「ポセイドン」

「ポセイドン」映画チラシ★映画基礎データー★
「ポセイドン」
2006年 アメリカ映画
監督 ウォルフガング・ペーターゼン
脚本 マーク・プロトセビッチ
主演 カート・ラッセル

mixi(ミクシー)「独身社会人映画ファンコミュニティ」に入ろう!

大みそかの夜。
北大西洋を航海中の豪華客船ポセイドン号ではパーティーが始まっていた。
同等クラスでは世界最高の客船のひとつであるポセイドン号は、
高さが20階を超え、客室800、パッセンジャー・デッキ13を備える。
今夜、乗客の多くは新年を迎えるために着飾り、壮麗なダンスホールに集っている。
ブラッドフォード船長(アンドレ・ブラウアー)の乾杯の音頭で彼らは
シャンパン・グラスを上げ、
《"ブラック・アイド・ピーズ"のボーカル、ファーギーこと、
ステーシー・ファーガソンが率いている)バンドは「蛍の光」を奏で始め、
宴は最高潮に……。
その頃、ブリッジでは一等航海士が異変を感じとっていた。
水平線を調べていた彼は、それ……ローグ・ウェーブ(異常波浪)……を見たのだ。
50メートル近くありそうな巨大な波が船に向かってくる。
彼は致命的な打撃をかわそうと必死に舵をとるが、すでに遅すぎた。
そして衝突。
とてつもない波に襲われた船は激しく揺れ、まもなく完全に転覆する。
壊れた窓から海水が恐ろしい勢いで流れ込んでくるなか、
乗客・乗員は落下し、あちこちにぶっかり、そして海にのみ込まれていく。
支柱が倒れ、ガス管の破損により火災が発生し、明かりが消える。
真っ暗な船内は完全なパニック状態になる。
衝突の衝撃がとりあえず収まった時、
生き延びた数百人は水面下にあるダンスホールにかたまっていた。
そこはかろうじて原型を留めていたのだ。
船長は、ここで全員じっと救助を待つべきだと主張する。
だが、プロのギャンブラー、
ディラン・ジョーンズ(ジョシュ・ルーカス)は船長の指示に従わず、独りで賭けに出る。
彼は自力で脱出方法を見つけるためにダンスホールを出て行こうとするが、
ひとりの少年に引き止められる。
その9歳のコナー(ジミー・ベネット)は、
自分と母のマギー(ジャシンダ・パレット)を連れて行ってくれとディランに頼む。
そしてロバート・ラムジー(カート・ラッセル)もすぐにあとに続く。
彼は見失った娘のジェニファー(エミー・ロッサム)と
その恋人クリスチャン(マイク・ボーゲル)をどうしても捜し出したい。
この若いカップルはほんの1時間前には自分たちの婚約を父にどう告げたらいいか
悩んでいたのだが、今では生きるか死ぬかの事態に直面している。
こうして、ディランは思わぬ展開に困惑しながらも、
少数の"仲間"を率いて船内を進んでいく。
じっと待つよりは行動することを選んだ人々の中には、
内気な密航者(ミア・マエストロ)、
生きる意欲を取り戻した自殺願望の男(リチャード・ドレイファス)、
船内を熟知している若いウエーター(フレディー・ロドリゲス)などがいる。
船が沈み続けるなか、彼らは壊れた船内で道を見つけ、
なんとか海面にたどり着こうとする。
垂直面を必死で上り、行き止まりに絶望し、
恐ろしい落下の危険にさらされながら、彼らは急速に絆を深めていく。
仲間への、そして自分自身への信頼が揺らいだ時……それは死を意味する。

名作「ポセイドン・アドベンチャー」の、34年ぶりのリメイク作となる本作。
オリジナルは、72年に公開されたハリウッド・エンターテイメントの記念碑的作品です。
監督は『パーフェクト・ストーム』『トロイ』のウォルフガング・ペーターゼン。
出演は『ステルス』のジョシュ・ルーカス、
『オペラ座の怪人』のエミー・ロッサム、
そしてカート・ラッセル、リチャード・ドレイファスなど。

ペーターゼン監督は、いま何故、「ポセイドン・アドベンチャー」なのか?
「タワーリング・インフェルノ」ではなくて、何故「ポセイドン・アドベンチャー」なのか?と問われて、
「水の映画を撮るのはこれで三本目。
タワーリング・インフェルノは水が無いところが魅力的ではなかった。
ポセイドンは水と格闘する映画。旧作はたのしい娯楽映画という印象。
今度の映画は現代がメタファーになっていて、今、世界中で自然災害や人為的な災害が、
多い。
普通の男女が災害に見舞われ、その数秒の体験が人生を変えてしまうかを実感する映画。
ゆっくり考える映画ではなくて、肌に染み入るような恐怖を体験する映画。
見終わって、疲れたけど面白かったと言っていただきたい」と答えている。
なるほど、旧作は牧師が主人公で、
自分の命を捨てても仲間を護る崇高な使命が彼を支えていたりと、
現実生活よりいったん別の世界、仮想現実っぱい極限状態で
自己犠牲やその宗教的モラルを説いているが、
新作は衝撃度が勝負の速攻映画というわけです。

さすが「Uボート」を撮った人だけあって、
でかいセットでの派手派手なアクションより、
狭いエアダクト内で全員が数珠繋ぎになったままガンガン浸水して、
金網のボルトを十字架で回して開ける場面の方が怖かったりして。

旧作のポセイドン号は最後の航海で転覆する老朽船という事になってますが、
新作ではぱりぱりの新しい船です。
いちおう設計イメージのベースになっているのは、
クイーン・メリー2世らしいのですが、
オープニングで登場の全景はフルCGでいまどきの豪華客船にある設備を
なんでもかんでもてんこ盛りにしたようなデザインになっていますね。

船名は不明ですが、旧作のオープニングで出てきた船は実写で、
転覆後はミニチュアでしたが。

旧作のメイキングでは、最初の転覆シーンでは登場人物が全員集合している
メインダイニングは、まるごと傾斜三十度のセットが作られ、
「よーい、スタート」の掛け声で、わーっと人間がなだれを打って、
低い方に転げ落ちていきます。
傾斜したデッキを転がり落ちるところが延々と撮られていますが、
新作では、正常な状態と転覆後と二つのセットが作られて、
転覆途中は、CGと合成用の小ぶりな回転セットを複数作っていますね。
絵コンテの描き方が違うので、
そのような撮影の差が出来たのでしょう。
新作では操舵室の浸水や、廊下で爆風に飛ばされる乗務員や、
CGで描かれる転覆する全景では、水のあふれる室内プールから、
パラソルが飛ばされるアッパーデッキまで実に細々と描写され、
メインダイニング一点に絞って衝撃シーンを見せた旧作と異なっています。

新作で転覆後のメインダイニングが、主人公達が立ち去った後もずっと浸水しないのが
見ていて不思議でした。
旧作でダイニングにいたのはチーフパーサーでしたが、新作では船長です。
旧作では、主人公達が自ら脱出しようとするのをパーサーは怒鳴りあいの喧嘩で止めていますが、
新作では「娘を探しに行く」といわれて、“あっそう”とばかりに行かせてます。
パーサーは、ここで救援を待つのが上策だ、
と他の乗客を扇動するジーン・ハックマンを叱ってます。
駄目押しに、自分はこの船の乗務員でこの男は素人だ、とまで言ってます。
結局、大半の乗客はパーサーに従い、
牧師と行動を共にするのは一握りの人たち…。
そのとき彼らは逆さになったクリスマスツリーを登ってます。
クリスマスはイエスの誕生祝いですよね。
ツリーというのが信仰の象徴とすれば、そこに足を掛けて登るというのは、
黙示録的光景ですね。
轟音がとどろき、ダイニングに海水がなだれ込むと乗客たちはパニックに陥って
ツリーに殺到して一斉によじ登り始めますが、
ツリーは加重に耐えかねて海水の中に転覆します。
さながら、くもの糸が切れて罪人達が血の池地獄に落ちるがごとく、です。
噴き上げてくる海水に神父は、仕方なく隔壁ドアを閉めると、
最初に牧師とともに逃げ出した生存者達と青ざめた顔を見合わせます。
顔、顔、わずか10人ちょっとの顔。
「行こう。それしかない。」
ぞっとしましたねぇ。
これこそが「ポセイドン・アドベンチャー」だ、と思っていたのですが、
新作にはその場面がそっくりないじゃありませんか。

新作でダイニングが洪水に飲み込まれるのは、
主人公たちがバラストタンクを強行突破した直後です。
オートロック中の開閉弁を手動で強制開放して隣のタンクへ逃げ延びるのですが、
転覆後かろうじて水平を保っていたポセイドン号は、
海水の急激な移動で船体への加重バランスが崩れ、
大きなガラス窓で海中と仕切られていたに過ぎないダイニングの
ガラス窓が加圧に耐えかねて砕け、爆発的に浸水します。
自分が生き延びる為、他人を犠牲にする場面はエレベーターダクトの通過の時にも出てきますね。
旧作の感動死のかわりに、新作では犠牲死うじゃうじゃ。笑
その犠牲死にはサブテーマがあって、
リチャード・ドレイファス扮する乗客は、自殺願望があって、
デッキから夜の海に飛び込み自殺を企てたときに津波を目撃し、
ポセイドン号を襲った津波の第一発見者となっています。
エレベーターダクトで宙吊りになった時、周り中から、落とせ落とせ、と催促されて、
一緒に宙吊りになった船員を蹴落としています。
本当は自分が死にたかったのに、人に犠牲を強いることになり、
人命の重さを思い知るという役どころなんだけど、
彼が主役というんではないので、なんとなく消化不良です。

保険会社が嫌がったりして、
俳優がアクションを演ずるのはハリウッドでは余りありませんが
ポセイドンでは、
デュラン・ジョーンズ役のジョショ・ルーカスはじめ、メインキャスト全員が
アクションもこなしてます。
劇中で女性の髪が引っかかって重症を負う場面がありますが、
似たような事故が撮影現場でも起きています。
作りこんだセットの中での撮影でしたが、キャストは生傷が絶えなかったようで、
ジョショ・ルーカスは来日インタビューで「三度も縫った」と答えています。
また、セット内の水は入れ替えされぬままだったようで、
不潔な水に長時間つかりっぱなしキャストにスタッフのあいだで病気まで流行し、
インフルエンザから気管支炎まで病人続出で、撮影所近所の病院のドクターに
「おかげで商売繁盛」とジョークを言われる始末だったとか。
映画の中だけでなく、撮影所もサバイバルだったというのはシャレになってませんが。


トップページ(映画メイキング、小説と脚本の比較レビュー)に戻る。