メイキング「パンズ・ラビリンス」

「パンズ・ラビリンス」映画チラシ■作品基礎データ
「パンズ・ラビリンス」
2006年 スペイン映画
監督脚本:ギレルモ・デル・トロ
出演:イバナ・バケロ
               

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2006年(第59回)カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品
2006年(第44回)ニューヨーク映画祭クロージング作品
2006年(第22回)インディペンデント・スピリット賞
作品賞(ノミネート)/撮影賞(ノミネート)
2006年ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞 外国語映画トップ5選出
2006年(第32回)LA批評家協会賞
美術賞 受賞 エウジェニオ・キャバレロ/助演男優賞(次点) セルジ・ロペス
2006年(第73回)NY批評家協会賞 撮影賞 受賞 ギレルモ・ナヴァロ
2006年NYオンライン映画批評家協会賞 外国語映画賞 受賞/※トップ10作品選出
2006年ボストン映画批評家協会賞
外国語映画賞 受賞/撮影賞 受賞 ギレルモ・ナヴァロ
2006年ワシントンD.C.映画批評家協会賞  外国語映画賞 受賞
2006年(第12回)放送映画批評家協会賞
若手女優賞(ノミネート) イバナ・バケロ /外国語映画賞(ノミネート)
2006年(第64回)ゴールデン・グローブ賞
全米映画批評家協会賞2006年最優秀作品賞
第79回アカデミー賞 外国語映画賞、脚本賞、美術賞、撮影賞、メイクアップ賞、作曲賞ノミネート
ゴヤ賞 オリジナル脚本賞、新人女優賞、撮影賞、音響賞、ヘアメイク賞、編集賞、特殊効果賞受賞
メキシコ・アカデミー賞 作品賞、主演女優賞、監督賞、美術賞、撮影賞、衣装賞、メイクアップ賞、作曲賞、特殊効果賞 9部門獲得

2006年に発表されたスペイン映画がこれらの賞をとっています。一体全体、それはどんな映画作品でしょうか?
「パンズ・ラビリンス」“牧神の迷宮”、というタイトルのダークファンジーでした。
それは次のようなドラマでした。


1944年のスペイン。
内戦終結後もゲリラたちはフランコ将軍の圧政に反発。
この山奥でも血なまぐさい戦いが繰り広げられていた―。

おとぎ話が大好きな少女オフェリアは、
臨月を迎えた母親カルメンとともに、その山奥へと向かっていた。
仕立屋だった父亡きあと、
山奥の駐屯地に就くフランコ軍のビダル将軍と母が再婚したからだ。
だが、母は妊娠して以来、
身体の調子を大きく崩し、この旅でも何度も車を止めるほど。
オフェリアも気が気ではない。
そんななか少女は山道で彫刻を施された石を見つける。
それは朽ち果てた石塚の破片。
オフェリアが元の場所に戻すと不思議なことが起きた。
その石塚のなかから大きな昆虫が飛び出してきたのだ。
その昆虫に微笑みかけるオフェリア。

オフェリアはビダル大尉を好きにはなれなかった。
大尉は母の体というより、お腹の子供だけを心配しているようだし、
その子をなぜか「男」と決めつけていた。
しかも、オフェリアと母が到着した夜、
ゲリラと疑われた農夫父子を表情ひとつ変えずに惨殺するほど残忍でもあったのだ。
しかし、将軍の小間使いを務めるメルセデスは優しく、
オフェリアはすぐに彼女と打ち解ける。
その夜、オフェリアはメルセデスと大尉の主治医が密談している現場を目撃した。
ふたりはゲリラ軍の協力者。
メルセデスはゲリラの弟に情報と物資を渡すため、いつも危ない橋を渡っていたのだ。

その夜更け、
気分の優れない母親と同じベッドで休んでいたオフェリアのもとに、
昼間の昆虫が現れた。
「あなたは妖精さん?」そう語りかけるオフェリア。
突如妖精に姿を変えたその昆虫は、
家の庭の奥にある迷宮(ルビ:ラビリンス)へとオフェリアを誘った。
そこは大昔からあったという。
オフェリアを待っていたのは、ヤギの頭と身体をしたパン<牧神>で、
彼女に驚くべきことを告げる。
オフェリアは地底の魔法の王国のプリンセス、モアナの生まれ変わりに
違いないというのだ。
左肩にある印がその証拠で、
あとは満月の夜が来るまでに3つの試練に耐えられれば、
両親の待つ魔法の国に帰ることが出来るという。
果たしてオフェリアの左肩には三日月のような紅いアザがあるではないか。
オフェリアは、パンの言葉を信じた。
そして、彼にもらった”道を標す本”を開き、3つの試練に立ち向かう決心をした。

その最初の試練は、死にかけている巨木を救い花を咲かせることだった。
成功させるためには、巨木の根っこに居座る巨大ガエルの口に魔法の石を放り込み、
お腹から黄金のカギを見つけなければいけない。
オフェリアは母が会食のために用意してくれた美しいドレスを泥だらけにして、
どうにかこれに成功する。
母はそのドレスを見て叱るが、オフェリアは喜びを隠せない。

「カギを大切に。そして、この白いチョークを」。
今度はそう言って消えたパン。
オフェリアが逸る心を抑えて本をめくると突如、真っ白な紙面が真っ赤に染まり始めた。
隣の部屋で母が大量出血していたのだ。
母を失うかもしれないと震えるオフェリアにパンは不思議な植物を差し出す。
それは人間になることを夢みている植物マンドラゴラ(マンドレイク)の根で、
新鮮な牛乳と2滴の血液に浸し、母のベッドの下におけばいいというのだ。
 
オフェリアを待つ二つ目の試練。
それは壁の向こうの世界に行き、
時間以内にカエルから取り戻したカギを使ってあるものを持ち帰ることだった。
ただし、その世界では何も口にしてはいけない。
白いチョークでドアを作り、砂時計をセットし、
パンが貸してくれた小さな3人の道先案内人を携え、
不思議な国へと足を踏み入れたオフェリア。
そこには豪華な料理が並んでいたが、それを無視して突き進む。
だが、耀く短剣を手にしたとき、無性にブドウが食べたくなった。
妖精たちが止めるのも聞かず、思わず2粒を口に。
そのとき、上座に座っていた不気味な化け物が動き出した。
両目を掌にはめ込み、よろめきながらオフェリアのあとを追う。
間一髪のところ白いチョークでドアを作り、どうにかもとの世界に戻ってきた。
しかし、約束を守れなかったことで、オフェリアはパンに見放されてしまった。
 
オフェリアは母を救うため、
パンがくれたマンドラゴラの根をベッドの下に忍ばせた。
それは直ぐに力を発揮し、母は見る見る元気を取り戻す。
ところが、森でゲリラの襲撃が起きたとき、
大尉にマンドラゴラの根がみつかり叱られてしまう。
母は泣きじゃくるオフェリアに
「世の中は残酷。人生はおとぎ話じゃないのよ!」と言い放ち、
マンドラゴラの根を火のなかに。
そのとき不気味な鳴き声が響き渡り、母が産気づいた。
 
一方、大尉は襲撃現場に向かうが、それはおとりに過ぎず、
ゲリラたちの本当の目的はそのすきに駐屯地の物資を奪取することだった。
大尉軍はゲリラのひとりを生け捕り、拷問にかける。
翌朝、気絶したその男を薬で目覚めさせ、またも拷問しようとする大尉。
だが、医師は彼の願いを聞き入れて薬を打ち、静かに逝かせてあげる。
 
オフェリアの母も難産のすえ、弟を生んで死んでしまった。
今はもう頼れるのはメルセデスだけ。
すべての希望を失ったオフェリアのまえに再びパンが現れこう告げた。
「最後のチャンスをあげましょう」
オフェリアの顔が輝いた―。


第59回(2006年)カンヌ国際映画祭で
20分に及ぶスタンディングオベーションを皮切りに、
ギレルモ・デル・トロ監督の『パンズ・ラビリンス』は、
スペインのアカデミー賞と言われるゴヤ賞では脚本賞をはじめ7部門に耀き、
英国アカデミー賞では8部門ノミネートされ外国語映画賞ほか3部門を受賞、
全米批評家協会賞では強敵『ディパーテッド』を破って最優秀作品賞を獲得、
そしてアカデミー賞では6部門にノミネートされ、
撮影賞、美術賞、メイクアップ賞を受賞しました。
昨今、ハリウッドで流行し量産されているファンタジーとは
まったく異なるダークなテイスト。
幻想世界でも現実世界でも血と涙がとめどなく流れ、
恐怖と哀しみがふたつの世界を覆い尽くします。
当然、R指定映画ですが、
恐怖シーンというのはホラー映画のショッカーシーンというより、
ファシストのパルチザンに対する虐待場面等で、
見た目のえぐさより陰険陰湿ないじめが嫌だったです。

監督・脚本・プロデューサーはギレルモ・デル・トロ。
ハリウッドでは『ミミック』(97)で映画デビューし、
『ブレイド2』(02)『ヘルボーイ』(04)と人気コミックの映画化で多くのファンを獲得。
日本のアニメやマンガにも造詣が深い人で、
“スペインのピーター・ジャクソン”の異名を持つおたく監督です。
彼のそんな才能を買い、バックアップし続けているのは
同じくメキシコ出身の才人、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(04)の
アルフォンソ・キュアロン。今回はプロデューサーに名を連ねています。
また撮影は、本年度のアカデミー最優秀撮影賞に耀いたギレルモ・ナバロ。
デル・トロの劇場第1作『クロノス』(92)で一緒にデビューし
『ヘルボーイ』(04)等を手掛け、
クエンティン・タランティーノの『ジャッキー・ブラウン』(97)等でも知られます。
同じくアカデミーを受賞した美術は、
セバスチャン・コルデロ監督の『タブロイド』(04)等のエウヘニオ・カバレロ。
そしてSFXスーパーバイザーには、『デビルズ・バックボーン』(01)
『ヘルボーイ』(04)のダビド・マルティ。
パンや迷宮の番人等の特殊メイクで今回、アカデミー特殊メイクアップ賞に耀きました。
ヒロインのオフェリアを繊細なパフォーマンスで演じたのは
11歳にしてジャウマ・バラゲロ監督の『機械じかけの小児病棟』(05)等を始め、
すでに4本の映画に出演しているスペインの名子役イバナ・バケロちゃん。

イバナちゃんを見るのは初めてです。
単に綺麗な女の子、芝居の上手い子と言うのは他にもいそうですが、
メランコリックな雰囲気をうまくかもし出している“危ない系”を上手く演じていました。
本人はそんなものはもともと毛ほどもない子なのでしょうが、
“ハマると怖いぞ”な美少女です

彼女を影で支える大尉の小間使いにはアルフォンソ・キュアロンの
『天国の口、終りの楽園。』(01)のマリベル・ベルドゥ。
オフェリアを恐怖で縛りつける義父、ビダル大尉には
『ニノの空』(97)『堕天使のパスポート』(02)等、
フランスとスペインで活躍する演技派セルジ・ロペス。
スーパーメイクのパン役でがんばっている叔父さんもスペインじゃ高名な
俳優のようですが、日本では知られていません。

映画の掲示板ではやたらハイスコアだったのであせって見に行きましたが、
自分には駄目でした。
いじめ、虐待系が大の苦手ですので、そうした場面が連続するだけでも
ネを上げたです。
オチに仰天しました。
オチと言うか、その解釈には仰天です、と言いなおすべきか。
ネタバレ改行です。





迷宮に逃げ込むオフェリア、追うビダル大尉。そして…
いきなり大尉がパンにやっつけられたりしたら噴飯モノですけど、
それにしてもあのオチには驚いたです。
なんと救いのない。

その後の部分は現世での幸福を期待した自分があさはかに見えるエンディングでした。
来世で幸福に?
魂の救済に肉体は不要?
あるいは単なる夢オチ?
「何が何でもハッピーエンド」なハリウッド・メジャー映画には
考えられない解釈です。

そうか、だからこれはファンタジーなんだ。
不潔でひねたフェアリーが出てくるからファンタジー、
子供をバリバリ食い散らす怪物が出てくるからファンタジー、
――とかいうのではなく、
死とその向こう側にあるもの、向こう側の世界とその入口に立つ少女…


以下はネタバレになるので、この続きはmixi「独身映画ファンコミュニティ」の
「パンズ・ラビリンス」
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=24830289&comm_id=1299114
をご覧下さい。



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