したところはありますか?
今回一番難しいなあって思ったのは、CGを一切使わずに、カースタントの撮影をしたとき。
CGを使えばもっと簡単なんだけど、あえて加工しないようにした。
まともにやったから、スタントの人が大変そうだったね(笑)。
今の車ってコンピューター制御だから、なかなかドカンってぶつからない(笑)。
一発で決めないとだめだから、実際は準備が大変だったね。
Q:ヤクザ映画を撮る魅力ってどんなところですか?
生きるとか死ぬとか、死と隣り合わせって言えば軍隊だって同じなんだけど、
軍隊は上の命令とか国の命令だから、個人的には動けない。でも、ヤクザは自分の上から
の命令にも反発したり、エゴを出したり、どこか人間くさくて、暴力が絡むから、
物語の題材としては絶対に面白い要素が多いんだよね。
Q:映画『アウトレイジ』の男たちの狂騒を、どのように楽しんでほしいですか?
もうね、完全なるエンターテインメント・ムービーだから、ヤクザ同士の権力闘争劇では
あるんだけど、アリとイモムシの戦いみたいに、客観的に観ても楽しいんだよ。
人間だって思わないで観た方が面白いはずだから、そんな感じで観てほしい…
以下はネタバレとなるのでmixi独身映画ファンコミュニティ
http://mixi.jp/view_community.pl?id=1299114
にて『アウトレンジ』の頁をご覧下さい。
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