「ポーラー・エクスプレス」DVD脚本レビュー

「ポーラー・エクスプレス」映画チラシ★映画基礎データー★
「ポーラー・エクスプレス」
2004年 アメリカ映画
原作 クリス・ヴァン・オールズバーグ「急行『北極号』」
監督脚本 ロバート・ゼメキス
出演 トム・ハンクス
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劇場ではじめて特報予告を見たときは、この列車ポーラー・エクスプレスは
「機械の身体をただでくれる星」に行くに違いないと思ったんですが。
―冗談はさておいて
以下、レビューです。

クリスマスイブの夜、少年はベッドの中でじっと耳をそばだてていた。
サンタがやってくるなんて信じない。……。
時計の針が11時55分を指した、その時、
少年は突然の轟音を耳にした。
思わずベッドから跳ね起き、窓辺に駆け寄ると、
降りしきる雪の中、サーチライトを夜空に向け、もうもうと白い煙をあげながら、
黒光りする巨大な蒸気機関車がこちらに向かって近づいてくる姿が見えた。
その機関車は、少年の家の前まで来ると、ぴたりと停まった。
パジャマのまま表に飛び出した少年を待っていたかのように、車掌が問いかけた。
「キミも、一緒に来るかい?」
動きだした汽車に、少年は飛び乗った。
車内にいた大勢の仲間たちと一緒に、少年の旅が始まる。
知ったかぶりをする男の子、何かを言いかけてはやめてしまう女の子。
最後に乗り込んできた男の子は、ずっと黙り込んだままだ。
それぞれの思いを乗せて、北極点行きの急行ポーラー・エクスプレスが走る。

原作はクリス・ヴァン・オールズバーグの「急行『北極号』」
(原題:THE POLAR EXPRESS)です。
1985年の出版、幻想的とも、絵画的ともいわれるパステル画のイラストが
高い評価を受け、全米の絵本の最高栄誉であるコルデコット賞も受賞しています。
原作者クリス・ヴァン・オールズバーグは、
95年にロビン・ウィリアムズの主演で映画化された
「ジュマンジ」の原作者でもあります。
日本では、オールズバーグの絵本は村上春樹の翻訳で知られています。
アメリカをはじめ、英国、中国、フランス、スペイン、デンマーク、スウェーデン、
ドイツ、ノルウェーなど各国で出版され、
全米だけでも400万部を超えるセールスを記録するロングセラーです。

4人の子供の父親であるトム・ハンクスにとって、「急行『北極号』」は、
クリスマスの季節がめぐってくるたびに繰り返し子供たちに読み聞かせてきた
馴染み深い絵本だったそうです。
ハンクス自身が本作の映画化を企画し、
ロバート・ゼメキスが監督しています。
ゼメキスは、俳優が演じたそのままを、表情、しぐさ、感情に至るまで、
デジタル・キャラクター化するという"パフォーマンス・キャプチャー"という
従来のモーションキャプチャーを数倍情報量を大きくした
新技術を採用しています。

この作品でトム・ハンクスが演じたのは、
"ヒーロー・ボーイ"と車掌、ホーボー、そして少年の父親とサンタの5役。
主人公である8歳の少年も、少年を導く車掌も、少年を不安にさせるホーボーも、
少年を見守る父親も、トム・ハンクスが演じています。

主人公"ヒーロー・ボーイ"の相手役ヒーロー・ガール
(それにしても凄いネーミニングではあります。)を
演じているのは、歌手としても知られるノーナ・ゲイ。
ウィル・スミス主演『ALI アリ』(01)で
モハメド・アリの2番目の妻ベリンダ役を好演し、続く
『マトリックス リローデッド』『マトリックス レボリューションズ』(03)で
ジー役をやってます。
本作に続いては『トリプル]』の続編でアイス・キューブの相手役を務める予定です。

ゼメキスは、"動く油絵"として映像化を試みたそうです。
 本編のクルーとソニー・ピクチャーズ・イメージワークスの先鋭チームは、
トム・ハンクスを被写体第1号に共同で新技術"パフォーマンス・キャプチャー"の
テスト撮影を実施しています。

 従来のフィルム編集では、何通りのカメラアングルで撮影したかによって、
演出のバリエーションが決まってしまうものですが、
パフォーマンス・キャプチャーは80台ものセンサーを同時に稼動させて
実際の俳優の演技を全方向から捕らえ、それをそのままコンピュータに取り込む
立体化システムなので、
編集しながらオリジナル・ショットを作り出すこともできるという長所があります。
焦点深度や遠近感を自在に選び、CG製の背景にあわせてキャラクターを移動させ、
表情やディテールを強調することも可能、
カメラワークも自由自在になります。

トム・ハンクスが主役の少年を演じることについて、
ゼメキス監督は
「せっかく最先端の技術を使えるのだから、
わざわざ8歳の男の子に8歳の少年を演じてもらう必要はないと思いました。
すでにトム・ハンクスというベテランの名優がいるわけですからね」
とインタビューに答えています。
 大人のキャストが子供を演じるシーンでは、
セットや小道具の大きさが通常の1.6倍に設定されています。
こうすると、コンピュータに取り込んだ俳優の演技とCGIセットを合成したときに
違和感がない。実写撮影では俳優が演技をしやすいよう、
実際に1.6倍サイズの小道具が作られたとのことです。

ハンクスは「少年を演じるときはスニーカー。車掌とホーボーとサンタのときは、
それぞれ違うブーツを履いたよ。靴が変わると姿勢や身のこなしが変わって、
結果的に、気持ちを切り替えることができたんだ」と役作りの工夫を語っています。
 
 ロックバンドの大御所エアロスミスのボーカル、スティーブン・タイラーは、
サンタ村のエルフたちが大集合するパーティのシーンで、
「ロッキン・オン・トップ・オブ・ザ・ワールド」を歌っていますが、
エルフ役でも画面に登場しています。

 
 北極へ向かう列車の中で、少年たちにココアが振舞われる場面があります。
ココアを運んでくるウェイターたちはココアを乗せた盆を持ち上げ、
子供たちや座席の間を縫うように、歌って、踊って、開脚跳びを披露するのですが、
このシーンの振付けを担当したのは、
トニー賞にノミネートされたブロードウェイの振付師、ジョン・カラファ。
ダンサーたちのミュージカル・シーンを撮影してデータ化され、
CGによる車内のセットと合成されています。

映画で登場する蒸気機関車はペレ・マルケット
(又はプレ・マーケット)1225型という種類の有名なもの。
原作“急行「北極号」”をクリス・ヴァン・オールズバーグが著した
85年のころ、実際にこのペレ・マルケットはミシガン州グランド・ラピッズの
オールズバーグの家の近くを運行していたのだそうです。

映像表現については恐ろしく饒舌な映画ですが、
サンタを信じない主人公が、サンタを信ずるようになることで、
ナニをどのように獲得したのか分からないです。
友情や勇気の大切さといったものは、それなりに伝わるのですがね。
大人に成長することを肯定しているのか、
否定しているのか?
私が“鈴の音が既に聞こえない大人”だからなのか
この作品が連呼する「信じる」ことの意味が分からなかったです。
――その謎を解こうとネットを徘徊すると、
「人生の不可思議を信じること」という言葉が出てきました。
うーむ、感受性の問題か。
だとしても、劇中のストーリーでは舌足らずですね。

「ファミリー映画だが、本当に子供は付いていけるか?」
と問いかける書き込みが映画の掲示板にあって
「時間が少し長かったのか小1の娘は途中少し飽きていました。」
とレスがありました。
お話がひどく単純なのに、100分もの上映時間は大人向きですね。
列車の進行を阻む天変地異や、切符の紛失などめまぐるしく
エピソードが連打されるのですが、
わき筋が膨らんでいるだけでメインのドラマにかかわりはないようです。

ところで、
車掌が切符に重要な文字を刻むが、
日本語版では仮名文字に映像が差し替えてあるのだそうです。
これは悪くないですね。
当然ゼメキス監督の意向なのでしょうが、配給会社もやるではないですか。


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