「プライド 栄光への絆」DVD脚本レビュー

★映画基礎データー★
「プライド 栄光への絆」
2004年 アメリカ映画
原作 H・G・ビシンガー
監督脚本 ピーター・バーグ
出演 ビリー・ボブ・ソーントン

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『 プライド 栄光への絆』は、
『ニュースの天才 (2003)』も書いたピューリッツアー賞受賞のジャーナリスト、
H・G・ビシンガー著の「Friday Night Lights: A Town, a Team, and a Dream
(邦題:フライデー・ナイト・ライツ)」(中央公論社/[訳]岸本完司)
という実話の映画化です。
ビリー・ボブ・ソーントン
(「チョコレート(2001)」「バッドサンタ(2003)」)
がアメリカン・フットボールの熱いコーチに扮する米国のスポーツ・ドラマなのですが、
彼以外、これといった売れっ子が出ていないし、
高校生のアメフト話が日本でウケるとは思えないので、
興行成績そのものは期待しようが無いです。
それがどうしてユナイト系で全国公開されたのか不思議といえば不思議。

監督・脚本のピーター・バーグは
『ランダウン ロッキング・ザ・アマゾン (2003)』等
で監督をやっており「コラテラル (2004) 』にも出演してるそうですが、
私はまったく知りません。
宣伝には製作のブライアン・グレイザーが「アポロ13 (1995) 』
『ミッシング (2003) 』「8Mile」の人であることを前面に押したてているのだけど、
制作は本来裏方のはずで、この宣伝は苦しい限りです。

舞台は経済的にどん底の町、テキサス州オデッサ。
1988 年の西テキサス州アメフト戦に挑む地元高校フットボール・チーム、
パーミアン高校パンサーズの試合を描いている。
原作者ビシンガーは実際にこの町のアメフト試合に感動し、
アメフトだけに留まらずに、オデッサの町のこと、
そしてオデッサの住民のことまで著作の中で言及しています。
プロデューサーはこの力強さに感銘を受け何年もかかって映画化したという話です。

1988 年、秋季の間、週一度行われる高校アメリカン・フットボールの試合だけが
地域社会にとって唯一の活力源だった。
原題「FRIDAY NIGHT LIGHTS 」は金曜日の夜に行われるアメフト試合の照明のことを
指しています。
オデッサの地元の高校のアメフトのチーム名が「パーミアン高校パンサーズ」。
‘パンサーズ’は「豹・ピューマ」のこと。
テキサス州西部の高校アメフト勝抜き戦で、
このパーミアン・パンサーズに優勝してもらうことこそ、住民の希望そのものだったのだ。
勝つのは当たり前、勝たなかったら…?
住民達の想いいれは並大抵でなく、チームにかかる精神的圧力は物凄かった。
パーミアン・パンサーズのコーチとして就任二年目の
ゲイリー・ゲインズ(ビリー・ボブ・ソーントン)は
期待に応えようと必死である。
(校長よりもコーチの方が給料を多くもらっているということが、
劇中のセリフから分かる。)
生徒達、選手にとっても、アメフトで優秀な成績を収めることが、
この寂れた町から外の世界に出られる唯一のチャンスだった。
親たちも、息子の立身出世のため何でもする覚悟である。

ブライアン・チャベス(ジェイ・ヘルナンデス)、
アイヴォリー・クリスチャン(リー・ジャクソン)、
クリス・カマー(リー・トンプソン・ヤング)らはゲインズ・コーチが
期待するほどいいプレイができないが、一人、目立つ選手がいた。
スーパースターのジェームズ‘ブービー’マイルズ(デレク・ルーク)である。
彼は態度が横柄だけど、驚くべき才能の選手で将来を約束されていた。
学力でなくて、アメフトという特技で大学へ進み、
その後はプロ選手という明るい前途が開かれているのは当然と思われている。
叔父のL・V・マイルズ(グローバー・コールソン)は
マネージャーのように常に傍らに寄り添っていた。

ドン・ビリングスリー(ギャレット・ヘドランド)は
アルコール中毒で虐待する父親チャールズ・ビリングスリー(ティム・マッグロウ)が
いて悩んでいる。
この父親は昔、このパーミアン・パンサーズのスター選手で、
選手権でも優勝した経験があるので、ちっとも息子ドンを褒めない。
どころか活躍できない息子をなじってばかりいる。
また、マイク・ウィンチェル(ルーカス・ブラック)は母子家庭で、
病身の母親(コニー・クーパー)を抱えている。
母親は息子のアメフトのことを考えており、息子を誇りとしている。
息子がアメフトで奨学金をもらって大学に進むことを夢見る母親なのだが、
マイクは、自分がそうやって進学したら誰も母親の面倒を見る者はいないことを
知っており、一人苦しんでいる。

それぞれの事情を背にしてシーズンが始まった。
しかし、ブービー・マイルズがシーズン初戦で膝に重傷を負い、
想像だにしなかった敗戦スタートとなる。
ゲインズ・コーチは地元ラジオで即座に批判され、
一人のスタープレイヤーに攻撃陣を主にさせていたことを公に非難されてしまう。
しかしブービーに匹敵する選手がいない中、ゲインズ・コーチは采配に苦しむ
ことになる。

本作品は当初、アラン・J・パクラが監督をすることになっていたが、
1998年に他界したので ピーター・バーグ監督に変更になったといういきさがあります。
アラン・J・パクラ監督は『 ペリカン文書 (1993) 』等で有名、
『二重誘拐 (2004)』では追悼の意を表されています。
故意か偶然かは分からないのですがピーター・バーグ新監督は、
原作者H・G・ビシンガーの従兄弟なのだそうです。

試合場面の盛り上がりはなかなかのもので、
アメフトのルールを知らない者でもそれなりに楽しめます。
しかし、無名若手たちの群像劇はだれが主役というわけではなく、
コーチ以外の登場人物の誰に感情移入してよいのか分からず、
いまいち感動できません。
手堅く演出されていますが、奇想天外な展開などは無く、
90分ちょっとの上映時間が長く思えないことも無いです。
アメリカでの興行、評論家の批評は決して悪くは無いようですが、
熱血感動やカタルシスを求めるような話ではなく、
良心作、努力作の分類に入れておいたほうが無難でしょう。


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