「パニック・ルーム」DVDレビュー
★映画基礎データー★「パニック・ルーム」 2002年 アメリカ映画 113分 監督: デビッド・フィンチャー 脚本:デビッド・コープ ( 「ロスト・ワールド」「ミッション・インポッシブル」) 出演 ジョディ・フォスター |
「パニック・ルーム」のことを以前、うちのML参加者が、「大人版ホームアローン」だ、と書かれて、
「じゃつまんないんですね」と私が決め付けたら「そうは言ってない」とレスがありました。
結局、面白かったのか、つまんなかったのか、良く分かりませんでしたが、
自分で見に行って、やっぱし、「ホームアローン」だな、と思いました。
で、「ホームアローン」ならコメディでしょう、と決め付けてげらげら笑ってたら、
これがひんしゅくもので、シリアスドラマでした。
笑っちゃいかん、と悟り、まじめに鑑賞しようとしたのですが、いけません。
1度笑いのモードに入ってしまうと途中で切り替えがつかなくて。
歯を食いしばってふき出さないようにする羽目になってしまって。
でも恐怖シーンと笑いのタイミングというのは同じなんですね。
どどーん、どどーんって、効果音が轟く度に可笑しいのなんのって、
ジュディ・フォスターの驚き焦る姿が一段と笑いを誘って。
「セブン」「ゲーム」「ファイト・クラブ」の異才デビッド・フィンチャーによるサスペンスです。
凝った映像はもちろん、
ジョディ・フォスターの一枚看板の映画ですので、ジョディがんばってました。
離婚したメグ(ジョディ・フォスター)は11歳の娘を連れてマンハッタンの高級住宅に引っ越した。
その夜、邸内に3人の強盗が侵入。
メグは娘とともに“パニック・ルーム”と呼ばれる緊急避難室に逃げこむが……。
もともとニコール・キッドマン主演で撮影が始まったそうですが、
「ムーラン・ルージュ」で痛めた膝の容態悪化で降板。
テレビではジョディ・フォスターがハンニバルを蹴って、
こちらに出たように宣伝されてますが、実際に蹴飛ばしたのはカンヌ映画祭の審査員の勤めのようです。
ニコール・キッドマンは元旦那の新しい愛人役で電話の声のみのカメオ出演しているので、
注意して見ましょう。あ、聞きましょうか。
バブルの頃、日本でも震災シェルターがはやりましたが、
アメリカではもっと本格的な住宅設備があったんですね。
でも防犯用というのが如何にもアメリカ的。
篭城用に水や非常食から防火布まで用意してあるのは凄い。
予告編を見ると、過剰な設備が人に災いを及ぼす映画に見えました。
つまりパニックルームそのものが主人公を痛い目に合わせる映画だと思ったのです。
これはまったく誤解で、パニックルームを舞台に、侵入者と戦うヒロインの母と娘の話です。
オープニングのタイトルロールの文字の出し方が面白いです。
フィンチャー監督はヒッチコックの「北北東に進路を取れ」の現代版だと語ってますが、
マンハッタンのビルに3Dも題字が重なります。
ちゃんと影があったり、窓に映っていたり、
カメラがパンすれば一緒に動くなど、凝ってます。
とても面白く、私はこのオープニングだけ2度見てます。
4階建てのりっぱなお屋敷が舞台ですが、すべてスタジオセットのようです。
デビッド・フィンチャーはPCで絵コンテを書いて、
4階建ての3DセットをPCで構築してカメラアングルなどを決め、
撮影にのぞんだそうです。
おかげで数百万ドルの経費節約になったとか。
カメラが鍵穴から飛び出して、居間を通過して、キッチンカウンターの間をくぐって、
階段を上がって寝室のベット脇に走るといったカットが頻繁に出てきます。
むかし「ロープ」というヒッチコックの映画で六十分の中篇が全てワンカットで撮影されている
というのがありましたが、似たような意図で作られたシーンです。
驚いたのは始めの何回かで、これはすぐにあきました。
批評の掲示板などでは、くどいのではないかという書き込みもあったようです。
私もはじめ、同じようなことを考えましたが、
あの4階建ての屋敷は迷路のように入り組んでおり、
ばらばらのカットで見せられると位置関係がわかりにくかったと思います。
あの連続したショットで、セリフ抜きに説明されてましたから、
その意味でもあれは必要な映像処理だったと思います。
実際には複数のカットをデジタル処理でつないで1つのカットに見せていたのではないかと
思われますが。
映画批評テレビ番組で、おすぎ氏が「どんでん返しはない」といっちゃいました。
「実は全ては夢でした」といたような意味でのどんでん返しは無い、ということです。
密室状態から脱出するにはどうしたら良いか、悪漢達とどう戦うかというテーマに、
正面から取組み、現実的な方法で解決してます。
そこいらへんがデビッド・フィンチャーの熱心なファンの反感も招いたようです。
きっと何かある、このまま篭城線や追いかけっこが続く筈が無い、、。
デビッド・フィンチャーはこの作品をヒッチコックのような都会型アクションサスペンス映画
へのオマージュとして製作したようです。
正攻法で題材に正面から挑み、どこまで面白く見せることができるか。
かなり努力しているし、良く出来ていると思います。
ジョディ・フォスターは、メグを「試練を通じて成長する主人公」と位置付けています。
年上の亭主に保護されて暮らしていた主人公が、
悪漢を相手に主体的に戦う。その意味ではダイハードと同じです。
テーマがないじゃないか、という掲示板の書き込みを見て、頭の悪い奴だなと思いましたね。
これはテーマの明快な映画です。
ただ、ヒロインと娘以外の人物に書き込みが足りなく、魅力がないという意見には同感です。
ジョディの一枚看板というのは、それゆえです。
彼女が全てであって、相手役がしょぼい、というか不在ですね。
悪党3人組みが、ほんとに「ホームアローン」並みの奴らで、
ちんびら以上には見えない。…ジャレッド・レトが悪玉の親分役ですけど。笑
もっとも知性と教養にあふれた泥棒というのはあり得ないので、仕方ないかもしれませんが。
以下はねたばれです。
財産があると分かってるなら、家ごと買ってしまえよー、という意見があって大笑いしましたが、
まったくその通りです。なにも泥棒に入らなくったってねぇ。
ラストに突入する警官たち。準備してたんでしょ。
途中でやってきたパトロールは追い返されてしまいますけど
「人質をとられて返事が出来ないなら、まばたきするとかあなたが
安全と思われる方法で合図してください」と熱心にフォローしてます。
良く見ますと、あの時あの若い警官は、メグの血まみれの片手をずっと凝視してるんですね。
突入は唐突に見えて、じつはそれなりに伏線を張ってるようです。
途中で、泥棒達がパニックルームに篭城して、銃をもったメグが外に出されてしまう、
という攻守入れ替わり展開は面白かったです。
あと、プロパンを着火する場面は、あんなことして大丈夫なんでしょうか?
母と娘がバーベキューになるとか、
逆にパニックルームの外のボンベが破裂して火災になって消防署が駆けつけるとか。
もっともそうなったら話はそこで終わっちゃいますが。
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