「プロデューサーズ」DVD脚本レビュー

「プロデューサーズ」映画チラシ★映画基礎データー★
「プロデューサーズ」
2005年 アメリカ映画
監督 スーザン・ストローマン
脚本 メル・ブルックス
出演 ネイサン・レイン

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1959年のニューヨーク。
マックス・ビアリストック(ネイサン・レイン)は、
かつてブロードウェイの王様と謳われた大物の演劇プロデューサー。
だが、その栄光は消え去り、いまの彼は、
老婦人たちから小切手をせびりとって暮らしている。
新作ミュージカルの『ファニー・ボーイ』も、
初日=千秋楽いう体たらくだ。 

そんなマックスのオフィスに、
ある日、会計士のレオ・ブルーム(マシュー・ブロデリック)が、
帳簿を調べにやって来る。
彼がマックスの帳簿の中に発見したのは、
<出資者から金を集める→ショウがコケる→
出資者に配当を払わなくてすむ→プロデューサーが儲かる>という、
ショウ・ビジネスの摩訶不思議なカラクリだった。
それを聞いて、マックスは悪巧みを思いつく。
200万ドルの出資金を募り、失敗確実のショウを上演すれば、
丸ごと200万ドルが手に入るじゃないか! 

久々の儲け話にすっかり勢いづいたマックスは、
その世紀のたくらみにレオを荷担させようと口説きまくる。
が、安心毛布の切れ端が手放せない小心者のレオは、「
ショウが成功すれば詐欺罪で刑務所行きです」と言い張り、
シッポを巻いて逃げ出してしまう。

 しかし、職場の会計事務所に戻ったレオは、思い直す。
朝から晩まで他人の金を数えて過ごす自分の人生こそが、
刑務所暮らしと呼べるのではないか、と。
かくしてマックスの元に舞い戻ったレオは、
子供のころから憧れていた演劇プロデューサーになる夢をかなえるべく、
マックスとコンビを組むことを承諾する。

 さっそく史上最低のショウの準備にとりかかるふたり。
第一歩は、史上最低の脚本を探すことだったが、
まもなくとんでもないお宝がみつかった。
ナチス信奉者のドイツ移民、
フランツ・リーブキン(ウィル・フェレル)の書いた『春の日のヒトラー』が、
それだ。
マックスとレオは、契約を結ぶため、
フランツが鳩たちと暮らす下町のアパートへ。
フランツに取り入るべくヒトラー総統お気に入りの歌を合唱し、
総統の魂に忠誠の誓いをたてるという、
ユダヤ人にとっての屈辱的な試練に耐えたあと、
ようやく契約書へのサインをモノにする。

 次のステップは、
史上最低の演出家と見込んだロジャー・デ・ブリー(ゲイリー・ビーチ)を
口説き落とすことだった。
「ショウは楽しくなきゃ」をモットーにするロジャーと、
アシスタントのカルメン(ロジャー・バート)は、
脚本がマジすぎる(!)と言って断るが、
「トニー賞が取れるかも」というマックスの甘い囁きにのせられて陥落。
さっそく演出プランを語り出したロジャーの口から、
ハードゲイなドイツ兵のダンスのアイデアが飛び出すのを聞いたマックスは、
「大失敗間違いなし!」と、ほくそ笑むのだった。

 マックスとレオがオフィスへ戻ったところに、
スウェーデン娘のウーラ(ユマ・サーマン)が現れた。
カースティング(キャスティング)にやって来たという彼女は、
ふたりの前でセクシーな歌とダンスを披露。
思わず下半身がスタンディング・オベイションしてしまったマックスは、
『春の日のヒトラー』に彼女を出演させると約束。
さらに、秘書/受付係として、ウーラを雇う。

 いよいよ資金集めにとりかかる時がやって来た。
一張羅の赤いスーツに身を固め、
愛に飢えた老婦人たちを口説いて200万ドルをかき集めるマックス。
いっぽう、オフィスでウーラとふたりきりになったレオは、
思いがけず彼女といいムードになる。
ウーラの胸に顔をうずめ、愛のデュエットを踊った彼に、
もはや安心毛布の切れ端は必要なかった。

 ヒトラー役のオーディションの日。
マックスとレオは、
史上最低の俳優をキャスティングしようと会場に乗り込んで行くが、
なかなかピッタリの俳優がみつからない。
そんなふたりのかたわらからステージに躍り出て行ったのが、
脚本家のフランツだった。
役者たちに手本を示そうとした彼のパフォーマンスを見たマックスは、
ついに自分たちのヒトラーをみつけたと大喜びする。

 そして迎えた『春の日のヒトラー』の初日。
劇場前に集合したロジャーたちが、ショウビズ初心者のレオに、
「幸運を」と言う代わりに「脚を折れ」と言うギョーカイの常識を説明していると、
楽屋入りしようとしていたフランツが階段から転落し、
本当に脚を折ってしまう。
 このままではショウが中止になり、
200万ドルのネコババ計画もパァになってしまう……

トニー賞12部門、史上最多受賞のブロードウェイ・ミュージカルの完全映画化です。
「プロデューサーズ」は
ブロードウェイで4年9カ月、ロンドンで1年2カ月のロングラン・ヒットを続け
あの『オペラ座の怪人』『シカゴ』ですら
獲ることができなかったトニー賞12部門を、
2001年に史上最多受賞しミュージカルです。

クレジットによりますと、
「 This is a movie based on a play based on a movie about a play.
(直訳:これは演劇についての映画に基づいた演劇に基づいた映画である。)」
とあります。なんのこっちゃ!?
本作のオリジナルは、メル・ブルックスに、
アカデミー脚本賞をもたらした1968年の映画作品「プロデューサーズ」です。
これを、ブルックス自身の脚本と作詞・作曲でミュージカル化した
ブロードウェイの舞台は、2001年4月19日に開幕。
たちまち半年先までチケットが完売するほどの評判を呼び、映画化の話が浮上。
メル・ブルックスの要望に応え、
ブロードウェイの舞台版で、演出・振付を担当し、
トニー賞に輝いたスーザン・ストローマンが初メガフォンをとり、
舞台のライブ感をスクリーンに移行させたのが、
今回の映画化作、―ということなのです。

製作、脚本、作詞・作曲は、メル・ブルックス。
今回の映画化にあたって、彼は2曲の新曲を書き下ろしてますが、
そのうちの1曲
"There's Nothing Like a Show on Broadway"は、
ゴールデン・グローブ賞の主題歌部門にノミネートされています。

トニー賞を受賞したブロードウェイの舞台に引き続き
落ち目のプロデューサー・マックスを演じ、
ゴールデン・グローブ賞の主演男優賞にノミネートされたのは、
「キング・オブ・ブロードウェイ」の異名をとるネイサン・レイン。
対する小心者の会計士・レオの役には、
『ステップフォード・ワイフ』のマシュー・ブロデリックが扮していますが、
実はブロードウェイ版でもレオ役を演じており、
演劇界でも「ミスター・ブロードウェイ」と呼ばれる人気者です。
「キル・ビル」のユマ・サーマンが、
女優志望のスウェーデン娘ウーラに扮しています。
発声の猛特訓を積んでミュージカル・シーンに挑んだそうです。

……こう書いていくと、とてつもなく面白い作品に見えますが、
実際にはさっぱりつまらなかったです。
歌と踊り、衣装にセットは申し分ない出来です。
が肝心のドラマがつまんないです。
ジャンルとしてはバックステージものになるのでしょう。
1968年当時は
“コケル舞台こそ丸儲け”というのは、
それなりの意外性があって面白かったのでしょうが、
2006年では古くってねえ。

どんないきさつで、1968年の映画が2001年の舞台になったのか?
それがどうしてアメリカで大当たりを取ってしまったのか?
時代の気分としては分からなくはないです。
泥沼化するイラク戦、台風被害と散々な世相に大衆が、
現実逃避したくてブロードウェイに一夜の夢を求めた。
深刻なドラマや風刺劇など真っ平ごめんで、
「歌って踊ればすべて解決」なミュージカルが
望まれていたのではないか?
少なくとも、
いまどきヒットラーをパロった劇を作るために、
ユダヤ人相手におフランスおかまが馬鹿やって、
それで笑ってくれ、というのは日本人の私には無理だったです。

ま、いまのブロードウェイやハリウッドにビンラディンを悪役
にして笑い飛ばすほどの度胸があるとは思えませんけど。
バックステージもののメイド・イン・アメリカの傑作には
「コーラス・ライン」とかがありますが、
(「プロデューサーズ」の劇中劇のクライマックスに
「コーラス・ライン」のラインダンスのパロディがあります。)
ああした“痛み”を伴う話とは無縁のところでドラマが成立しています。

映画に何を求めるかで評価の変わる作品でしょうね。
筆が滑って“現実逃避”と叩きましたが、
ミュージカルが語るリアリティって何でしょう?
「プロデューサーズ」のセットのゴージャスさ、衣装や歌、
踊りの立派さ加減はたいしたものです。
屋外ロケの場面も結構出てきますが、
歌や芝居が上手いこと演出されていて、
セットのロケ部分との繋ぎに違和感はありません。
ネイサン・レインもそうですが、ブロードウェイの人材の層の厚さには舌を巻きます。
後ろの方で歌って踊っている人たちもエライみごとです。

余談ですが、
ウーラには、当初はニコール・キッドマンが配役されていたそうです。
「ステップフォード・ワイフ (2004)』撮影中にオファーされて即座にOK
していますが、スケジュールの調整が出来ずに実現していません。
ウーラの踊るシーンでは、
オリジナルのブロードウェイ・ミュージカル「プロデューサーズ」で
ウーラの役を演じた Angie Schworer が、ユマ・サーマンの代役をしているとか。
二人一役の摩訶不思議なヒロインになってます。

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